2022/01/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 裏門」にイファさんが現れました。
イファ > 冷えた夜、真っ黒な帳が降りた空に白い月が寒々しく昇る。
時折吹く風は刺すように冷たい。
こんな日、動かずにいる外の仕事ほど気の滅入ることはない。
王都の城門で、番兵にあたる仕事などはその類の一つだろう。
高くそびえる城壁に設えられた門の内、『裏門』とされる場所では今宵その番兵らしき影がひとつ。
どうやら正規兵ではないようで王国のシンボルなど身に付けてはいないが、全身鎧姿でじっと門の傍らに佇んでいる。

「――――…」

鉄兜の合間から時折白い靄が昇って漸く、中身に生きたものが居ると知れる。それ程に動かずにいながら、辺り一帯冷え切った空気と同じくらい、意識が張り巡らされていた。
―――覚えのある者が通りがかればそう感じたろうが
市井の市民であればただ、不気味に全身鎧が居るだけとしか思われなかったろう。

(…割のいい仕事とは言えないかもしれない)

鉄兜の奥から、視線をすこし細めて女は思う。
戦で駆り出されている正規兵の臨時だという、只の番兵としては破格の依頼金額だったが…退屈すぎる。

イファ > 人生の内、戦場を駆ける時間のほうが多かったせいもあるだろう。身体を動かさずに居ながら気を張るのに、些か余計な力を使っているようだった。
それはそれで精進のしがいがある、と言えなくはないが
今の季節、この場所で、改めて習得に努めたいとは言い難い気分だ。

見つめる鍋は煮えないという。
通りを隔てて富裕地区の街並みの中から、興味の惹かれたモノを数えたりしていたが、すぐに飽いてまた鉄兜から白く霞が昇る。

女は途中、犬や猫がやってきたのを構ったりしながら時間をやり過ごし
夜明けの日差しとともにやってくるはずの交代員を待ちわびる…

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 裏門」からイファさんが去りました。