2017/07/23 のログ
ご案内:「王都 貧民地区「古びた牢獄」」からバルジリスさんが去りました。
ご案内:「王都 貧民地区「古びた牢獄」」からアルテアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルシルさんが現れました。
ルシル > (ふらぁり、ふらぁり―――――

城が賑やかであることの理由については、まだわからないけれど。
外から入ってこられる、ということは、出ていける、ということらしい。
あまりにもちいさな存在に過ぎて見過ごされたか、それとも、
どこかの誰かが連れ回す奴隷のひとりと間違われたか。

いずれにせよ、誰に足を止められることもなく、ふらふらと。
深更の夜を漂うように歩き続けた果てに―――――迷い子に、なった。
もっとも、当人に悲壮感やら焦燥感やらは皆無である。なぜなら)

………さっきの、通りは、うるさかった、けど…
このあたりは、暗くて、静かね。
ひとも、居ないし……お城より、ずっと静か。

(迷い子になった自覚、そのものがなかった。
そのうえ―――――城の中と違って、この細く入り組んだ裏路地では、
誰かに行き会うことも、まれ。
己にとってはとても、心地良い散歩道、であったという―――――)

ルシル > (もちろん、今ごろは誰かが、己の不在に気づいているだろう。
あるいは外へ出てしまった、と気づいて、あわてて探しているかも知れない。

けれどなにしろ、身を隠す、ということに知恵を回さない彷徨である。
いったん探す気になれば、きっと己を見つけだすのは難しくない。

ひたり、ひたり、踏み出す足は相変わらず、雲の上でも漂うように。
今しばらくは、このまま、夜更けの散策を楽しもう、と―――――。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルシルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に砂姫さんが現れました。
砂姫 > (夜を越えても拭い切れなかった熱気が、生温い風となって纏わりつく、早朝。
ひと気の無い薄暗い路地の片隅で、己は故郷からの使者と相対していた。)

だから、……そう簡単に、尻尾なんか掴めないわよ。
そんなに簡単だと思うのなら、貴方が遣ってみたら良いでしょう?
何だったら此の服、貸して差し上げましょうか。

(苛立ちを隠しもしない低い声は、相手も己も同様か。
一刻も早く結果を、と急き立てる相手の男に、己は顎を反らした傲岸な眼差しで、
お仕着せのメイド服の裾をひら、と煽る様に揺らしてみせる。
ふざけるな、と荒げた男の声が、存外大きく響き渡って)

―――…貴方、馬鹿なの?
そんな大声出して、誰か起きてきたらどうするのよ。

(慌てて自身の口を押さえ、首を竦ませた大柄な男を、
思い切り軽蔑を籠めた視線で睨み上げてやる。
男の顔が見る間に赤く染まったが、己は尚、嘲笑う様に、胸の前で腕を組んで)

兎に角、もう暫くお待ち下さい、と伝えて頂戴。
せっかちなのは女性に嫌われますわ、ってね。

砂姫 > (相手にしてみれば己は、結局は罪人上がり、使い捨ての小娘ではないか、
といったところなのだろう。
然し、己に云わせれば、目の前の男だとて己と変わらぬ―――失敗すれば
直ぐにでも廃棄される、ごくごく軽い存在だろう。
対して己は、もし、首尾良く目的を果たせたなら、其の時は此の男など、
影を踏むことも許されぬ存在に戻れる筈なのだ。

飽くまでも己にとって相手は、ずっと下の存在だった。
―――男が丸い鼻をヒクつかせて、何か匂うな、と云い出す迄は)

……そうかしら、私は特に何も感じないけれど。
そもそもこんなところ、端から彼方此方から色々な匂いが…、

(平静を装ってそう返しつつも、視線が僅かに男の顔から逸れる。
そういう匂いじゃない、もっと甘ったるい、桃みたいな匂いだ、と反駁されれば、
己の背筋に淡い震えが駆け抜けた。
口を開くより先に一歩、後退って男から距離を取り)

…貴方、お腹が空いているだけなんじゃないの?
もう話は終わったわ、さっさと宿へ帰ったら如何かしら。
私も、もう失礼するわ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にウィルバーさんが現れました。
ウィルバー > 貧しい地区に相応しい、みすぼらしい黒い犬。
どこにでも居そうな毛並みも悪い野良犬に気を配る人などこの地区ではそうそう居なくて。

