2020/05/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にアンヤさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にサロメさんが現れました。
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アンヤ > 紫煙の香りは甘いと人はいう。
香水の香りもまた甘いと人はいうだろう。
或いはワインの香り、はたまた瑞々しい果実の香り、それらを甘い香りといわずして何と言おうか。

――…だが一番甘く香るのは腐敗の香り。

今宵も何かと芳しく、腹の其処から腐った人間の臓腑から漂う甘い香り、胸焼けがする程に漂うその甘ったるさに流石に悪酔いしそうになりながら、何とか王城のテラスに逃げ果せた。

悪意や恐怖、負の感情は好物であるが是だけ食らえば流石に気分も悪くなるだろう、通常でも白い肌に青みがかかる程にげんなりした表情を浮べて、そのテラスの手摺にもたれ掛かり、ケフっと気持ち悪そうに息を吐く。

ああ、勘違いをしないで欲しい。
負の感情を主食とし、陰気をすする暗夜禍憑は人間が嫌いではない、逆に好きなくらい、好きだからこそ偶には『良い事』でもしてやろうと、今宵は王城に馳せ参じ正しき道を模索する、正しき道を進む、怖気が立つ人間たち或いは亜人達を潜り抜けてきたのに、このご馳走の山だ。

「……イヤハヤ、人間は或いは……人間じゃない者達も、何だ、……まあ、変わらんのよなぁ?」

テラスの手摺に両肘を乗せ、頬杖をつきながら今も尚深くより香る甘い香りに眉間に皺を寄せげんなりした表情を変えぬがままに城下に視線を向けて眺める。

この香りの源。
城下より香るその手の『香り』よりも尚濃く匂う香りは業の香りか、生き汚さの香りか、何にせよ本当に負の香り尽きぬこの王城、少しこのテラスの空気を吸ってから、箸休めに誰ぞか通りかかりを引っ掛けて愉しもうか、と……。

テラスにもし入る者が居れば見える姿は手摺にもたれ掛かる小柄な人の姿、若しくはその者が郷愁を感じるような姿、真実を見るなら小柄な人と見るなら東方の珍しい服装を来た人物に見えるだろう。