2015/11/25 のログ
■サラ > (何を洗おうとしているのか、を彼が察した様であれば流石に顔を赤らめた。王家の研究員…といえば相当な身分ではないのか。だが身分というのにあまりなじみのない生活を続けていた娘には、偉そうに気取らない人もいるんだなと思う程度に留まる。)
へぇ、ここにそんな草がありますのね。
(森になじみ深い彼女にとっては、魔力を発するという草について少しばかり興味を持った。ローブの間からちらりと見えた小さな鉢植えには関心の視線を注ぐ。貧困街にいるような人ではないと指摘されれば「少し、事情が」と誤魔化した。さすがに逃げてきた身という訳にはいかない。それよりも惹かれたのは素敵な提案。初めて会って、ここまで親切にしてくれるものなのだろうか。少しばかり疑問が生じた。が、それはすぐに思考より掻き消した。優しそうな方だもの、この人は大丈夫と。)
ええ、ぜひお願いしてもよろしいかしら?
(笑顔で頷いた。ゆらりと男の後ろの影が揺れたなんて気付くはずがなかった。)
■ルイーナ > (自分の言葉の頬を朱に染める彼女はそれなりの羞恥心を有するらしい──これは楽しくなりそうだと、瞳を細めながらも、気にしないでいい、と言うように首を振ってみせた。なにやらわけありらしい彼女に、好都合だと瞳をさらに細める──貧民街とはいえ人と人とのネットワークは一応あるのだ。人一人消えるというのは何かしら問題を起こす。だが、ここに馴染んでもいないのが事実らしい少女は──この場から恐らく消えても誰も気づかない。そして無防備にも、少女は男の親切じみた申し出に乗る。随分と世間知らずな御嬢さんのようだ)
…わかりました。では、ご案内いたしましょう……僕の内なる場所に…
(そう言うや、不意にルイーナの影が実際に蠢いたと思うと、素早く彼女の影に向かって進んでいく──ほどなく繋がるであろう黒い影と影。そしてその影は彼女の周りを取り囲み、みるみる黒い中に彼女の身体は沈んでいく。何か逃げる術はあるだろうか。彼女がなんらかの逃げる策を採ることが叶わなければ、彼女はその全身をやがて影の中に沈めてしまうであろう──そうして、昏い中から抜け出せば、そこは奇妙な部屋のような広い暗い場所だ。窓から見える月は、天然の月ではなく、目と鼻と口のある不気味な三日月。足元は柔らかな絨毯に支えられている。そしてその部屋にはどこにもドアがない。逃げ場はないと告げているようなそんな場所の足元から黒い影が現れ、中から男が現れるであろう)
…少々、無防備がすぎますね。御嬢さん……初対面で親切な人には気を付けるべきです。特に貴女のようなお美しい御嬢さんは、常に狙われるものなのですよ……まあつかまったのが僕のような博愛主義者でよかったですね?命を奪ったりはしませんし、温かい湯殿もお貸ししましょう……ただ、その前に…
(彼女の周りにいくつもの影が浮かび上がり、その奥から蠢く気配を感じるだろう)
…対価は支払ってもらいますよ。その身でね……
■サラ > え…?っ、きゃあっ!?
(一瞬だった。急に影が事らへ向かってきたかと思えば、底が抜けたかのように飲み込まれた。抗うことも、それを考えることすら叶わなかった。何が起きたのか全く頭がついていかない。はたと気づけば、足に触れるのは草ではなく柔らかな絨毯。)
な、何これ…!?何ですの…!?
