2022/08/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城『饗宴の広間』」にセレーナさんが現れました。
■セレーナ > 王城で行われているとある饗宴に招待されたのでやってきた宵闇の令嬢。
特に高位の王族だけのような格式ばったものではなくて、ある程度知己があれば参加できるような気やすい感じのものらしい。
最初に一通り挨拶回りをした後で、夜の窓際に椅子を置いてそこでワイングラスを一人くゆらせている。
いちいち室内を回って色んな相手に愛想を売るのは正直面倒くさい。
来たものを邪険にするつもりはないが、自分から回るつもりはありません、と言った雰囲気がありありと。
己を呼んだ理由は知っているもの相手であれば箔付け、そうでなければ花の一輪としての役割と知っているからこそ、最低限、ワインだけあればよい己は、見事なまでに壁の花になっていた。
■セレーナ > この場には色々な人間が集まっている。人間ではないものも集まってはいるが。
数がいれば興味を惹かれる相手が少し入るかもしれないが、今のところは特に見つからない。
ワインを傾けて、ちょうどグラスが1つ干される。
暫し周囲を見渡して、目が合った給仕に向けてグラスを掲げ軽く振る。
そうしていれば程なく赤ワインが満たされたグラスがまたやってくるだろう。
改めて、どこか己が興味を示すような相手がいないかと見渡しつつグラスを傾けた。
ご案内:「王都マグメール 王城『饗宴の広間』」にセリアスさんが現れました。
■セリアス > 知人の貴族に連れ合いにと誘われた宴。
呼ばれてきてみれば、特に此方と他の参加者の縁を繋いでくれるわけでもなく。
あちらこちらと、一人で挨拶回りや、見知った令嬢なりに顔つなぎをしはじめる。
参加者の中にいくらか知己もいたが、それぞれ忙しなくしている。
ゆえに挨拶程度の会話しかできず、すぐに手持無沙汰になってしまった。
そうしていれば、声をかけられるのは、貴族らしからぬ己の恰好を見て給仕を頼むような言葉。
自分は小間使いではないのだと説明を幾度したか、僅かに息を吐いて。
少なくとも、もう少し場が落ち着くなりするまでは。
自分も適当に宴の華を視線で愛でるしかないだろうかなと、本物の給仕からシャンパンを受け取り。
「……ああ、失礼。少し、お傍に控えてもよろしいでしょうか、お嬢様?」
周囲の一部の貴族が、明らかにただの令嬢に向けるものとは違う視線を送っている女性を見つけ。
彼女の傍であれば、他からの声はかかりにくそうかと。
ついでに、目の保養もできそうでもあるかと、近付いていけば。
僅かに視線を伏せ礼を送りながらに伺いを立ててみる。
■セレーナ > 暫しそうしていれば、かけられる声。
多少視界の端で追っていた相手である事を認知すれば、その姿を上から下まで値踏みするように見やってから。
「……ええ、どうぞ。ただ、立っていられると私が落ち着かないから、椅子を持ってきて腰かけることが条件ですけど」
無論、自分が椅子を持ってくるつもりもなければ、給仕に頼んで持ってこさせるつもりもない。
目の前の男がどう動くかでどういう相手なのかも理解できるという心算。
周囲の者が宵闇の令嬢に向けている視線は多種多様。
好奇、畏怖、興味などが多いだろうか。
そういう『当たり前』の事をしてこなかったがために、目の前の男は第一審査は合格、と言った所なのだろう。
■セリアス > 此方を値踏みする視線。
それは、男の方も先ほど彼女に向けたものでもあるから不躾とも捉えず。
むしろまた、給仕扱いをされたらどうするか等と、益体も無いことを考えつつ。
「ぉや、良かった。 …ぃえ此方のお話で。 ああ、そうですねぇ。では少し、失礼しまして」
取り敢えずは、小間使い風情が、とあしらわれることは無かったことに安堵の吐息と。
思わず言葉にまで漏れたことを誤魔化しながら。
僅かに視線を巡らせて、周囲の邪魔にならなさそうな個所の椅子を、一脚。
僅かな奇異の目を気にもせずそろりと持ち運んでくれば、
互いの間に窓が来るような位置にと椅子を置き、彼女の対面になるように向けて腰掛けた。
ようやく落ち着いて過ごせそうだというように、細く息を吐いて。
