2017/03/29 のログ
ノア > 荒々しい喧騒と、 甘ったるい誘惑が入り混じる貧民地区の夜。酔っ払いやゴロツキ、 娼婦と客、 怪しげな露店商.. 人々が行き交う通りを見下ろしながら、 安酒場2階の窓際で一人酒を飲んでいた。

「 ゎ..... 6人目、 」

手当たり次第女に声を掛けては断られる、 ひどく必死な男を見下ろし酒を一口.. 暇とはいえカウントまでしている悪趣味っぷり。ほんの少し開けた窓から入り込む風が、 丁度火照った頬に心地好い。薄紫色の長い髪と肩から羽織った薄手のショールが、 ふわりと靡いて広がった。

ノア > ほんのり酒も回ってきた頃。いつもは鋭い目付きも とろんと細め、 伏し目がち。グラスの縁を指先でそっと撫でながら窓際で一人、夜風に髪を靡かせている其の姿は.. 端から見れば物憂げで、 何処か儚げに映るかもしれない ── が、

( 今んとこ余裕もあるし、 久々にカジノでパァー っと遊びたいけど.. 最近何かとツイてないし、 買物にしとこっかな..... )

恋煩いなどと可愛らしいものではなく、 考えていたのは金と賭博と物欲について。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にスヴェンさんが現れました。
スヴェン > 1階のカウンター。近くに娼館を持つ老婆と肩を並べて飲んでいた
この小柄な老婆、眼光は未だ衰えずかつては一介の娼婦であったが、手練手管と経営の才覚があったらしい
娼婦として働けなくなる前に自分の所属していた店をパトロンに買わせてすっかり自分が女主人に居座った傑物である
何かにつけて小言の多い婆さんであったが、自分がまだ浮浪児だった頃から何かと可愛がってもらった
今日も、『どうせ大したもの食ってないんだろう?』という感じで連れ出されて食事を共にしている
そんな婆さんの小言に飽々していた頃、不意に視線の端に見知った姿が入れば席を立とうと試みたが、
キリッとするどい眼光が隣から此方をジッと眺めて中々手放してくれない
そうしてまた小言に付き合いようやく、婆さんが『店に帰るから好きにおし』と席を立てば一応、店の外まで
見送り、ほうっ、と息をついて店の中へと戻り階段を上がっていく
物思いに耽っている彼女のテーブルに近づけば、彼女の名前を小さく読んで

「…女一人、酒場で考え事をすると良からぬ考えばかりうかぶそうだ…」

なんて言いながら椅子に腰を下ろし、今日は1人?と小首を傾げた

ノア > ( 此処で一発強運を引き戻す ? .....いや、 其処で運を使い果たしちゃったら.. )

其の物憂げな雰囲気とは相反して、 相変わらずろくでもない事ばかり考えていて。1階カウンター席の貴方に気付かないまま 一口、 また一口とグラスを傾けていた。

( いっそ錬金術でも身に付けて、 手品師みたいにゴルド出し放題みたいな♡ .....いや、 それは流石に夢物語すぎ.. )

「 .........っ、 スヴェン.. 」

馬鹿げた妄想にストップを掛けてくれたのは、 己の名を呼ぶ よく知る声。グラスから視線上げると、 久しぶりに見る貴方の顔に嬉しそうな笑みを浮かべて

「 良からぬ考え ? そんなんじゃないわ、 この世の理について深く深ーく考えてたとこ。それより.. 元気だった ? 」

一人かと訊ねる声に「 ん、 1人 」と頷きながら短い返事。向かいに座った貴方に相変わらずの冗句垂れつつ、 今度は此方がゆるりと首傾げ変わりはないかと近況を訊ねた。

スヴェン > この世の理、なんて言葉が彼女の口から出れば、それはそれは、と笑いながら零した
近くを通りがかった店員に水に柑橘類を絞った物を頼めば再び彼女へと視線を向けて

「世の心理を導き出すにはそれ相応の場所がありそうなもんだがね……
 いつも通りだったな…少なくとも世の理とやらについて考えるよりは有意義な毎日だったと思う
 ノアはどうだった…?飲み過ぎで身体を壊したりはしなかったか?」

