2016/07/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルイサさんが現れました。
ルイサ > 魔力の殆どを封じられている身だから、危険な場所へは極力近寄らないが仕事となれば話は別だ。
娼館が立ち並ぶ通りの裏は暗く、衛生状態も悪い。
水捌けの悪い地面に溜まった、何日前の雨水なのかわからない水たまりをちゃぷんと踏んで走る女性が一人。
長いポニーテールがネコの尻尾のようにくねり跳ね翻り、高くジャンプしたかと思えば小さな何かを両手で捕まえた。
背後で“依頼人”の娼婦が指呼して歓喜の声を上げる。

「…今度こそ間違いないですか?……良かったです。はい、お代はたしかに。」

こんな小さくて無力な精霊をペットにするとは趣味が悪い。
とは思ったが、口にしなかった。
娼婦からもらった代金を握り、彼女の背中を見送るよろず屋の女性の顔は疲れを隠しきれていない。
仕事内容が原因ではなく、娼婦たちの香水や彼女らを買う男たちの卑しい笑い声は生娘の自分には刺激が強すぎるのだ。
早く家に帰ろうと、裏通りを歩く足音は気配を消してごく些細なもの。

ルイサ > 「えっ…?……いいえ、違います。わたしは娼婦ではなくて、…よろず屋です。なにかお困りのことがあれば是非、ご贔屓に。」

娼婦より肌の露出は少なく、どことなくあか抜けない雰囲気であることは自負しているが、それでも夜の値段交渉をしてくる輩はいた。
一瞬面食らったが、女性はすぐにふわんとした笑顔を浮かべ、営業トークまでしてみせる。
まだ押し切ろうと言うのか、男が口を開いたがそれを遮って、営業スマイルのまま踵を返して通りを駆けて行った。
娼館の夜はまだまだ明けそうにない―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルイサさんが去りました。