(本能的にその場から逃れようと数歩駆けたところでその脚は止めた。見たところ扉もないのに一体どこへ向かおうというのか。窓はあるものの、嘲笑うかのような不気味な三日月に恐れをなして近寄ろうとも思えなかった。どうすればいいのか分からなくて足が竦む。怯える心を隠すかのように、纏うボロ布をぎゅっと握りしめた。その時、影より現れたのは――先ほどの優しげ“だった”男。)
や、嫌ですわ!こんな場所―――
(絶対逃げてやる、と続けようとした言葉は、浮かび上がった影に遮られた。後退ろうとしても囲まれていて、これこそ逃げ場などない。蠢く気配を見遣る娘の碧眼はただ、震えていた。)
■ルイーナ > …そんなに怯えることはないですよ……僕は女性を傷つけるのは嫌いですから…貴女はただ気持ち善がっているだけでいい…
(くすくすと笑みを浮かべながら、ゆっくりと男は少女の目の前に立つ。いくつもの影が彼女の周りに迫り、彼女から逃げ場を奪っていた──もとより、油断してこの部屋に閉じ込められた時点で彼女は逃れられない運命にあったわけだが。彼女にとっては不幸ながらも、ひどく快楽に満ちた時間が始まろうとしていた──)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルイーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からサラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアルマーレさんが現れました。
■アルマーレ > 夜の帳が落ち始め、一晩を「命よりも大事と」叫ぶ酒と過ごすために繰り出す酔っ払いと客引きの娼婦、ゴロツキの喧騒で満ちる貧民地区に意気揚々と繰り出す男。
酒場と賭場、それと娼館の三つの”自宅”と程近い狭い広場で、物乞いに混じりながらも快活な笑みを浮かべた男は
巨大な空の酒樽を三つ転がしてやって来れば
「さぁさぁ其処でシケたツラしたお兄さん!! あぁ!アンタのコトじゃないぜ? アンタなかなかイカすからな、前に森で見たオークよりずっとマシだ!! ーーハイ、ハニー!! そんな男引っ掛けるモンじゃないぜ! 俺の方がずっとイイ男だろ!? だから観てっとくれよ!!」
良く響く低い声を朗々と謳いあげるように張り上げて、衆目の注意を一身に集める。多くが唯の気狂いか酔っ払いかと無視しようとするも、叫ぶ男が巨大な酒樽を器用に二つ積み上げるのを目にすれば目を見張り手を止めて
「お、足止めたなオッサン! 嫁と子供にイイ土産話ができるぜ! ーーーーさァ、とっくと御覧じな!!」
積んだ酒樽は腹同士を重ねて危ういバランスを保っている。その上に華麗に飛び乗れば、身体を激しくグラつかせながら立ち上がる。さらには懐からナイフと酒瓶、それと果物を取り出せばジャグリングまで始めてみせて
「ハイご注目!! さぁさぁ、そこのお兄さん!!そこに置いてる椅子を取ってくれな! そう、投げて!!ーーーーーよっっ!!? 上手い上手い!!」
ジャグリングをしながら手を打ち鳴らし、投げられた椅子まで樽に乗せて慎重にバランスを取りながら登ろうと。
集まってくる観衆を茶化し、笑かし、おどけながら華麗な大道芸を披露する男の顔は不敵に笑っていても、内心は今日の食い扶持を稼ぐために冷や汗だったり
■アルマーレ > 最初は数える程だった観衆は何時しか増えて両の手では数えられない程に。囃し立てる酔っ払いの声と子供の歓声、それと娼婦の黄色い声に笑みを深めて
「ーー戦争だなんだと物騒な今日この頃、せめて馬鹿やって一晩笑い明かしましょうや!! さぁお手を拝借!!」
ジャグリングの最中に、投げる果物をナイフで切り裂いたら豪快に齧りつき、酒瓶の口を神速の太刀筋…などではないが砕き割って漢らしくラッパ飲みを。そんな傾いた姿をみせたら、手足につけた金具を打ち鳴らして律動を刻む。観衆の一人が古ぼけた楽器を取り出し、不協和音を奏でたら、即興のそれにも直ぐさま乗っかって音階を増やしていく。
楽しげな狂乱が落ち着くのは男が樽を降りて、一際大きく金具を打ち鳴らし、恭しい一礼の後に使わなかった酒樽を指差す頃で
「さぁ、たっぷりと楽しんでくれたか紳士淑女諸君!!! この哀れな道化役者にパンを、いや肉を……いや酒を買えるだけのお恵みを!!」
茶目っ気たっぷりにおどけてみせたら、巨大な酒樽を指差して”これが一杯になるくらい頼む!!”と冗談めかす。
喧騒の潮が引いたらば、漸く浮かべていた営業用の笑みを消して、代わりに大して変わらない皮肉っぽい笑みを浮かべ
「ーーーーーさて、と今日の稼ぎはどんなモンかなっと……へェ、ンなもんか、そこそこだな」
