2017/05/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 夜、ある種最も酒場が活気付く時間。貧民地区の酒場ともなれば、それはもう喧騒が止む事は無いといってもいいほどだ。

「はぁ……。楽な仕事のハズだったんだがな」

貧民地区の酒場、『堅物の鷲』亭でぼやく男が一人。カウンターで酒を飲んでいるのだが、どうにも表情は明るくなく。
というのも、本日の仕事はこの酒場の用心棒なのだが。
土地柄のせいか時間のせいか。店で暴れまわるゴロツキはひっきりなしに現れる。
現に、さっき3人の男をたたき出したところだ。

「ったく、静かに飲めないのかねぇ」

仕事中ではあるが、男は酒を飲み続ける。たかだかチンピラ・ゴロツキ程度など、男にとっては相手にならないらしい。
いわゆる、余裕の表れというヤツだった。

セイン=ディバン > 年代者のモルトを飲んで気分良くなっていれば、賭けがエスカレートして殴り合いになった男が二人いた。外にたたき出した。
新鮮で冷えている黒麦酒を飲んでいれば、ウエイトレスに手を出そうとした男が一人いた。気絶させて外に投げ捨てた。
極めてレアな銘柄のワインを楽しんでいれば、店に違法な集金をしようとした男が七人ほどいた。死なない程度に痛めつけてお帰り願った。

「……ったくぅ!! 落ち着いて飲めやしねぇ~!!」

一件トラブルを解決するたびに酒を飲みに戻るが、すぐさま次のトラブルだ。
せっかくの良い酒も、ぬるくなっては魅力は半減以下だ。
まったく。とっとと仕事の規定時間を終えてゆっくりと飲みにでも行きたいな、と男はため息を吐きながらも店内にしっかりと居ることにした。
懐から、魔族の国原産・剃刀草の細巻きを出し、一服しながらも視線は鋭く、店内の客に向いている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に魔王リュウセンさんが現れました。
魔王リュウセン > 貧民地区の酒場にありきたりだが いつの間にか紛れ込んでいた
胡散臭いおっさん冒険者ならぬ傭兵崩れのおっさん。
どっちにしろおっさんその物的な風格というか崩れ模様(しかも若干酒臭い)
先程まで 酒をしこたま静かに飲んでいたが 時折騒いでは飲んでを繰り返したため
案の定酔っぱらって 隅っこに転がっている物体達になった。

特に返事がない ただの よっぱらいのようだ が似合うモブと言ったところ。

セイン=ディバン > 酒場で飲んでいる客たちなら、その男の姿には気付かなかったであろう。
いつのまにか入り込み、すとん、と席に着き。静かに酒を飲んでは、時折騒いで、また静かに飲む。
どこにでも居る手合いだ。誰も気にしたりなぞしない。
しかし……。

「……」

この男は違った。その傭兵崩れっぽい人物が店内に入ってきてから、その様子は常に見続けてきた。
別に、怪しいとか、違和感があるとかではない。
ただ……男の本能が、何かを訴えかけていた。

あの人物からは目を離すな、と。

(……なんだろうなぁ。普通のおっさんで間違いないと思うんだが)

そう考えながらも、男は何か正体不明の危機感を感じていた。
思わず首の後ろを触る。冷たい汗が流れていた。

魔王リュウセン > いつの間にかいる その 恐怖 いつの間にか動いている 酔っぱらい。
いつの間にかシリーズ的にいるんだそんな酔っぱらいおじさん傭兵。
ぼりぼりと服の間から見れる段々腹のお腹を手で掻いては うぇーいとのたまっている辺りマジでおっさん。

演技にしろ何にしろ 素だったら 酒には弱いのかと思われていそうな酔っぱらい模様。
特に 酔っぱらいおっさん(限りなくおじさん)はごろごろと床を這いながら動き始めた。

俗にいう 怪しい動きだった。 そんなに動けば 他で騒いでいるおっさんとかおじさんとかにぶつかったりして
―安生 即 蹴られて 壁に転がっていき ばぁんと音を立てて当たって伸びたようだ。

