2016/01/14 のログ
ティネ > 「それは確かにすごいな~ふつうじゃないな~便利そうだな~
 あ、でもボクも下半身もぎ取られたことあったよ。あれはびっくりしたよね」

すごいな~とは言って頷いてみせるものの、大した感銘を受けているようには見えない。
それどころかさらっととんでもないことを口にした。

頭を指ではたかれればべしゃと樽の上に倒れる。弱い。

「ひょっとしたら生き別れの姉妹だったりしてね。なんて」

肌を見せびらかされれば、ボクだって負けてないし、と張り合う素振りを見せる。
ぴょいと近寄ってこのこのーと頬に抱きつくように触れる。
小さいティネは肌もその分きめ細やかなものだ。
遠慮なしに頬に身体を押し付けられれば少しくすぐったく感じてしまうかもしれない。

モニカ > 「ふふん、そうでしょう?これでも宵闇の貴族たる吸血鬼の………はい?」

感嘆の言葉に……いえちょっと軽い感じだけど、感嘆には違いないのだから気分を良くしかけて間抜けな声が出た。
そのままじろじろと樽上に突っ伏すティネさんの事を頬に触れるまで見て、言葉の通りに下半身をもぎ取られる姿を想起して眉根が寄ってしまう。

「そ、そう……貴女も随分と頑丈なのね。ふぅむ、でもそうなると私は本当は妖精……妖精かあ。ちょっとロマンチック――じゃなくて。」

頬にべたりと触れられて、小さな手が動くならばくすぐったさもあってか当惑し陶惑した笑みが生まれかかって首を振る。
そこで漸く今更の疑問に辿りついて、間近で彼女の事をじいっと見詰めた。

「……そういえば妖精って実体あるのね。ほら、もっとこう精霊とかそっちに近いものかと……これも色々の一部?そしてこれ、お洋服も貴女の一部なの?」

それから無遠慮に衣服の裾を引っ張ってしまうのは、妖精の服と云うのは何処が出所なのか?と気にかかったから。
妖精専門の職人とか案外いるのかしら?

ティネ > 「あ、真に受けた?
 さすがにボクだってそこまで丈夫じゃないよ。たぶん。
 ちゃんと治されたからその時は」

けらけらと可笑しそうに笑う。
それはそれでとんでもない話なことには気づいているのかいないのか。

「あっちょっ……やめっ脱げちゃう。
 これはボクの手作りでっ……」

裾を引っ張られればさすがに慌ててそこを手で押さえつけようとするがいかんせん非力である。
肉体も服ももちろん実体で、服が引っ張られた調子に形が崩れて微妙に肌蹴てしまう。
ずいぶんと粗末な作りの貫頭衣であった。

モニカ > 「……いやー治された。と言っても、それで生きていた事がすごいと言うか……。」

ぐいぐいと衣服を引っ張る折のあっけらとした笑いや制止の言葉。
余りに前半が超然としていたから、ついついはだけるまで衣服を引っ張って、
結果的に脱がす形になってしまって少し、気まずい。

「……あ"っ御免なさい。つい……。で、でも手先が器用っていうのは妖精らしいって感じするわね、うん。」

あははは、と乾いた笑いを添えて視線を逸らすと退屈そうな顔をした白猫と目が合った。
猫はにゃおんと鳴くと起き上がり、歩きたそうに紐を伸ばす。

「さ、さあって私はそろそろ行こうかしら。貴女はもう落ち着いた?」

話題を切り替えるようにしてティネさんを一瞥す、微妙に頬が赤いのは照れているからだけど
この暗がりで彼女に判るかは、それこそ解らない。

ティネ > 「さようですか……」

乾いた笑いに対する反応も乾いていた。
襲われた娘さながらに緩んだ衣服を押さえる。
当然ながらこっちも微妙に顔が朱い。

「落ち着いたというか、落ち着かなくなったというか……
 まったくもう」

服の形を整えながら嘆息して、ごろりと樽の上に横になる。
最初に震えていた時ほどに頼りない様子ではなかった。

「……助かったよ。またね、モニカ」

照れた様子に気づいたのか否か。
去るのであれば、小さくそれに手を振るだろう。

モニカ > 乾いた空気を掻き混ぜるように咳払いが不自然に数度。
それが済めば努めに務めた優雅な所作でティネさんに向き直る。

「あはは……御免なさい。でも結果的に貴女が落ち着いたなら良かったわ?
そう、結果的に猫を捕まえる手助けをしてくれた事に起因するのだから、
最後も結果的に良かったのよ。たぶん」

霧に巻くような言葉を述べ、それが済んだらカーテシーの一礼を以てお別れの御挨拶。
顔色はもう、普段の通りの白骨のような白さだった。

「ええ、またね?私、あまり街の外には出ないから縁があれば何処かで遇えるわ。
……あと、私の正体。バラしたらダメだからね。」

垂れた頭が上がる際。上目遣いにじろりと見据え、これみよがしに舌なめずりもしてみせて、
それも済んだら私の姿は暗がりに消えて、後に残りは猫の声。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からモニカさんが去りました。