2022/11/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城地下書庫」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > 王城、地下の一室。
重い扉を開けば、かすかに冷気と、僅かに鼻につくインクの匂い。
いくつか存在する地下施設のうちの一つらしいそこは、数ある図書のうちでも主に宗教書がまとめられている区画。

ゆっくりと扉が開かれ、ふと以前のことを思い返して、闖入者が紛れ込まないように足元も一度照らして確認してから、扉を閉める。

「────……」

手にしている簡易の燭台の焔がちろりと揺れるのに視線を一度向ける。
頼りない灯りではあるが、場所的にカバーを外すわけにもいかない。
静かに歩を寄せると、扉の締まる重い音。
一度背後を振り返ってから、さして迷う様子はなく階段を降りると書架の間を歩んでゆく。

幾度か足を運んだ地下空間は収められているものの劣化を防ぐための術が張り巡らされている。
黴臭さは少ないが、少しひんやりとしている空気が肌を撫でる。


闇の中を、ゆらゆらと灯りだけが揺れ、修道女がゆっくりと移動していることを示す。
浮かび上がるのは、ウィンプルの白がほのかに。
物音はさほどなく、静寂をかすかにゆらす程度。
目的の書籍の在処を探るように時折立ち止まって、書籍の背表紙を灯りが舐めてゆく。

ご案内:「王都マグメール 王城地下書庫」にリュシアスさんが現れました。
リュシアス > 王城の地下書庫に繋がる重い扉。
先客である修道女の姿を招き入れてから暫くの時が過ぎ去った後、重々しい音色と共に其れは再び開かれる。
闇の中に浮かび上がる二つ目の明かり。其れは重い鉄靴の足音と伴って、階段を降りてゆくのだが。

「―――……む?誰か、其処に居るのか?」

その先で、暗闇に浮かび上がる一つ目の明かりにすぐさま気が付けば、男の声が地下の空間に木霊する。
鉄靴の足音はじりじりと慎重な足取りで先客が持つ明かりの元へ近付いてゆくと、
林立する書架の物陰から、自らの持つ明かりを突き出してその正体を目視せんとする。

マーシュ > 写本の為の、底本を探すための作業中。
入口の重い扉が開く音に気づかぬはずはない。
あまり人が来ない場所であるとも認識していたのだが────。

上がる誰何の声音に、一度背表紙から視線を外す。

はっきりとした声音、けれど聞き覚えはない。
そのことを認識しながら灯りの元に向き直ると一歩を踏み出す。

相手の明かりに照らし出されるのは、白布のウィンプルと、紺色の修道服をまとった修道女であることは知れるだろう。
ついでにこの書庫が、祭祀物の保存場所であることを相手が知っているのならば、そこに修道女がいたとしてもおかしくはないことも認識できるだろう。

「────」

向けられた灯りに僅かに眩し気にしつつ、静かに首を垂れた。
疚しいことをしているわけではない以上、特にへりくだる様子もなく。

リュシアス > 突き出した明かりの向こうに認めたのは、此方に対して静かに頭を垂れる女性の姿。
白布のウィンプルと紺色の修道服を纏ったその装いは、教会に仕える修道女のものに他ならない。
侵入者が変装している可能性もゼロでは無かったが――その確率は極めて低いと判断した。

「――――失礼。今晩は、修道女殿。このような夜更けに、写本のお勤めでしょうか。」

警戒の姿勢を解き、彼女の前へ姿を見せるように一歩踏み出してから深く腰を折って一礼する。
その手にした明かりを受けて鈍く光るのは白銀の軽鎧と、腰に帯びた剣の柄。
更によく見たならば、その脇に数冊の書物を抱えている様子が見て取れたかも知れない。