「ぐぇ!!…うぅ…」

暫く 起きないだろうな的だったが ゆっくりと徐に起き上がると、
千鳥足の状態で セインに絡みだしたのだ それも酔っぱらい的な感覚で。

「うぇーい  げろ… おんめぇ  のまないのかああぁぁんんん???」

非常にめんどい 絡み方だった。

セイン=ディバン > 酒場で過去の栄光に浸り、酔い、床で寝る。そんな人間は珍しくも無い。
貧民地区の酒場で、元冒険者的な人物、となればなおさらだろう。

(……ん~。見れば見るほど、ただのおっさんだよなぁ)

腹を掻き、床を転がる人物の動きを見ながらそう考える。
だが、男は微塵も油断などはしない。こういう時は、本能に従った方が良いのだ、と男は知っているからだ。

瞬間、オッサンは蹴られ、壁にぶつかってしまった。
男から見ても、かなり痛そうなぶつかり方で、思わず男は目を手で覆った。
しかし、なんとオッサンは立ち上がり、男に声をかけてきた。
ふむ、幸いか、と男は考える。会話をしていれば、少なくとも目を離す必要がなくなるからだ。

「あぁ、今……仕事が終わったところだ。今から飲むさ。
 ところでアンタ、すごい痛そうだったが大丈夫か?
 マスター、アスローンモルト。こちらの紳士にもつけてくれ」

壁の時計を見ながら、今正に仕事終了。オッサンに声をかけながら酒を注文する。
ここからは完全にオフだ。どれだけ飲んでも文句は言われない。

魔王リュウセン > ただのおっさん 全く過去の栄光とか関係なさそうだ。
だって完全に 腹掻いて床で寝そべり 先ほど蹴られて壁に当たって伸びたばかり。
で起きたかと思うと千鳥足で用心棒的な精神のしっかりしたお兄さんセイン青年に絡む。

酔えば理性の枷が緩み 本能に則って辺りに絡みだす それが 酔っぱらいと言うなまもの(生物)
何も考えていない、が 酔っぱらいと言うもの、用心に越したことはないがこのおっさんは特に危ない事は…
武器類は持ってい無さそうだ あるとしたら 隅っこにあった鈍的な斧。
あれでは素早さはあるまい。

「ひっく そぉおかい にいちゃん がんがんのもうぜぇぇぇ  げふっ おう のませろおおおおお…うっぷ」

これから この青年にもしこたま飲ませて 静かに酔っぱらって一緒に過ごそうぜ的に振舞いたい。
今の所 おっさんは怪しい動きはない 怪しいのは…そう今の所 存在その物か気のせいか。

セイン=ディバン > じっ、と。じぃぃぃぃっ、と観察を続ける。男はため息を吐いた。
そのオッサンの姿からは、どう見ても凄みや、オーラを感じなかったからだ。
しかして、警戒を緩める訳にはいかなかった。本能は未だに危険を訴えかけているのだ。

千鳥足で近づかれ、話しかけられればより近くで観察ができた。
筋肉量……歳相応だろう。衰えは隠しきれない。
意識レベル……かなり酩酊、いや泥酔しているようである。
総じて、現状であれば脅威にはならないというのが男の判断だ。
だがそれでも警戒は解かない。むしろ、気付かれないように警戒を強めてすらいる。

「あぁ、奢るから飲んでくれ。おいおい、ここで吐いたりはするなよ?」

完全に絡み酒といった様子の相手を、軽くあしらいつつも、無下に扱うことはしない。
何か少しでも怪しい動きが見えれば即対応できるように。かつ、せっかくだし二人酒もいいか、と思いつつ。まぁ、相手が女性ではなくオッサンなのが悲しいところだが。
そうしていれば、酒が届き、男はそれをぐっ、と勢い良く飲んだ。

