2020/08/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」に小藍さんが現れました。
■小藍 > 華やかな王城の一画
今宵もどこかの貴族が主催した宴が催され、絢爛華美な装いに身を包んだ紳士淑女の皆様が歌い踊っている。
連日連夜と続くそれは、初めのうちこそ、この国の栄華の様を見るようではあったけれど、
変わり映えもせずに同じことを繰り返すばかりの貴族たちに疑念を抱くようになるまで、そうは掛からない。
しかも、ひとつ壁を隔てた向こうでは、乱交パーティーと化してしまっているのだから、
この国の貴族はどれだけ腐敗しきっているのかと、余所者であっても心配してしまうほど。
できるだけ事前に情報収集に奔走して、怪し気な宴には主を参加させないように根回しをしているのだけれど、
思い通りに事が運ばないのが、政の世の習わしであり。
どうしても断り切れない伝手からの招待に、主だった貴族への挨拶だけを終えると、早々にその場を辞してもらった。
きちんと顔だけは見せたのだから、後から文句を言われることはないだろう。
けれど、それで事が済むのは帝国公主という立場のある主だけ。
付き添いの侍女が他にいる以上は、当然に自分のような若い女は引き留められてしまうわけで。
「―――いえ、まだ仕事がありますので、お酒は遠慮させていただきます」
丁寧ながらも、きっぱりと断っているにもかかわらず、馴れ馴れしい態度の貴族たちが甘味に惹かれた虫のように集ってくる。
内心、辟易としながら、それは表情に出さないようにして、抜けられないのであれば、せめて何か情報でも落としてくれないかと、
面白くも何もない自慢話に当たり障りのない相槌だけを機械的に返していて。
■小藍 > そして夜は更けていき。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」から小藍さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > 王城1F 城内訓練場
城内にははっきりと言えば用と呼べるものはない。
魔導機械とミレー族の関係や陰湿な城内派閥の争いなどにも興味はない。
メイラが跪く相手は王唯一人。
故に訓練場では珍しくメイラは魔獣の革鎧という姿でいた。
ギチリと革のベルトやフックで固定された、蛇腹状の動きやすい袖なし鎧と腕、脚に備わる当て。
手には禍々しいと呼べる内側に反り返った身幅のある鉈のような剣を携える。
刃がつぶれていようとも実戦武装に変わりはない。
目の前にいる相手もまた屈強な騎士ながら、訓練場内では激しく剣の花が咲いていた。
「―――っ!」
鉄の悲鳴 剣の花。
武器同士が打ち鳴らしてできる鉄粉が燃え散る火花。
それを剣花と呼ぶらしい。
しかしそんな表現も、撃ち合う二人には死出の花にしかならない。
剣術と呼べるものを詰み上げ打ち鳴らす屈強な騎士の両刃剣。
メイラの本能で打ち返してると呼べるような出鱈目な剣筋の鉈剣。
まるで魔獣と騎士が相対しているかのような訓練だった。
陰湿な、淫蕩な城内の空気はここだけは違う。
剛剣と剛剣のぶつかり合いだ。
人と獣の剣が放ち合うそれは、互いに打ち放つ横薙ぎの一撃で距離を取り合う。
「―――は ぁ ぁ ぁ ぁ 。
楽しい、楽しいですわ。武器同士の音というものも、悪くないものですわね。」
メイラに武器への愛着はない。
四肢による打撃を得意とする変わり種故。
令嬢口調が零れる、三日月形の口元が、綺麗に噛み合うギザ歯をのぞかせて。
「さぁ、もっと楽しみましょう?」
そう言って、切っ先の平たい鉈のような剣を片手で相手に突き出して
メイラはギラついた瞳を見せた。
熱を伴うこれは、燃え尽きるまでか、将又別の何かで燃やすしかない。
■メイラ・ダンタリオ > 今回の訓練は互いの技量を高め合うものではなく役どころが別れているものだった。
北の魔族 要塞都市 シェンヤン 魔と機械が絡む敵方役を、素材からして適していたメイラが担っている。
役どころはただ一つ 女と呼べぬほどの怪力と、いくつもの獣が交じり合うかのような存在感
それらを以て兵に魔を伝える。
故に目の前の騎士も、まるで意を決するような表情のまま互いに汗を流し、剣の花を咲かせ続ける。
メイラの握る鉈のような内反りの剣もまた、仮想敵としてはともかく、味方ではない何かとしてイメージしやすかった。
「―――シャアッ!!」
轟っと振るった横薙ぎの一撃。
刃ではなく身幅のある平たい面で打ち付けるまるでバトルハンマーのような使い方。
それで体を浮かせてしまい、場外へ弾け飛ぶ相手、
歯列をかみ合わせ、ギシリと鳴らすそれは端正に整ったジグザグ模様。
『それまでっ!』
キリの好い所で声がかかり、剣を下げるのならば立ち上がった向こう側の金属鎧の騎士と握手をしあう。
互いに汗をにじませ、心の底から楽しんだ悪役さながらなメイラと騎士。
互いに汗をぬぐいながらも、結んでいた髪を解けばバサリと膝までのロングヘアが広がる。
差し出された綺麗な水を煽るのなら、熱を未だに冷めきらぬ様子で、次の訓練を眺めている。
「案外お互いを積み上げるよりも、敵役というものは面白いものでしたわ。」
同僚らと楽し気に会話をしながらも、今度は怪力女ではなく、巨躯に対しての3人がかりでの訓練だ。
大盾と剣、槍によるそれを見つめ。
「まだまだわたくしは動けますのに……体が持て余りですわ。」
■メイラ・ダンタリオ > 程なくして訓練は終わる。
必要な仕事を覗けば王城に用はないのだ。
しかし同僚を含め現在話題になっている要塞都市の事を含め、各自鎧を脱いだ姿で城内の騎士が一時過ごせる場所へ移り替わった。
―――王城1F サロン―――
メイラを含む他の貴族らと冷えた白緑色の酒精が並ぶ。
一種ではなく複数の種類を潰して作る白葡萄の酒は甘く、飲みやすい。
渋さや酸味は薄く抵抗感がないそれで喉を潤すと、袖無しの黒を基調とした姿。
貴族令嬢のドレススタイルなどは無視した身なりなれど、咎めるものもいない。
「―――ふぅ。
いいワインですわね。
質や価値より味を優先させたものを感じますわ。」
ただ高いだけのものを否定する物言いながら、戦場での粗野な食事と王都での食事を味わっているメイラ含む面子故に肯定が多い。
酒精としては田舎や村でとれるワインと似ている。
栽培数が少ない分多種で造るから色合いや味が混ざり合いこのような味にもなるのだ。
好物の肉料理とは合わせずらそうながら、それが一種の辛味の利いたものなら話は違うだろう。
今度試してみようとメイラは一人頷きながら、袖無しから覗く露わの腕に走る虎の毛皮模様と爪のようなタトゥー。
それが走る手でグラスの淵を弄りながら、皆々が思い思い愚痴をこぼしたり現状を伝え合う。
簡単には口にできない黒い話もありながら、此処だけの話ゆえにメイラもそれを他に語ることはない。
誰かがメイラにも 内密にしてくれよ と愚痴りながらも念押しされ。
「ふふっ、逆に口を開かせようものなら、食いちぎって差し上げますわ。」
そう言って、怪力令嬢のギザ歯が綺麗に並んだ口元は、カチッ と歯を打ち鳴らしてみせ。