2019/04/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 修練場」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 王城の城壁内。
他の建物から少し離れて別棟になっている修練場。
高い天井に、大人が端から端へ全力で走っても少し掛かるくらい広いフローリング。
その建物内、何に使うのか一抱え程ある青いゴムボールが転がっており、それに腰掛けるチャイナドレスの女がひとり。
…そう、ひとり。
通常は兵士が鍛錬のために詰めている筈だが、こぞって駆り出されているかサボっているらしく、女以外は誰もいない。
「…………」
女は大変不機嫌そうに、大股を開いてゴムボールに腰掛け、その膝に頬杖を付いて口を尖らせている。
…ロングチャイナの深いスリットは本来そのためではなかろうが、普段ズボンが多い女に対して大いに役立っているようだ。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 修練場」にマリサ・ブラックバーンさんが現れました。
■マリサ・ブラックバーン > お祭り中は警備も普段より重要となる。
と言う事で、砦から戻るなり見回りを命じられることに。
初陣での勝利を祝われることなく、廊下を一人で歩き回り。
この時間は誰も使っていない筈の修練場から光が漏れる。
誰かが使っているのかと念のため足を踏み入れて。
「おや、君は誰だ?」
ゴム製のボールに座っては不満そうな顔をしているチャイナドレスの女性。
衣装だけで判断するならばシェンヤンからの使節の一人か。
「ここはこの時間は使わない部屋なんだけど、道にでも迷ったか?」
コツコツと、靴の音を立てながら近づいていく。
■ホアジャオ > (真倒霉(ついてない)……)
とんとん、と頬を人差し指で叩いていた所、戸口へ人の気配と声。
頬杖をついたまま目線だけ向けると、どうやら軍人らしき少女が近寄って来る。
その白い肌を眩しそうに見てから、腰の剣に目を細めて紅い唇でにいっと笑うと、頬杖を外して少女に顔を向けた。
「ココ、修練場だよねえ?
兵士にちょいと喧嘩ふっかけてやろうと思ってたンだけど、当てが外れちまったみたいでサ」
またがらんとした室内を見遣って、はあっと溜息をつく。
「そッか、この時間は居ないンだね…覚えとくよ。ありがと。
アンタは?見廻りかなンか?」
けだるげな視線を少女に戻す。
自分が取り締まり対象だとは微塵も思っていない様子だ。
■マリサ・ブラックバーン > 「へぇ、面白い奴がいるもんだな。」
祭の時はこの手のタイプが出てくるので注意するようにと上から言われた
まさに典型とも言える血気盛んな女性の登場に血が滾る。
丁度砦で勝ち戦を迎えていたこともあり、実の所こちらも血に飢えていた。
「見張りだね。
でもって、怪しい奴を見かけたらその場で取り締まれって言われててさあ。」
ワインのような色の瞳が大きく見開く。
口は三日月のように伸びて、剣の柄に手を伸ばすと僅かに金属音が響く。
「退屈してるなら俺と一戦交えないか?」
■ホアジャオ > 「ヘエ、大変だね…うン?」
気だるげだった細い目が、少女の様子の変化に何度か瞬きを繰り返した。
そうして投げかけられた言葉を了解すれば、こちらも口の端が上がって目元が桜色に染まって行く。
腰掛けていたゴムボールからぽんと飛び上がって立つと、少女を覗き込むようにして。
「いいの?ありがと!
ここ最近、喧嘩付き合ってくれる奴いなくってさあ」
助かるよ、なんて胸を反らしてけらっと笑う。
「えッと、獲物アリのほうがいいね?アタシいま持ってないから…どうしよっか」
チャイナドレスなんて着せられるから、いつもベルトに吊るしているヌンチャクがない。
無意味に何時も吊るしてある腰の辺りを探りつつ、何か代用品はないかと、きょろきょろ室内を見渡した。
■マリサ・ブラックバーン > 「そうなんだぜ。
せっかくタナールの砦を奪い返したと思ったら今度は警護任務だからな。」
もはや日常と化している砦の奪還程度では評価されにくいのか。
それとも人手不足だからか。
どちらにせよ休む間もなく仕事を振られたマリサの不満が口から飛び出す。
軽やかにボールから飛び上がる相手。喧嘩を売りに来るだけあって腕は確かなようだ。
「あんたは悪そうに見えねえし、ほんとは見逃してもいいんだけどさ。
祭はやっぱりケンカすべきだろ?」
今のマリサも侵入者と気性は変わらなかった。
「別にいいよ。 ないならないでお互い素手でやろうぜ。
ここに置いてあるのは訓練用ばかりだし、そっちのスタイルに合うとも思えないからな。」
ベルトから剣を外せば、鞘ごと足元へ。
徒手での実践は街のチンピラをのめす程度だが、城で多少は訓練を受けている。
両脚の軸を縦一列に移し、両手を構える。
マリサの格闘術はあくまで武器が手元にない時の護身用。
但し、吸血鬼由来の怪力がその細腕に見合わない程の威力を発揮する。
「ほら、かかってきな。」
得意げな表情は消え、顔が引き締まる。
■ホアジャオ > なんだか可愛らしげな女の子なのに、口調がちぐはくなのに少し目を白黒させる。
でもまあ、そんなことは目の前の喧嘩の前には些細なことで。
「どっちかてえと性質は悪いかもねえ?
