2017/11/24 のログ
ご案内:「貧民街」にアゲハさんが現れました。
■アゲハ >
「えー、お花―。蜜たっぷり、香りの良いお花は、いりませんかー? 一輪、お安くなってます、おひとつ、いかがですかー?」
娼館の多い、貧民街。
当然、昼となれば人は居ない。そこに、少し薄汚れたドレス。
くすんだ黒髪。翠と赤の瞳をした少女が、声を張りながら。
少ない人の視線を集めようと、声を張っている。
「――……はぁ、やっぱこの時間だと人が少ないなぁ」
売れ行きはやっぱりよくない。
困ったと、苦笑しつつ――
「はな-、おはなをひとつ、いりませんかー」
ご案内:「貧民街」にマリーさんが現れました。
■マリー >
カラカラと、馬車の車輪の音が鳴る
ダイラスの商会の刺繍がされた幌を被ったそれはいつものように貧民街を横切る
この街には商売になるような人間が住んでいないためである
「あっ…ねぇ、ちょっと止めてちょうだい」
馬車に揺られていた少女が言葉を発すると、ゆっくりと馬車が止まって…
ドレスからすらりとした脚を覗かせる、少女…マリーが馬車から降り立った
「ねぇ、そこの貴女♪
お花を一輪、いただけるかしら」
薄汚れた街に薄汚れた服の少女
花を売る姿はいかにも貧民街の姿というように、風景に溶け込む
■アゲハ > からからという音に。はてと想う。
こんなところに、馬車――あぁ通り道かなと思っていれば――
止まった。
「…………?」
はて。なにか目に行くものが合ったのだろうか。
――はて?
後ろを見る。誰もいない。
左右を視る。誰もいない。
「……あっ!? え、あっはい!!?」
わたわたしつつ、探して。
花を一つ――取り出し。
「あ、はいどどどどど。どうぞ!!?」
香りは――蜜の香り。
とても落ち着く……
■マリー >
「ありがとう♪」
花を受け取り、にっこりと微笑みを返す
「うん、とっても良い香り…おいくらかしら?」
わたわたとする可愛らしい少女を眺めつつ、懐へと手を伸ばす
こうやって近くで見てみれば、ボロを着てはいるけれど素材はなかなか
勿論、その匂いを嗅ぎつけるように馬車を降りたのだけれど
■アゲハ >
「5ゴルドになりますっ はいっ!!」
お手頃な値段。
生活を安定させるには40本売らねばならないが、これ以上高くしても売れないのが現状だ。
「――……」
つい、見てしまう。貴族の人、だろうか。貴族の人なんて見たことがほぼ無いからわからないが
きれいな人だなぁとか想う。つい、目を引く。そんな容姿――
自分とは対極の、白髪。陽の光にキラキラ光って羨ましいななんて。
ほうっとため息を付いてしまうくらい
■マリー >
「あら…持ち合わせが、これでよろしい?」
細かい貨幣がなかったのだろう金貨を一枚、少女の手のひらへと乗せる
もちろん価値は5ゴルド程度ではなく、一ヶ月分の質素な生活くらいなら賄えるだろうものである
「…クス♪
どうしたの、じぃっと見つめて……」
■アゲハ > ……―――
「ふぇ!?」
少しの間のあと、受け取ることも出来ず。もちろん、お釣りもない。
そんな大金出てくるとは思ってるわけがないのである。
こんな貧民街で!