許可をくれた令嬢に向け、へらりと。緩んだ笑みを見せつつ、金糸を揺らしながらまた僅かに頭を下げて、一礼した。
■セレーナ > 自ら動いて椅子を持ってくる男。
持ってくる場所を先読みした上で、周囲に気を遣うような様相。
横並びではなくて、対面に置き腰かける様子。
最後に向けてきた笑みの種類。
「……芸人か、商家か。そこまで口は巧くなさそうだったし、商家と言った所?」
まるで占いでもしているかのように紡がれる言葉。
最初に声をかけられたときから今まで、一貫して面倒くさそうな雰囲気は隠さないけれど、少なくとも会話に付き合う気はあるらしく
「それにしても、私の近くに来るなんて珍しい御仁ね。大抵は遠巻きに見ているだけだと言うのに」
右手にグラスを持ち、左手で手すりに肘をついてその手に顎を乗せる仕草のままに言の葉を紡いだ。
■セリアス > 自身の生業に思い当ったような言葉。
此方の所作やらから、それを導き出したらしいことに、ゆっくり頭を上げれば赤い瞳を幾度か瞬かせる。
「ええ、そのとおりです。卑しき身ではありますが、己を紹介することをお許しくださいな。
セリアス・ストリングス。ストリングス商会の会頭をしております。ご用命があれば、なんなりと」
恭しく、グラスを持たない方の手を胸元に添えて。
頭を上げた時よりも益々ゆっくりと。けれど、慣れた風に礼を向ける。
そうして、頭を元に戻すまでに、ちらりと彼女の脚元からその黒い瞳までを視線でなぞり。
「故に、ですよ。こちらでしたら、お嬢様にのみ気を向けていればよさそうでしたので」
そう言ってグラスを口元に寄せ、シャンパンで唇を濡らす。
彼女を利用したというような言葉だが、特に悪びれたふうもなく。
令嬢らしからぬ相手の様子も気にする風は無く――ただ、ちらちらと。
他の令嬢らよりも飾りの多い手の込んだ珍しい衣装であったり。
白磁の肌や、黒く艶めかしい髪。
そうして、布地の多いドレスでも隠せぬ女性らしさを主張するような姿を、眺めてもいて。
■セレーナ > 「己の生業をもって卑しいなどと言うものでないわ。
セリアス、ね。よろしく。
けれど、入用なものは恐らくないわね。
私達は、だいたいのものを自給しているので」
細かく理由を説明するつもりもないが、自給しているというのはおおよそ誤りではない。
その『自給」の中に狩りも含まれるが、それはあえて言わず。
ワインを今一度口にしてから、悪びれず利用したと言ってのける様に口元が弧に歪む。
「そういう正直なのは嫌いじゃないわ。
私にデメリットがあるのなら手打ちにでもしてもらう所だけれど、
特にデメリットは無く、寧ろ楽しみを提供した。
そこは褒めて差し上げるけれど……」
セリアスの視線の意味に気が付けば、グラスを持ち替えて肘をつく手も入れ替え、足を組みかえて見せる。
気付いているぞ、と言うかのように。
ただ、その表情はどこか遊んでいるようにも見えるだろう。
■セリアス > 窘めるような言葉を聞けば、僅かに口端を持ち上げる。
見つけた時からではあるが他の一般的な貴族とは、立ち振る舞いだけでなく考え方も違うらしい。
金貨に阿る卑しき職業とは言わない彼女を好ましく思いながら。
「それは残念。お嬢様のような方とこそ、ご縁を結びたいところですがねぇ。ま、入り用があれば、で」
彼女のようなと零したのは、周囲の貴族からも一目置かれる存在と、初見でも解るほどだからか。
それとも単純に秀麗な女性との縁を望ましいと思ってからか。
彼女が身体を動かす。そのたびにドレスの内の肢体がうごめくのを、気付かれているのを承知で見やるのだから、
商人としてより男自身の興味で縁を望んでいるのも解ろうもの。
事実、玩具を見つけたような表情を見て、瞳を細めて見せ。
「楽しんでいただけているなら、望外ですねぇ。
出来る限りで、双方にメリットのある時間にしたいところです……お名前を、頂戴しても?」
男の方は、周囲の干渉を防げて、しかも会話が彼女相手の時点でメリットを享受しており。
相手も退屈していないなら言葉通りの望外というところ。
故にもう少しこの時間を楽しもうと、名を欲しながら。
グラスを合わせようと、己のシャンパンの入ったそれを軽く差し出す。
