2016/01/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にディン・タウロスさんが現れました。
ディン・タウロス > 人もまばらな道を通り、こちらを見る路地に座り込んだ虚ろな目をした住民達の前をやや早足で歩いて。
辛気臭く生気のない、そんな路地裏を出来るだけ早く抜けようと脚を進めていく。

「こっちの方が近道になるからって、昼間でもあんまり通るもんじゃないな…物欲しそうな目で見られても施せるようなもんはないってのに。仕事じゃなかったら、こっちの地区はあんまり来たくないんだよな…まぁ、仕事のタネはたまに転がってるんだけど」

トラブルこそが飯の種である冒険者にとっては毎日のように何らかの事件が起こっているこの地区は上手に事件に関わることが出来れば金になる地区で。
但し、単にトラブルに巻き込まれ衛兵に捕まれば金品を巻き上げられるので、よほど金に困らなければ来たい場所でもなく。
そんな場所になぜいるかというと、仕事で採取した薬草の収め先がこの地区にいる闇医者だったという理由で。

ディン・タウロス > どこか物欲しそうに、施しでも欲しているのかこちらを見てくる住民を無視して歩き、それでもなかなか路地裏が終わらないのは路地裏と思える場所が実は表通りだったから、なんて落ちはないだろうかと考えてしまうくらいこの一帯は荒れていて。
流石に完全装備の人間にちょっかいをかけてくるような無謀な者はいないものの、追い詰められた人間は何をするか分からないので警戒だけはしていて。

「このまま飢えで死ぬくらいなら、冒険者になるでも兵士になるでもすればいいのにな。まぁ、兵士になったら真っ先に全線に送られて命を落とすのが落ちだろうけど…」

冒険者もなるには先立つものが多少はいるし、何の腕の覚えも取り柄もなければ直ぐに命を落としてしまう。
ベテランだって一瞬の油断が即座に命取りになるのだから、進んで危険に身を晒したくないと言う気持ちも分からなくはないが。

ディン・タウロス > 「この国の王族さん達は何をしてるんだろうな、まぁ、見てて何もしない俺が言う言葉じゃないんだが…こういうのをどうにかするのは王族とか勇者とかそういうんだし」

王族でもなければ勇者でもない、一介の冒険者でしかも脛に傷を持つ身としては彼らをいい意味でも悪い意味でもどうこう出来る手段はない。
結局、見捨てる見放すのなら王族に対して何かを言うというのは筋違いだろう。
下手をすれば不敬罪に問われるかもしれないが、小さな呟きは誰にも聞かれてはおらず、大丈夫、問題はないと。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にレイファさんが現れました。
レイファ > 「まっ、待ってっ!待ってよぉっ、おねがっ、ちょ、…それ、返してってばっ!」

貧民地区に響き渡る叫び声はかなり切羽詰まったもの。このあたりではよく聞く類の言葉だから、行きかう人々も気に留める風もなく、日常の光景として見られているようで。

「待ってっ、待ってって…ぅ、はっ、はぁっ………―――っ!!」

ばたばたとせわしなくかけてくるのは2人の小さな影。
1つは少年らしくすばしっこく走り、もう1つはそのあとをへとへとになりながら追いかけていたが、足取りが覚束ないためか、目の前を行く武装した青年を避けきれず、彼が避けねばそのままぶつかるような進路であり。

ぶつかってしまえば、慌てて相手を見上げて謝罪をするし、無事に相手が避けてくれれば、あの人捕まえて、とでも協力を乞う心算で。

ディン・タウロス > 「なんだなんだ?何事だ?っと、おい、なんだ…って、危ないな…大丈夫か?あいつを捕まえればいいのか?」

後ろから聞こえてくる叫び声に振り返りつつ腰の剣の柄に手をかけて、走ってくる少年と少女の姿に何事かはすぐに分かり、横を駆け抜けた少年を取りあえずは見送って。
逃げる少年の貧相な服と少女の服装を見ればどちらの味方をするかは即座に決めて。
ぶつかってきそうな少女をひょいと避け、見上げれば捕まえて、と頼まれて頷き。

「頼まれてやってもいいけど、後で俺のお願いを聞いてくれるか?それならあいつを捕まえるのを手伝ってやるよ…ちなみに早く決めないと逃げ切られるぞ?」

少女へと声を掛けながら、少年の後ろ姿を追いかけ始め、幾らこちらが完全武装していても子供の脚に追いつくことは簡単で。
後ろから首根っこを服を掴むようにして、少年の盗んだと思わしきものを奪おうとする。

レイファ > 「はっ、はぁっ、は、…そ、ですっ!」

危うくぶつかりそうになったところで、避けてもらったものの、そこがちょうどスタミナ切れ。足が止まって、こくこくっと必死に頷いて相手に意思を伝えると、

「私のっ、さ、財布っ!な、なんでも、いいですっ!お願いでもなんでもっ、だから、私の全財産ーっ!!」

最早一刻の猶予もない。
相手が言うお願いって何、なんて聞く余裕もないから、とにかく快諾するように叫び、この時期ならではの少女の実入りのたっぷり入った財布の奪還を依頼して。
彼が駆けだすのを見ると、へなへなとその場にしゃがみこみ、ぜぇはぁ、と大きく肩で息を繰り返し。
相手が捕まえてくれたかどうかを見守る余裕もないが、スリの少年は相手が完全武装の大人だとしれば、命と財布とを天秤にかけたのか、すぐに財布を差し出し。
お子様らしい小さなガマグチ財布は、中がたっぷりなのだろう、ぱつぱつに膨らんでいて、幸いまだ中は手つかずなのがよくわかる。
その少年の処遇は相手に任せられるところ。

ディン・タウロス > 「分かった、それじゃあ捕まえてきてやるから少し待ってろよっ!」

何でも、と言う少女の言質を取ってから、スラムの住民より早く少年を捕まえて。
少年が財布を取り出して素直にこちらに渡してくれば、少年の耳元に何事かを囁いたのちに、少年の腹に拳を入れて蹲らさせてから少女の方へと戻っていって。

「ここで渡してるのを見られたらこいつらが群がってきかねないから、少し場所を変えて渡すよ。分かるだろ?もしここでこれを見たらこいつらが次から次に襲ってくるって…俺が知ってる安全な場所に連れていってやるから、そこまで来てくれるか?」

スラムの住人の前でこんなお金が入ってます、な財布を見せたら襲い掛かってきかねないと少女を説得して。
少女が納得してくれるなら、少女を近くにある比較的安全な場所の宿屋へと連れていこうとする。

レイファ > 「おっ、おねが…」

いします、と続けるだけの酸素量もなく、ぜぇ、はぁ、と荒い呼吸で言葉が途切れるため、こくこく、と頷くことで返事として。
周りは、やはり日常の追いかけっこ、程度の認識なのか、誰も手を差し伸べてはくれない。

漸く少しずつ呼吸が整い始めたころ、その青年が戻ってくるのが見えて、あぁ、と安堵の声とともに少し表情を綻ばせてから、

「あ、ありが、と、ございます…。はぁ、よかった…。う、…た、確かに」

多少呼吸は乱れているが、言葉を発するに支障はなく。相手を見上げながらよたよたと腰を上げ、スカートの埃をはたき。
それから辺りをきょろきょろ。新たなスリの出現を思わせるような視線もあるから、相手の言葉に頷くと、相手と共に安全な場所へと向かうべく足を進め。
そうしながら、自己紹介でもしつつ、宿へと向かうはず。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からディン・タウロスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からレイファさんが去りました。