2017/05/16 のログ
ノア > 店内の喧騒は更に激しさを増し、 巻き込まれたくはないとオープンテラス (仮) に居た客らも立ち去る者がちらほら。通行人はおろか、 客引きをする娼婦らでさえも離れてゆき.. 気付けば随分と人気の無くなった場所で、 女はといえば

「 ............... 」

薄紫色の長い髪やショールを ふわりと夜風に靡かせながら、 グラス片手に座ったまま。呑気にも一人呑み続けていた、 其の時 ── 不意に掛けられた言葉、 其れをありがちなナンパの手口と勘違いし

「 なぁに、 夢で逢った的な ? やめてよ、 そういうの もう古 ─── 」

視線も向けず気怠げに返すが、 全てを言い切る前に ちら と相手を確認してみると.. 見上げれば其処には、 本当に逢った事のある相手。前回のあれこれを思い出しては、 慌てて笑顔を作り

「 ぇ.........
  あぁ♡ ほら、 前にカジノで.. 」

エズラ > 「どーやら、オレの記憶違いじゃなさそうだな――」

相手に合わせてこちらも笑みを浮かべると、ここいいか?と一言だけ断って、ガタガタと側の椅子を引き寄せると、相手の向かいに腰を落ち着ける。
テーブルに酒とつまみを置くと、改めてまじまじと相手の姿を観察する――

「……今日はもう、仕事上がりってやつかい、ええと――」

ふと、相手の名を呼ぼうとして呆けた表情。
そういえば、あれだけなんやかやとあった割りに、名前も聞いちゃいなかった。
そう、男の頭の中では、相手はまだ見習い娼婦――見習いというには、あまりに良かったが――という具合なのであった。

「……すまねぇ、そういや名前なんてんだっけか。オレはエズラだ――」

名乗りつつ、自分のジョッキを持ち上げて。
再会に乾杯、とでもいいたげに、相手のグラスに飲み口を触れさせる。

ノア > 「 もちろん、 喜んで♡
  えっ、 と..... そ、 お仕事上がり。」

指先でグラスの縁を拭いながら、 唇は緩やかな弧を描く。表面的には態とらしいくらい穏やかな笑みを浮かべたまま、 脳内は慌ただしく記憶の整理中。カジノを狙ったあの夜、 もう諦めて引き上げようと脱出を試みたけれど.. ローブが引っ掛かり、 無様な姿を見られてしまったのだった。何とか其の場を取り繕うと、 客に逃げられた娼婦を演じ...

( その、 あと......... )

過去の光景を鮮明に思い出せば、 おまけに其の時の感覚まで付いてきて.. 僅かに頬が熱くなるのを感じるけれど、 きっと既にほろ酔いの頬なら誤魔化せる 筈。

「 エズラね。あたしノ、 ア ─── 」

( ── っ、 普通に名乗っちゃった !! )

あの夜の情事を思い出し気が散ったか、 あっさり本名を名乗り。まぁ、 別にそのくらい.. と、 自分に言い聞かせながらグラス同士を軽く合わせた。

「 ん、 乾杯♡ .........中も随分と、 盛り上がってるみたいね ? 」

こくりと一口呑んでから、 店内の喧騒へ視線を移し。物も飛び交い始めた様子に、 くすりと小さく肩を揺らした。

エズラ > 「ング……ッ、ふ~……――ノアちゃんね、オレとしたことが名前を聞くのを忘れちまっていたとは、不覚だった――」

男もジョッキを傾けて喉を潤し、相手の名前を呟きつつ確認。
以前出くわした時の衣装もなかなか「凝って」いたが、今日の出で立ちはまたなんとも、余計に扇情的である――
まさか、前回のあの格好が本来の「仕事着」とは思わない。

「そーだな、確かに盛り上がってら……ま、普段はどうってことねーんだがよ――美人と飲むなら、こういう場所じゃちっとな……?」

するする、と男の手がテーブルの上を這い進み、相手の細い指を意味深に撫でる。
視線は真っ直ぐにほろ酔いの相手の瞳を見つめ――

「……どーだい、別の場所で、「盛り上がろう」ぜ、ノアちゃん――?」

言葉の裏に隠された気持ちを――否、正確には隠す気などさらさらない気持ちをそのままぶつけるように、誘う。

ノア > 「 ............... ? 」

前以て練り上げた段取りと 其の場しのぎの嘘では、 クオリティーは勿論、 記憶の残り方にも差が出る。娼婦のフリをした事は覚えていても、 どんな口調だったか、 どんな態度だったか。そして.. どんな顔を見せ、 どんな声を聞かせていたか。只でさえ酒の回った頭では上手く誤魔化せる自信も無いからと、 騒々しい店内の様子を話題に振るも

「 ん......... だって、 今夜は もう..... ほら、 お仕事終わっ たし.. 」

伸びてきた手に指先を撫でられて。明らかな誘いに、 ぴく と僅かに指先震わせ。曖昧に言い訳してみるけれど.. そもそも、 娼婦のあれこれを知らない女。そもそも、 客を断る事が出来るのか。そもそも、 仕事上がりだなんて時間は誰が決めるのか。

「 ......... 」

知らないものをいくら考えたところで、 わかる訳もなくて.. 貴方を見詰める琥珀色は、 酔いと戸惑いに弱々しく揺れた。

エズラ > 「そこを何とか、もう一仕事、っつーことでよ……いーだろ?」

するりと撫でていた相手の指に己の指を絡め、少し強引に手を繋ぐ。
男の頭の中には、あの賭場での一件が繰り返し浮かんでいる――
既に、腹筋の奥に熱い熱を抱え込んでしまっているのだ。
火照った頬に潤んだ視線、男の我慢も限界である。

「……ほら、行こうぜ、近くにいいトコ知ってンだよ――」

そう言って店員を呼び、テーブルの上に相手の分も含めた勘定を置くと、そのの手を取ったまま立ち上がる。
そして、細い腰に腕を回し、夜の街へと二人して消えていく――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエズラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からノアさんが去りました。