2019/03/24 のログ
■ミリーディア > 庭園に残るのは少女一人だけ。
踵を返せば廊下へと戻って行く。
「そろそろ例の準備に取り掛かろうか。
少しの間、あちらの問題は彼等に任せなければね」
呟きを漏らし、少女は改めて研究所へと向かい歩き出した。
後日、王城内で又一人、姿を消す事と為る。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」にリスさんが現れました。
■リス > マグメールの王城……そこの入口に一人の少女が現れる。護衛は連れず、そのカバンの中には菓子折り。
とある人を訪ねてきたのだけれども、アポイントメントをうまく取れなかったのだ。
なので、今回は彼女の仕事場に行ってアポイントメントだけでもとって戻ろうと思うのだった。
入口の門番に、要件を伝えることにする、ミリーディア様に用件があってきたと。
そして、彼女の執務室の場所―――以前聞いてはいるものの、確認するように聞いて、とてとて、と歩くのだ。
「ちゃんとアポイントメント、先に取れればよかったのだけれど。
誰か、居てくれれば。」
王城の豪奢な廊下、一市民から見ればお金が掛かっていることが分かるその場所。
思わずその価値を目算してしまうのは商人のSa・Gaなのであろう。
廊下を進み、目的の場所を目指し、少女は歩いていく。
ご案内:「王都マグメール 王城2」にミリーディアさんが現れました。
■リス > アポイントをうまくとれなかったのは、昨日の今日であるから、というのもある。
正直想定外過ぎたことばかりなのだ、今日も本来は仕事なところを早く上がったということもある。
どうすればいいのかわからないので、相談したかった。
とはいえ、彼女の身分からすれば自分よりもはるかに忙しいだろう。
だから、最悪菓子折りと、アポイントだけして、帰れればな、と思ったのだ。
「とはいえ、都合良くは行かないと思うのよね……。」
そう、王城の入口は問題はなくても、問題の場所にたどり着いて。
そこで門前払いという可能性もあるのだ。
それを考えれば、ちょっと気が重かったりもする。
■ミリーディア > 王城内の端に位置する研究施設、更に其の施設内の入り口を位置する場所に室長室は存在する。
然し本日は其の場所に姿は無い。
其処へと辿り着く前に気付くだろうが、研究施設の脇に位置する小広場に居た。
此処へと向かう彼女の横を何人もの人間達が通り過ぎて行く。
何故為らば、本日は第二師団への志願者を集わせる日だったからだ。
其の人間達はそう云った者達だった。
タイミング的には丁度少女が室長室に戻る時に出会えるだろう。
■リス > 「……あら?」
とことこと、あまり近寄らない場所だから、物珍しいから。お上りさんよろしくキョロキョロ、と視線が動いて、いろいろなものを眺めるのだが。
それが功を奏したのだろう、途中でたくさんの人間が近くを歩いていくのが分かる。
騎士……なのであろう、まだ新人という雰囲気の彼ら、それらを見送っていれば、その奥にひとりの女性を見つける。
「あれは。」
見覚えのある姿、多分間違えてないはずだけれど。
と、そこで思い出した、彼女の事を思って念じれば、通じると。
ミリーディア様に教えてもらった方法。
柱の近くで立ち止まり、んんんん、と念じてみる。
『今晩は、ミリーディア様、いらっしゃいますか?リス・トゥルネソル、です。』
少女は頑張って念じてみてから、その念波を追いかけるに視線を向ける。
念波を追えば、きっとたどり着けると信じて。
■ミリーディア > 少女は既に彼女の存在は認識していた。
居る場所から考えて室長室の自分に何やら用事が在って来たのだろうとも予想は出来た。
尤も彼女の目的迄は流石の少女も解らないのだが。
然し何故彼女は足を止めているのだろうか、との疑問も浮かんだ。
だが其の疑問は念話が届いた為、直ぐに解消された。
『成る程、確認の為か…ああ、今晩はだね。
君の記憶に違いは無いから安心し給え』
取り敢えずは律儀に念話で返しておき、其方へと顔を向ける。
そうすれば自然と御互いを確認する様に顔を向き合わせる事と為るだろう。
■リス > 良かった、間違いではなかった。
念話で返してくれて、そしてこちらを見てくれる彼女、やはり彼女で間違いはなかった模様。
