2022/11/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城:薔薇の庭園」にダークネスさんが現れました。
ダークネス > 辺りに広がるは濃密な甘い薔薇の香り。

王城にある中庭の一角。
王族の誰かが命じて作らせたのか、何時からあるかもわからない真紅の薔薇が咲き乱れ迷路のようになっている薔薇の庭園。

その茨の迷宮の入り口傍にある白亜のガゼボ。
茨の迷宮で疲れた者達を癒すため、或いは薔薇を愛でながらの茶会の為にテーブルや椅子が備え付けられている。

今宵は仕事がとんでもなくマズく、苛立ちと不満しか得るものが無く、少々不貞腐れ顔でそのガゼボにある白い鉄製の椅子に腰をかけ、同色のテーブルに両肘をついて頬杖をつき、苦味を噛み締めた表情を浮かべて、真紅の薔薇達を眺めていた。

「ないわ、この薔薇園を攻略したいから案内してくれはないわ。」

仕事は仕事と割り切るのは常日頃であるが此処に存在する薔薇達を愛でながら迷路を彷徨うのではなく、スタートからゴールである向こう側まで案内しろとか、無粋以外の何物でもなく、珍しく仕事をハッキリと断り、報酬の代わりに拳を頂いた。

吸血鬼なので当然殴られた痛みなどゼロに等しいが、それよりも何よりも薔薇を蔑ろにされ侮辱された事の方が心に痛い、不死者であるが痛いものは痛かった。

この薔薇園に咲く真紅の薔薇は香りも色も味も良い。
自分も腹黒さに自信はあったが、あそこまで腹黒いと眼も腐るのか曇るのか、全く持って心に余裕がない者は嫌になる。

ダークネス > 紅茶の一つでも持ち込めば良かったと、薔薇を愛でながら茶会はきっと楽しいだろうと、……次回はそうしよう。
真紅の薔薇と茨、吸血鬼は椅子から立ち上がると茨の迷路の中に姿を消す……出口は向こう側なのだ。

ご案内:「王都マグメール 王城:薔薇の庭園」からダークネスさんが去りました。