2015/11/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 浮浪街」にマルクトピさんが現れました。
マルクトピ > 王都マグメール。
緩やかに荒廃を続ける王都の中でも、今も昔も「スラム」として『下の下』であることは変わらない貧民地区にて
このような場所には似つかわしくない優しげな声が朗々と響く。


「やられ屋、一発10ゴルド~」


カラン、カランと板と胸部の鉄板が当たる音を鳴らしながら、
まるで王都のパン売りのように聞き慣れぬ文句を謳い歩く赤髪の女。


「お好きなように、鬱憤一つ晴らしてみませんか~」

『殴られ屋』というのは傭兵の集まるような場所にたまに現れる。
その体の頑強さを売りに、小銭稼ぎとパフォーマンスをするような輩のことだ。

けれど、この女はどう見てもそんな頑強さがあるようには見えない―――むしろ、捻れば死にそうなほどに、か弱くみえる。

マルクトピ > 「やられ屋、一発10ゴルド~」

ある者は不審なものを見るように。
ある者は、深読みをして恐れるようにして逃げ去ったり。

またある者は……金をそんなことに使いたくない、と痰を吐いて去っていく。

ここは浮浪街。
貧民街の住人にとっては享楽に金を使うのであれば飯を食べるし、
娯楽に飢えた傾奇者は此処ではなく娯楽施設のある歓楽区の奥へと行くだろう。


―――だから、純粋な思いで『やられ屋』なんて酔狂なことをやっている女にはどうにも旗色が悪かった。

「………ここには不幸な方はいらっしゃらないのでしょうか……?」

こてんと首を傾げるも、居ないものは居ないのだ。
誰ぞの声がかかればと意気込んで入るのだけれど、どうにも金を持ってくる者はやってこない。

「やられ屋~、一発10ゴルド~。 お安く鬱憤晴らしませんか~」

ともあれ、今日は此処でと決めたのだ。
来るまで待とうなんとやら。

マルクトピ > 「やられ屋~~……はぁ。」

やがて、何度声を上げても客は来ず。
今までに何度かこういうことはあったのだけれど。と溜息をつきながら街路に看板を立てかけて座り込んだ。

『東に、戦乱の世風あり』とこうして大陸を渡ってきたのは良いのだけれど、
どうしても始めは窺われるばかりで徒労感が否めない。

それでもしばらくすれば、”客足”が増えるもの……と、今までの経験を胸に空を見上げた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 浮浪街」にクラウディアさんが現れました。
クラウディア > (なんでも、殴られ屋とかいうのが商売をやっているらしい。
 そんな噂を聞きつけて、向かったのは貧民地区だ。
 自分の腕前がどこまで下がっているかを確認するにはちょうどいいだろう。
 そも、この身体ではマトモに相手してくれる奴もいないのだから。)

おお、あれか……客の入りは悪そうだな。
(なんだか気の抜けたため息を付いてる様子の彼女を見るに、
 あまり商売がうまくはいっていないのだろう。
 ちょこちょこと彼女に近づくと声をかける。)

なあ、やられ屋さん。 ちょっと試しに叩かれてみてくれないか。
ストレス解消をしたいんじゃなくて、少し試したいことがあるんだ。
もちろんそれなりに出すよ。
(彼女にとっては、正規の商売ではないはずだ。
 リハビリに付き合ってくれ、というのだから。 もちろんそれに対して、
 相応のお代は出す、と告げて。)

マルクトピ > 「はいはい~? なんでも一発10ゴルドで御座いますよ~。」

声をかけられると、舗装されていないために風にまかれて砂のついたローブをぱんぱんと叩いて立ち上がる。
クラウディアにとって、グッと向けるべき視線が上がるが彼女はとんと気にした様子もなく見下ろして

「ストレス解消も、実験も~、お好きなように承ります~。 あ、お代はお先にいただきますね~」

にこにこと、にこにこと。
『これから殴られる』だなんて考えても居なさそうな無邪気な笑みは人によっては
不相応な不気味さすらも感じるだろうが、彼女はどうあれ貴方の要望を叶えると言って笑う。

クラウディア > なーんでもいっぱつって言われてもなあ。まあいいんだけど…
案外背ぇ高いな…
(おお、と見上げる。自分よりずっと大きい。 文字通り大人と子供だ。
 一発って言われると少し悩むものの、100ゴルドぐらいを相手に差し出す。)

まあ…こんなもんか? しかし随分呑気なやられ屋さんだな…
つまり、だ。 おれのやりかたがどれくらい痛いかとか、そういうのを聞きたい。
威力を確かめたいんだ。 手のひらで受け止めてくれればいい。
(相手を見上げながらお願いすると、なんだか自分がとっても下な感じだ。)

マルクトピ > 「まぁまぁ、こんなに宜しいのですか~?」

有り難うございます。と、深々とお辞儀をすると、ゴルドを腰元の大きな大きなポケットにザラザラと流し込み
言われるままに掌を―――キャッチャーのミットを構えるようにして―――差し出す。

「受け止める、と言いますとこのような形で宜しいですか~? こちらは、いつでも宜しいですよ~。」

そうして、ゆるゆるとした表情を僅かに……本当に僅かにきりりとさせると、クラウディアの「一発」を待つ。

油断、とかそういった物は見受けられないが、
明らかに”受け”の姿勢としてはお粗末なもので『ド素人』といっても過言ではなさそうだ。

しかし、金は既に払い彼女はソレを許諾した。 遠慮無く試すことが貴方には許されている。

クラウディア > おお、何度か試すし、あんたの時間を大分使うからな。
それだそれ。 ええと…じゃあ、行くぞ!
(なんだかのんびりした構えの彼女の前に立つ。
 余裕があるのか素人なのかはわからないが、
 すくなくてもそれを生業にしているのだから、大丈夫だろう。
 大きく拳を振りかぶり、助走をつける。)

てやあぁぁーッ!! おりゃー!!でーやッ!!
(ぽこ。 振り上げた拳は、彼女の両手に収まる。
 ぽこ。ぽこ。 お子様パンチだ。 本人の裂帛の気合に反した、
 微笑ましい威力のものである。)