最近は変化した姿で街を歩くことも増えてきた。
視点が変わることで見えてくるものも多いし、何より元の姿では出来ないこともこの姿なら自由だ。

などと、気ままに散歩していると桃のような甘い香りが漂ってくる。
普通なら腹が減る匂いだが、反応したのはなぜかぶら下がっている肉棒。

これは何かあるのだろうと判断し、匂いのする方へと近寄っていく。

物陰の向こう側では女性らしき声と男性らしき声が会話をしているようだ。
途中から来た僕には内容まではわからない。

ただ、匂いは女性の方が漂っているようだ。

砂姫 > (男にはある程度、己についての知識があったらしい。
カリカリしているのは己が欲情を抑え込もうとしているからか、
楽しげにそんなことを云われて、己の手が出ない訳が無かった。)

―――…好い加減に、なさい、っ…!

(ぱぁん、と小気味良い音が、静かな路地に響き渡る。
男の頬へ見事な紅葉を形作って、己は鋭く声を放った。
睨み据えた双眸は力強く、男が一瞬怯むほどで)

…一体、誰に口を利いていると思ってるの?
頬と一緒に、少し頭も冷やしたら良いわ。

(溜め息交じりに其れだけ投げつけて、己はさっさと踵を返す。
我に返った男が追って来るかも知れないが、知ったことでは無かった。
物陰で此方を窺う犬一匹になど、然して意識を向ける筈も無く―――
一瞥のみを呉れて、傍らを歩き過ぎようと)

ウィルバー > 会話の内容から、女性の方が欲情を誘発する何か、恐らく今感じている匂いを発しているようだ。
平手まで加えて黙らせている事からしても確実だろう。

しかし、誰に口を聴いているとは、どういうことだ?
服装から察するに、ただのメイドにしか思えないのだが。

何かあるのだろうと思った僕は、魔術を使いこの平手を受けた男を操ることにした。
丁度見下している女に叩かれて多少なりとも怒りの感情が湧いていよう。

魔術の内容は一つ。

『むかつくこの女を犯せ。』

男の眼からは正気を失い、ぶつぶつと独り言を呟きながらメイド服の女性に向かって駆け寄っていく。

さて、どう転ぶか。 黒い犬は道端で毛づくろいを始めながら成り行きを見守っている。

砂姫 > (一拍、二拍、三拍。
男が帝国臣民である以上、己の言葉と打擲には、其れなりの抑制力がある。
其れでも勿論、全く背後に気をつけていない訳でも無かった。
―――駆け寄って来る足音に、間髪入れず振り返る。
其の男の顔が、正気を失った者の其れであることを視認するより早く、
鋭く振り抜いた右脚で、男の腿か、巧くすればもっと上の辺りかを、
容赦無く蹴り飛ばして遣ろうと)

控えなさい、下郎、っ……!
御前の妹たちも、投獄させようか!?

(もし、更に男が襲撃を試みるのならば、本気でそうして遣ろうと考えていた。
嘘の情報で男の家族を陥れるなど、己には容易いことなのだから。
―――犬、が何かした可能性に思い至る筈も無く、
此の場には男と己だけだと思えばこその、放言ではある)

ウィルバー > 男はどうやら、武術の心得は左程ないようで。
メイドの右足が飛び出すと、タイミング悪くちょっと出っ張り気味だった腹を蹴られてしまう。

僕が扱えるのはあくまで意識のみで、身体的な強化ではない。
故に男は両手で腹を抑え、口からは泡を吐いて痛みに蹲っていた。
瞳だけは女の方へと向けられ、怪しく笑い続けていた。
…この男はこれまでのようだ。 まあ、可哀想だし術は明日にでも解ける様にしてやるが。

それよりも気になるのがこっちのメイドだ。
ただのメイドに人の家族を投獄させる権限があるわけがない。
となると、どこか異国からやってきた者であろうか。

それも身分を隠さないといけない理由がある程の。

別に愛国者と言うわけでもないが、これ幸いに襲う大義名分を見つけた黒い犬は、ピョンと飛び跳ねると
男の隣へ着地する。

「お嬢さん、どこから来たんだい?
ああ、逃げても無駄だよ。
お嬢さんのことはここで泡吹いている方から聴きだせば一緒なんだしね。」
黒い犬は突然人の言葉を話しだす。
そして、瞳は金色に輝いていた。

