2017/04/05 のログ
ルイーナ > 王都への帰り道。
両手に何か大漁と言わんばかりの袋を抱え、目元と口元を緩ませながら歩む
ふと自身の感覚の中に不思議な存在が感知される。
小さいながらも穏やかな魔力。どこか慎重ながらものびやかな魔力を感じてその方角に視線を向ける。
だがそこにあったのは高い塀──訝しげに見上げれば、首を傾げて、そこからひょっこりと顔を出した存在に目を瞬かせる。

そこから飛び降りるであろう白い姿を視線で追いつつ、その存在に気づき蒼い瞳を見開いて。
けれども次の刹那には、社交辞令的な笑みを浮かべ、恭しく礼をしてみせて。

「これはこれは……こんな物騒な場所で随分と可愛らしい御嬢さんと出会えるとは思いませんでしたよ」

恭しく礼をしたのは、猫の姿に対してであったか、それとも異なる姿に対してであったか。

シャルレ > 貧民の路地を通りぬけ、もう少しで平民地区になる場所。
やっぱり小雨でも毛が濡れるのが苦手で、立ち止まり何度も背中も手も舐めても濡れてしまう。
…少し考えて、周囲をキョロキョロして人気のないのを確認、物陰に入って猫から人へと変える。
治りかけの捻挫の足では、歩きにくいけど毛が濡れることのほうが、この際苦手だった。

フードを被り顔をだして通りに入ると、
後ろから聞こえた声にビクッとスカートの中の尻尾が逆立つほど驚いた。

「ふにゃぁぁぁ、びっくりしたぁ」

フードを左右で手で押さえながら、反射的に後ろから声をかけてきた人のほうへと振り返る。

ルイーナ > 「おやおや、驚かせてしまいましたか……それはすみませんでした、レディ」

大げさに驚く少女に思わず笑みを零してしまう。
微笑ましい、という感情──幼子や愛らしい女性を見て可愛らしいと言うように目を細める者たちから感じた感情。
そんなものを“感じた”ことはなかった。
だが、目の前の少女にはその感情が似つかわしいと、素直に思える。
素直に感じることのできない自分はやはり歪なのだろうと思いながらも、後ろめたさはない。
ないならばないでこれから作り上げればいいだけなのだ、とどこか開き直ってさえいた。

「……おや、足の具合が悪いのですか?」

研究職、なんてものをやっていると人の些細な動きにも気づいたりする。
どこか歩きづらそうな少女の脚元の様子に首を傾げ、心配そうに眉を寄せてみせる。
心配、という感情──これはどこか擬態じみたものだな、と心の中で思いながら。

シャルレ > 「あ、ううん。大丈夫」

人がいないと思ってたとこの声だったから、余計驚いてしまったこと、フードから覗く金色の瞳で相手を見上げる。
自分より背がかなり高く、驚く声に笑われたことが恥ずかしくなって頬を染めて俯いた。

「足は少し前に、ひねっちゃって…」

もう平気だけど猫の3本足で歩くより、人の1本足では歩きにくい。右足のほうをつま先をつけて体重をかけないようにしたまま。

ルイーナ > フードの下から覗く頬が微かに赤いことに気が付いて、また男は瞳を細めた。
可愛らしい、と思う。この感覚は本当、だろう。

「ふむ、足首……捻挫といったところですか…」

決まった体の形を持つ生き物、というのは苦労が絶えないな、と思いながらも少女の足をしげしげと眺める。
いくら体重をかけないようにしても多少は負担がかかるだろう。
力がかかればその分回復は遅れてしまう。それはこの少女の足の回復を遅めるだろう。

「……まあ、ここで会ったのも何かの縁でしょう…」

そう言うや、両手に抱えていた袋を自らの影の上に放り出す。
刹那、その影の中に袋は消えていくだろう。影はまるで底なし沼のように、袋を飲みこんでいく。
そうして空いた両手を、そっと少女の背中とひざ裏に滑り込ませると、柔らかく抱き上げた──いわゆるお姫様抱っこ、というやつ、らしい。
世の女性はこういうのが好きだ、とどこかで聞いたことがあったので、試す気持ちもあった。

