2017/08/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にスヴェンさんが現れました。
■スヴェン > 貧民地区でも比較的、明るく酒場や安宿などが立ち並ぶ場所
そろそろ酒場も店じまいという時刻に、とある酒場の裏手口からドアをノックすれば店主の奥方がひょいと顔を覗かせた
「よ、ご無沙汰。これツケにしてた分な…部下のも一緒…
少し色を付けたつもりだけれど一応確認してくれ」
そう言って懐から奥方にずしり、と金貨や銀貨の詰まった革袋を手渡す
あいよ、と威勢よく店の中に奥方が戻れば、勘定をするから待っといで、とグラスに入った葡萄酒を差し出す
悪いね、と差し出されたグラスを受け取れば、壁により掛かるようにしてちびちび、と葡萄酒を飲みながら
ツケの代金の勘定するのを待つ…グラスの酒が無くなる頃に、奥方がまたひょっこりと顔を出し、
軽く世間話やら酒場の客入りの話なんかをしてから、ご馳走様、とグラスを返して店を後にし通りに出た
酒場やなんかはぼちぼち店じまいを始める頃合いだったが、娼館や連れ込みの宿なんかは未だに賑わい、
人の波が耐えない…喧嘩する声やら客引きの声が絶えずしており、そんな中を用事は済ませたからぶらぶらと歩いた
■スヴェン > 歩いていれば欠伸が溢れる
今日は色々と雑務を片付けてぐったりであった…その最後が、ツケの支払いで貧民地区の店だけでなく、
飲食店に限らず他所の店にも何箇所かツケを支払い、とりあえず借金がなくなったというわけ
「…疲れたわ」
肩の辺りをぐるぐるさせながら歩けば顔なじみの娼婦なんかに声を掛けられるのだけれども、
また今度、とひらひらと手を振り、そのまま隊舎へ向かう
自室にたどり着けば、そのままぱたり、とベッドに倒れ込みとりあえずはぐっすり眠ることにしたのだった
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からスヴェンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジュリエットさんが現れました。
■ジュリエット > 夜が更ければ良い子は既に夢の中。起きているのは悪い子ばかりだ。
そんな輩ばかりで溢れる此の地区は未だ宵の口。
其の勢いは此れから、と言った所だろう。
「…嗚呼、くそ。」
娼館への華々しい呼び声の声も、合わせる杯の高い音も、誰かが歌う酔いの回った歌声だって、
一歩路地を入れば何処か遠くの他人事だ。
嘘の様にしん、と静まる裏路地は其処彼処に鼠の住処の如く広がっていて、大概は表通りの華やかさの影で縮こまっている。
…だが、そんな路地裏の一角で面倒そうに溜息交じりの言葉を吐いた男が居る。
暗闇に浮かぶ、明るい金糸髪の長躯。
薄汚れた路地の地面に腰を下ろして、べったりと赤く濡れた横腹を押えていた。
辺りは、じわりと鉄錆臭い。
■ジュリエット > いらっしゃあい、随分とお見限りだったじゃないのお、と甘ったるい声が一本向こうの通りから聞こえた。
既知の娼婦の声だ。
己に常毒を吐く声音とは1オクターブも違う様に思う。
こんな状況なのに、思わず笑ってしまって。
其の所為で痛んだ傷に、思わず顔を顰める。
気付けば、夏の暑さの所為で無く、随分と額に汗を掻いていた。
「…やれやれ。随分とまぁ…見っとも無ぇ。」
横腹を押えるのとは別の手の甲で、額を乱暴に拭うと、其の隙間から辺りに視線を配り、耳を欹てる。
手負いの獣宛らに暗闇を睨み付けて、辺りを警戒しているのだ。
見知りの浮浪者でも通れば御の字だが、そう巧くは行かないだろうと此処でもう一つ息を深く吐いて。
■ジュリエット > 此の儘放置すれば勿論死は免れまい。一番近くの塒は何処だったかと、其処に辿り着くまでの道程を算段して。
距離が近くとも面倒が起きそうな場所も少なくない。
其れも加味しての、一番の近い場所、だ。
「…しかし…あの顔。」
何処で見たのだったか。
記憶の糸を手繰る様に男は低く呻って。
路地裏から短い声が上がった気がして、何の気無しに暗がりへと足を運んだのがほんの少し前の事だ。
唯でさえ光の届かぬ路地裏に夜目を利かそうと、シアンの片眼を眇めた所で、暗がりの中で人影を見た。
こんもりと不自然な姿で地面に寄り添っていたのは――恐らく女だろう。
其の手前で、やけに細身の影法師が此方に背を向ける形で仁王立ちしていた。
何だ、と疑問符を投げ掛ける暇も無く――痩せた影法師が此方を振り向くと同時、
何の前触れも躊躇いも無く、腹を刺された――のだと、思う。
頭が状況を把握するより先に、反射の様に肩で相手を強く押し遣って、其の隙に違う路地へと駆けたから、
嗚呼刺されたのか、と気付いたのは実際此処に辿り着いてからだ。
しかし、あの顔に見覚えがある気がする。
何しろ垣間見たのは暗がりでの一瞬だ。
必死で記憶を辿ろうとすれば―――
「――…そうだ。」
何か、言っていた気がする。
■ジュリエット > ぱた、と地表を打ったのは額を伝う汗か、其れとも横腹から滲む血か。
「…此の儘じゃ、拙いか。」
其の音で朦朧とし始めた意識を覚醒させ、一度大きく息を吸い込んだ。
すれば、背を壁に擦り付ける様にして、立ち上がる。
ずるずる、と言う形容がぴたりと嵌る、余り人には見せたくない様なざまだ。
先ずは止血をし、其れからあの場所に戻る必要が有るだろう。
あの時地に伏していたのが、本当に人間であったのか。
そしてそうなら、其の生死を確かめねばならない。
「全く――…結構な夜だ。」
忌々しそうに呟いて、顔を顰めた。
薄い霧がかる様な意識の中で、見た顔を不意に思い出す頃には、漸く塒に着くだろう。
そうだ、あの顔は――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジュリエットさんが去りました。