2016/11/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラウリックさんが現れました。
ラウリック > 夜になってからこそ賑やかになる通りがある
闇市が立つその裏通りもその一つで香ばしい何かの食べ物や、
甘い媚薬の匂い、強い酒の酒気が混ざって漂う
粗悪な麻薬の一種を混ぜ込んだ、香酒を売る店でそれを細い瓶に買い求める男の姿がある

「そうだ、ちゃんと葉っぱも入れてくれよ?ホラ、少し多めだ」

身振りで瓶に注ぐ店員にアピールをしながら強い訛の言葉で手にした小銭を屋台の台へ叩きつけるように置く
それを一瞥した店員がしらっとした顔で樽の底にたまった沈殿物混じりの酒を瓶へと器用に流し込んだ
上手いこと、一掬いで瓶が一杯になる
ローブを目深に被った男は、瓶を受け取るとまた、強い訛の混ざった言葉で南の地方の意味のない景気づけの挨拶を残し、店を離れる
細い裏通りに人が多く行き交う
それでも丁寧に互いにぶつからぬように歩くのは誰も厄介事を起こしたくないからだろう

ラウリック > 瓶を下げたローブの男は道の端に慣れたように歩いて、
通りが見渡せる小さな広場のようになった場所で足を止めた

「薬物には耐性があるが、味が止められないというのは困ったな」

苦笑しながら小さく呟く言葉は先程、店先で喋った訛は一切ない
賊に貴族言葉、と言われるクセの無さすぎるものだ
廃屋の石壁に背を預け、細い瓶をラッパ飲みで軽く一口呷る

ラウリック > 男は愉しげに闇市の喧騒を眺めつつ、酒を呷る
流れてくる音楽に視線を向けると旅の技芸師のようだ
余り聞かない、北方の騎馬民族の歌らしい戯曲仕立ての歌を一頻り
いつの間にやら、広場はその歌だけが朗々と響くようになった
最後に、小気味の良い旋律をループで繰り返すと、ポロン、と弦の響きを残して静かになった

「いいぞ!」

静かだった広場に響く声でローブの男は賞賛の声を上げた
先程の流麗な言葉ではなく、南方の方言で褒めそやす言い方だ
同時に、銀貨をその技芸師へ投げつける
口火を切ったように、次々と技芸師へ賞賛の声とコインが投げつけられていく
技芸師が一礼しながら帽子を振って応え、
地面に広げたあった外套へたまったコインを軽く集めて再び一礼
暫く、そうやって技芸師を称える声が続き、やがて次の曲が始まる
再び湧き上がる歓声を後にローブの男はその広場を抜け出した

「やあ、すまない。流石にあの群衆だとやり難いだろう?今夜は帰るよ」

路地裏に踏み込みながら、その脇に経っていた黒尽くめの男に小さな小声で声を掛け姿を消す
黒尽くめの男はわずかに周囲へ一瞥を向けると後を追うように路地へ姿を消した

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラウリックさんが去りました。