2022/01/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 王族の居城というだけではなく、行政庁や軍事的拠点という雑多な用途も内包している巨大建造物。
その”その他”の性質の中には、研究機関としてのものも存在している。
王立私立を問わず研究施設は王都の其処彼処に見受けられるものの、秘匿性が高いものは王城内が核となっていることが間々あるらしい。
例えば、軍事的なものであるとか、醜聞に繋がるものであるとか。
目下、その二つを兼ね備えた研究が推し進められている地下区画に、小さな妖仙の姿はあった。
「無沙汰をしておる…というには、さして間は空いておらんか。
年始の宴以来であるからのぅ。
故に、冗長な挨拶は省かせてもらった方が良いじゃろうな。」
城の上物を支える為に、地下空間は石造りと相場が決まっている。
内装を整えているにしても、魔法仕掛けの暖房が行き届いているとしても、やや湿度を感じるのはそのせいやもしれぬ。
――この応接エリアの先、実験場で行われている彼是を別にしても。
「伯からあらましは聞いておる。
アスピダ攻略…いや、鎮圧か。
あまり芳しくないようじゃな。」
研究所の管理職たる中年男に促されるまま、ぽふっと革張りのソファに体を沈ませて。
身分だけを口にして個人名を伏せるのは、ある種の配慮。
お互いに同じ人物を思い描いているから、会話に支障はあるまい。
共通の知人とは、城塞都市の鎮圧の命を受けている貴族の一人だ。
■ホウセン > 茶飲み話ではなく、ことは密談に類する。
ここで何が行われているかを知る者は、さして多くない。
腐敗した国家において、緘口令というものがどこまで実直に守られるかは兎も角、表向きにされている事柄ではないから。
内乱の鎮圧に手こずっているという王国の意向に関すること、事態の打破の為に魔導機械の増強に力を入れていること、その”動力源”確保のためにしていること。
…改造や開発されたものが、内乱鎮圧後に対外戦争に配備されること。
だというのに、自ら称するところ一介の商人、それも傍から見る限り子供にしか見えぬ風体の者が知っているというのは違和感があろうが。
「伯の仲介という事であれば、儂としても否は無い。
そも、お主と知らぬ仲でもないしのぅ。
用立てるものについては、お主から直接聞くように言われておる故、要求があるなら言うがよい。」
この先で何が行われているかを知っていても、人形めいて整った顔を小動もさせずに淡々と商談に切り込む。
否、表情自体には微妙な動きがあり、それを最大限拡大したなら、”暇つぶしのタネを見つけた愉悦”だっただろうか。
有力貴族から直々に声が掛けられたのには理由がある。
「嗚呼、そのようなものはそれこそ如何様にも。
王国で使うておるモノと悪い方に干渉せぬようにすれば良いのじゃな。
逆に、併用することで効能が増進するものを選ぶとしよう。」
一つは、帝国との流通ルートを持っており、かの国の文物を取り扱うことができるという点。
もう一つは、王国外の薬学に精通しているという触れ込みがあり、その智慧を求められているという点。
管理職から求められたのは、ある種の薬物。
性的な高揚と感覚器の鋭敏化、理性的抑制の減退と体力の回復。
一言で言えば、媚薬の類だ。
更なる理由について、目の前の中年男が知っているかは不明瞭ではあるけれども。
■ホウセン > ”効率的な魔力の収集”という、研究におけるインフラの整備。
言葉遊びの範疇ではあるものの、上っ面を糊塗した表現を用いるとそうなる。
実際に行われているのは、捕獲した被迫害種族を性的に凌辱し、蹂躙し、内包する生気を絶頂を機として搾取しているのだが。
妖仙は、ことの是非について語る舌を持たない。
人倫を語る輩でもないし、それらを遊興のタネと認識する性情であるが故に。
「急ぎじゃな?その辺りは言わずとも分かっておるから、安心せい。
試作先行ということで、少量であれば一両日中には届けられるじゃろう。
追って、まとまった量を用立てようぞ。」
市井の者に声が掛けられる段階だ。
事態が相応に切羽詰まっている――少なくとも依頼主垂貴族にとって――のは、さして考えずとも察せる。
法外な早期納入は、それを汲んでのもの。
されども、都合よく使われるのを善しとしない。
「尤も、量が増えれば用意に時間がかかるのは必定。
儂が身を粉にしてせねばならぬ訳じゃから、気力が充実しておるに越したことはないじゃろうな。」
即ち、後発分の納期を早めるなら、何か利益を寄こせという婉曲な表明。
贈賄収賄が横行している王国なら、特に珍しいことでもあるまい。
そして、そのような土壌で一応の立場にいる研究員が、その手の流儀を知らない筈は無い。
『用意している』との答えは、間髪を置かず投げ返されたが、果たして。
”接待役”の提供か、はたまた確保しているミレー族の奴隷の横流しか、分かり易く金銭か。
小さな商人に提供されたものは――