■セレーナ > 一目置かれている理由も特殊ではあるものの、貴族達は自分達のプライドのためにいつ事は無いだろうし、
女はそれを語ることが面倒くさいのでいう事もない。
ならば、一目置かれている以外の反応は無いだろう。
商人としての縁については口の端軽くあげる程度に反応しつつ、
己が分かっていると示した動きにもさらに食いつくような反応に小さく声をあげて笑い
「……セレーナ。セレーナ=トレメールよ」
己の名を氏族名を含めて口にした。
知っているものならば知っていようし、知らずとも名前だとは認識するだろう。
少なくとも、貴族として知られる名義ではない事は知れるだろうけれど。
そして、乾杯の仕草を向けてくれば、グラスの位置を動かすことなく視線のみ向けて告げる。
「打杯を許可するわ。そちらから、当てなさい」
■セリアス > 窘められたり、無礼打ちとまでになりそうなら、態度を変えるつもりはあったが。
男の不躾とも言える視線を受けても、楽しむように四肢を動かす彼女であるから。
遠慮も無く、布地がまとわりついても隠せぬその女性らしい身体へ赤い視線を滑らせつつ。
それを、笑われるほどとは思わず、黒い彼女の瞳に視線を向け直しもしたけれど。
名を聞いて、それに答えたことも、珍しいことなのか。
周囲で密やかに、こちらを窺うような声と、視線が向けられる。
違う意味で、目立ってしまったかと思うも――彼女との縁が、優先と。些事は捨て置いて。
「御名を賜り、光栄ですよレディ・セレーナ」
胡散臭いほど、にこやかに笑んでそう告げて。ゆっくりと、グラスを寄せる。
彼女の氏族名は聞いたことがあるが、逆に言えば半ば不文律のように、その名以外の詳細を聞くことは無かった。
自身の興味心を擽られるも、ゆっくり、丁寧にと。
今、寄せる杯と同じく、己と彼女の距離も、測っていく必要がある。
彼女のグラスに、己のグラスの高さを僅かに下げて。
恭しく、丁寧に当てる。
渇いた音は、先ず一つ、縁を繋げたことの証となるだろうか。
■セレーナ > 「知っていると伝えてもさらに見てくる。
不躾ではあるけれど、欲望に正直なのは嫌いじゃないわ。
……それがどんな結果を生むかはともかくとしてね」
含み笑いを溢しつつそんな言葉を紡いで見せれば、
ゆっくりとグラスを干していく。
「……自ら名乗ったのはいつぶりかしらね。
ま、そういう事もあるでしょう」
名乗る事への周囲の反応にそんな返事を返しつついれば
興味の視線を向けていた一団から嘆息にも似た声が漏れるか。
果敢な動きは賞賛されるべきもの。その結論がどうあるにせよ。
打ち合わされるグラスが響かせるかすかな音に目を細めれば。
「今宵、1つ縁が紡がれた。とはいえ、この縁がどう伸びていくのかは、貴方の運命と運による事でしょうね。
なぜなら……私はそろそろお暇するからよ。」
時計を見やれば口元微かな笑みを浮かべた。
元々日が変わる前までには辞するつもりだったが故に、タイムリミットと。
とはいえ、縁が紡がれたことに相違はない。
これがどこまで続いていくのか、それはまた、別の物語となるだろう。
ワインを干したグラスを、セリアスの空いている手に持たせれば、好きに使いなさい、と含み笑いを溢して告げて。
ひらり、片手を一度振れば、そのまま会場を辞していく。
その場残された男がどうなるかは場の状況次第だが、あえて突っ込んだことで逆にこの場のメンバーからは一目置かれたかもしれない。
ご案内:「王都マグメール 王城『饗宴の広間』」からセレーナさんが去りました。
■セリアス > 渡されたグラスを指の先でくるりと回しつつ、去っていく相手の背を見送る。
好きに使え、と言われはしたが。体よく片付けるように申し付けられただけ。
物は言い様だと思いながらも、自分もグラスに残ったシャンパンを飲み干した。
そうして空いたグラスを二つ、傍の給仕を手招いて渡しては、時計を見て連れを探しに行こうかと思ったが。
今宵は一人で、彼女との時間の余韻を楽しもうと決めた。
周囲からの視線は様々な意を持って向けられていたが、それをするりと躱して会場を後にしていく。
脳裏に残る黒い面影に、さて、次の縁はあるものかと楽し気に口端を引き上げながら。
ご案内:「王都マグメール 王城『饗宴の広間』」からセリアスさんが去りました。