2019/04/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 貴賓室前【イベント開催中】」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 城壁に取り囲まれた広大な王城の中。
貴賓用に設えられた部屋の、精緻な細工が成された扉の前で、腕組みをして仁王立ちになっている女がひとり。
顔は明らかに不機嫌そうに口を尖らせ、時折視線を所在無げに窓の外へ投げた。

シェンヤンの田舎育ちの不良が、『公主の護衛』として雇われてアルバイト感覚で仕事中である。
恰好を付けろと言われていつものカンフー上下ではなく、朱のロングチャイナ。
スリットが深いので動きづらくはないが、足の下がスースーして落ち着かない。
上に。

「……長い」
ぼそ。

扉の中からいちゃつく声がする。
女はため息を付いた。

ホアジャオ > 中に居るのは公主とそのお相手…だったらまだいい。
実は同僚で、王城のコレといったいい男(らしい)を引っ掛けてお楽しみ中だ。
賄賂まがいのものを握らされ
『30分だけ』
と言われて扉の前で見張っていたものの…
40分、50分になろうとしている今でも終わる気配はない。
幸い、延長料金は約束させているが

(全く、感心する……)

くるりと目を回す。
それは真面目にここで頑張っている自分にも言えるのだろう。
前金は貰っているし、多分離れたって問題はない…たぶん。

ホアジャオ > いちゃつく声が収まる気配はない。
うーん。
ひまだ。

(……兵士に喧嘩でも売りに行こ)

延長料金は貰い損ねるが、まあそんなことより楽しい時間を過ごす方が重要だ…

「……骨のあるのが居るといいなァ」

扉を最後に一瞥して、にんまり。
跳ねる足取りで廊下を去って行った。

ご案内:「王都マグメール 王城 貴賓室前【イベント開催中】」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 帝国の公主が降嫁する。
情報は比較的早期から掴んでいたものの、その後の帝国熱とも言うべき異国の産物に対する需要の増大は予想の上限を超えていた。
安定的な流通経路を確保しているが故に、商品不足に臍を噛む事はなかったが。
それでも高騰というより急騰した相場というのは難儀なもので、手間賃の類を吹っかけられるのをのらりくらりとかわしたり、商売敵の逆恨みを排除したりと忙しい。

「注文の品は確かに納めさせてもろうたが、帝国の作法を教えよと言われてものぅ。
 成程、王国の民よりは慣れ親しんではおるが、さりとて殿上人のしきたりなんぞ一介の商人が細かに知れよう筈もない。
 妙に肩肘を張って半端な知識を晒すぐらいなら、いっそ付き人にでも聞いてしまった方が間違いなかろう。」

その上、ある程度は王国の貴族社会に馴染んで頼み事をし易く、且つ帝国の機微にも通じている妖仙自身が、何かと雑事で手間を取られているのだ。
今も何処ぞの傍流王家に帝国風の寝具を納品した所で呼び止められ、あれやこれやと質問攻めに遭っている所だ。
多少のことなら指南の一つや二つアフターケアとして承ることも吝かではないが、ここ最近はその件数が異様に多過ぎて食傷気味。
結局の所、公主それぞれにも好みや性情はあるだろうからと、最も近しい付き人に話を聞くべきだと念を押して部屋を出る。

「…気持ちは分からんでもないが、居丈高に構えておっては見える筈のモノも見えず終いとなろうに。」

両国における見栄の張り合いの一端を味わう身として、薄っぺらい肩を落として小さく嘆息した。
今宵、最後の仕事が終わり自由時間となったが、そそくさと定宿に帰る気にもならず、王城の中を散策するつもりのようで。

ホウセン > 王城内に幾つも散在する広間は、今日も今日とて宴の最中。
夜も更けた頃合だというのに、建物の中には人の気配が横溢している。
王族達のプライベートエリアから、未だしもとっつき易い方へと足が向く。
これもまた、どこかの傍流王家の庶子と、あまり耳に馴染みのない公主との婚姻を祝う会が開かれていた。

「そも、”帝国内で、このような名の公主の話を聞いたことがあるか”という質問をされるものと構えておったのじゃがな。
 その辺りは既に裏を取るべく別口で奔走しておるのか、それとも毒を喰らわばと覚悟を決めておるのか…」

王国の宮廷程露骨ではないが、帝国の宮城にもある程度浸透していることもあり、全員は無謀だとしても幾人かは本人か否かぐらいの見分けはつかぬでもない。
その辺りの”尋問”でもされるのではないかという予想も排除できずにいた身としては、少々肩透かしを喰らった感がある。
大きく開かれた宴会場の扉から中の様子を伺うと、表情筋がかすかに揺れる。
心情の表明を、どうにか意思の力で自制した一瞬の出来事。

「少しばかり、”何も考えていない”という可能性が浮上してきそうじゃな。」

流石に庶民の祭りではないので、所狭しと乱痴気騒ぎが展開されている訳ではないけれど、人ならざる目は空間に漂う澱のような気配を看取する。
それにもしも名を付けるなら”欲”だ。
会場の所々に見受けられる仕切られたスペース、時折奥の控えの間へと消えていく男女。
給仕に目配せをする王国貴族と、給仕の手によってグラスへと注がれる何かの薬物。
それらを余さず見て取るも――

「それはそれで構わぬか。」

あっけらかんと、場内へと足を踏み入れる。

ホウセン > 妖仙の独り言は、声量が絞られていたことと、会場内に演奏の旋律が流れていたことで、誰の耳にも届かずに済んだだろう。
帝国本流ではないが少なくとも王国のものではない衣類のお陰で、新婦側の関係者と認識されたらしい。
入口の両側に詰めてる衛兵から誰何されぬ侭に、するりと場内へ。
手近な給仕から果実酒の入ったグラスをせしめると、早速喉を潤す。
一応、年恰好を咎め立てされたら、”帝国では普通のこと”等と底の浅いでまかせを口にするつもりだったが、杞憂に終わったようだ。

「香辛料は、使節の持ち込みかのぅ。」

グラスを手にしたまま毛足の長い絨毯の上を進み、王国と帝国双方の料理が供されている卓へと辿り着く。
鼻腔を擽る匂いに、もっともらしい事を言っているものの、単に様々な料理を口にする機会が増えるのは歓迎というだけの話である。
統一感のない卓だが、今回の婚姻は、力関係が曖昧なまま、紛争の種に対する俄かな火消しとして行われているものだから、両国が並び立つスタイルこそ馴染むだろうとも。


「さて、馳走になろうぞ。」

物を口に運ぶ前に手を合わせて軽く瞑目。
北方帝国の辺境で行われる食事の挨拶をしてから――程なく。

きっとその後、幼い姿の健啖家と来場者達によって愛嬌を見出され、方々から餌付けされるが如き有様となろう。

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からホウセンさんが去りました。