お祭りだろうと何だろうと、年中喧嘩はしてたいし」
自分勝手な行動はしているが、悪人かと問われれば難しい所だ。
あはは、と笑いながら、構える相手にぽんぽんと跳び下がって手首足首をほぐしにかかる。
「アタシが初手でいいの?
…じゃァ、遠慮なく!」
た、と床を踏む音。
次の瞬間少女の懐に辿り着くが
「よッ」
身体をくるりと交わして背後から後頭部を狙った蹴りを放った。
ふぉ、と風を切る音が背後から少女の耳に届く!
■マリサ・ブラックバーン > 「あ~~、何を思ったのかはよくわかった。
今はその辺を追及するのは止めてくれ。
色々事情があるんだ、俺にも。」
丸くなった目を見ただけで何を言いたいのか察して。
それ以上はと、片手を伸ばして制止を促す。
「いいね、いいね。 あと腐れない喧嘩なら大歓迎だ。」
気が付けば声が大きくなっているマリサ。
久々に思う存分暴れられると、両腕を前後に回転させる。
「ああ、不意打ちはよくねえからな。」
床を蹴る音がした瞬間、相手の姿が消える。
次に見えた時は互いの拳が届く距離。
正拳が飛ぶかと思われたが、そうではなく。
「…くっ!」
また姿が消えたかと思えば、空を切り裂く音。
咄嗟に回転を掛けながら前方へと短い跳躍。
後ろ髪を鋭い蹴りが霞めた。
怪力とは言え、身体そのものは鍛えた程度の女性の身体。
まともに後頭部に当たっていればその瞬間勝負はついていただろう。
「ほらよ。」
床に足が着いた時には互いに正面を向きあう状態に。
左手は構えを維持したまま、右手を伸ばす。万力のような握力でホアジャオの足首を掴もうと。
■ホアジャオ > 「あはは、アタシたち、良い友達になれるかもね!」
相手も楽しげな様子に心底嬉しそうに笑って。
少女が前に跳躍し、放った蹴りが空を切り――
予想した場所で脚が獲物を捕らえなかった瞬間、女の重心はふわりと浮いていた。
「エヤァっ!」
宙で身体を捻らせ、逆側の足を打ち下ろすように少女へ。
伸ばした右手に気を取られていなければ、構えたままの左手で十分に受けることは可能だろう―――
■マリサ・ブラックバーン > 「かもな。 気性がよく似てるぜ。」
初めて会ったとは思えないほど、気性の似ている女性。
八重歯が顔を見せる程に楽しそうな笑みを浮かぶ。
が、徒手空拳では向こうが上手の様だ。
足首を上手く掴めばそれで終了と思っていたが、相手の身体は僅かながら宙に浮いている。
魔術ではなく、持ち前の脚力だけで飛んでいるのだ。
「まじかよ。」
紫の瞳が驚愕と感動で輝く。
本で読んだ格闘小説の主人公のよう。
右手で空を掴んだ所で、鉈のようにもう片方の足が降りてくる。
これもやはり現在フリーである左手を揚げ、掴もうと。
素早さでは勝負にならないことが初手で気付かされたマリサは、相手を掴むことで自分の持ち味である
パワーで抑え込もうとしている。
■ホアジャオ > 「ッと」
打ち下ろす脚が、防がれるのではなく掴まれようとしている――
気付いた瞬間、軽く目が見開く。
どうやら相手は力に自信があるようだ――が、脚の勢いは止められない。
ばし、と少女の手のひらに当たった瞬間、相手が握る力を込める前に身体を丸め
「よッ!」
逆立ちの要領で両手を付き、残った脚で相手の顎を狙った蹴りを放つ!
