2016/04/02 のログ
ご案内:「貧民地区 汚水の川にかかる橋」にカースドさんが現れました。
■カースド > 夜の貧民街、寒風吹きすさぶ橋の上を、人々は足早に過ぎ去っていく。
そこに居座っているのは、家に帰れない事情があるものか、そもそも家など存在しないものぐらいであろう。
くたびれたコートに身を包み、かがみこんで何やら作業をしている少女は、後者だった。
■カースド > 手にしているのは、木の棒にボロ布の弦を張った弓のような道具と、皮を剥いた真っ直ぐな木の枝、足元には節穴に空いた木の板がある。木の板の下にはちぎった鳥の巣。
弦を木の棒に巻きつけて上から手で押さえ、もう片手でのこぎりを引くように弓を動かす。
棒より少し小さい節の上で棒が回転する。
弓錐式と呼ばれる発火法である。回転する棒の摩擦熱で発生した火の粉が穴から落ち、下に置いた鳥の巣を燃やして、火が出来る。
少女は火を点ける魔法を習得しているので、この方法を取る必要はないのだが、少女の数少ない友人が魔法を使わない発火法を知りたがっていたので、教えるために自分でやっているのだった。
だが少女の体力では高速で回すことが出来ないため、なかなか火の粉は生まれない。
ご案内:「貧民地区 汚水の川にかかる橋」にカレリアさんが現れました。
■カレリア > 「カースド、居ますか?」
綺麗とは言い難い貧民地区の橋
普通なら近寄らないが今日もこうして橋の下へとやってきた
目的はただ一つ、友人に会うため
「居ましたわね♪……それは何をしてますの?」
最低限の知識として覚えていたので火をつけようとしているのは分かった
しかし何故そんな面倒な真似を?と首をかしげながらカースドに近づく
■カースド > 押さえつける手のひらの皮膚が捻られて裂け、血が滲む。
それでも少女は真剣な表情で棒の先を見ながら、弓を動かし続ける。
と、そこに聞こえてくる声に耳が反応してそちらを向く。
いつものように駆け寄って抱きつきたいが、今手を止めるわけにも行かない、おろおろと微かに煙を出し始めた棒と、カレリアを交互に見る。
「あ、あぅ……ちょ、ちょっと、ま、待って…!」
とりあえずカレリアは後回しにして、棒を回すペースを早める。
小さな小さな赤い点が板の穴から落ちて、鳥の巣の中へ。
すぐに棒と板をどかし、鳥の巣を両手で持ち上げて、慎重に息を吹きかける。
火種が成長し、鳥の巣が燃え始めた。
「や、やっ、た……!」
持っていては危ないので、地面に置いた。
燃え移る先のない火はすぐに鳥の巣を燃やし尽くして消えてしまうが、少女は満足そうな笑顔をカレリアに向ける。。
「あ、あの、ね。ひ、火の、つけかた、か、カレリア、から、習った、けど、さいしょ、から、ひ、一人、でやって、みた、の。
棒、とか、板、とか、カースド、が、探して、集めた、の。ちゃ、ちゃんと、出来た、よ。カースド、え、えらい?」
質問に答えながら、いつものように抱きついて甘えようとする。
■カレリア > 「カースド!手が…」
血が滲んでしまっているのを見れば思わず声をあげる
然し真剣に火をつけようとしている姿に邪魔をすることもできずただ見守り…
「…偉いですわよカースド、でも今度はもう少しやり方を変えましょうね?」
抱き着き甘える子猫状態のカースド、頭を数度撫でた後に少し離れ手を取る
押さえる力の問題だろう、手のひらが痛々しく傷ついてしまっている
腰元のポーション入れ、回復薬を取り出し手にかけていく
「すぐに治りますから、しみても我慢してくださいね?」
■カースド > 「えへへー。だ、大丈夫、だよ。す、すぐ、治る、から。カースド、ね、やけどの、とこ、皮、薄い、から、すぐ、血が出る、んだ。
け、けど、痛い、の、ちょっと、だよ。がまん、出来る。」
必要だから怪我をしただけなのに、どうしてそう騒ぐのか理解できていないようだ。
首を傾げながら、ポーションを取り出すのを見ている。
「ほうって、おい、ても、な、治る、よ?お、おく、すり、って、た、高い、んじゃ、な、ない、の?」
ポーションが傷口にかかっても、少女は眉一つ動かさない。ただどうしてこんなことをするのかわからない、といった顔で、塞がっていく傷口と、カレリアの顔を見ている。
■カレリア > 「すぐ怪我するんだから放っておいて良いなんて詭弁ですわ。」
関係無しにポーションで治療する
水感覚で使える物ではないがしょせん消耗品、後で買い足せば事足りる
「これで大丈夫ですわね…カースド、もっと自分の身体を大事にしないとダメですわよ?
小さな怪我でも悪化する事だってあるんですから…」
安心し手を撫で、火おこしが上手くいったのを褒める
頭を撫でたり抱きしめたり…注意も大事だが褒めるのは忘れない
■カースド > 「おー。」
とすっかり元に、といっても火傷に侵されている状態に戻った手を見て、感嘆の声をあげる。
そして、少女の知識にない言葉に、また首をかしげた。
「えと…き、きべん、って、なぁに?」
「けが、はね、気を、つ、つけてる、けど、火を、ね、つける、のに、ひ、必要、だったから。」
褒められ撫でられ、嬉しそうに目を細めながら、やはりどこか納得がいっていない様子。
少女の過去のせいだろう、怪我に対する忌避感が薄いのだ。
「あの、ね。きょ、今日、も、買って、くれる?そ、そし、たら、ね、カースド、嬉、しい、な。」
コートの裾を引っ張って催促する。いくらか気温は上がってきていても、夜はまだ冷える。
暖かい寝床や人肌が恋しいのだろう。
■カレリア > 「あー…言い訳、みたいなものですわよ♪」
言い回しが少し面倒だったと反省し、カースドを見つめる
「必要な事でもダメですわよ。怪我して火をつけるぐらいなら魔術でやってしまったほうが良いですわ♪」
怪我や自分が傷つくことへの忌避感が少ないのだろう
もしくは無いのかも…それが分かってしまうからこそきちんと教えておかないと
「ふふ…ここに来て挨拶だけなんて、そんな訳ないでしょう?」
むしろ買わない選択肢はない、手を握り一先ず橋の上へ
まだまだ夜は寒い…暖かい料理を食べるか宿に行かないと…
■カースド > 「いいわけ…?いいわけ、って、えと……よ、良くない、よね。わ、わかった、きべん、言う、の、や、やめる。」
何度か頷く。悪いことをしたように思えてか、見つめられると所在なさそうに治ったばかりの手のひらを指でこすった。
手を握られ、隣を歩きながら
「あ、あの、ね。えと……」
と言いにくそうな素振り。
わざわざ人力でやっていた理由があるのだが、それを説明するためには出さなければならない名前があって、何度か躊躇う。
「た、タマモ、がね……ま、ま、じゅ…つ、とか、使わない、火のつけ方、をね、知りたい、んだって。
だから、お、教えて、あげたくて…。つ、つぎ、はね、けが、しない、ように、する…。」
言ってから、それはダメだ、と言われないか心配になって、おどおどと両手の七本しかない指を組んで弄り出す。
温かい料理といっても、何を食べたいかと少女に尋ねてもきっとパンとしか答えないだろう。
初めて食べたまともな食べ物で、特別な思い入れがあったし、何より少女はまだ他の料理をほとんど知らない。