安堵の吐息をひとつ吐き出して、まずは少し離れているけれどお辞儀を。
彼女は貴族であり、騎士団の副団長、自分は一介の平民。
本来はこういう風に会うのでさえ憚られる位の権力の差であるのだ。
お辞儀くらいは最低限でも、と。
それから、とたとた、と近づいていこう。
「こんばんは、ミリーディア様、お久しゅうございます。
不躾で急な来訪、どうかお許しくださいませ。
ご相談がありまして、お伺いさせていただいたのですけれど、お暇な時等は、ございますでしょうか?」
今すぐ相談はしたい、が彼女は色々と忙しい身なのだ。
だから、アポイントメントが取れれば、今日はいいと思って問いかけてみたのだった。
■ミリーディア > 慎重なのは悪い事では無い。
間違えた時の事を考えれば一手間の確認は堅実な行為だ。
少しばかり感心し乍も彼女の御辞儀に小さく手を振って返す。
自分には不要ではあるし、必要としてもしないだろうが。
「ああ、前に話した時以来か。
儂の部屋は常に開放していて出入りも自由なんだ、そんなに畏まらなくてもいいよ。
……儂が常に居るとも限らないがね
暇な時か……今日やるべき事は今さっきのあれだけだから、急な用事が無ければ先ず今日は暇だな。
最近は此処の者達に休みを与えている週末以外は何かしら確認作業とか多くてね、夜しか時間は空いてない状態さ。
こうしたものが重なると中々に辛いものだよ」
外で話すのもと考え、室長室へと向かい乍に説明する。
今立っているのは部屋の直ぐ横に位置している、歩いて直ぐなのだ。
■リス > 商人というのは大胆さと慎重さが必要な職業なのである。
小さく手を振ってくれる彼女に少女は嬉しそうに笑みを浮かべてもう一度お辞儀。
偉い人に顔を覚えてもらえると嬉しくなるのは自分だけだろうか。
「ええ、前は確か……竜の数の件でしたわ。
ウチの伴侶が100ドラゴンとか膨大なことをした件でした。
用事があるのは部屋ではなくて、ミリーディア様ですもの。
居ない時に来ても意味がありませんわ。
それであれば……、用事としては二つありまして。
伴侶のアッシェにも言われてまして、そろそろ、本格的に能力の使い方とか、覚えろ、と。
ウチの家令とかメイドに教わろうとすると、喧嘩の方面ばかりなので、ミリーディア様にお教えいただければ、と。
あと、相談がありまして。
アッシェが養子を連れてきたのですが……吸血鬼でして。
相談はなかったのですが、彼女が養子にしたとなると、娘として扱わないといけないのですが。
でも、吸血鬼が怖くて……どうすれば、克服できるのでしょうか。」
彼女が先に歩きだし、室長室へと向かっていく。
その後ろをついていきながら、少女は用事―――昨日の件を相談するのだ。
吸血鬼は普通の人からすれば、竜よりも身近でわかりやすい恐怖。
少女は竜になったとしても、その恐怖を克服しているわけではないのだ。
しかし、娘だ、とアッシェがするのだから、ちゃんと娘として扱いたい。
その板挟みを相談したかったのだ。
■ミリーディア > 自分の立場、彼女の立場、其れ等を考えれば辿り着くのには容易いか。
出来る事為らば立場を度外視して欲しいものだが、其れは流石に難しいだろう。
彼女の言葉に相槌代わりに頷き、続く用件に耳を傾ける。
其れを確認した後に腕を組み考える様な仕草をして。
「確かにそうだがね、開放して於けば居ない時でも用件を書いたメモや手紙の一つでも置けるだろう?
君の云う通り儂自身が居るには限るんだろうが。
さて、先ずは能力の使い方か。
君の持つ能力を細かく知っておく必要があるし、口での説明だけで理解をするのは難しいだろう。
だから其れに関しては一つ一つゆっくりと教える形に為るね。
少し時間を掛けなければ為らないが、其れで良いなら」
一つ目に答えた処で部屋の前へと辿り着く。
其の侭歩みを止めず進んで行けば扉は独りでに開き、少女は中へと入って行き。
彼女が続けて入れば、何時も通りの柔らかな椅子へと腰を下ろし改めて顔を向ける。
何時の間にか彼女を座らせる為だろう椅子も準備がしてあり。
「養子の吸血鬼に関しては、君が吸血鬼を如何恐れているかが問題だろう。
吸血鬼と一口に云っても様々だ、其れこそ人間にも劣る存在から魔王に匹敵する存在迄ね。
更に性格的にも大人しいものから凶暴なものまで居るものさ。
……で、如何なんだい?
