2017/11/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区・裏通り」にアムリージュさんが現れました。
■アムリージュ > 寒い。ぼろのようなマントの合わせ目を内側からぎゅっと握る。
そしてもう片方の手で目深に被ったフードに触れる。
顔が隠れていることを確かめるように、不安げに。
自分の素性を知る者なんて、いるはずもないのだけれど。
むしろこんな不審な動作で余所者だと気づかれて、目を付けられるほうが危険だ。
頭ではわかっているものの、何故か不安を黙殺できない。
軽く溜め息をついて、貧民街の路地を進む。
「この辺りだと聞いたのだけど…」
周囲を見回すが、それらしい人影は見当たらない。
■アムリージュ > 薬がほしい。不安をかき消すような薬が。
いや、薬ならいくらでも手に入る。
勤務先のナイトクラブを経由すれば、恐らくは、どのようなものだって。
しかし店を通すことに抵抗を覚えるようになった。
知られたくないのだ。これ以上は。自分自身について、何も。
ブーツの踵の立てる音が貧民街の路地に響く。
ひどく場違いな音だった。何故、出かける前に気づかなかったのだろう。
目立つような真似は、なるべく避けたかったのに。
早く用事を済ませて帰ろう。そんなことを思いながら周囲に視線を巡らせる。
「いないのかな…」
■アムリージュ > 貧民街に出没する薬売りの話を聞いた。
ナイトクラブに所属する性奴隷が漏らした話だった。
そのときは軽く聞き流した。特に興味は惹かれなかった。
しかし日に日に不安が抑えきれなくなってきて、空き時間を利用して貧民街を訪れたのだが――
場所が間違っているのだろうか。
時間帯が悪いのだろうか。
もうここには来ないのだろうか。
それともただの、嘘や作り話だったのだろうか。
それらしい人影は、どこを探しても見当たらない。
「…帰ろう。期待なんて、しないほうが良かった…」
憂鬱そうに目を伏せて、元来た道を引き返す。
こんなことなら開店前の店にいたほうが良かった。
雑務をしていれば気分は紛れるし、それに時間外の特別客が来るかもしれなかったのに。
そう、特別客。特殊な仕事を依頼する客が――
■アムリージュ > 場違いな足音を響かせて、考え事をしながら歩く。
注意が疎かになっていて、尾行されていることに気付くのが遅れてしまった。
気付いたときには背中にナイフを突きつけられたあとだった。
――脅迫された途端に頭が冴える。
すぐに殺すつもりはないということ。相手にとって自分には利用価値があるということ。
言われるままに壁際に行き、慎重に振り向くと、相手はひどく汚らしい、しかし若い男だった。
彼の言葉によると、マントの裾から見える靴が目に付いたのだという。
富裕地区のナイトクラブで働いているのだから、その場に相応しい靴を履いているだけなのだが。
しかし確かに貧民街に履いてきていい靴ではなかった。
ぼろ布のようなマントを羽織って変装したつもりになっていたが、上辺をそれっぽく変えたところで人の目は欺けない。
そんなことにも気づかないほど思考力が落ちていたのか。甘かったな。
内心で自嘲して、しかし表情はまったく変えず、襲撃者を観察する。
怯えていないことに苛立ったのか、襲撃者は力任せにフードを引っ張った。
素顔が露わになり、耳の上で束ねられた金髪の巻き毛が二房、揺れる。
相手が息を飲み、やがて下品に笑うのが見えた。
「わたしに何の用…」
■アムリージュ > 言うなり相手の腕を掴み、外側に捻りながら、その腹に鋭い蹴りを入れる。
「わたしに出せるものは、これしかないの…」
冷ややかに吐き捨てる。
苦痛にうめく襲撃者を壁際に蹴りつけて、その場から逃走する。
たとえナイフを持っていても、戦闘訓練を受けていない者が相手なら素手で充分だった。
狭い路地を走りながら、歩きやすいブーツを履いてきたことだけは正解だったと微笑する。
いつものような踵の高い、鋭いヒールの靴だったなら、逃走には向かなかっただろう。
