2016/12/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラフェルさんが現れました。
ラフェル > 星も月も見える夜空、ふわりと小さな天使が降り立つのは、目立たぬ建物の屋根の上。
時間も時間なのだが、それでも行き交う人々。
祝い事の前日の活気、いつ見ても良いもので。

それでも、中にはそうではない者達も居る。
この地区の付近には、ちらほらとそんな雰囲気とは無縁な様子も見て取れる。

「…せめて、私に出来る事を…」

直接手を差し伸べる事は許されない。
目を閉じれば、祈るように胸元へと両手を組む。

「小さな幸せを貴方達に…気付いて下さる事を、私は願っています」

薄っすらと、その身が輝きに包まれる。
組んでいた手を何かを解き放つように広げれば、身を包んでいた輝きが散っていく。
それは、貧民地区へと大きく広がっていき…やがて、消える。

ラフェル > 心の持ちようで起こる小さな奇跡。
先を大きく変える力は無いけれど、ささやかな喜びは得られるもので。
しばらくは目を閉じたまま、周りの音に、声に耳を澄ませ傾けて。

時折、そよぐ風がふわりと髪を、衣裳を、翼を靡かせる。
ゆっくりと目を開き、夜空を見上げた。

聞こえる声は、この地区だけではない。
離れた別の地区でも、似たような声なき声は聞こえている。
それならば、自分がやるべきはその場にも赴き、出来る事をするだけ。

自分が出来る事は小さい。
それでも、やらないのとやるのでは、やはり違いはあるもの。
少しずつでも、その差が縮めれるならば…

視線を別の地区へと向ければ、ふわりと身を舞い上がらせる。
一人でも、多くの者に小さな幸せを運ぶ為に。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 クリスマスツリーのある公園」にハルクラム=メイプルさんが現れました。
ハルクラム=メイプル > クリスマスイヴ・・・・それはある世界では、聖者、イエス・キリストが生誕した日の夜晩を言う。そして、このまれびとの国でもとある聖者が生まれた日の夜晩であり、長い信仰のもとに神官、修道士が伝統的に民に伝えてきた神聖なる日となる。

この貧民地区でも、来る神聖なる日を祝い、全ての人の幸せと命の営みに祝福があらんことを祈り、この公園ではクリスマスツリーとした杉の大木に飾り付けをする大人、子供の姿がある。

・・・ハルクラムは、そんな聖なる催しとは全く反感を抱くべき邪悪なる悪魔の存在である。当然、子供に見える彼女でも夜な夜なサンタがプレゼントをくれるとか、そんな幼稚な言い伝えは信じていない。むしろ、自分が偽のサンタを演じ、クリスマスを盲信している少年、男性共に夜這いし、現実を思い知らせてやろうとまで思っている。そうだ、彼女にとっては聖夜は性夜。穢れなきその聖なる夜を侵すはあたい達なのだと。

陽気な顔で飾り付けを楽しむ少年を見やり、皮肉な笑みを浮かべる。ふと少年が気付いて此方を見、また憎たらしい程の無邪気な笑みを浮かべてくる。少年には、自分がただのかわいらしい、貴族の少女としか思えないだろうか。

「ねえ、君も手伝ってよ、今日は素晴らしい日なんだから」

そう頼まれ、飾り付けの星の形をしたペーパークラフトを両手いっぱいに手渡される。
何を、夢魔である自分に聖夜のお手伝いをしてと言うのか。頼まれたらフリでもいいからしてあげようと思って、ハルクラムはどうせ暇を持て余しているからと、飾り付けを手伝う。

「今日のボクの孤児院ではパンプキンシチューと七面鳥を食べるんた、年にほぼ一回しかない大パーティなんだよ!」

貧民地区では年に1,2回がやっとなのだろう。心の中で哀れに蔑み、表情では、楽しそうだねと微笑する。
日が暮れるまで、夜が降りてくる時を迎えるまでこの公園の飾り付け作業は続くようだ。今日のごはんは誰を食べようかと思案しつつ、子どもたちの手伝いを続ける。

ハルクラム=メイプル > ・・・それにしても、たくさんの子供達に囲まれつつも、平素の少女でいなければならない自分。魔力が使えれば、これだけ上に付けるはずの飾りも羽ばたいて簡単に付けられるのに、子どもたちは、一方が梯子を支えて、もう一方が慎重に昇っていく。人間なんて、自分が叶えたい小さな事にも、一人では難しいことばかり。

「ねえ、名前なんていうの?へー、ハルクラムっていうんだ!ちょっと!高いところ飾ってくれる?」

半ば強制的に、服装の目立ったあたいは子どもたちに急かされ、梯子を昇る。魔力がなけれはいつもは運動音痴のハルクラムは、ゆらゆらと揺れる足元に少し恐怖し、冷や汗が流れる・・・

「ほら、どんどん持ってくるよーー!」

なんで、なんであたいはこんなに無力なのか、魔力さえなければ自分もただの人と助け合う少女なのか。それか、いっそのこと自分が恐ろしき何かとばれてしまっても、今この屈辱的な状況を抜け出した方がいいのか。梯子は、昇るより降りるが怖い。高いところから地面を覗くと、思ったより遠く見える。普通の少女なら足を滑らせて転げ落ちたら・・・。あたいは落ちても怖くない。そう心に決めると、敢えてふらっと梯子から体を離し、空を落ちていく。

バタンッ

「わあ!ハルクラム!!大丈夫!?大丈夫か!!??やべっ血出てるし!ねえっ誰か!医者を!!」

少し出血した位で、あたいが傷ついたなんて言わない。平然を装ってむくりと立ち上がる。そして、心配そうに群がる子供達に、

「・・・あたいは、今夜君たちに、祝福してあげるの・・・
  だから、今日もいい子におやすみしていてねぇ・・・」

と。

ハルクラム=メイプル > ハルクラムの意味深な言葉に、群衆はざわめく。彼女は何者か、祝福?今夜に?まさかサンタ?それとも天使なのか?

すっと踵を返し、クリスマスツリーの影を後ろ背に歩く。すっと振り返って視線を寄せる群がりに、妖しい笑みを浮かべて。

「今夜はとても楽しい夜になるの・・・」

そう呟いて、公園を後にし、自宅への帰路へ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 クリスマスツリーのある公園」からハルクラム=メイプルさんが去りました。