2017/10/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 魔法商店」にヴァルファルニフルさんが現れました。
ヴァルファルニフル > 「ここが例の店だな」

 赤色を主体とした警備隊の騎士服をまとってあたしは階段を降りていく。貴族の誘拐事件に関しての情報が入ってきた。確実な情報でないため部隊をつれてくるわけにはいかなかった為単身でわたしが乗り込むことにした。

 貧民地区はあまり好きではない。この華やいでいる王都になぜこのような犯罪に近い場所を野放しにしているのか理解ができない。さっさと撤去するなりして王都の外にこのあたりの連中を放り出せばいいのに。いつも考えている。

 店の棚が見えてきた。派手なドレスの女。この女が例の誘拐の…、それにしては堂々としている。狂言だということもあるかもしれない。わがままなお嬢様が狂言誘拐をしかけて小遣いをせしめる。よくある話でもある。

 「あなたはこのようなところにいる方ではないとお見受けするが、名前をたずねてもいいでしょうか。わたしは、警備隊で隊長をしているヴァルファルニフルと申します。」

 もし貴族のお嬢様だと機嫌を損ねると面倒なことになる。一度敬礼して、うやうやしくまじめな声で女性に尋ねて、一礼をする。

コニー > 「はい?」
店の中がざわついていた。明らかに、この場に似つかわしくない客が姿を現したのだ。
品定めの最中に声をかけられて、きょと、と瞬き。振り返ればかなり背の高い女……そして、誰はばかることなく騎士の鎧を着込んでいる。
これほど堂々とされては、店にとってはやりにくいだろう……と、同情するのが半分。面倒にならなければいいんだけど、と、心の中でつぶやいた。

「いいえ、単にお買い物に来てるだけ、ですよ」
せっかく店が秘密を守る、と言っているのに、ここで名乗るわけにはいかない。
礼を返してから、はぐらかすような返答。それでも、ふと……ひらめいた。少しは、遊んでやろう、という考えだ。

「騎士様、いいところに。実は……」
声を小さく低めて、彼女にだけ、聞こえるように。物陰でささやくように、
「私の家宝の指輪が盗まれてしまって、それがここにある、ということがわかったんです。良ければ、一緒に探してくれませんか……?」
もちろん、でまかせの嘘だ。でも、見た限り、この堅物そうな騎士を丸め込むのは、難しくなさそうだ……そんな風に、考えていた。

ヴァルファルニフル > 「指輪が、それは」

 潜めた声にあたしも小さな声で返す。やはりこの女性は貴族の姫なのだろう。しかし、このようないかがわしい場所にくるとは見た目よりも度胸のある姫様なのだと、声にはださないが、無表情に彼女を見ている。

 あたしは彼女の前で一礼をして、店の中を見回す。いかがわしい人相の者たちばかりだが、なるほど、貴族らしいものが混じっている。こういう場所ならば、姫の言うような盗品を扱っていることもあるだろう。足音を立てるようにあたしが歩くと、さっと店の客があたしの周りから引くように道ができる。壁際には首輪が多く掛けられている。奴隷用のものだろう。あたしとしてはこの国が奴隷を認めていることに腹立たしい思いをしているが、こういう場所にならこのようなものもあるだろう。

 鍵の掛けられたショーケースの中に彩と大きさで分けられた指輪が並んでいる。もしかするとこのなかに、値札の横に印がついているがなんの印なのかはわからない。あたしは姫を読んだ。

 「姫、このなかには姫の探しているものがないのか。」

 

コニー > 「あ、あまり、大きな声を出さないで……」
そう、っと声を小さくする。周りの客が、本当に私が助けを求めたと思っているのか、それとも、彼女を言いくるめるつもりであることが伝わっているのか……緊張が漂うものの、止められたり、咎められたりはしない。

「そうですね……あっ、これ……っ」
並べられた道具の数々。その中からひとつ……別の首輪と、セットになっているものを見つけた。
いぶかしげにしている騎士の様子では、並べられている商品の意味は、おそらくわかっていないのだろう。
魔法の文字と、裏社会の隠語とを合わせて書かれた文字。「隷属の首輪」と「主人の指輪」……二つがセットで、首輪をつけたものは、指輪の持ち主の言葉に逆らえなくなる、という、相当ないわくのある一品だ。

「この首輪も、一緒に売っているみたいです。……私は、指輪が取り戻せればかまいません。首輪は、騎士様に差し上げます」
と、秘密のささやき……ではあるけど、こういった店の主人は耳がきくものだ。おおよその事情を察したのだろう。
年配の男が声をかけてくる……「まさか、そのような事情とは知りませんで」と、そんな内容だ。
「買い取ったあなたが知らなくても、罪を悔いるなら私にお返しください」
すでに、店もこちらの芝居に乗って、この騎士を罠にかけるつもりだ。……良家の子女が家宝の指輪のために、勇気を出してやってきた貴族……そんな芝居に乗って、格安で買い取る事となった。

