2017/02/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエズラさんが現れました。
エズラ > 「お呼びじゃねぇぜ、とっとと消えなよ、兵隊さん――」

路地裏は、陽も落ちないうちから随分と暗い――そんな鬱屈とした空気の漂う一角にある娼館――と呼ぶにはあまりにも薄汚れた「売春宿」の扉が、外側に向けて激しい勢いで開く。転げ出てきたのは全裸の男。全身に打撲痕がある。少し遅れて現れた、これまたくたびれた姿の――ただし、身に纏う気配は明らかに堅気のそれではなかったが――男。蹴り出された男が顔面蒼白になって股間を隠し、「わ、私が誰だか分かってるのか!?衛兵のこの私にこんなことをして――」とのたまう――

「あんたこそ、ここいらの掟が分かってねぇようだぜ。どうやら新顔さんらしいがよ――ここじゃ「衛兵」なんて肩書き、なんの意味もねぇ――女どもに好き勝手したいンなら、払うモン払わなきゃならねぇんだよ。」

そう言うと、下着だけを相手の顔面に放り投げる。

「も一度言うぜ、とっとと消えなよ、「衛兵」さん――」

下着を片手に引っつかんで、一目散に逃げていく後ろ姿をボンヤリと眺める――

エズラ > すっかり相手の姿が消えたのを確認していると――「ったく……最近はあーいう坊ちゃん出が多くて困るのさ――」聞こえてきたのは女の声。小綺麗な衣服を帯びた年配の婦人――この売春宿を取り仕切っている女将である――が現れ、ため息をついた。

「まぁ、これに懲りたら少しは銭こしらえて来るだろうからよ――今度は邪険にしてやるんじゃねぇぜ。」

男はそう答え、店先に放置されていた椅子に腰かける。周りには、道行く男に誘いをかける娼婦がまばらに居たものの、客足は芳しくないらしかった。赤いランプは煌々と照り輝き、ここがどういう場所なのか一目で分かるようになっていた。

「ったく……戦がなけりゃ、こーして用心棒の真似事でもするしかねぇとは――」

ぼやく言葉に女将が笑い、幾らかの金が詰まった袋を投げて寄越す。「ぐだぐだ文句をお言いでないよ、小遣いくれてやるから、その景気の悪い顔をどっかへやっとくれな――」とたしなめ、扉の奥へ消えていく。

「……へいへい。」

どうやら今日はこれでお役御免――交代要員と思しき男が現れ、店の中へ消えたのを確認すると、こちらは貧民街をあてもなく歩き始める。

エズラ > 「さて……酒でもひっかけに行くとすっかよ……――」

貧民街にポツリポツリと夜の明かりが灯り始める。この場所は、むしろこれからが本番――男の足取りは、心なしか先程までより随分と軽やかなものになっているのであった――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエズラさんが去りました。