2021/06/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
王城で開催される華美で豪奢で――下賤な、夜会。
今宵も、王侯貴族達が引き連れた奴隷や女中を品定めしながら、下卑た笑みを零している。
そんな夜会の中で、にこやかに笑みを振りまきつつバルコニーに逃げ出した少年が一人。
別にこの夜会が嫌になったとか、そういうわけではない。
ちょっと飲み過ぎてしまって…風に当たりたくなったのだ。
「……深酒は控えるべきかな。私も、肉体年齢はまだ子供と言って差し支えない年齢なのだし…」
くぁ、と小さく欠伸を零しつつ。
会場から漏れる夜会の嬌声に苦笑いしながら、懐から取り出した煙草に火を付けた。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にウォーターホースさんが現れました。
■ウォーターホース > 建物のなかでのさざめき。衣擦れ。そのようなものからは最初から離れて、遠巻きに見詰める少女。
噴水の縁に座って水に濡れた薄桃色の服を乾かし、裸足の足をおろして。
不意。バルコニーは二階かしら。そこへ現れた少年の姿へ目を留める。長い髪を肩の上へこぼし、首を傾げながら様子へ見入る。距離としては、すぐ正面の目下で、声が届く場所にいるから、会話をするとしても十分だろう。
夜風が涼しく肌を撫でて、今は温度の低い体温をさらに心地よく冷やしてゆくかのようで。
眩く妖しげな夜灯りに照らされながら、唇を少し開き、目をぱちぱちと瞬いた。
「……… ………。」
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
紫煙の行先をぼんやりと目で追い掛けて、消え行く白煙を眺めていれば。
夜の帳も掻き消す王城の灯が照らす噴水に、腰掛ける少女の姿。
見た目や服装は…どう見ても、夜会の参加者という様子ではない。
しかし城に迷い込んだにしては、やけに堂々としている。
「……夏も近い季節とはいえ、そんなところに居ては躰を冷やすのではないかね?」
己の真下。ブラウンの長い髪を垂らした少女に声をかける。
夜会の最中とはいえ、部屋の喧騒は窓と距離が遮っている。
此方が投げかける声も。少女の言葉も。
御互いに言葉を交わす程度なら、問題無いだろう。
瞳を瞬かせる少女に、僅かに首を傾げながら。
それでも尊大な声色で言葉を投げかける。
■ウォーターホース > 自分は水の中を伝って急に現れたのだから、門番にあれこれ言われたりはしていない。
楽しげにダンスを踊る夜会の参加者を、目を細めて羨ましげに眺めるのみ。それが乱れた種類のものであることは十分承知。
「あら。大丈夫。ご心配には及ばないわ。…それとも、近くへ行ったほうがよいのかしら。」
声をかけられて、かけられたことへ少しだけ驚いて。目を少し丸くして、左手の指さきをピンと伸ばして口の近くへ寄せ。足を揺らして地面へつま先をつける。
着飾った夜会の参加者は、いずれも女性は豪奢なドレスを身に着けていて、仮に自分がその渦中へ飛び込んでいったとしたら、目立つことこの上ないだろう。
薄物を体へ巻きつけて軽くとめただけの服。決して怖気づきはしないが、少し躊躇する素振りは見せて、噴水から今はまだ降りようとはせず。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
少しだけ驚いた様な表情を見せた後、此方へ言葉を返す少女。
そんな少女の様子をじっと眺めながら、小さく首を振る。
「それには及ばぬ。どうせ私も、愛想笑いを続けるには疲れていたところだ」
と、動きにくい豪奢な礼服の儘、ひらりと手摺を乗り越えて――少女の元へ、飛び降りた。
種も仕掛けも…無いとは言わない。まあ、肉体強化の魔術を少し使っただけ。
もっと高さがあったら、怪我はしなくとも綺麗に着地は出来ていなかっただろう。
「……っと、やはり身軽には動けぬな。
さて、名も知らぬ少女。或いは侵入者。この城を、あの夜会を眺めるのは別に構わんが…眺めていたところで、気分の良い代物でも無い。
そもそもそんな服装では……まあ、上の連中の慰み者にされるのが精々だろうよ」
咥えていた儘の煙草から紫煙を吐き出そうとして――少女の近くでは、と思ったのか握り潰してシガーケースに収めた。
