2019/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/バルコニー」にクロニアさんが現れました。
クロニア > 右手には聖なる剣の代わりにワイングラスを
左手には魔を跳ね除ける盾の代わりにワインボトルを
――…ああ聖なる騎士は今豊潤なる血の香りを湛えて

と、今宵も飽きず懲りずつまらない腹の探りあいをしている煉獄のようなパーティー会場より脱し、
何時もの場所へと城下を一望できるお気に入りのバルコニーへと機嫌よく足を踏み入れる。

何、先程会場から頂戴してきたワインが安物だが中々の味で、
それを独り占めできるのだから機嫌の一つも良くなれば、
鼻歌だって歌おうか。

今なら貧民地区のガキ共に銀貨を投げつけてもいい。

「……いや是が中々。銘柄、地方、調べて畑ごと買い入れるかなぁ!」

千鳥足には遠いがふらふらの足取りでバルコニーの手摺に向うのも何時もの事。

ふらっと片足の踵を軸にしてぐるりと手摺に背中を向けて、
ぐでんっと寄りかかり直ぐに空のワイングラスに左手のワインボトルを傾けて、
ドポドポドポとボトルの中身、その気に入った豊穣なる葡萄のまるで王家の暇様の如く豊潤な芳香を帯びる貴腐なるワインを注いでいく。

酔っているのではない。
ただただ機嫌が良くテンションが非常に高いだけである。
この芳しき香り、鳩の鮮血を思わせるルビーが如き色合い、
夜空の月をワインに通して眺めれば、笑みに思わず恍惚とした紅さえさすだろう。

クロニア > アレをやるまでもなく、今宵は気分が良い。
もっともっと月の光をとワイングラスを夜空にかかげて、
確りとグラスの中に夜空に輝く月を閉じ込め、
口元にワイングラスの縁をそえるとグラスを傾けて芳醇な貴腐ワインを口内へと流す。

何と口の中に広がる気高き香りか。
まるでそれは…………と頭の中に言葉が幾つも綴られたが、
それも無粋よと、今は静かに口内でワインを転がし喉へと流し込み深く息を吐き出す。

「矢張りぶどう園ごと買い上げるか、孤児院の娘達は其処で働かせよう。素足で踏ませて、ラベルには彼女らの名前と共に似顔絵を……。」

売れる筈である。
皆がワインの味と共に美しき娘達に羨望の眼差しをおくる。
その羨望を受けた娘達を己が壊すまで弄ぶ……。

――…愉悦である。
想像だけで腹が痛くなる程に笑いたくなるが、それもまた美味しいワインの前では無粋であると、笑みを堪えるのだった。