2019/07/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にルドミラさんが現れました。
ルドミラ > 【ロール中「落ち合う」という言葉を使っておりますが、本日待ち合わせ予定等はございません。念のため】
ルドミラ > 夜会の騒々しさと楽の音が一瞬廊下に溢れ、すぐに静かになった。
──使用人のための通用口から忍び出てきた女が、ひとり。
一見して今宵のゲストのひとりとわかるドレス姿に見張りの衛兵が目を瞬かせるのへ、目の端で微笑みかけ。
窄めた肉厚唇の前に指を立てると、シィ……と歯擦音を鳴らし、

「あなたは何も見なかった──そうでしょう?」

慈母めいた表情の糖衣に包まれた、もの柔らかな押しの強さ。は、と慌てて一礼する相手へ礼を言うと、ドレスの裾を引いて。
かすかな衣摺れの音をさせながら目指す先は、招待客に開放されている客間のひとつ。
宴を抜け出して落ち合うことになっている「誰か」のもとへ──娼館主としての商用か、火遊びか、それとも己同様、魔族陣営の工作員と密会でもするのか。
女の様子からはまだ、何も窺い知れない。

見張り以外は無人のように見える廊下は薄暗く、女の姿も半ば闇に沈んでいるというのに危なげのない足取りだ。

背中で聴く、宴たけなわの夜会の騒ぎが遠くなる──。

ルドミラ > 客間のある一画は同じような扉が並んでいることから、目的の部屋の前に来ると、念のため内部の気配を伺い。
無人であるらしいことを確認すると、目印がわりに扉の前、わざとシミひとつない白のハンカチを落としておく。

「……どうやらこちらが一足先、かしら……?」

施錠は元よりされていない。キイ、と小さく扉を軋ませて中へ身を滑り込ませる。
明かりはつけない。大窓から差し込む月明かりが、十分な明るさであったから。
もっとも窓に面していない場所は暗がりのままなので、すでに何者かが潜んでいる可能性も捨てきれない。

白を基調とした調度品類は、応接セットにカクテルキャビネット、天蓋付きの広い寝台に、鏡台。本棚。それに椅子が何脚か。
続きの間には、浴室もある様子。

室内に視線を一巡させながら、女は後ろ手に扉を閉め。
秋口まで無用の長物となるはずの暖炉前のカウチに腰を落ち着けるのだった。