「あ、いやそん、きれいだなーとかおもいまして。私の髪の色と、反対だなぁとか、いろいろそのそのっ!!?」
本音がただ漏れで。口を慌てて手で抑えた。
「…………お、お釣りが、ないんですけど。その……」
すごく困った顔をしながら話題を変えて、誤魔化そうと試みた
■マリー >
「そうね、黒くてとてもきれいな髪。
もっとちゃんとお手入れすれば、艶やかで美しい髪になりそう……」
嫌がらなければそのままその髪を手指で撫でたりもしつつ、
お釣りがないという言葉にはもう一度笑みを返して
「お釣りはいらない…なんて言っても遠慮しそう。
それじゃあ他のお花も…というのも、でしょうしね。
───貴女を一晩、売ってもらおうかしら…♡」
どう?と眼を細める
どの道こんな場所でこんな少女が花を売っていたら、その身体ごと買われていくことになるのは目に見えている
私腹に肥えた貴族だとか、汚らしい粗野な冒険者に買われるくらいなら───
──自分が買って、磨いてやったほうが趣があるというものである
■アゲハ >
「うぇ!? あ、あの。汚れでベトベトしてますから……」
――手を嫌がるというよりも、貴族を汚したらと思ったのだろう。
そっと二歩下がり――
「ひ、一晩ですかっ。その、あのですね。私、そういう意味の花売りでもなくて。あの、その――」
きゅっと、ドレスの裾を握りながら。貴方を見たり、視線を外したり。
どう、と言われてもなんて還したら良いのだろうかという表情。
その頬は赤く染まっていた。
その仕草は、嗜虐心をくすぐるような。
そして少女からも、甘い、蜜のような香りが漂っていた。
本来なら、汚れと、汗の匂いでひどい臭がしそうなもの、なのに――
■マリー >
「甘い香りがするのね、貴女…。
フフ、知っているわよ大丈夫……クスクス、とって食べようなんて、思っていないわ…♪」
そう、とりあえずはその身体を磨いてみたい
土に汚れた原石を見つけたような、そんな気分なのだ
その後どうするかは…再び気分次第になるのだろうが
「勿論無理矢理になんて言わないわ…。
───治安の悪いこの街のこと、このままだと…
そのままの意味の花売りになってしまいそうだけれど、ね…?」
■アゲハ >
「……うっ……」
いや、確かにそう。そうだけれど。間違っては居ないのだけど……
「……その。お花のアフターサービスということで、同伴、まで、なら――」
それで勘弁してくれませんかというように。上目で訴える。
「あ、えっと甘い匂いするのは。そのお花の近くにいるからで。はい……」
誤魔化しつつ。洗濯をお客に委ねることにした
■マリー >
「そう?それじゃあ決まりねっ♪」
胸の前で両手を合わせて、にっこり笑顔
少女としては退屈を紛らわすことが出来れば何でも良いのだ
「私はマリー。貴女のお名前は…?此処に住んでいるの?
馬車でダイラスまで往くのだけれど」
■アゲハ >
「あ、えっと――アゲハって言います。その、廃墟を転々としてる感じで……どこってわけではなくて……」
ぼそぼそと答えつつ。
「……か、帰りは送ってくれると助かります……」
■マリー >
「えっ、おうちはないのにここへ帰ってくるの?」
きょとんとした顔をする
家がないのに、此処へ帰ってくるというのもよくわからない
「…この見窄らしくて危険な街に愛着でもあるのかしら、
フフ、まぁそれは私の推し量るところでもないわね♪」
それじゃあ馬車にお乗りなさい、とその手を差し述べて
「ちゃんと此処まで送り届けてあげるから…安心なさい」
■アゲハ >
「え、あいえ……だってその、この外見で住める場所って言ったら、ここくらいしか無いので……」
変に目立つよりも、紛れている方が良いのだ
「……ありがとうございます。えっと、馬車、汚してしまうかもしれないですけどよろしく願いします……」
なんていいながら。そっと、馬車へ……
■マリー >
馬車の幌の中には付き人か護衛か男が二人
どこか生気のない眼で、馬車へ乗り込むアゲハを気にした様子すら見せない
後についでマリーが馬車へと続けば、スイッチが入ったように男二人は動きだし、椅子を用意する
「貴女は綺麗に整えれば、こんな場所に住まなくても良いと思うのだけれど…。
もらってくれる貴族の男なんて、きっとたくさんいらっしゃるわよ?」
動き出した馬車に揺られるなかで、そんな話しなどを持ちかけて
■アゲハ >
「そうでしょうか。その、結婚とかはそんなに、こだわってないのでええ……見ず知らずの人と、というのもその……」
ぶるるっと、想像して恐怖したのか震え。
少し不思議な顔をしながら、馬車の中でがたがたと揺られていく。
■マリー >
「結婚?