「…何かと物騒な街ですしね……散策のついでに送っていくのも悪くないでしょう…」

シャルレ > 「もう、でも…かなりいいから、少しなら散歩できるくらいに」

相手の視線が足元にむいてるのに気づくと、隠すように後ろに引いてみる。
何を言ってるのか、しょうとしてるのか…荷物が地面に消えたように見えた。
魔法使いのように、その様子からみてると軽々と足をすくい宙へと体が浮き上がるように横抱きにされた。

「え?あ…あの…でも私」

あっというまに横抱きにされて小柄な体は、腕の中に収まってしまってる。
しどろもどろになる言葉を落としながら視線を相手へ向けたまま。

ルイーナ > 「ああ、すみません……あまり貴女の都合を聞いていませんでしたね。どこか行きたいところでもあるのですか?」

じっと視線を向けてくる彼女のあまりに無防備さに、眉を微かに寄せながら苦笑する。
これぐらいの年頃の女性、というのはそれなりに警戒心が強いものではないのだろうか。
それとも、自分は猫だから、だとでも思っているのだろうか。

少しくらい怖がらせておいた方が良いだろうか──そんなことを思い、不意に男の口元に少しばかり意地悪な笑みが浮かぶのが見えるだろうか。

「それはそうと……自分でやっておいてなんですが、このままどこかに連れ去られる、とか思わないんですか?
貴女も随分と魅力的な女性なのに、随分と無防備ですね──そんなことでは本当に連れ去られるかもしれませんよ?」

例えば僕なんかに、と耳元に唇を寄せ、囁くように告げてみせる。
脅しもある──が半分本気だったりする。可愛らしく無防備なこの少女は、どんな風に愛らしくなるのだろう、と自分の心のどこかで思っているのを感じた。
無論、一見してそのようなことを考えているようには見えないかもしれない。
少女から見えるのは、少しばかり悪い笑みを浮かべた男であろうか。

シャルレ > 「ぇえっと…、あの…帰るだけだから」

軽く足を揺らして、相手の言葉は確かに危険さがある。たった今、であった瞬間に抱き上げられてるような姿。
フードごしでも耳元に聞こえるセリフにゾワッとした不安を覚えて金色の瞳が揺れる。

「連れていかれないから、大丈夫。それなら自分で、帰れるからっ」

危害を加えられてるわけでもないから、爪は出さないけど…足は揺らす。降りようとジタバタと足を動かしながら、抱き上げられてるとこから降りようともがきはじめ。

ルイーナ > 「……なるほど、逃げられる、という自信があるのですね…」

ならばよかった、とくすくすと笑う。先ほどの悪い笑みはどこへいったか。
男はじたばたとしている少女の身体を抱え上げ、少女の両足の太ももを自分の肩の上に乗せる。
今度は肩車である。どこから取り出したか、真っ黒な蝙蝠傘を片手で器用に広げてみせ、少女の右手に手渡す。

「足を悪くしますから、やはり家まで送っていきますよ……どうやら思ったよりもガードが堅いようで、少し安心したような、残念なような気分ですが…」

冗談めかしたように蒼い片方の瞳を瞑ってみせるか。

「そこで傘をさしておいてください……そうすれば僕も濡れずに済みますから。さて、おうちはどちらの方向ですか?」

シャルレ > 「…危ない人には引っ掻いて逃げるの」

くすくす笑われた、余裕そうな相手と真逆の自分。
遠慮しながらもジタバタしてたけど、傘を握らされてしまうとキョトンとして見上げて。

「本当に送ってくれるの?…どこか連れて行かない人?」

先ほど不安を煽られたのに、もう送るという言葉を都合よく信じかけていたり。
クルクルと体を横抱きから肩車にされると、少しの気恥ずかしさと視界の高くなったことには、楽しく感じてしまう。
言われた通りに、傘を頭の上でさして縦長いシルエットになった。

