2017/09/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカイサーさんが現れました。
カイサー > (とある酒場に女聖騎士が姿を現せば、ドアが開くなり先客らが興味深そうに、あるいは煙たそうな視線を寄越し、そして直ぐに何もなかったかのように再び喧噪が戻る。
値踏みしている様な視線を寄越すものもおり、その視線に圧され負けない強さで見つめ返した。
酒場だというのにいつもの白尽くめの聖騎士の制服を身に纏っている為、酒場の中でも酷く浮いてしまっているが、本人はその事には気付かず、カツカツと硬い靴音を鳴らしながらカウンター席へと。
足の長いスツールに座る姿は妙に姿勢が良いのが逆に違和感があった。こういった店には馴染みがないのか、店内の様子を探りながらあまり落ち着かない様子。
何を飲むかとマスターに注文を聞かれても、そもそも酒の種類を良く知らず、どう答えたものかと悩んでしまう。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエズラさんが現れました。
エズラ > 酒場に異分子が入り込んだその瞬間から、再び喧噪が戻った今に至るまで――
「それ」から視線を外すことができない男がいた。
明らかに場違いな服装ということを抜きにしても――その美貌は人間離れし過ぎていた。
しかし、大胆に登場してからというもの、酒を注文する風でもなく、姿勢を正したまましかめ面を崩そうとしない――その姿が何だか面白くなって、男は席を立った。

「よう、そこの美人さん――こんな場所に来るもんじゃねぇよ、みんな戸惑ってら――」

気安く話しかけながら、飲んでいた酒のグラスと瓶を両手に提げつつ、臨席に腰かける。

「ここは酒場だぜ、酒を頼まなけりゃ、店の親父が困るってもんだ――」

なぁ?と店主に目配せすると、うんうん、と深く肯定の意を示している。

カイサー > メニューに目を落とすけれど一体どんな酒なのか皆目見当がつかなくて、うろうろと視線をメニューの上に泳がせてしまうばかり。
沈黙が店主とカイサーの間で暫し流れている中、不意に声をかけられた。こんな場所に来るもんじゃねぇ、なる言葉に初対面にも関わらず眉間に皺を刻んだまま

「冷やかしに来たのではない、これも学びの一環だ」

しかし中々注文をしない自分に対し、戸惑っているのだろう店主が男の言葉に深く頷いているのを見て、流石に気まずげな表情。

「いや、べ、別に酒を頼まないつもりではない。ただ、何を頼めばよいのか分からなくてだな…」
歯切れ悪く言葉を紡いでいたが、こういつまでも迷っている訳にはいかないと店主へと顔を向け

「この店で一番人気の酒を出してくれるか」

と、結局店主に丸投げの注文をし、ふぅ、と一仕事終えたかのように思わず息を吐いて。

エズラ > 「学び……――」

眉間にしわを寄せる相手と裏腹に男の表情はぽかんと呆けたもの。
相手の出で立ちは、所属は不明だが明らかに国家の防衛に携わっていることを示すもの。
しかも恐らく上級職である――果たして、安酒場で何を学ぼうというのか。
しかし、自分が急かしたせいもあろう、一番人気の酒を頼んだのを見て。

「奇遇だな、そりゃこいつだぜ――この店初めてってんなら、オレがおごるよ、美人さん――」

いいだろ?と店主に問えば、黙ってグラスのみを差し出してくる。
男の手には自分の席から持参してきた酒瓶があった――まずは新たなグラスに一杯注ぎ、相手に差し出す。
続いて自分のグラスも満たすと、軽くかかげて。

「それじゃ、乾杯といこうぜ――」

そしてそのまま、ぐい、と一息に飲み干した。
普段酒を飲まない者ならば、15分ほどかけてゆっくりと飲むような、強い酒――

カイサー > 相手が呆けた顔で言葉を反すのを、こくり、と真顔で頷き返す。
「上司から、世俗について学んで来いと言われた。こういった酒場に出入りする者が、何を好み、どんな話をしているかなど、一度直接体験してみると良いと…。」

要するに世間知らずな箱入り女聖騎士であるというのを、上司に叩きつけられてきたという訳である。
奢ると言われ、いやそれは…と断ろうとするが店主と男の間でサクサクと話が進んでしまい、気付けば蒸留酒が入ったグラスを持たされて。

「あ、あぁ、ではありがたく頂こう」

すんすん、とグラスに鼻を寄せて香をかぐ、特別何か嫌な臭いがするという訳でもない。ちらりと男を見ればぐいっと一気に飲み干しているのにならい、自分も一気に飲み干して……。
~~~~~ッ!! 

案の定、喉に走る熱さに咳き込む結果となった。

「……ッな、なんだこれは……の、喉が…焼けるようだ…。」

お菓子のウィスキーボンボンですら酔っぱらってしまう程の下戸が一気に酒を飲んでしまい、涙目になって咳き込むはめになる。普通に飲み干している男を信じられない様に今度はこちらが呆然と見つめて。

エズラ > 「ふぅ~……うめぇ」

酒好きにはたまらぬ一杯――この店に来るような輩には特に人気の酒である。
お堅い調子から、恐らくそうするであろうとは思っていたが――やはり、自分と同じく一気に杯を煽る姿を見て、ひゅう、と口笛。

「どうだ、イケてるだろ――学ぶってンなら、まずはこういうのからいかねぇと――ってオイオイ、大丈夫かよ――?」

涙目になりつつ咳き込む相手の背を柔く撫でてやりつつ、少し意地悪だったかと反省――するのも一瞬のことで。

「ところでさっき、こういう場所に出入りする奴らが何を好むか、っつってたよな――?体験しろ、ともよう――」

相手の背を撫でていた手が、いつの間にかその腰に移動している。
すす、と身を寄せ、耳元に「もっと教えてやろうか――?」と囁く――

カイサー > 相手に背をさすられどうにか落ち着く。酒の一杯すらまともに飲めないのかと己の醜態に思わず肩を落としてしまう。
腰に回された腕もクラクラし始めた頭では気にする事も出来ず、それよりも耳元で囁かれる言葉に、誘われてしまい…。

「あぁ、教えてほしい。」

ジッと男を見返す目は強すぎる酒で既に無自覚に潤んでおり、はたから見れば恋人同士が甘く身を寄せ合って囁いているように見えるかもしれない。しかし女の頭には、少しでも己が世俗に対しての知見を深めようとしている純粋な欲求だけで。

エズラ > 「アア……もちろん、丁寧に教えてやるからよ――」

どうやら飲み慣れていないのは本当らしい――すっかり酩酊した様子でこちらをジッと見つめる姿に、男も胸の内がじりじりと燃え始める。
カウンターに二人分の料金を放ると、立ち上がって相手の身体を支えつつ、店を後にするのであった――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエズラさんが去りました。
カイサー > ふらつく足取りを男に支えられ、店主に「また来る」と言うとそのまま男と共に店を出て行ったのだった―――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカイサーさんが去りました。