2016/01/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 人気のない場所」にロレンスさんが現れました。
■ロレンス > 再び王都の寂れた場所へと現れたのだが、今日は昨晩とは違っていた。
到着するやいなや、何やらこちらを追い掛ける者たちがいたのだ。
夜の散策という楽しみを邪魔されてはつまらんと、夜闇に紛れるように歩き続け、追手の気配がなくなった頃には、ぽっかりと開けた場所へと辿り着く。
建物という壁に阻まれ、声もろくすっぽ大通りへ届かぬだろう世界。
壁に寄りかかり、マントの下からのぞかせた手には葉巻。
すっと先端を撫でれば綺麗な断面が生まれ、切り離された部分は手品のように消えてしまう。
それだけではなく、それを口に咥えると日をつけた様子もないのに一吸いするだけで、勝手に赤い光が灯り、甘めの香りが緩やかに広がっていく。
「さて…熱心な人間が、見失ってくれてばいいが」
なかなかにしつこいものだったなと思い出しながら、煙を燻らせ、一息ついていく。
この香りも、よほど鼻がよいか、近づかぬ限りには誰にも届かぬだろうと思っているtからこそ、気にせず漂わせているわけだが。
■ロレンス > 寒空の下、暫し煙を楽しんでいると遠くから近づいてくる足音に気づく。
どうやら追手は思っていた以上に執念深いらしい。
葉巻を口から離し、白い煙を吐き出していくと僅かにしかめっ面になりながら溜息をこぼす。
こうなれば、相手をして追い払うほかない。
ピンと葉巻を弾くように捨てると、それは空中で灰となって風に消えていく。
「…仕事熱心な者よ、隠れても無駄だ。私も匂いで君の位置がわかる」
息を潜めて様子を見ているらしい追手の方へ、視線を向けながら語りかける。
人ならざる男には、気配でも香りでも相手の存在を確かに感じていた。
隠れても不意打ちも出来ないであろう、そんな宣言じみた言葉を掛けながら、未だに現れない相手へ語りかけ続ける。
「…もうバレているといったんだが」
ハッタリと高を括られたかなんて思えば、再びの溜息。
ならば証明せねばならんとうっすらとした苦笑いのまま、腕を掲げた。
掌に集まる魔力は柘榴のように黒く赤みがある。
球体になったそれを、ひゅっと木箱へと放てば、それだけを吹き飛ばし、後ろにいるであろう姿を晒させようとした。