酒樽が一杯になることは当然なく、そこに残った僅かな”おひねり”を掻き集めて金勘定を。
演技後の吹き出す汗を拭いつつ、上気した嬉しそうな顔で、時折貨幣に混じる、名前と住所の書かれた
女の筆跡のメモを見つければ更に愉しげに口元を釣り上げていたり
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリゼットさんが現れました。
■リゼット > 遠目に見ても、夜目でも、貧困地区の広場に人だかりができているらしいことがわかった。「人の気配がした」というレベルではなく、狂騒染みた「何か」が聴こえてきたから。何かを囃し立てているようで、途中から調子っぱずれなメロディーも聴こえた際には、彼女は苦笑交じりに眉根を寄せ。
「……喧嘩ではなさそうだけど。――あ、待って!」
腕に抱いていた黒猫が、彼女の胸元から飛び出す。飼い猫ではない。ただ、何回も顔を合わせる機会があったので、つい親しみを持ってしまい……相手も抵抗しないので、抱き上げていたのだが。
「ほんともう――好奇心のままに動くんだから」
猫は自由気まま、広場の方へと駆け出す。いつの間にか見世物も終わって、帰路を辿ろうとする人々の足元を潜り抜けながら。相手の目的地はわかっているので、それを悠然とした足取りで追うと……黒猫が、広場に残っていた彼の手元から、何かを掠め取るのが見えた。
「――あ、こら!!」
飼い猫ではないのに、つい見咎めてしまう。その声に、ここいらの地区にいては場違いな風貌の彼女に、相手は気付くだろうか。
■アルマーレ > 酒樽に残った金の勘定を済ませれば、漸く一息ついたとばかりに座り込んで夜空を仰ぐ。
狂騒に当てられたか昂った神経を鎮ませようと、傍に立て掛けておいた革張りの楽器入れをから
中身を取り出そうとしていれば
「あん? 猫?……だよな……」
広場の向かいから何やら元気に駆けてきた黒猫。気儘に振る舞い、撫で摩ろうとする物乞いの手を掻い潜りまっすぐに自分の元へと向かってくれば片手で軽々抱き上げて
「貧民地区の猫だっつーのに大人しいし、随分人懐っこいじゃねーの。なんだ?お前も騒ぎたかったクチか?
悪ぃな、パーティーはもう終わりだ、あと魚もねーけど……これで勘弁してくれ」
齧りかけの果実を差し出し、顔の前で左右に振って戯れてみよう。そうしたらば、突然猫は踵を返して傍に置いてあった女からのメモを掠めて駆け去っていく。
貧民区の猫らしくどうやら”手癖”が悪いらしい思わず呆気に取られていれば
「オイオイ、俺は何時から猫にまでモテるようになったんだ?ーーーーーあぁー、それともキミか? 俺が今夜麗しのレディーに会うには、その猫が咥えてる招待状が必要なんだが……キミみたいな愛らしいフロイラインが立候補してくれるなら願ったり叶ったりだ」
大げさに肩を竦めて冗句を紡ぎつつも、逃げる猫を見咎めるような声を発し、広場に現れた女に視線を向ける。
貧民区には場違いとも言える装いの女を愉しげに眺めつつ
「悪いがパーティーはお開きだ。けど、舞踏会なら大歓迎だ……具体的にはベッドの上でだけどな」
金を盗られなくて良かったと笑ってから立ち上がる。埃をはたいたら、踊りのステップを踏むように優雅にターンしておどけてみせて
■リゼット > 遠巻きに彼女を見ていた酔っ払いのひとりが、馴れ馴れしく彼女に近付いて肩を抱き寄せようとしていたが。
「あなたはどうして、そうやって自分の役に立たないものばかり盗むのよ!!」
猫相手に、大きな声を出す彼女。その顔は思いのほか険しかったようで、その表情を見てしまった酔っ払いは、伸ばし掛けていた手を素直に引っ込めると、何事もなかったかのように足取りを帰路へと戻した。――猫はと言えば、もちろん、彼女の説教を素直に聞くわけでもなし。彼宛てのメモを口に銜えたまま、怒鳴ってくる彼女なんかもちろん避けて、夜の闇へと消え去り。
「……『あの子』は、私の飼い猫ではありませんけれど。――私がここに連れ込んだようなものですから。『できる範囲』で、お詫びはしたいとは思っております」
泥棒猫を視線で追うのは止め、相手に申し訳なさそうな表情を向けると、とりあえず、距離をゆっくり詰めていく。……なんとかかんとか、相手に言葉を返しながら。正直、相手と視線が交差する前から、なんだかくすぐったいような、寒いような……ともかく、背中がぞわぞわするような感触があった。聞こえてくる言葉が、冗談だろうが社交辞令だろうが、女の得意な種類ではなかったので。
「……ナンと言いますか――『手馴れた』ものね?」
ほんの少しだけでも、見るに値するような、つい続きをもっと見たくなるような相手の足取りを見届けると。困ったような微笑みを女は浮かべており。主語は不在で、何を指しているのかは曖昧。