砂姫 > (此の男に武術を修める根性でもあれば、こんな仕事はしていなかったろう。
所詮は子供の使いの様な仕事しかさせられない男だ。
喰らわせた一撃の勢いも其の儘に一瞬仰け反り、腹を押さえて蹲る男を、
己は其の場に立って傲然と見下ろして遣ったが)

……御前、何が可笑しいの。
気でも触れ―――、

(己が予想したとはまるで違う表情を向ける男に、初めて不審を憶えて眉を顰める。
其の男の隣へ、何処ぞから降り立った黒い犬が、不意に口を利いた。
―――目を瞠り、声も無く数秒、間を措いた後に)

…其の男に、私を売る甲斐性など無いわ。
どうせ、大した情報も持っていない小者だもの。
貴方がナニモノかは知らないけれど、玩具をお探しなら、
其の男を煮るなり焼くなり、好きにしたら良いわ。
私は、其れ程暇じゃないのよ。

(瞳の黄金色に、人間とは異なるモノの圧めいたものを、
全く感じぬ、ということも無いが。
身分の低さ故、己の真名すら知らぬ男一人、此処へ放り出しても困りはしない。
人を従わせることに慣れた者特有の薄笑みと共に、そう、質問を跳ね返し)

ウィルバー > このメイドは随分と肝が据わっているようだ。
荒事の経験も豊富なのか、大の男に襲われても取り乱した様子が一つもなかった。

そして、僕が操っている男の変化に気付いたようだ。
恐らく普段はこのようなことをするタイプではないのだろう。
まあ、何の用意もなしにここまできた不運を後で悔やんでもらうとしよう。

「そうかい?
それでも君らがどこの国からやってきてるのか位はわかるんじゃないかな?
それにね、別に君らの事を突き出そうだの、殺そうなんて考えはないんだよ。
用があるのはさっきから桃の匂いを発している君の身体かな。」

最早大人しくする必要もなくなった黒い犬の身体が徐々に大きくなる。
そして、犬の口が開いた瞬間、ドロドロの粘液が纏わりついた触手が4本伸びていく。それらは凄まじい速度で女の四肢を拘束しようと。

砂姫 > (経験、というよりも生まれ持った資質、或いは単に、
怖いもの知らずである、というだけのことかも知れぬ。
ただ少なくとも、犬の傍らで未だへらへら笑っている男より、
腹の探り合いには慣れている、と云えるだろう。
未だ、顔色も普段の儘であろうし、呼吸も拍動も静かなもの。

だが、然し。)

―――――― っ、……!

(桃の、匂い。
其の一言を耳にした刹那、考えるよりも先に身体が動く。

呪いが此の身を変質させた折り、望まぬ儘手に入れた鋭敏な感覚。
其れ、が一種の警鐘と化して、変容する犬の―――得体の知れぬ獣の前から、
疾く、逃げよ、と告げる。
大きく後ろへ飛び退る己の左足へ、一瞬、どろりとしたモノが絡みついたけれど。
引き寄せようと蠢く其れが、封印たる白銀を掠めれば―――然程強くも無かろうが、
確かな衝撃が伝わるだろう。
そして己は其の隙に乗じ、更に一歩、大きく飛び退くのだ。

後はただ、逃げるだけ。
一刻も早く、少しでも遠くへ、と―――其れが、一時凌ぎに過ぎないとしても。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から砂姫さんが去りました。
ウィルバー > メイドの方に伸びた触手は、白銀に触れたことで火傷に似た傷を作り帰ってきた。
戻ってきた触手を口の中に入れて犬は、女の去って行った方角を睨んでから低い声で唸りをあげる。

まあいい、とりあえずはあのメイドがどこの国の者か位はこの男が教えてくれるだろう。

「いいかい、正直に答えるんだよ。」
焦点の定まらない男に声をかけた犬は金色の瞳を輝かせる。

女の詳細を聴きだした後は、といっても出身国を知った程度だが…男にかけた術を解いてやる。

今日の事は僕の胸に締まっておくことにした。

他国の間者が出入りしているのはこの国ではよくあることであり、今更驚くまでもない。
それよりもあの桃の香りを早く味わいたいものだ。

犬は遠吠えをあげた後、消えていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からウィルバーさんが去りました。