魔王リュウセン > このおっさん 外見はマジでおじさん傭兵崩れだが
中身と言うか正体が彼がトラウマ…いや 何らかんら関わり合いのあるとある魔王そのものだという事を。
魔王 ひまなんすね て言われたら 一寸へこむが、大したダメージにはならない。

今は 肉質衰えて50代か60代後半な貫禄…ないな、あるならこんな傭兵崩れじゃない。
泥酔おっさんはどこぞのノリと勢いでセインに絡んでいるのだ。
計算高いとか ない そう 今の所は ない。あっても滲みださない。

「だいじょぉぉぉぉ… うぇーい かんぱいだっぁああああ ぐびぐびぐび…」

絡みっぱなし。非常に迷惑千万。
ばんばん彼の背中を軽く?叩いて 励ましているのか何なのか分厚い掌で摩ったり触ったり揺らしたり。
さしで飲むのも嬉しい 浴びるほど飲みたい 酒が目の前に置かれれば一気に浴びる様に飲み干した―



そのまま 器をカウンターに置くと同時に…椅子事 ばたーんと倒れて再び床に倒れ伏した!

セイン=ディバン > こめかみにチリチリとした疼き。首筋の皮膚は粟立ち、冷たい汗が服の下で溢れる。
このオッサンが近づいてから、本能は警戒信号を強めるばかりだが、下手に逃げたり背を向けたりするのも逆に危険かもしれない。
となれば、まずはやはり、状況をしっかりと把握するしかない。

周りの客も男同様の感想というか。やはりこのオッサンをわざわざ気に留めている人間などいないようだ。
男はふぅ、と細巻きの煙を吐きながら、お気に入りの銘柄の酒を堪能している。

「あぁ。乾杯。飲みすぎには気をつけろよ?

 って、おおおおおおおおおいっ!?」

乾杯。傾くグラス。このオッサン、大丈夫なのか? と心配していれば。
背を叩かれたりして、内心のみで舌打ちする。いくら警戒対象とはいえ、男に触られる趣味は無いからだ。
そうして男も酒を飲み干せば。予想通り、オッサンは勢い良く倒れてしまい、男は驚きの声を上げる。

「あぁあぁ言わんこっちゃない!! おい、オッサン!! 大丈夫か!?
 マスター、イザって時は上の部屋借りるぞ!?」

慌てて男はオッサンに声をかける。しかし、体は動かさない。
こういう急な倒れ方をしたときは、揺らしたりしてはいけない、というのが冒険者の経験上身に付いている。
まずは声をかけ、オッサンが意識があるかを確認しつつ、最悪の事態に備えてマスターにも断りを入れておく。

魔王リュウセン > セイン青年にそう反応させているとは知っているのか知らないのか、
おっさんは酔っぱらい状態のまま ぐでぐでになって振舞中。酔っぱらいのまま彼に近づいて ぐへへ はない。
妙に絡んでいる節を覗けば 純粋無垢な?泥酔おじさんだった。

奢りの酒はうまい うまかった…覚えているのはそこまでだった。
おっさんの意識はそこでぶつっと留まって その後は 椅子事倒れて伸びた処。

伸びたまま 意識と言うか呻きとか声は漏れる。

「もっと飲ませ……のみすぎたあああああ…げふ」

喋れるようだが ぐでんぐでんだ。意識はあるようだがそれは単に声に反応しての反応。
酒中毒にもなったような反応も示しだしている。休める処に運んだ方がいい具合。

セイン=ディバン > 傍から見れば、仕事上がりの冒険者に酔っ払いが絡んでいるだけという風景。
しかし、その実男は警戒を緩めることなく……いや、時間が経過するごとに、男の警戒は様子を変えていた。
目を離すな、という本能の訴えは、今すぐ逃げろ、といった物に変わっている。

そうして、見事にばたんと音を立て倒れたオッサンを目にすれば……。
せっかくの警戒心はどこへやら、流石に目の前で酒の飲みすぎで死なれては堪らん、と。そう、警戒を解いてしまったのだ。

