2023/01/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 年始である。
新しい年を迎えて暫く時間が経過したが、口実が鮮度を失っていない内であるなら活用する者はどこにでもいる。
初売りセールだなんで売り込みをするのは、妖仙自身もしている事だし。
もう一つの最たる例が、宴の口実であろう。
王城主催の公式なものはとうに幕を下ろしていたが、何々王家主催だとか何処何処騎士団主催だなんてものは尽きず。
これでひと月ぐらいは、王城の広間の予定が埋まっているのではないかと危惧しないでもない。

「会場があるのに活用せんというのも困りものじゃろうが、そうとっぷりと正月気分に首まで浸かっておられる状況かは怪しいがのぅ。」

招待客の一人に、帝国由来の装束に袖を通したお子様がいる。
多少の緊張緩和と文物の流入で、装束そのものを目にする機会は増えているものの、やはり王国風の着飾った貴人たちの中では少し目立つ。
口元を扇子で隠しながらの呟きだったから、誰の耳に届かなかっただろうが、外征と内乱を抱えているのだからと。

「いや、趣向は儂好みな悪趣味っぷりじゃが、取引先が不渡りを出すかの瀬戸際を自覚しておるのか…」

王国の行く末を憂うような口振りでも、そんな殊勝さは持ち合わせていない快楽主義者だ。
いざとなれば、出し抜きに出し抜いて美味しい所を持っていく算段をすることに疑いはなく。
さて、整った顔立ちに生真面目そうな風情を漂わせながら、黒い瞳が追っているのは給仕の姿。
それなりの人数が集まっている広間だから、相応の数が居るのだけれど。
何故、どうして、こうにも――布面積が小さいのか。

ホウセン > 平民地区や貧民地区で見かけるような、乱痴気騒ぎという訳ではない。
脳味噌の中の原始的な部分を刺激するように、ズンドコズンドコ低周波の際立つ音楽が鼓膜を震わせるでなし。
きっと、超過勤務報酬を貰えてるのではないかという程度には引っ張りだこと推測される、演奏者たちが落ち着いた楽曲を奏でている。
樽から手酌で葡萄酒を掬ってがぶ飲みなんてことも無いし、卓上の料理を手掴みで貪り食うという場面も展開していない。
ガツガツと食に邁進する人が少な過ぎて、元から余裕をもって作られているらしい料理はたっぷりと余っている。
参加者たちも、”新年だ、ウェーイ!”みたいなのは見出すのが難しい。
上流階級という表現は、このちんまい人外の好まざるもの。
されど、彼ら彼女らを端的に表現するなら、これが一番しっくりきてしまう。
――だというのに、何となく品が無い。

「上っ面を取り繕い、さも欲なんぞありませんと澄まし面をしておきながら、本音が覗けてしまうのがのぅ。
誠に醜悪で、儂好みじゃ。」

口元を隠していた扇子を畳んで帯に挟み、壁際の花を気取っていた小さな身体をフロアの中央に進め。
途中で銀盆に飲み物を乗せた給仕に語り掛け、ショートグラスを一つ。
貴族子弟達のアンタッチャブルぶりに慣れているのか、年齢について触れられることもなく、薄い赤で満たされたものを手に。
離れ際に、子供らしく小さく手を振って微笑みかけると、相好を崩して手を振り返してもらえたのだが。

「……何じゃ、アレは。
兎を模した装束なら相応に目にしたことはあるが、何故に隠すべき所を隠しておらぬっ。」

世間で言うところの、逆バニースーツなる代物。
本来なら胴回りを隠して、手足を剥き出しにするものと相場が決まっているのに。
何故に胸の膨らみをどどーんっと曝け出して、先端部に星形のシールを貼っただけとかしているのかと。
いや、ここに集まった面々の欲を、パーテーションの裏側とか別室で晴らしてもらおうという趣旨は分かるが。

ホウセン > 嫌いじゃない。
こういう阿呆らしい、もとい少々突き抜けているものは嫌いじゃない。
慎みがどうとか、滲み出す色気とか、そういう侘び寂び的エロスが吹っ飛んでいるのは間違いないけれど。
温泉でしっぽり感を漂わせる匂わせとか、ハプニングや何気ない仕草に紛れるチラリズムがどうとか。
そういう情緒たっぷりなのも好ましいけれども。
嗚呼、いや、こう、口を強引に抉じ開けられて、ザバザバと脂と濃い味付けの料理を流し込まれるが如きものか。
後で胃薬が欲しいとか、ちょっと横になってるとか、そういうケアが必要になるのは目に見えているのに。
ふんふんと、感心したように小さな頭を縦に振って観察。
あ、そこにいる給仕の乳がデカいとか。
おぉ、そこを通り掛かった兎の尻が安産型で眼福だとか。
上から目線で評論していたのに、同じ穴の狢である。
即ち、助平だ。

「これはこれで、宴の中であれば馴染むものやもしれぬ。
どうせなら、明け透けな色気…の方が映えるであろうからな。」

これが奴隷市場でのパーティーであったり、好事家だけの催しならば陽キャエロス的なもので風情が吹っ飛ぶだとか。
目の保養と、ほっこり顔でグラスを傾けて、中身をくぴくぴ。
容量の小さなグラスだったから、セオリーどおりに酒精は強め。
多分に甘みがあり、柑橘系の風味と併せて度数の高さを隠した代物…となれば。
所謂、お持ち帰り用の酒ということなのだろう。
確かにこれだけの頭数が揃って、客人と給仕だけの組み合わせというのは選択肢に乏しい。

「然し、参加者同士で繰り返しシておったら、ひと月の内に穴兄弟やら竿姉妹で埋め尽くされてしまわんかのぅ…」

そんな要らん心配を呟くが、これもきっと誰の耳にも届かずに。
大丈夫、こんなお清楚詐欺の隠れ助平パーティーに顔を出す人間なんて限られている。
きっと大部分の常識的な皆々は、醜聞対策として身持ちはしっかりしている筈。
それか、口の堅い性産業従事者のお世話になっているか。
ふらっと軽い足取りで、今度は料理でも摘まもうかと卓に寄る姿は。
――稚い容姿を売りにした、そういうお仕事のお子様と見間違えられても仕方ない整い方をしているのだけれど。

ホウセン > 小さなシルエットが、きちんと礼節を保って食事に手を付けて。
異国情緒鵜があるといっても、王国流のマナーは心得ている模様。
もぐもぐと健啖家っぷりを示し、小腹を満たしたら…

「ちぃとばかり、儂も遊んでくるかのぅ。」

食欲の次は…という安直な行動原理を発揮しつつ、会場の中で一晩の相手を見繕うのだろう――

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からホウセンさんが去りました。