そんな少年は、未だ噴水に居座る少女に興味と好奇神を抱いた様な瞳を向けながら、可笑しそうに笑ってみせるのだろうか。
■ウォーターホース > 「ふふ。愛想もあまり頻繁だとね。」
少し興味を引くところがあったのか、それとも同感を覚えたか、明らかにはせず、目を細めてくすくすと笑って。
眉を下げ、肩と顎を斜めへ引いて。
こちらへ軽い身のこなしで飛び降りてくる、魔法を使ったことまではわからないから、単純にすごいと小さく両手を叩いて喜んでいよう。自分も噴水から降りて、彼の近くへ裸足で歩いていこう。
「名前のわからない誰かさん。私は罪を重ねて侵入したわけではないわ。すみかに纏わる場所がここにあっただけということよ。
気分がよくないの?熱は、ないかしら。
珍しい格好だと見られるでしょうね。人のために役に立つことは、必ずしもいいことばかりではないと知っているわ。」
彼の顔色を気にしながら。慌てる様子も、変に必要以上に気遣った素振りも見せずに。
煙草のことは何も言わないけれど、自分は子供ではないと、背筋を伸ばし薄い胸を張ってみせながら、上にいたときより小さく見える少年を不思議そうに眺めて。
■ウォーターホース > 「ウォーターホース。」
名を聞かれたのかなと、今理解して答え。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
向かい合ってみれば、自分より少し背の高い少女。
顔立ちや仕草は自分と同じくらいか、少し幼いくらいにも見えなくはないのだが。
兎にも角にも、噴水から此方へ歩み寄る少女を眺めながら、浮かべるのは小さな苦笑い。
「別に此処に居る事を咎めたりはせぬ。それを防ぐのは衛兵の務めであるし、害を及ぼす者でなければ私も特段気にはしない。
……ああ、気分の良いものではないとはそういう意味では……いや、まあ、いいか。面白くない、というだけだ。
珍しい、というよりも。誰ぞの連れ込んだ娼婦か奴隷かと思われる、というだけだ。
一枚布を剥けば裸体になる様な姿では、どうぞ慰み物にしてくださいと言わんばかり故な」
胸を張りながら不思議そうな視線を向ける少女。
そんな無垢にすら見える少女が誰かの連れ込んだ娼婦や奴隷とも思い辛い。
迷子の類かな、なんて思っていたが――
「……ウォーターホース?珍しい名だな。名前、というよりは種族の名前の様だ。
私はギュンター。ギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。
長い名故、好きに呼ぶと良い」
きちんと名乗りを上げた少女に応える様に此方も名を名乗る。
人間らしからぬ少女の名前に、今度は此方が不思議そうな表情を浮かべるのだろう。
■ウォーターホース > 貴族や王族に囲まれて育った彼は、体は大人のものではないものの、田舎者の自分より大人びて見える。
「ありがとう。
ふふ。どこも悪くなくてよかった。面白くないのはわかるわ。わたしは、見ているだけだけれど。
服は飾り。どれだけ奇麗なお召し物を纏っていても、裸にするのは容易いことよ。
でも、わたしの格好が、人の欲望を煽るのであれば、今謝るべきかしら?」
人差し指を立てて、自分の頬と唇の間へ軽く押し当てて、首を傾げ。湿った髪が肩のうえでさらさらと流れる。肘が胸の先をかるく圧し潰すのも、自然な所作のうちで行われ。
目の前に降りてきた彼が、上に居る貴族たちと違う気分なのは理解できたが、今自分がその服装で誘惑しているとも限らず、顎を引いて探るような上目遣いでその顔を見て。
「位が高いお人は長いお名前をもっているわ。
ホーレルさん。ありがとう。教えてくれて。
わたしは、水の精霊。」
服の裾を右の指先で少しだけ持ち上げて、人の挨拶の真似事をして。頭を軽く下げよう。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「謝る必要は無い。貴様がどの様な衣服を纏おうが、それは貴様の自由だからな。
唯、そんな恰好で此の城をうろついていれば、どこぞの貴族に連れ去られ、犯されても文句は言えぬ…というだけだからな」
小さく肩を竦めて少女の言葉に答える。
実際自分とて、何も知らない儘で少女が上の夜会に紛れ込んでいたら。
…まあ、手を出したのかも知れないのだし。
薄布一枚を蔓で止めて、此方を見上げる少女の姿は…確かに、男の劣情を煽るものであった。
「……水の、精霊?