店員が柑橘の果汁をたっぷりと絞った水をジョッキに持ってきてくれれば礼を告げて代金を渡す
彼女ほどには酒には強くはないし、事前に幾らか飲んでいたから酔い覚ましのつもりグッと一息に、
半分ほどを飲み干してジョッキを置いた

ノア > あっさり見破られ笑われてしまった嘘。つられて笑ってしまったり、 何て事のない会話が久しぶりで嬉しい。本当はカジノ行きたくてうずうずしてました、 なんて.. あまりに色気も可愛いげもないから、 黙っておく事に。

「 そう、 良かった。初めて逢った時スヴェン 酷く疲れてたでしょ、 ほら.. たしか帰還したてだったかで。だから何となく、 逢う度怪我してないかとか気になっちゃって。

.....ん、 お陰様で。先生のくれたお薬がとってもよく効いたから、 ご覧の通り健康そのもの♡ 強いて言うなら.. 最近何かとツイてない、 ってくらい。」

前に送られた漢方がだいぶ身体に合ったようで、 にこりと笑みを深め健康アピールを。最後は溜め息混じりに愚痴を溢しつつ、 残りの酒を飲み干した。

「 まさか、 何か取り憑いてんのかな.. 」

スヴェン > 彼女が本当は何を考えていたのか?
まさか、カジノの事を考えていたなんて露ほども思いつかず、まあ、人間生きていれば悩み事の1つや2つあるだろう、
とあまり深くは追求はしなかった…正直、然程、深刻な悩みがあるとも思ってはないのだけれど

「…気にしてくれるんなら疲れてる振りでもしたほうが良かったかな…そっちのほうが優しくしてもらえそうだ
 ……ツイてない?…ま、生きてりゃそんな時もあるな…ツキっ放しってのも揺り戻しが怖いしな」

彼女に送った薬草類の効き目はあったらしい
送った甲斐があった、と彼女の笑みを眺め、それは良かったとくつくつと笑って
続いたことに、どうだか…と首を傾げていたが、何やら思い出したらしく…す、とテーブル越しの
彼女の肩の辺りに触れようと腕を伸ばして

「…昔、戦場で知り合った傭兵に聞いたまじない
 取り憑かれた時は誰かに肩をぽんっと払ってもらうと良いんだと…」

ぽふぽすん、と軽い調子で彼女の肩に触れ憑き物を払う真似事をしようとした

「…気休めかもしれないけどな…」

傭兵は割と験を担ぐもんなんだ、と続ければ前のめりだった姿勢を元へと戻して椅子に座り直して

ノア > 「 なぁに、 それじゃ普段あんまり優しくないみたいじゃない。いつだって愛に溢れる女神的ポジション狙ってるんだけど ? 」

あざとい台詞に小さく吹き出しつつ、 いつものように調子良く返した。 女神は決して盗みを働かないし、 カジノにも行かないだろうけど..

「 買物行ったら割とヤバめの揉め事に巻き込まれたり、 一泊温泉一人旅行ったら帰りの馬車襲われたり、 しかも大自然に一人取り残されたり.. 」

その他.. 仕事の失敗も重なり、 最近はやたらとハプニング続きのツイてない女。流石に仕事の失敗談は除き、 つん と尖らせた唇で愚痴を溢した。すると.. 不意に伸びた貴方の手が、 肩を払う。

「 ......... ? ふふ、 ありがと。」

其れが おまじないだと聞いて、 普段は まじないなど信じない女だけれど.. 単純に嬉しくて、 くすりと肩揺らし笑顔を見せる。考えてみれば何れもが結果 無事に済んでいるあたり、 きっと気にしすぎだろうと結論付けた。

そうこうしている内に吹き込む夜風もひんやりと冷たくなって、 何となしに窓を閉めると ───

「 ...............っ、 あ..... 」

立て付けの悪い窓がガンッ と、 思ったよりも随分強めに閉まり... 其の衝撃によって外れてしまった窓枠の一辺が、 2階から通りを歩く人の.. よりにもよって、 人並み外れた巨躯を揺らして歩く男の頭上へと放物線を描き ── 命中。