「アホ言え!! これ以上飲ませられるか!!
 あぁ、こりゃダメだ。マスター、上借りるからな!! 代金は依頼料から差っ引いてくれ!!」

このままではいよいよマズイ。そう直感した男は、マスターに宣言し、オッサンを上に連れて行くことにした。
貧民地区の酒場の特徴。ほぼほぼ必ずと言っていいほど、二階があり、簡素な部屋が用意されている。
理由は……言わずもがな、だ。男は全身の力を振り絞り、オッサンを抱え上げた。

「重っ……!! おいオッサン!! ちったぁこれに懲りたら酒控えて痩せろ!!」

そう言いながらも、必死に二回へ向かう男。なんだかんだ、面倒見は良いのであった。

魔王リュウセン > 傍から見れば 何て平和な光景なのでしょう。
平和か?とツッコミはいらないが 殺伐とした風景ではないので却下だ。
酔っぱらいは総じて対処と対応を間違えると面倒なことこの上ない。

酒中毒に陥っても 酒を飲みたい欲求と飲めないという呟きを矛盾した様に告げて呻いている。
もっとーと手が 腕が伸びるが 彼に叱られて 絶望を初めて浮かべました的な顔でがーんとショックを受けて居る処。
ただ 進行形で げろげろする寸前ともいう。

ややあって 見捨てればいいものを、彼は己(おっさん)を二階に連れ出して介抱をしてくれる様だ。
(よし 計算通り…心の中で 魔王はニヤリとしたという)

「…重いだと!? 酒は飲むものだ 痩せてたまるかああああう 吐きそう。」

部屋につくのが先か 吐くのが先か それは 彼の足次第。

セイン=ディバン > あるいは、これもまたありふれた光景であろう。
ある程度若い人間が、ある程度歳のいった人間に絡まれる。
酒の場ならば余計にありふれている。そう、誰も気にしないし、気に留める必要すらないはずなのだ。

意地なのか、それとも執念か。なんにせよ、酒を求め続けるオッサンに厳しい言葉を投げかけ、必死にオッサンを抱えた男は、懸命の努力でもって二階を目指していたが。

「だああああああああああ!! 待て、待て待て待て待て!!
 吐くな!! 堪えろ!! 男だろ耐えろ!!」

背中に感じる生暖かい息、そして酒臭さ。絶望的な言葉に背を押され、男は足を速めた。
凄まじい勢いで部屋に飛び込み、ベッドに向かってオッサンを放り投げる。同時に、部屋の隅にあった桶を取り、オッサンへと近づき。

「オラッ!! 吐くならココにしろオッサン!!」

わざわざそうしたのは優しさ半分……ベッドを汚して怒られるのをイヤがったのが半分であった。
とりあえずなんとかなったか? と男は安堵するが……さてさて。
警戒を怠ったツケは、男に迫ってきているようだが……?

魔王リュウセン > こうして 青年は 見捨てる事が出来なかったおっさんを介抱しに二階に上がってそして。
二階に上がる道中 そう 数分も掛らない距離なのに 彼の背中にかける生暖かい吐息 酒の混ざり合ったとてつもない匂い
絶望極まりないカウントダウンを発する声。その決壊は刻々と迫りつつあり 遂に決壊を引き起こしたのだった

暫くお待ち下さい…

きらきらする何かが 桶の中に注ぎ込まれていきます。

暫く… ぱたんと 桶の蓋を閉めて すっきりした若干酒が抜けている?おっさんは膝をついたまま振り向いて

…二階の部屋の扉は閉まっている。鍵は…彼に悟られない様に秘匿魔法で施錠しよう。
よし 二人っきり。 ふふふふ この時を待っていた!!

