2016/08/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエミリアさんが現れました。
エミリア > 夕暮れ時、昼でも薄暗く、全体に煤けたようなうら寂しさを纏う裏路地。
袋小路の行き止まりに灯る、小さな蝋燭の明かりがひとつ。
それを両手で携えているのは、墨色の修道衣に身を包んだ少女である。

まぶかに被ったヴェールが微かに震えているのは、その下で垂れ耳が震えているから、
灯火に淡く照らされた幼げな顔も、恐怖に硬く強張っており。

黒い布に目許を覆われ、燭台を握る両手首には金属製の枷。
そして、胸元にはプラカードがひとつ。

≪きよらかな乙女の慈悲をあなたに≫

―――これも奉仕活動の一環である、と、言い含められてはいるものの。
迎えが来るまで、もしかすると夜通しこんなところで過ごす羽目に、
と考えただけで、身体の震えは止まらない。
目隠しをされているだけに、どこからか聞こえて来る街の喧騒にすら、
いちいち怯えて身を竦ませるありさまで。

エミリア > ―――やがて、手にした蝋燭の焔が掻き消える。

修道女の姿もまた、いつしか、路地の暗がりに紛れていた。

その先のことは、誰も知らない―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエミリアさんが去りました。