2016/11/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > きぃ、と扉が開く音がした。
その後。カツン、カツンとグリーブが地面と擦れる音がする。
王都と言えどきらびやかな場所ばかりではなく、こう言う場所も必ず存在する。
浮浪者 物乞い 犯罪者 孤児
某かの理由で真っ当に働けない。
働く気がなくて落ちぶれた者。
犯罪に手を染めて、逃げ込んできた者。
両親が殺された、或いは捨てられた者
様々な理由があるのだろう、そして、似た境遇のものが集まって出来た場所である。
どんな所にも、必ずあると言って良い場所。
仮面の男は、出てきた扉を後ろ手に閉めて無言で周囲を一瞥した。
たった今、その場所で依頼の完了の報告をし、現金を受け取っていた。
こんな所でやりとりするのは普通ではなかろう。
しかし、現状の仮面の男としては、選択肢は狭く、生きていくには否を言うことが難しい。
理由としては、仮面をかぶり、鎧を身にまとう。
素性を隠した人間が何らかの紹介もなく真っ当な仕事をすぐに手に入れられるか。
答えは否であろう。
怪しまれる。
ギルドにも所属していない冒険者だし、一層怪しまれる。
仮面はハズしたくても外せない、となると、依頼人の信頼を勝ち取るのは難しい。
結果、余計な詮索もない、怪しい、犯罪スレスレなのだろう依頼を受けるしかないのだ。
■ゼロ > 今回の依頼に関して思いを馳せる。
今回の依頼は確か、九頭龍山脈の中にある洞窟の中の一つの探索。
詳細な地図と、モンスターの排除というのが依頼だった。
それを一人で行ってきたのだが、普通に考えれば一人に頼むものではない。
チームを組んでやるべきものだろう。
恐らくは、そこを根城にしようとしている『何か』が安全確認のためにギルドに所属してない捨て駒にできる冒険者ーーーつまり自分だ。
自分を生贄にして調べようとしたのだろう。
マップと退治の証拠を見せたときは、驚いていたのも、印象に残る。
そこまで考えたときに、思い出した。
此処は貧民街であることを。
お金をチラつかせていれば、絡まれる。
襲われるという意味でもそうだし、物乞いが集まってくる。
折角の生活費、それをみすみす彼らに分けるつもりもない。
ある意味では、彼らと似たような状態なのだし。
思い出せれば男は直ぐにマントの下のバックパックの奥に金貨の袋をしまいこんだ。
さて、と安堵したところで、思考をする事にした。
幸い、路地裏は静かで、男のグリーブの音がよく響くのみだ。今の所は。
■ゼロ > そう考えてくると、不安になるところがある。
先程の金払いは悪くなかった、というか良い方であった。
必要な経費を引いても暫くは節約すれば生活には困らない。
もし、払う意図がないのなら。
一つは、その場で。
もう一つは、後から。
もしかしたら、この後襲いかかってくるのかもしれない。
そうなったとしたら面倒だが、相手をするしかないだろう。
ああ、折角足りなくなってきたモノを買い足そうとウキウキ高揚気分が出てきたのに。
テンションダダ下がりだわー。ないわー。
仮面の下で重くため息をついても、それは何処にも行くことなく散って消える。
キョロキョロしたりするのは挙動不審だし、唯でさえ怪しい格好なのだ。
周囲の気配を鋭敏に感じ取るように耳を澄まし、神経を研ぎ澄ましつつ、路地を進むことにする。
路地から出たとしても、貧民街の道はどこもかしこも荒れて、あまりいい雰囲気ではないよなぁと思う。
騒がしいのは、酒場と娼館ぐらいなものか、と。
酒も、女も今はいいや、と足を速めて進む。
■ゼロ > 周囲に怪しい動きをする気配はなさそうだ。
妖しい動きというか、腰振ってる音とか声とかはちょくちょく聞こえる。
酒で酔っ払ってる奴もいる。
気にしすぎかと、考えることにしつつも警戒はやめない。
今は、それよりも大事なことを考えるべきだ。
さて、今日の宿はどうしよう。
この周辺にするか、それとももう少しいったところにするか。
治安のいい場所まで出るか。
治安のいい場所だと、仮面が邪魔になるんだよなぁと。
紹介があればいいけれど、紹介してもらえるほど知り合いが居るわけでもなし。
そして、知り合いにロクな関係がない。
逃げてきた元ぐらいだから、殺しに来るか連れ戻しに来るか。
大体どちらかだろう。
仮面の男は、無軌道に歩きながら、さてどうしたものかと思考。
■ゼロ > 流石に、この治安の一番悪いところでの宿は御免被りたい。
という事はやはり、少し先に行ったほうがいいだろう。
せめて、平民地区の近くがいいか。
そんなふうに考えて仮面の男は進むことにする。
グリーブが地面を踏みしめる音が響き、歩いていく。
おそらく、ここは歓楽街なのだろう。
そこを抜け、平民地区へと向かい、男は歩いていく。
そのまま、鎧を着た仮面の男は、去っていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゼロさんが去りました。