あはははっ、面白いのね、アゲハ♪
そうじゃなくて、召使いだとか…使用人ね♡」
勿論見目麗しい娘はそれに留まらない役どころもあるのだが、それは別の話である
「貴女みたいな、磨けば光りそうな子を欲しがる男って多いの。
よく今まで売り飛ばされたりしなかったわね…アゲハ?」
■アゲハ >
「あ、えっとそういう……あああえええっっと――……」
しゅううっと、真っ赤な顔しつつうつむいた。
静かに、足元を見て。脚を少し動かす。
「――あんまり、その貧民街はそういう人、通らなかったので。少し、運が良かったのかも、知れないですけれど」
■マリー >
赤くなって俯いてしまった
実に可愛らしい少女である
──久方ぶりかもしれない
こんなに純心な少女<エモノ>は
「……そうね、とぉっても運が良い……。
ねぇ、なんだか甘いお花の香り…もっと近くに寄ってもいーい…?」
赤い瞳を細めて笑みを浮かべる
そのまま椅子からは降りて、四つん這いになるようにして、座っているであろう少女へと顔を近づけてゆく
■アゲハ >
「え、あえっとその、とととと、となりどうぞ!? こ、転んじゃうのでっ」
そそそっと、席の一番左に寄って、きゅうっと目をつぶりながら。
汚いのに、寄って。変に汚したら大変かもしれない……
「花を売ってるからですかね、あは、あはは……」
■マリー >
「クス♪さっき買ったお花も素敵な香りがしたけれど…
貴女のは、もっと……お花よりも…密に香るの……不思議ね?」
縮こまるようにして席の隅に寄る少女
それに迫る猫のように、ゆっくりと近づいていって
「ダイラスで商会を営んでいるの…
お屋敷も買ったのだけど、一人で住むには広くって……
貴女さえ良ければ、住まわせてあげても良いのよ───?」
顔はすぐ近く、耳元で囁くように
■アゲハ > ――っ……
ぱくぱくっと口を動かす。
出された条件はとても好条件。甘い香りをすると、指摘されたのも相まって。
どっどっと心臓がなって、多分聞こえてるんじゃないかというくらいの、距離――
「ああああ、あのだって、今あったばかりの花売りですよっ? その、そんなことして、めりっとがそのないようなきがするんですけどっあのあのあの……」
■マリー >
「そう…あんな場所で本物のお花を売る…薄汚れた原石に興味が沸いたの」
互いの吐息がかかるほど近くに顔を突き合わせ、笑みに赤い瞳が撓む
「私ね、退屈が一番きらいなの。
こうやって退屈な馬車の帰り道、お話相手になってもらえてるだけでも、
お屋敷にも話し相手がいるわけではないし…それだけでもメリットじゃない…?」
■アゲハ >
「……そこまで、原石ですかね、私」
髪をくるくると、回しながら。えっと、そのと口ごもって
近すぎるあまり、うつむいてまた視線から逃げる。
あの赤い瞳を見ていると、なにも抵抗できなくなりそうで――
「そ、そうなんですか……? そ、それじゃ……えっと……いいの、かな?」
揺れる、心
■マリー >
「さあ…♪ 磨いてみないとわからないケド…♡」
目を逸らす様子の可愛さに愉しげに笑って、ようやく少し離れてくれるのだった
「急いで決めなくても大丈夫、
まだダイラスまでにはしばらくあるし…そうね、お食事なんかも付き合ってもらおうかしら。
帰りの馬車を用意したら…改めて聞いてみようかしらね───」
赤い瞳を向け続ける
まるで視線は蛇のように、アゲハの身体へと絡みつく
そんな印象すら与える───
カタカタと揺れる馬車
少女の揺れる心とともに、馬車はダイラスへの街道へとその姿を消していった
■アゲハ >
「……使用人って感じですか? それとも、秘書、みたいな?」
仕事をこんな感じというように、確認をして。
「……うん。それなら、出来ます、でき――」
顔を向けようとして。その眼に当たれば――うっと、金縛りになったように動けなくなって。
「あの、その、そんなに見つめられると、困ります……」
弱々しく。そう返すので精一杯だった
ご案内:「貧民街」からアゲハさんが去りました。
ご案内:「貧民街」からマリーさんが去りました。