2016/03/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 貧民地区、しかし、いつも歩き回っている路地ではない。
気紛れに道外れでない通りとかを歩き回っていた。
こうして色々と見ていると分かるが、やはり平民地区や富裕地区とは柄が違う。

まぁ…少なくとも、自分が寄ってどうこうという店はあんまりなさそうな気がする。
そして、いつもとは少々違うものも含まれる視線。

「ふむ…あんまり長々と居って、好ましい場所という訳でもなさそうじゃのぅ」

ぽつりと呟く。
他の地区ならば、ミレー族とやらの異種だろうといった好奇の視線がどちらかといえば多い。
逆にこの地区は…種族等に対する好奇よりも、もっと別の…そんな感覚だ。

やれやれ、と肩を竦めるようにして、歩き続ける。

タマモ > 視線だけで近付きやしないのも、これもまた地区によって別々の理由だろう。
左手に触れる唐傘をくるりくるりと回し、堂々と通りを歩く。
路地ならばともかく、こんな人前で堂々と来たりはしまい。
もっとも、来るなら来るで遠慮なく叩き伏せてやる訳だが。
相手が相手なら、別の流れもあるか、うん。

さて、そんな風に続く道と並ぶ店を眺めながら足を進める。
通りを抜ければ、見覚えがあるようなないような、そんな場所へと辿り着く。
とはいっても、少女の記憶は曖昧な部分が多い。

タマモ > …とはいえ、そうそう忘れない部分とてある。
水の流れる音、その流れに目を向ければ…どう見ても釣りには適さない川が見えた。

「前もそうじゃったが…これはどこでどう汚れておるんじゃろう?
ここまで汚すのも相当じゃろうに…」

汚水の流れる川、側まで寄れば、まじまじと流れる汚水を見詰め…はふ、と溜息。
そういえば、他の地区でのこの川の流れは見ていない。
上流へと向かえば、その原因とかが分かるのだろうか?
口元に右手を添え、しばし、考える仕草。

タマモ > 「どうせ今日は行く当ても無いのじゃ、見てみるのも一興かのぅ?」

ふむ、と一つ頷いた。
くるりと足先を川の水の流れてくる方向へと向け、のんびりと歩き始める。

ちらほらと見えるのは、別の地区とは違い住む場所も無い者達の姿。
そういえば、初めて来た時はこういった生活をしている姿をした者達を見ていない。
偶々だが、それを目にする事なく、それとは違う状況であった相手を見付けたからだ。

なるほど…普段はこんな感じにしているのか。
先へ先へと進みながら、改めて考えさせられていた。
まぁ、考えたところで何をどうこう出来る訳でも無いが。

タマモ > ふと、何かを思い付いたかのように、ぴたりと足を止める。
がさごそと懐へと手を差し入れ、取り出したのは色紙。
それを折っては畳んで、畳んでは折って、と繰り返し…その手元に魚の形をした折り紙を作り出す。

目を閉じ、軽く折り紙へと力を注ぐ。
どれ、といった感じにそれをぽいっ、と川の中に放り込んだ。
汚水の為に周りには見えないだろうが、その折り紙は本物の魚のように泳ぎ回る。
それを介して、その中がどうなっているのかを見ていた。

「………お、おぉ…」

目を閉じたまま、少女が声を漏らす。
うん、なんというか…想像以上に中は凄かったらしい。

タマモ > 意識を切れば、閉じていた目を開く。
首を傾げて少しの間なにやら思っているも、気を取り直し、とめていた足を進めだす。

ゆっくりとした足取りだ、この貧民地区を抜けるだけでもそれなりにかかる。
ある意味何も起こらない平和な場所かもしれない。
少なくとも、自分がよく歩く裏路地よりは。
そんな事を考えながら、改めて辺りを見渡す。

タマモ > 歩き続けていれば、いつかは別の地区へと辿り着く。
これといって何も無かったのは、運が良いのか悪いのか。
少なくとも、何かしら少女に絡もうと企む者からすれば、運が良かったのかもしれない。
川を上がって行く少女、果たして探していたものが見付かったのか。

その結果を知るのは、もう少し先の話だろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。