要は、相手の手が自分から離れればいい―――
蹴り自体に威力は無いが、その速さでまたひゅ、と空気が音を立てた
■マリサ・ブラックバーン > 「ようやく…!」
捕まえたと、勝ち誇った顔で言ってやろうと思っていたマリサであるが、
試合運びの点でも相手が一枚上手であった。
両の手が床に着けば、すぐさま重点が切り替わる。
顎をめがけて迫る鋭い蹴りに対し、両の手を顔の左右に持ってくることでガード。
蹴りの威力が仮に弱くとも、顎に振動を受ければそれは脳にまで届き動けなくなることがあるからだ。
当然、掴もうとしていたホアジャオの足は目論見通り、マリサの手から離れることに。
「いちいち急所を狙いやがって!」
頭に来たマリサは両手の構えはそのままに、右に身体を反らして。
左の腕と肩を使ったタックルをかまそうと突撃する。
■ホアジャオ > 「あはは、そンなの当たり前―――」
見事手が離れれば、器用に逆立ちしたまま心底楽しそうに笑う。
頭に血を登らせてタックルしてくる少女をごろりと横に転がって交わし――
「だろッ!」
回転して起き上がる勢いのまま、少女の後ろから素早く足払いをかけた。
相手が捉えられれば、更に飛び掛かって上から押さえつけるつもりだ――
■マリサ・ブラックバーン > 「うわ!」
足に触れた感触がした時には、視界が回転する。
鈍い音と埃を立てながら腹を打ち付けるマリサ。
一撃を狙った体当たりの勢いを逆に利用されることに。
「んがぁぁぁ!!」
背中を抑えられると悟った瞬間、両の手で床を叩いては飛び上がる。
怪力の持ち主故に出来る芸当であるが、ホアジャオの正確な位置は掴めず大きな隙が生じている。
■ホアジャオ > 「!?うわッぷ…」
間髪置かず飛び掛かったものの、思った以上の怪力で少女の首にしがみついたまま宙へ跳ね飛んだ。
「この……」
考える先に身体が動く。
しがみついていた腕をするりと解くと同時に、両足で深く挟み込んで脚を組んだ。
解いた両腕は少女の片腕を捉えようと――いわゆる『三角締め』の状態に持ち込もうと、女の身体が少女の身体に絡みつく!
女の膂力は普通より強いくらいだ。
多少痛みを我慢すれば、少女の怪力をもってして振りほどくことも可能かもしれない…
女の脳裏にはそんなことが掠める
■マリサ・ブラックバーン > 最初に腕が首に巻きつき、次は両足。
更には腕の一本が掴まれると、絞め技に持ち込まれる。
こうなるとマリサが望んでいた力の勝負となる。
締め落される前に巻き付いている足なり腕なりを破壊すれば相手は戦闘力を失い、勝つことができる。
頭に血が上っているマリサはそんな考えも過ったが……。
「止めだ止め。 俺の降参だよ。」
降参の意思表示の方法を思い出し、首を絞めつけている足を2度ほど叩いた。
■ホアジャオ > (絶ッ対やりかえされる…!)
脳裏で失敗したと思いつつ、離れることもせず戦々恐々としていた所。
「…啊(何て)?」
少女から思わぬ降参の言葉を聞いて、間の抜けた声を漏らす。
それでも締め技に入ろうとしていた力は抜けて…少し間を置いてから、するりと両手両足を少女から離していく。
そのまま、ぺたんと座り込んだ状態で少女を見遣って
「…ちょッと、アンタ、途中で諦めたでしょ…」
そんなにぶちのめされたかったのか。何だか不満そうだ……
■マリサ・ブラックバーン > 「げっほえっほ…!」
締め付けられていた気道が確保され、唾を吐き出すマリサ。
御見苦しい姿なので相手には見せられないと暫し背後を向く。
口元を拭り終えると、座り込んでいる相手に振り返り。
「あのままやってたらそっちの手か足を引きちぎるレベルでやらないといけないだろ?