もっとも、凶器にはなるのだから、それはそれで悪くはないのだが。
外れたフードを再び被りながら、路地の角を曲がる。
ここまで逃げれば大丈夫だろう。歩調を緩め、呼吸を整える。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区・裏通り」からアムリージュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区・盛り場」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 夜の街。貧民地区でありながら賑やかな…所謂盛り場。
明るく賑やかと言っても治安がいいわけではもちろん無い。
暗がりや裏通りに比べれば、『まだまし』ではあるだろうが。
少年はそんな通りを歩いていた。
別に女を買いに来たわけではない。
「(近所になにがあるかくらいは覚えておかねぇとな)」
最近この辺を仮の住まいとしている。
そのため、近所にある施設や比較的安全な逃走経路、利用できそうな店を調べていると言ったところか。
言ってしまえば散歩のようなものである。
■ブレイド > 喧騒と言うにうほどではないが、それなりに賑やか。
たまに瓶の割れる音や怒声が響く程度か。
だが薄暗い裏路地もすぐ近くにある。
人にはいえないような取引や、様々な悪徳が行われているのは容易にわかる。
現状では特にようはない。
「さて、どうしたもんか…」
酒場の一件でも覗いてみるか?
できれば喧嘩などが日常的に起こるような場所は避けたいが。
■ブレイド > 先日は空腹と疲労で周辺が見えていなかったが…
貧民地区と言ってもいろいろあるものだ。
仮の宿である廃屋の近所にはない華やかさがここにはある。
嫌いではない空気…もちろん、厄介事はごめんだが。
「しっかし…」
娼館が多い。場所柄仕方ないのかもしれないが。
■ブレイド > 香の匂いか、甘い香りが時折鼻をくすぐる。
うっすら記憶にある匂い。
おそらく先日もここを通ったのだろう。
フードを取る必要がある以上、娼館などの世話になることはないが…
「………」
正直に言えば、いろいろと思うところはある。
あの少女を抱いた日から。女を知ったあの日から。
年齢もあるだろうし、覚えたばかりというのもあるだろう。
「クソが…」
少し自己嫌悪。
■ブレイド > と言うか、我慢しているところもある。
まだ襲ってはいないし、一人でもしていない。
人がいるのだから当然ではあるが。
「ちっ…考えんのはやめだ」
持て余した性欲を昇華するために手近な酒場へ向かう。
このような場所の酒場は過剰な露出の女性が給仕しているような店が多いが…
そこは我慢するとしよう。
あまり大きくはない、こじんまりとした店だが法外な料金を取るような店でもなさそうだ。
■ブレイド > 「エール、あとなんか…軽いものをくれ」
客の入りは少ないようだが、閑散としているというわけでもない。
店の規模からしてそこそこ、といったところの酒場。
奥の部屋が開放されているの見れば、まぁそう言うための部屋なのだろうなと容易に想像はできる。
今は空いているようではあるが。
程なくして注文したものが出される。
座った席はカウンター席。カウンター越しに差し出された。
■ブレイド > でてきた軽食は…
揚げたじゃがいも。塩を振って食べるらしい。
ほくほくとして割とうまい。塩はセルフ。結構な量をかけてから食べるとする。
味は濃い目が好きなのだ。
「(悪くない店だな)」
ガラが悪いわけでもない、汚いわけでもない、変な色気を振りまいてるわけでもない。
やや店主が無愛想だが…そこはむしろありがたい。
■ブレイド > フードにも特に言及されない。
まぁ、こういうところでやってる店だ。
いちいち詮索してたらやってられないだろう。
おそらく客の一人に用心棒のようなやつも紛れていると思われる。
エールを一口。嗜む程度ではあるものの一杯で潰れるほどでもない。
「この店を使うのも悪くないな…」
情報収集の拠点としてだが。
立地も雰囲気もちょうどいい。