2017/07/12 のログ
■タマモ > 「ふむ…しかし、あの手の者達はいついかなる時でも現れるものなんじゃのぅ…?」
呟きと共に、その言葉でうんうんと自分で頷く。
少女が歩いている遥か後方、少し開けた場所。
そこには、一人の女性があられもない姿で倒れているだろう。
大した理由ではない、金色の悪魔を討伐しに来た冒険者、らしい。
余程の自信があったのか、一人でやってきて、返り討ちにあったのだ。
確か、出会った時はまだ日が結構高かった気がするか…?
つまり、こんな時間まで散々楽しませて貰っていた、という事である。
あ、いや、相手も楽しんでいたはずだからお互い様である。多分。
この時期だ、あのまま放置していても風邪はひかないだろう。
そんな訳で、こうして路地裏探索を再開した。
■タマモ > ちなみに、金色の悪魔という呼び名なのだが…悪事を働く者を叩きのめし、女性を襲う、との噂らしい。
悪い事ばかりではないのだから、もう少し呼び方を考えて欲しかった。
それに、自分は女性だけじゃなくて男性も襲う、少年少女も気に入ったならば同じく襲う。
場合によっては、普通にこちらが受けに回る時だってある。
女性だけを襲うのではないのだ、そこも訂正して欲しいものである。
…余計に悪い方向にいってるって?気にするな。
変な方向に捻じ曲がっていく思考を働かせたまま、少女は路地裏を歩き続ける。
目的は…あれだ、何か面白そうな店があれば入るし、面白そうな事が起こりそうならば関わる。
楽しめそうな相手が居たら…以下略。
■タマモ > 結構歩いた、だが路地裏は続く。
たまに通りに出るが、あえて次の路地裏へと進んでみた。
まぁ、そもそも平穏な生活よりもスリルを求めるタイプなのだ、仕方ない。
…スリルを感じるのは、相手かもしれないが。
「むむむ…ところどころ賑やかな割りに、こうした場所に何も無いとは…はてさて?」
こうした賑わいを見せる時と言うのは、こうした舞台裏でも期待すべき事が起こる可能性は上がる。
と、そうは思っていたのだが、そうでもなかったらしい。
素直に賑やかな場所に自ら飛び込んでみるか…?考えをそう傾けながら、軽く思案する。
■タマモ > しばしの間、うむ、と何かを決めたように頷いた。
「今日のところは帰るとするのじゃ」
考えてみれば、真昼間から夜まで楽しんでいたのだ。
次の楽しみは、次の日に持ち越しても問題はないだろう。
そうと決まれば、とん、と地面を蹴ってその身を舞わせた。
ふわり、と建物の屋根の上に着地。
そのまま、屋根伝いに式が住まう邸宅へと戻って行くのであった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアザレアさんが現れました。
■アザレア > ―――――迷った。
認めたくはないけれど、完全に、道に迷った。
否、もとより確かな目的地があったわけではないのだから、
迷った、という表現は不適切かもしれない。
然し――――
いつからそこにあるのか、煤けてすっかり周囲の塀や地面と同化した、
大小さまざまな木箱が積み上げられている、暗い袋小路の果て。
周囲より一段暗い闇のなかになんとか紛れようと、出来得る限り
細い四肢をぎゅっと折り曲げ、両腕で膝を抱えて蹲る。
ここへ迷い込んでしまう前、どこかの洗濯物からくすねてきた
シーツのような布を被り、しっかりと身体を、頭を覆って。
―――どこからか、聞こえてくる声。
怒っている、そして、あの忌々しい名前を呼んでいる。
あの声が、せめてもう少し遠くなるまでは、ここから一歩も動けない。
木箱と塀との間に出来た、僅かな隙間へ紛れ込んで―――
紛れ込んで、見咎められずにすむよう、祈るばかり。
信仰など、生まれてこのかた持ち合わせたこともなかった、けれど。
■アザレア > 『―――――――――!!』
不意に、おそろしく近いところから、声。
見つかった、と思うより早く身を翻しかけたけれど、
大きな掌にシーツ越し、己の腕を容赦なく掴み寄せられて、
足先が地面から浮いてしまうほど高く吊りあげられる。
もがく胴へ瞬く間に太い腕が絡みつき、悲鳴を、あるいは罵声を、
迸らせようとした口もとへ、つんと異臭を放つ布切れが被せられる。
その匂いを、嗅いではいけなかった、と気づくのは、
頭がじわりと痺れ、身体の芯が抜かれてしまったように、
力が入らなくなってしまった頃のこと。
荷物のように無造作に担ぎあげられ、どこかへと運び去られるも、
己にはもう、抗う術も、その意志もなく。
後には白いシーツだけが、路地の闇に溶けきれず残り――――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアザレアさんが去りました。