「 .....ヤバっ.. !! 」

怒りで血走った目で此方を見上げた顔面凶器と、 バッチリ視線がぶつかってしまう。やはり、 ツイていなかった。

スヴェン > 「…あはは、幾らでも狙うのは自由だしな?」

女神になれたなら俺も夜空の星へ引っ張り上げてくれ、と冗談を重ねて返す
果たして女神が場末の安酒屋で酒を呑むのかどうか、信心の浅い自分にはなんとも判断しかねるところである
―――彼女の話を聞けば確かに此処の所、トラブルに巻き込まれているようであったが、
先程の挨拶を聞いた限りでは大禍無く過ごせてはいたのだろう。それでも、一応、まじないのつもりで
肩を軽く払ってみせたのだけど……

「これくらいなんてこと無いさ…
 俺に何か憑いてるようだったら、同じように払ってくれればそれで…」

彼女が浮かべる笑顔に此方も表情を緩めて、なんでもない、というふうに返す
ところが……窓枠が外れ通りを歩く大男を直撃すれば、やらかしたなあ、と悪い笑顔を浮かべ
どれ、と窓の外を見下ろした

「……ありゃあ、大熊の……」

怒りで眼を血走らせた男は偶然にも顔見知りの傭兵であった
無類の剛力から振るわれる一撃は、板金鎧でさえも切り裂く、と言われる男であった…と記憶している

「…どれ、1つ貸しにしておくかな…
 ノアの菫色の長髪が血に濡れるのは俺も本意じゃないしな…」

ふらり、と席を立ちテーブルを離れて階段へと向かう
途中、彼女へと振り返るとニヤリ、と笑みを彼女へ向け

「…またそのうちにゆっくり話でも…
 今夜はこれで帰る…あの男は任せて、ノアも俺が出て少ししたら河岸を変えるなり、帰るなりしろ
 じゃあな、おやすみ女神様…」

ふらふら、と階段を降りながら手を振る
階下に降りて店を出れば未だ、通りから窓を見上げる大男に近づいていき親しげな様子で肩を組むと
何やら笑いながら大男と2人、夜の貧民地区へ姿を消すのだった―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からスヴェンさんが去りました。
ノア > 冗談を言い合ったり、 まじない1つに嬉しくなったり.. 何て事のない貴方との会話を、 時間を、 ほろ酔い気分で楽しんでいた ── が、

「 .........スヴェン、 知り合い.. ? 」

今ではショールを頭から被り、 身体を縮こませていて。窓の外を見下ろした貴方が、 顔面凶器の殿方を相応し過ぎる呼び名で呼ぶと、 ショールの隙間から琥珀色の瞳をチラ と覗かせ。どうやら上手くやってくれるらしい貴方の背中を、 小声の挨拶で見送った..

「 助かった..... ありがと、 またねっ.. 」

そして窓の外、 二人の男が見えなくなってから酒代を払い。カジノだの錬金術だの、 馬鹿な考えは捨て.. こんな日は大人しく帰ろうと、 貧民地区から姿を消した。帰り道、 コケたり黒猫に威嚇されたりと.. まだまだ油断ならない自称女神であった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/廃屋」にティネさんが現れました。
ティネ > 人の気配がしない、壁に蔦の這う廃墟。
崩れた壁の隙間から燐光を帯びた小さな生き物が、ふわりと入り込んだ。
腰にまち針の剣をはいて、緊張と期待に胸を膨らませている蝶羽根の少女。

「今日は冒険だ!」

どうやら肝試しとしゃれこんだらしい。
薄暗い屋内を飛びながら、壁沿いに少しずつ進んでいく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/廃屋」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 働かねば飯は食えぬ。故に人は働くべきだ。
そんな考えを男が持っていたかどうかは別として、男は貧民地区の廃屋に足を踏み入れていた。