「… にいちゃん あんがとな。 …くくく」

ん? 先ほどまであんなにげろげろしていたおっちゃんの態度が一変したような。
ゆらぁりと桶の前から振り向きざまに立ち上がろうと動き出そう。

セイン=ディバン > 二人の人影が二階に上がっていくが、当然客の中でそれを気にする人間はいなかった。
男が女を連れ込む姿ならば、囃し立てもするのだろうが。オッサンが介抱される姿など、別段見たくもないのだろう。

そうして、男の必死の……まさに命がけと言っても良かった。その努力の甲斐あり。最悪の状況は回避できたようだ。

オッサンが桶の蓋を閉めたのを見て、男はそれを部屋備え付けのトイレに流し、桶は水で洗い流した。
何気に涙目である。そらそうだ。見ず知らずのオッサンのゲロの処理など、誰がしたがるだろうか。
そうしてオッサンが元気に戻ったのを確認し、はぁ、とため息。今日はため息が非常に多い。

「あぁ、いいってことよ。……!?」

返事をした瞬間、男は腰を落とし、リボルバーに手を掛ける。
しまった、罠にかかったか、と後悔するももはや逃げ道はない。
こうなった以上、まずは相手がどう動くか、だ。男はゆるり、とリボルバーに手を掛けつつも、相手の動きをじっくりと観察する。

魔王リュウセン > 青年とおっさんの二人の連れ込み…? 想像できません。
耽美系なのかと妄想想像逞しいにょびとがいたらそう叫んだかもしれませんが、
先程の酒場にはウェイトレスのおねえさん方しかおなごは居りませんでした。
耽美系の妄想には物足りない片方のおっさん(仮)は遂に 遂に 化けの皮を剥がす時が来たのだ!

彼が先細 こちらが吐き出したきらきらする物体を処理している間
部屋の鍵を閉め あまつさえ 短銃を向けられても 寧ろ撃て 撃って来いよ敵に不敵に笑い掛ける始末。

おっさんは とある言葉を セイン青年に何気なく語り掛けるのだ。

「おいちゃん、『犬 子供 育ってる』 心は覚えて居らなくても 体は覚えているだろ?」

おっちゃんは 何を言っているのだろう とある言霊を呟くのだ
とある魔王が彼の記憶を改ざんしたときに結んだ言霊を。

セイン=ディバン > 事態に直接関わっていない酒場の客たちは、気付かない。
見事に、今。一つの罠が完成したということを。
そしてそれはとても幸せなことだったのかもしれない。
なにせ……あのオッサンの正体に気付かなくて済んだのだから。

そして、部屋の中では正に男が鉄火場に叩き込まれたという状況。
正体不明の相手に、見事に罠に嵌められ。逃げ場もなく、戦うにしても相手の実力がわからない状況。
しかして、警戒していた相手は攻撃するでもなく……。
たった一言の言葉を呟くだけだった。

「……あん? なんじゃそりゃ……っ!?」

瞬間。ぐらり、と視界が揺らぐ。ぐにゃぐにゃと世界は溶け、体中の感覚が失われていく。急速に遠のく意識。男はふらつきながらも、必死にベッドへと寄りかかるようにする。
もつれた糸が解けるように。男の中のちぎれた記憶が徐々に繋がっていく。

「あ……アンタ、まさか……」

ハッキリとした形にはなってはいないものの、男は少しずつ確信へと近づいていく。
この目の前のオッサンの正体。それは、最近であった誰かだ、と。
しかしそれがわかってどうなるというのか。男の全身は、すでに完全に脱力しきっている。
何か怪しげな術を使われたからか? 否、そんなもの使用はされていない。
これは、単純な恐怖と絶望からくる脱力だ。

魔王リュウセン > この酒場は静かに魔王が支配したのだ…正確には二階のとある部屋をだが。
おっさんは魔王だった、然しあの酒飲みおっさんが、と酒場の客たちは知る由もない知る必要性もない。
知って絶望に浸るのは 彼一人だけだ。

闘う前から罠をめぐらし獲物が此方に飛びこんでくるのを待っていればいい。
兵法と策略は戦う前から始める、と言うのがセオリーと言うもの。
言霊を発してから 彼が崩れていく様を 徐々に姿を変えるおっさん為らぬ少女と言うべき存在。

