2017/05/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレオノーレさんが現れました。
レオノーレ > 「ごめんなさいっ、おっ、お金は、どうにか…っ、頑張ります!」

テンパった様子の少女の声が路地裏に響く。
封印から目覚めたばかり、浮世離れした精霊はようやく辿り着いた街にて、早速トラブルを起こしていた。

ことは腹を空かせた孤児に出店に並んでいたパンを勝手に与えてしまったことに始まる。
そういえば人間の社会は金銭で成り立っているのだったと思い出したのは、
ガラの悪い店主に睨まれた後だった。
孤児はパンを抱えると一目散に逃げたので、今更返しますから許してくださいとはいかない。

「何か…仕事見つけてすぐお金作ってくるから!
 う…、それは……明日の夕方までには…。」

そんな信用ならない話より、店主は少女を値踏みして眺める。
この地域の人間にしては上等な衣服を纏っており、
完全にカモと言って良い世間知らずな態度。
仲間を呼び寄せ、娼婦として売れるかどうかの相談をし始めた。
少女は完全に蛇に睨まれた蛙である。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にオーリさんが現れました。
オーリ > 「ここらしいな…旦那方、そこで盗人らしいガキを捕まえたんでお礼の1つもしちゃあもらいませんかね?」

店主やその仲間が何やら娘を囲んで相談しているのを見つければ、娘からパンを貰い抱えるようにして逃げた
子供をひょい、と彼らの輪の中へと投げ入れた
ガラの悪そうな店主に、す、と掌を向けて腕を差し出せば、さっさと謝礼を出せ、と急かすように
くいくい、と指先を軽く動かしてみせた

―――数分ほど前、小路の角を曲がると正面からパンを抱えた子供が向かってくる
懸命に走っていたようでこちらに寸前まで気が付かなかったのか、こちらに気がつけば体勢を崩し
子供はそのまま、地面に伏すように転んでしまう。自分はさっと交わしたから平気なものの、
ころんだ子供の様子を見れば、如何にも浮浪児の格好と、慌てた様子…手に持ったパンにピン、と来た
すぐさま、首根っこを捕まえて、騒ぎになっていそうな場所を探せば、ここにたどり着いた、というわけである

「…そら、早く…で、こっちの娘は共犯か何か?」

ちら、と視線を向ければもう1人、身なりの良い娘が立ちすくんでいる
着たものや何かを見れば盗みを働くようにも思えないが、構わず再び店主に視線を向けて謝礼をせびる

レオノーレ > 共犯ではない。
と言いたいが、意図せず共犯と言って差し支えない顛末になってしまった。
謝礼だけに用のある様子の男に対し、店主も肯定する。

少女はといえば、こういう街での生き方をまったく知らない精霊である。
たしかに店主に睨まれた時はパンを勝手に与えたことを後悔したが、
いざその子供が腹を満たすこともなく捕まった様子を見ると、
口をぽかんと開けた後、普段柔らかな眉を寄せて憤りを見せる。

「なんっ…て、ひどい!
 お金は私が稼ぐって言ったんだし、今はその飢えてる子にあげたって良いでしょ!
 ……そっ、そう、すぐ稼ぐんだから…すぐ…っ。」

少女に対する怒りが一時薄れ、謝礼を急かされて渋る店主が次に
浮かべたのは呆れ果てた表情であった。
どうにも場違いな存在であると思ったようだが、だからと解放するわけにはいかないのだろう。
共犯である少女を今、どこかに売ろうかと算段していたことを男に話せば、
謝礼なら売れた金で払ってやる、などと嘯く。

オーリ > 酷い、と言われるのは甚だ心外であった
如何に腹が減っていると言えども、他人の物を奪うべきではないし、それがまかり通るなら世の中、
盗賊、盗人で溢れかえってしまうではないか
だいたいが、金も持たずパンを子供に与えるなど、世間知らずも良いところである

「…言いたい事はあるが、金も無いのに格好つけた嬢ちゃんが悪いだろ
 稼いで払うったって、そしたら、待ってる間、そこの店主の家族が腹空かせるんだが、それはいいのか?」

はあ、と呆れたように息を零し娘から視線を店主に向ける
店主の話では謝礼はこの娘を売っぱらった金で払ってくれる、ということらしい…
その話を聞けば、はあ、と二度目の盛大なため息が溢れて

「…いやいや、ささっ、と払いなよ
 この娘が売られるまでどうして俺が待たにゃならんのさ?
 …今すぐ払えられねえならそこのガキと娘の身柄、人買いに話がつくまで俺が預かるけどかまわないか?」

催促する手を引っ込めれば娘と震えている子供に視線を向け、どうするね?と店主に向けて首を傾げた