「……ふむ。微かに残った生活用品。何よりも、人の生活の跡……。
 こりゃあ、魔物ではなく、浮浪者が宿に使ってたのかな」

ギルドの調査依頼を受け、廃屋の中に魔物がいるという噂の真相を確かめに来た男は、魔物ではなく人間がこっそり住み着いていた、と結論付け報告書をさらさらと纏める。
そのまま更に廃屋の中を歩き回り。

「……まぁ、もしかしたらデミとか、人に近い種族が住んでたのかもしれないが。
 ……ん?」

一人そう呟いていた男だが、微かに何かの気配を感じ、腰を落とす。
右手にはリボルバーを持ち、左手に小型ランタンを。
そのまま、廃屋内にいる何かの気配に意識を研ぎ澄ませる。
気のせいでなければ。人語のような何かが聞こえた気がしたからだ。

ティネ > 奥に進むほど、まるで夜中同然に暗くなっていく。
自身の魔法の燐光は探索には少し頼りないが、ないよりはマシといった感じ。
途中で見つけた箪笥などの調度に座って、文字通り羽休め。

「なにもいないのかな?
 魔物がほんとうにいたら、やっつけ……はしないで
 どんなのが棲んでるか見たかったんだけど」

出ようかな、と考え始めたところに出口の方向から何かが近づいてくる気配。

「ひえっ」

反射的に反対側へと慌てて飛び上がった妖精の身体に何かが絡みついた。
粘ついた糸。もがいても取れない。淡い光に照らされるのは、糸に残った羽虫の死骸。
視線をさらに上に向けると、人間の手のひら大の――
ティネぐらいなら食べてしまえそうな、大きな蜘蛛が彼女を見ていた。

「い、イヤぁ――ッ」

蜘蛛の巣に絡め取られたまま甲高い悲鳴を上げた。

セイン=ディバン > 仮にも王都の中。いくら廃屋と言っても、建造物の中だ。
魔物などいる可能性は低い。そう考えていても、男の警戒は解けない。

「…………」

腰を落とし、ついに男は目を閉じる。意識を耳に集中させ、気配を探る。
もしも敵意ある存在だった場合は、それなりの対処をしなくてはならないが、この暗い闇の中では不覚を取るかもしれなかった。
しかして、男の耳に飛び込んできたのは……。

「っっ!? 悲鳴……!? チッ!!」

襲い掛かる魔物の咆哮でもなく、何らかの呪文でもなく。
単純な悲鳴が男の耳に飛び込んできた。
最悪の事態を想定し、男はすぐさま走り出す。
一通りの探索を終えていた男は、悲鳴の反響から声の出所をすぐさま割り出し……。

「おい、大丈夫かっ!?
 ……って、え?」

ずざぁ、と足で急制動をかけつつ悲鳴の主へと声をかけ。
男はそこで固まることになる。目の前には、ちょっとおっきい蜘蛛と。
巣にひっかかった……妖精、的な。生き物が。悲鳴を。あげて。じたばた。

「……ちょい」

男は、ため息をつきながら、その蜘蛛を摘み、壁へと押しやった。
カサカサカサカサ~。蜘蛛、逃走。

ティネ > こんなところで蜘蛛なんかに食われて若い命を落とすことになるとは。
そういえば蜘蛛って結構えげつない食べ方をするって聞いたことがある。
思い出したくないことを思い出して走馬灯を上映しようとしていたところで
駆け寄ってきた男性によって蜘蛛は追い散らされた。
その拍子に蜘蛛糸も破れ、簡素な衣服がちょっとはだけてしまったが妖精の身体の自由も戻る。

「あ、あああ~、ありがとぉ~。食べられて死ぬかと思ったよ~。
 きみこそ真の勇者だよ~よくぞあのような凶悪な魔物を~」

宙に浮いたままへなへなとして勇者に礼を言うことにした。
今のところ、ほかに脅威の気配はないようだ。

セイン=ディバン > なんというべきか。警戒して損した、というのが率直な感想であった。
蜘蛛がちょこちょこと壁の穴からいなくなるのを見て、男は妖精少女の方を向く。