「ぐふふふ 夜は これからですよー 」

繋ぎ合わされる絶望と死にたくなる彼の痴態に満ちた記憶。
屈し絶望と快楽の果てに連れ出されて果てた記憶
魔王の夫として妻を孕ませられず この魔王を孕ませたとんでもない記憶。
色々とあの爛れ切った夜の記憶が彼の中で繋がってきちんと繋がった事だろう。
そのころには おっさんは魔王の姿になっているだろうが。

「魔王 リュウセンですよー セインくん。」

元気そうで何よりだ、とにこやかに笑い掛けるが その笑顔は彼にとっては何だろうか。

セイン=ディバン > 男自身、部屋に入るまでに油断はほとんどなかった。
いや、部屋に入っても、完全に気を抜いたりはしていなかった。
男に落ち度があるとすれば、酒場に長々といたことだろう。

仕事を終えてから、すぐさま酒場を後にすればこうはならなかっただろう。
あるいは、そもそも酒場の用心棒の仕事を請けてさえいなければ。
しかし、そうはならなかったのだ。現実は。

「あ、ああぁぁぁぁ!?」

身体こそ力は抜けたままだが、意識と喉はしっかりかっきりと覚醒したようで。男は見事に大声で叫ぶ。
蘇る記憶。一方的な蹂躙。行為こそ奉仕だが、その実態は捕食そのもの。
しかも、おまけに。逆に犯され、勝手に子供を孕まれるというオマケつきだ。
いよいよ姿を現した魔王様に、男はなんとか逃げようと辺りを見るが……当然、その様なことはできるわけがない。

「りゅ、リュウセン様……。……ど~も……。
 ってかアンタ!! 以前はよくも……!!
 てか孕んだってウソだよねウソだって言ってお願い!!」

懸命に叫ぶ男。依然力は抜けたままだが、少しでも距離を取ろうと、ベッドの上をもたくそと転がる。表面上は笑顔の魔王様だが、それは男にとって絶望の象徴。蘇る、狩られる物としての恐怖に、叫び出したくなるほどだ。

魔王リュウセン > 全て 彼は 警戒をし過ぎて さっさと帰ればいいものを
最後の分岐点は おっさんを介抱せずに 店の従業員也他の用心棒に任せて帰宅すればよかったのだ。
そう 彼は自分で自分の分岐点を潰してしまったのだ。

「防音魔法は適当に施しておいた。この部屋の外からは、青年の喘ぎ声に変換されておるから なぁ?」

分かっているだろう? おっさんに蹂躙されているんだ 嘘の魔法でな、と心底楽しんでいる笑顔で彼を見下ろす。
男が叫ぼうが この部屋に入り込む耽美好きはいない。いても入れさえない。
彼の反応と顔色に 蘇ったな、と一方的な蹂躙な夜だった 
あれは満足な夜だったとぞくぞくする体。本当に絞りっとった夜だった。
逆に犯し 孕ませるほどに濃密に遣らかして 逃げる?逃がさん。

「いんや?
 この前し忘れた事をしようと思ってな。
 ちなみに 今はお腹は膨れて…変化魔法を解くと ほれ」

ベットの上に転がるミノムシもどきな青年。ぎしっと軋む彼の上から跨る様にベットに上がり込んで
彼の上からのしかかる様に跨ってから 変化を解くと ポッコリお腹が顕現し そっとその膨れたお腹を摩りながら

「今夜は 楽しい楽しい夜になる事だろう 君は生まれ変わるのだ」

彼が泣き叫ぼうが 抵抗しようが 何されようが 今まで女を食い散らかしてきたかれの女の恨みが発散される様に
朝までにこれでもかと彼はとある形に生まれまわったのだろうか?
それとも 新たなトラウマがついたのだろうか? 
結果は兎も角経過は2人のみ知り得られるものであった事だろう…。