……成程、道理で衛兵にも捕まらぬ訳だ。納得がいったよ。
それで?精霊様は、一体何用でこんな場所へ訪れたのかな。
此処にあるのは、ヒトの欲望と煌きだけ。
清廉な水も、清らかな人も。何も存在しない場所なのに」
少女の正体に、へえ、と驚いた様な声色。
しかし、直ぐにそれは再び好奇心の混じったものに変わり、コツリ、と革靴の足音を響かせて少女に近付く。
そのままゆっくりと。少女の頬を撫でようと腕を伸ばすが――
■ウォーターホース > 「男は知らないわけではないから、なにも問題はないわ。気分が乗らないときに躱す方法を知らないほど、子供でもないもの。」
笑いもせずに。口調だけはやわらかに、言葉を紡ぎ。
夜会を遠巻きに眺めていたのは直接関わろうとしなかったから。
彼が気紛れに寄越す目線を穏やかに見返して。足首を片方持ち上げて、裾の下、つま先で緩く地面を叩いた。逃げはせぬ。
「様だなんて。けっこうよ。
わたしはそれを見ていただけ。風に吹かれていたあなたも例外じゃないのね。」
伸ばされた腕を絡めとり、水の温度を漂う精霊の割りにはかなりあたたかである両手の平を這わせて、自分から頬へと誘い込むようにして、その手を軽く握ろう。
瞳は俯いて近くを見ている。きらきらと揺れる水に反射した明かりが煌めいて、水の深淵めいて深い眼に映る。
それ以上のことはこちらはしない。ゆるゆると鼻から吹いた息が掌に当たり。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「おや、精霊様は既に男を知っていたか。であれば、此れ以上の忠告も無用であろう。
躱す方法を知り得るのならば、後は衛兵に見つからぬ様に好きにすれば良い」
少女を無理に城の外に出す程に規律に厳しい訳でも無ければ、男達から護ってやるほどお人好しでもない。
少女の望む儘に、気の向くままにすれば良い、と告げる高慢な言葉。
「……そうかね。では…まあ、適当に呼ばせて貰おう。
ふむ?当然だとも。私とて唯の男。権力を振り翳して、女を抱く傲慢な王族に過ぎぬよ。
それとも、私が聖人君子か何かに見えるかな?」
頬に誘われる掌。握られるその手は、少女の暖かさを確かに感じていた。
こうやって会話を交わしていても、その神秘的な様は確かにヒトならざるもので。少女が精霊だ、という実感を強く抱く。
だからこそ――少年は、あと一歩だけ近付いて、腕を伸ばす。
少女の腰に手を伸ばし、此方に抱き寄せようとする。
尤も、その動きは緩慢なものだ。少女の言葉通り、正しく躱すには容易な、戯れの様な動作。
■ウォーターホース > 「わかっているわ。」
嫌味も何もない、高慢な言葉を聞いて、少し安心したように、目蓋を伏せて。
「富や権力は、わたしの前ではあまり役には立たないわ。」
くすくすと、また罪なく笑ってみせる。
彼が年若くて、同じような背丈であるから、親しみが沸いて。今すぐに離れてゆく気分にはならなかった。
水から上がり、夜が齎す衣擦れの気配にかすかな興奮を覚えていた体が、彼の体温を感じて高まりを覚えなかったと言うと嘘になる。しかしそれも、その少年の大人よりも細い腕が惜しいと思わせる要因の一つでしかなく。
腰へ伸びてきた腕を振り払わずに、首を傾げて少年を見ながら、引き寄せる動作にあわせて足が前へと進み、彼の体と自分の体はくっついて。
掴んでいた腕を離して、その頬を両手で包み込み、挨拶めいて彼の唇へキスをしよう。触れるだけ。けれども仕草だけは情熱的に、閉じた唇の端と端までを合わせて、少しの時間をかけて。
「おやすみなさい?」
彼の瞳を乾いた瞳で見詰めて微笑んで、それから軽く身を捩って腕から抜け出し離れてゆこう。噴水の中へと腕から静かに飛び込んだら、そのまま水に溶けてどこかへと。
朝の清々しい空気と光が、庭園を彩って。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
抱き寄せる腕も拒否されず、少女と間近で向かい合う。
「……フン。私には他に誇るものも無い。でなければ、唯のひ弱な子供に過ぎぬからな。
だから、人は富や権力で我が身を飾り立てる。私も、それは同じさ」
少女が清流の清らかさを持つなら、自分は差し詰め汚泥だろうか。
そんな取り留めのない事を考えていれば――頬を包まれる感触と、重なり合う唇。
精霊も、ヒトと同じ様に柔らかい唇なんだな…なんて。
突然の出来事に追い付かない思考が考えていたのは、そんなこと。
重なった唇が離れれば、一瞬だけ二人を繋いでいた薄く細い唾液の糸が、灯りに照らされて、消える。
「……ああ、おやすみ。……いや、もう、朝方か。
良い一日を、良い水の中で過ごすと良い。此の城は、きっとお前が過ごすには穢れに満ちている」
微笑んで、噴水に飛び込んで消えた少女。
そんな少女をぼんやりと見送りながら呟いた言葉は、もう独り言の様なものだろうか。
庭園を鮮やかに照らす朝日も、清らかな空気も。己には些か眩し過ぎる。
少女の飛び込んだ噴水を眺めて、ほんの一瞬だけくすりと微笑むと。
少年は王族としての仮面と威厳を整えて、再び王城の中へと――
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からウォーターホースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。