「……いや、うん。まぁなんだ。喰われなくてよかったな、嬢ちゃん。
 勇者ではないけど。凶悪な魔物でもなかったけど。とりあえず、服ちゃんと着れ」

ふわぁ、と宙に浮きながら礼を言う少女に手を振りながら、まじまじと観察。
妖精。フェアリー。種族としては知っているが、見るのは初めてだった。
実際、見ようと思って見れるものでもない。レア種族だ。

「えっと、オレはセイン=ディバン。まぁ、冒険者だ。
 キミは? 妖精の可愛い子ちゃん」

とりあえず会話が成立するようなので、自己紹介。
している間にも、男の目は少女のはだけた服。そこから見える肌に向いていた。

ティネ > 「えー、めっちゃ凶悪な魔物でしょアレ?
 これぐらいあったよ!? これぐらい! あんなの見たの初めて!」

はだけた服から蜘蛛糸をぷらんぷらんさせたまま、
必死に脅威を伝えようとして腕をめいいっぱい広げてみせる。
だがアレに興味を抱くのは、たぶん魔物退治屋ではなく生物学者だろう。

「ボクはティネだよー。よろしくね……
 って何まじまじと見てるのさ、もう!
 ……はあ、まだネバネバしたのがひっついてるしぃ」

セインと名乗った男の視線の行き先に気づいて、慌ててズレた裾やら襟やらを手で戻す。
薄暗がりの中でも顔が赤くなっているのがわかるだろう。
腰が抜けちゃったよぉ、とか言いながら手近な棚に腰を下ろした。

セイン=ディバン > 「うむ。まぁ確かにデカい蜘蛛ではあったな。
 ……もしかして、スパイダー系モンスターの子供だったのかもしれん」

子蜘蛛モンスターの線は考えていなかったな、と思いつつ思索してみる。
が、すぐに否定。親蜘蛛型モンスターもいなかったし、やはり普通の蜘蛛だったのだろう。

「そか。ティネちゃんな。よろしく。
 いやいや、見てたっつーか見えてたんじゃん。
 ……オフッ。……そ、それにだな。キミみたいな妖精に欲情したりするほどオレは節操無くねーっつー」

服を直す仕草を見ながら、なにか言い訳じみたことを口にする男だったが。
ネバネバしたのが~、などといわれれば生唾を飲み。続く否定の言葉はどこか説得力に欠けている。
そうして、棚に座る少女に、懐からお菓子と果実水を差し出す。

「ほい。叫んだから疲れただろ? 喰え、そして飲め。
 ……しかし、なんでこんな場所にいるんだ、ティネ」

食べやすい大きさにカットしたお菓子と、手持ちの小皿にジュースを注ぎ、少女の近くに置き、質問する。
そのまま再度観察。見た目は……随分、とても可愛らしい容姿をしている。

ティネ > 「あははー、そうだよねー。
 いい大人がこんな人形サイズの女の子にコーフンするはずがないよねー」

本当に気にしていないのか怪しい態度の男に、問いただすようなことはせず笑う。
粘ついた糸を掴んでは一つ一つ千切って捨てていく。
近くにお菓子とジュースが供え物のように置かれれば、パッと顔を輝かせる。

「わあ、ありがとう。助けてくれた上にお菓子までくれるなんていい人だねえ。
 ボク? 魔物がいるって噂になってたから、もしいるんなら
 どんなのが棲んでるのかなーって気になって……」

お菓子をリスのように頬張り、小皿を両手で抱えて飲んで。
ふいに、座ったスカートの裾を指でちらり、と持ち上げてみる。
白く清らかな太腿を覗かせながら、相手の反応を盗み見る。

セイン=ディバン > 「グホァッ!!
 ……そ、そりゃそうだ。当然じゃあないか」

相手の無垢な言葉に、咳き込み、天井を見上げる男。
何かを見透かされているような笑顔を向けられるのがつらくて、視線を逸らす。

「あぁ、いいってことよ。どうせオレぁ栄養補給にしか使わんしな。
 ティネみたいに可愛い子に味わってもらったほうが菓子も喜ぶだろうさ。
 あ~、なるほどな。でも、もうこんな危険なマネはしないほうが……って!!」