「……これが取り戻せて、とっても嬉しいです。騎士様がついてくださったおかげです」
ぱっと笑みを浮かべて、「主人の指輪」を自分の指へ。魔法がかかったそれは、当然に、指にぴったりと合った。
「さあ、騎士様……こちらは、あなたに」
手の中には、隷属の首輪。それを、感謝の印に、と、彼女の首元へうやうやしく巻き付けようと……

ヴァルファルニフル >  彼女もショーケースを覗くと目を輝かせた。彼女が指さすものはさすがに貴族の家宝になるものだと思えるような輝きを放っている。なにかを魅了するような。

 彼女の喜ぶ声にあたしもすこし頬を綻ばせて和む。周りの男たちも身分を隠しているようにみえるものは興味深く見ているようで、彼らも盗品を探しているのかもしれない。興味もなく、ちらちらとあたしを盗み見ているようなやつら、下賤な連中にはすこしイラつきながら、彼女に微笑みを向ける。

 店主もいきさつに気づいたのか、彼女に丁寧になっているような気がする。値段もすこし気を利かせたものになったみたいだ。あたしは満足してやりとりを見ていたが、彼女がお礼にと首輪を前に出す。一見おしゃれな襟飾りのチョーカーにも見えるが、あたしはこういうものは好きではない。

 「いえ、わたしは、こういうものは」

 辞退したいのだけど、一歩後ろに下がると悲しげな彼女の顔にしかたなくあたしはひざまずいて騎士の礼を彼女にとると、姫様としての身分になれたような手つきであたしの首に勲章のように赤い革製のチョーカーを巻きつけた。そのまま一礼して彼女から一歩後ずさって彼女を見る。

 「これで事件は落着しました。またなにか気にかかることがあれば声をかけてください。姫様」

コニー > 緊張が走る店内。しかし、一見して少女……のように見える少年が、彼女の首にチョーカーを巻き付けた時、その緊張がふっと弛緩した。
確かに……指輪を通して、彼女に対して力が働いているのを感じる。
可憐に笑みを向けながら、そっと手を差し出すと、

「ううん、ありがとう……それでは、ヴァルファルニフル」
声の調子が、ふと変わる。少女と少年の境目の、甘い声音はそのままだけど。
どことなく酷薄な、そして愉悦に満ちた声色……
「床に手をついて。そのまま、四つん這いでボクについてきて。犬みたいに、ね」
そう、告げて。
店主と笑みを交わす。こういった店には、「お試し」のための部屋があるものだ。
指輪と首輪の魔力が働くなら……彼女の惨めな姿を回りの客に見せて、彼らの溜飲を下げさせる事になるだろう。
そうして、店の奥。より暗い場所へと、女騎士を連れ立っていく……

ヴァルファルニフル >  あたしは恭しく礼をしてここを去ろうとすると、身体が動かない。

「なにを言っているのですか。姫様。お戯れを」

 彼女の命令に慣れた言葉に身体が言われたままの格好に、精いっぱいの筋肉による抵抗も、ぶるぶると震えるだけで手が次第に床に触れていく。膝を折れば、騎士服の下の胸の重みが服にそのままかかっていく。上を向いて、姫の顔を見るとまるで奴隷を見るような冷たい瞳になって、一瞬あたしを見た後は店主を見て、にこやかに歩き出した。

 あたしは彼女の歩く姿の後ろに数歩離れた距離をとりながら、四つん這いで這いつくばるように歩を進める。後ろでさざめく様に下卑た笑いが起こった。下賤なものたちの声に憤りを感じながらも、あたしは彼女のあとをついていく。体が勝手に動くのだからしかたない。でもなぜ、なぜ、こんなことに……。頭の中ではなにも考えられないようで、その言葉だけがぐるぐると来り返される。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 魔法商店」からコニーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 魔法商店」からヴァルファルニフルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラシュフェルさんが現れました。
ラシュフェル > 貧民地区といっても色々あるようだ
賑やかな娼婦街から市場、もちろん治安の悪いスラムのような場所もある
さて、今日はどこへ行こうかと思案しながら魔王は貧民地区を歩く
特にあてもなく歩いていれば、何かにぶつかるかもしれない
そんな考えを持ちながら、ゆったりと、静かな足取りで魔王は貧民地区を歩いていた。今は静かな娼婦街をぬけ、市場へとやってくる

ラシュフェル > そして、貧民街にはもう魔王の姿はない
目当ての寵姫も、面白そうな存在もいない
ならばここには用はないと
最初からそこにはいなかったかのように、静けさだけがのこって

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラシュフェルさんが去りました。