「帰るとこは…あっち」

指をさすのは平民地区にある隊舎の方角へ。

ルイーナ > 「それは頼もしい……でも、それが通じる相手ばかりじゃないですからね?」

僕もそうですけど、と肩車をした彼女に肩を竦めてみせながら楽しげに笑った。

「ええ、送って差し上げますよ……だからといってすぐに信用してはダメですよ?」

僕はなかなかに悪い人ですから、と都合よく自分を信じている彼女にくすくすと笑う。
女性、というのは愛らしく、閉じ込めて愛でて、甘く啼かせるのが心地よい──けれども。
浮かび上がりかけた自分の感情に微かに首を傾げた。よくわからない“感情”。
それを与えたのは自分の肩の上にいる少女で。
だとしたら、今は自分の欲に任せてこの少女を弄ぶのは辞めようと決めた。

「ふむ、あちらですか……あちらは隊舎ですね。ああ、そうそうお名前を聞いていなかったですね……」

そんなことを言いながら、少女の指し示す方角に歩みを進めていく。
偶にはこういう善人ぶったことをやるのも悪くない──限りなく自分の実態とは遠い存在を演じる感覚を楽しみながら、男は少女を肩の上に抱え、前に進んでいくだろうか──

シャルレ > 「私は、シャルレ。おにーさんは?」

肩車をされてる、頭をしたに向けて、顔が見えづらいけど黒い傘をクルクル回すようにしてみる。
小雨なので、そんなに雨粒はついていない。

「信用しちゃだめとか、送ってあげるとか、くすくす笑ったり…」

短時間でいろいろな発言とか抱っことか…相手のペースに振り回されてたのは自覚してる。
方向を示せば、そちらへ進んでくれるから、送ってくれるのは本当のようで一安心。

少し遅くなったけど、足を悪化させることなく無事、隊舎へと送ってもらえたはず―…。

ルイーナ > 「僕はルイーナです……こう見えても王都に住んでいるものですよ…」

くるくると肩の上で傘を回す少女にそう言葉を返しつつ、少しだけ視線を上げて彼女を見た。
傘を回す様子はどこか外見の年齢の割には幼い。
悪いことをする気にならないのは、おそらくそう言う理由もあるのかもしれない、とどこかで思った。

「信用したらダメなのは本当ですよ……僕ほど信用のおけない者もいませんから…」

まごうことなき事実を告げても、少女はあまり本気にしないかもしれない。それほどまでに今宵の彼の行為は、普段の彼からはかけ離れていたのだった。
そうして約束通り、少女を兵舎まで送り届けるべく歩みを続けるのだった──

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシャルレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルイーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にスヴェンさんが現れました。
スヴェン > 貧民地区の中でも特に治安の悪い場所にある酒場
一見、普通のボロい酒場であるが情報の売買や、店舗奥では盗品の売買なども行われている
無法者御用達、という感じでガラの悪そうな連中が今夜もどこからともなく集まり、繁盛している様子であった
自分もちょっとした情報のやり取りを終えて情報屋と別れればカウンターで軽く一杯飲んでいた時であった
背後で、肩がぶつかっただの何だので剣呑な雰囲気が漂い始めた、と思った瞬間、喧嘩が始まり、
隣のテーブルに伝播したかと思ったら一気に酒場中が喧騒に包まれた

咄嗟にカウンターを飛び越し、飛び交うジョッキから逃れるようにひょい、と顔を引っ込め、
カウンターの内側で座り込みガラスが割れる音やら、怒声を聞きながら、酒を飲もうとするも、
酒の満たされたグラスをカウンターに置いてきてしまったことに気がついた
ほんの少し、立ち上がれば手が届く所にあるグラスに、すーっ、と腕を伸ばすが飛んできた皿が
グラスを直撃し無残に割れてしまった

「…危ねえ…迂闊に出ていくと怪我するな、これ…」

嘆息すれば都合よく酒瓶が1つカウンターの内側に落ち、それを拾い上げれば、くぴ、と直接一口飲んだ
おっ、と自分が先程飲んでいた酒よりも味がよく驚くと、喧騒に耳を傾けながら1人で飲み始めた