勢い良く菓子を食う少女を、まさしく小動物だな、と思いながら見守る。
そのまま、危ないことはしてはいけない、と小言を言っていたものの、少女がスカートの裾を僅かに持ち上げれば、視線はそこに釘付けになってしまい。
眩しい、白い太腿を見せ付けられれば、男は僅かに前かがみな姿勢となってしまう。

「こ、コラコラ。んなはしたないことするんじゃないの。
 大人をからかうもんじゃない」

ティネ > 「あ、やめたほうがいい?
 いちおー命の恩人だからさー、喜んでもらえるなら
 これぐらいしてあげてもいっかなーって思ったんだけどねー」

たしなめる言葉に、あっさりと指を離してスカートを戻し、
出された甘いものを平らげた。

「ふー、ごちそうさまぁ……おいしかった」

英気を養った様子で、再びふわりと羽ばたいて舞い上がる。
どこか様子がおかしい男の周囲を、ふわふわと緩やかな速度で飛ぶ。
上から見下ろしたかと思えば、低空からかがむ男の顔を覗き込んだり。
燐粉に乗ってほのかに漂う甘い香り。

「ねえねえ、どーしたの?
 どこか怪我でもしちゃった? 見てあげよっかー?」

どこか楽しげな声音で尋ねる。

セイン=ディバン > 「あっ……。
 お、オホン。そ、そういうお礼は、好きな人とかにだけするもんだ」

少女がスカートを戻し、太腿を隠してしまえば僅かに声が漏れ。
慌てて咳払いで誤魔化し、なんとか大人という仮面を取り繕う男。

「あいよ。おそまつさま」

相手の言葉に返事しつつ、妖精も食欲旺盛なヤツはいるんだな、と思う。
そのまま回りを飛び回られれば、怪訝そうな顔をしていたが。
声をかけられ、びくり、と身をすくませる。

「い、いや。なんでもない。てか、怪我はしてない。
 ……って、ティネ、分かっててからかってないか!?」

相手の楽しそうな言葉に、そう声を強める。
実際、男の様子がおかしい理由と言えば……率直に言って、少女の太腿に興奮し、勃起してしまっているからなのだが。

ティネ > 「セイン、言うことがおっさんくさいよー」

冴えない言葉に半目で呆れた声を出す。
挙動不審な態度が続く様子に、薄ら笑いを浮かべて
至近に近づき、男の肩にぴょこんと降りて立つ。重さはほとんど感じられない。

「わかってて、ってなんのこと? ボクみたいなのには何も感じないんでしょ?
 何かしたいことがあるなら、言ってくれれば応えてあげないでもないよ?
 見たい、とか、触りたいとかさぁ……」

あくまで知らぬ存ぜぬと白を切る。
耳元でクスクスと笑い、蠱惑的に囁く。

「なにもないんなら、このままお暇しちゃおうかな……。
 今ボク、穿いてないんだけどなぁ」

セイン=ディバン > 「そりゃまぁ、キミから見たらオッサンだ、オレは」

呆れた声に対しては、疲れたような声を返す男。
実際言葉通りにオッサンな訳だから否定の仕様がない。
そのまま肩に立たれれば、おぉ? などと間抜けな声。

「ぐ、ぐぬぅ……。それは、その通りなのだが。
 ……し、したいことぉ!? こ、応えるぅぅぅぅ!?
 ……ぐ、ぐぐぐぐぐぐぐ……」

悪戯ぽく囁かれれば、素っ頓狂な声で分かりやすい反応を返してしまい。
耳元での甘い声は悪魔の囁きか、天使の祝詞なのか。
そのまま頭を抱え、ぐねぐねと身体を捩り身もだえしていた男だったが。

「……。…………。
 スイマセン私はティネ様の身体に欲情してしまいました。
 なのでその穿いてないっていうティネさまの清らかなお体を見せてくださいまし」

降参。ギブアップ宣言まで、僅か2分であった。