綺麗な人にただのケンカでそこまでできるかよ。」
いつも以上に青白い顔で止めた理由を口にするマリサ。
「長い付き合いになるかもしれないんだ。
今日の所はそっちの勝ちでいいだろ。
実際、俺が有利を取れた場面何てなかっただろ?」
その場に座り込めば、漸く相手の顔をじっくりと見ることができるマリサ。
シェンヤン人特有の顔つきで、整った顔立ち。
「一応聞くけど、公主とかじゃないんだよな?」
■ホアジャオ > 少女の言葉に確かに、と後頭部を掻いて、悪びれない笑顔であはは、と笑った。
「ごめんごめん、アタシが大人気なかったよ…
喧嘩ンなるといっつも見境つかなくなっちまうからさ。
長い付き合いは是非お願いしときたいところだね。
喧嘩友達は多い方が良いから…大丈夫かい?」
笑んだままほんの少し心配げに眉を寄せて、先よりも青白くなった少女の頬の温度を確かめる様に、無造作に手を伸ばす。
問われた言葉に少し首を傾げてから、ぶはっと吹き出して。
「野暮な質問だね。こンな公主居たら、流石にシェンヤンでも勘当だよ」
けらけらと笑う。
ロングチャイナの癖に無意識に脚を胡坐に組んでしまっており、行儀悪い事この上ない。
「アンタこそ、どこぞのお転婆お姫様のお忍びとかじゃァないよね?」
ふふふ、と含み笑いで問いを返した。
■マリサ・ブラックバーン > 「気にするな。俺も一瞬このままやっちまうかと思ったんだ。
あんたみたいな強い奴とやり合えば良い経験になるしな。
あ~、まあ大丈夫だ。 ま、悪いと思ったならもう少し触っててくれると嬉しいけど。」
屈託のない笑みに気持ちが良くなる。
爽やかな女の手が頬に触れると、気持ちいいのか表情が崩れて。
ちなみに、身体は特に異常はなく。 顔色も時期に普段の色へ戻っていた。
「ほっとしたぜ。 公主相手に喧嘩したとばれたら流石に処分されちまう。」
肩を竦めて笑う。 ただし、着ている服装などから多少は余裕のある暮らしぶりをしているような印象を受けていた。
「違うよ。 俺はマリサって言う下級貴族の子供さ。
まあ、あんたのお目当てだったそこらの兵士って所だな。」
問いかけの内容に肩を震わせて笑う。
子供と言う、男女どちらともない言い方をしたのには多少の理由があった。
■ホアジャオ > 表情が崩れる少女。
素直なその様子にあはは、とまた笑う。
「ホント、良い友達になれそうだねえ?
こンなんで良ければずっと触ってたげるよ」
指先でそっと触れていただけのものを、手のひらで少女の頬を包むように伸ばした。
滑らかなその感触に無意識に目を細めて、口の端が自然、また笑みこぼれる。
「アタシは公主の護衛ってえことでココに居るだけだよ。
ついでに沢山喧嘩できるだろうって踏んでたのにサッパリだったからさ…
ほんと、楽しかったよ。ありがと」
名乗る少女にヘエーエと笑みこぼしたまま、頬に触れた手のひらで、少し、撫でる様に動かして
「アタシは『ホアジャオ』ってえの…
シェンヤンでも田舎の出だから、マリサにはすこしばかしガサツに映るだろうケド。
少なくともこの騒動の間は、たまに遊んでよ」
けらけらと笑う。国家間の陰謀のやりとりだろうと、女に取っては『騒動』の一言で片付くくらいに関心が薄いようだ。
■マリサ・ブラックバーン > 笑われれば、恥ずかしそうに口元を親指で摩る。
「ああ、俺もこんなに気楽に遊べる相手が出来て嬉しいぜ。
お、悪いな。」
軽くあしらわれると思っていたが、頬が少女の感触に包まれる。
気持ちよさそうに頬を擦り付けて甘えている。
「護衛が公主のもとを離れてて大丈夫なのかよ。
ま、次はお互い何か武器もってやろうぜ。
俺も楽しかったし、まだまだ素手での喧嘩は弱いってよく分かったよ。」
撫でられると、気持ちよくて口から息を吐いていた。
良い汗もかいたし、甘えたりと思う存分満喫して。
「ホアジャオ…こっちでは珍しい名前だなあ。
俺こそ貴族らしいことはしてないからお互い様だろ。
終わったら戻っちゃうのか?」
少しの間話しているだけでも人柄の良さが伺える。
もっと一緒に居たかったがそろそろ戻らないと遊んでいることが露見しそうで。
「すまん、そろそろ報告に行かねえと。
また見かけたときに遊んでくれ。」
慌てて立ち上がると、剣を腰に差し直す。
名残り惜しいのか、去り際に手を振ってから部屋を後にする。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 修練場」からマリサ・ブラックバーンさんが去りました。
■ホアジャオ > 「家出したばッかだから当分そこらに居るだろうケド…
うン、楽しみにしてるよ!」
去っていく少女を、頬に触れていた手を振って見送る。
そうして、満足げな溜息をつくと立ち上がって、床に付けていたお尻を払いながら周囲を見渡す。
「……何も壊してないよね…」
一応、器物破損だけは気を付けている。
ざっと見て大丈夫なことに安心の吐息を吐くと、跳ねる足取りで出口の方へ。
最後、女が灯りを消して扉を閉める。
他の建物から優雅な音曲が聞こえてくる中、修練場は静寂と闇に包まれる……
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】 修練場」からホアジャオさんが去りました。