君は如何恐れているのか、其の吸血鬼の能力や性格とかね。
先ずは其処を知らないと間違った答えに導いてしまいそうだ」
椅子へと座り寛ぎ乍に二つ目の答えを伝える。
彼女も元を辿れば人間だ。
身近になった竜は兎も角として、確かに他の存在は不慣れだろう。
知ったとして本当に正しい答えに導けるかは確かではない。
だが其れに近付ける事は出来るだろうと判断して。
■リス > 難しいかどうかで言えば、難しい。
彼女が許可をしていても周りの目があるのだから。周りの目のないところでということならなんとかできる、という程度か。
「ええ、今回は、最悪それを覚悟しておりましたわ。
と、まずは……今回の甘味ですわ、手土産です、シェンヤンでよく食べられている、団子です。
胡麻をまぶして、なかにあんこの入った、上品な味のものですわ。」
せっかく出会えたので、先に手土産を渡すことにする。
彼女は甘いものが好きらしい、頭を使うと甘いものが欲しくなるのは自分も同じだから。
珍しいものを取り寄せての、プレゼントということで。
「はい、私も上手に説明ができるかどうかは、判りませんけれど。
一つずつの方が、良いですわ。いっぺんだと逆に訳がわからなくなりますもの。」
失礼しますわ、といつの間にか出てきた椅子に少女は腰を掛けることにした。
そして、自分を見る彼女を見つめて。
「アルタゥという名前で、真祖吸血鬼と、言っておりましたわ。
性格は、大人しいとは思います。
猫の姿を取ることを好み猫の耳と尻尾もありました。
――……おそらく、吸血鬼という存在自体が怖いのだと思います。
あの子は、悪い子ではない、とわかっていても。」
根源的な恐怖、というべきなのだろうか。
アンデッドであり、その中でも有名な吸血鬼、ノーライフキングとも言われるそれゆえだとおもう。
あともう一つは、よく判らない、という所も、恐怖の理由にあるのだろう。
「伴侶が認めて引き取った養子を、吸血鬼だから、と恐怖する。
自分自身が、情けなく思えますわ。」
■ミリーディア > 理解していて無理難題を押し付けるつもりは無い。
状況次第であれ出来ると良いと云う希望的な考え、其の点を踏まえ彼女の判断に任せる事にしよう。
「成る程ね…まあ、居ない事の方が少ないのだが無いとは云い切れないか。
……お、団子か、態々すまないね。
後で美味しく頂くとするよ」
会えるか会えないか、其れは自分とて如何し様も無いものだ。
今回はこうして会えた事を良しとしておこう。
そして、続いて手渡された土産に少女は上機嫌な表情を浮かべた。
今直ぐに食べたい衝動には駈られるが、身奇麗にした後にと考える。
外で色々と行っていた後なのだ、其の点は気にしている様で。
「大丈夫だ、君の能力は少し調べれば大体理解出来るだろう。
難しいのは其処からの理解と扱う為の術だからね。
其れに関しては、儂がどれから覚えるか判断して教えていくさ」
彼女は竜の能力に扱う事に関しては、本当に零からだ。
其れを踏まえた指導なのだから負担は少なく、である。
細かくは追々考えていこう。
「……真祖の吸血鬼を養子とは君も大変だな。
儂としても、無駄に監視対象を増やしたくはないから王都に連れ込むのは勘弁して欲しい訳だが…
猫の姿に関しては吸血鬼は変身能力を持つ者も居る、其れの延長線上のものなんだろうね。
元人間で在る君だ、深層的に吸血鬼を恐れるのは仕方無いさ。
吸血鬼は一部を除いて人間を糧として生きている訳だしね。
知るには直接儂が一緒に会うのが一番だが、そうも上手くはいかんだろう。
と為れば、恐怖を和らげるには慣れが一番だと思うよ。
勿論一対一で一緒に居ろとは云わない。
最初の内は頼れる者と共に会う様にし、僅かでも理解していけば良い」
中々に珍しい環境が故に間違いない回答は難しい。
現段階で出来そうな事を取り敢えず案として出してみる。
相手を知らないと云う事は、歩み寄る一番の障害と為るのだ。
「此ればかりは、君自身が気に病む必要はない。
寧ろアッシェ君がもう少し配慮すべき事なのだと儂は思う。
まあ…彼女が其処まで気を回せる様には思えないのが辛い処だが。
もし何だったら儂の知り合いの吸血鬼を紹介しよう。
同じ真祖の吸血鬼だが、珍しく血を断ち人間側に与している者だ。
君の持つ吸血鬼の懸念を少しは和らげてくれるかもしれん」
吸血鬼を恐れる為らば、同じ吸血鬼と話し合うのも手では在る。
尤も彼女が望めばだが無理強いはしない。
■リス > 「そのあたりは、巡り合わせ、というところ、なのでしょうね。
ふふ、甘味がお好き、と覚えておりましたから。
それに……ええ、いろいろ教えてもらいますし、授業料というところで。
そういえば、お酒の方は嗜まれます?
よければ、アッシェの酒蔵で作ったの、持ってきますが。」
会える時もあれば、会えない時もある。
リスだって商会があるので、仕事で来れないことが多いのだ、だからこそ、会える時が希少で感謝すべきだ、と思うのである。
上機嫌になってくれると、贈った方としてはとても嬉しい。
また、何かいいものを見繕ってこようかしら、と。
彼女はお酒はどうなのだろう、飲めないなら無理に持ってくるつもりはないが、飲めるのであれば、それもいいかもな、と。
「一応、私が、自分で把握している物がありますので。
そこは伝えおいたほうがいいですわね。
人と比べて力が強くなった、とか。
竜達と仲良くなりやすいとか、契約すればお願いとか聞いてもらえるとか。
能力の使い方とかは、ミリーディア様に一任しますわ。」
自分の竜としての特性はある程度把握している模様。
ただ、竜としての、魔力の使い方とか。ブレスの吐き方、とか。
そういった力の使い方の方はさっぱり、であったりする。
なので、教えてもらう順番とかそういったものは、彼女に一任することにした。
それが一番いいのであろう、と。
「何も聞いてなくて、養子を迎えるというだけ聞いていましたの。
それで、蓋を開けたら吸血鬼だと……。
竜の彼女だから、吸血鬼もきっと、人間と同じように弱い存在、なのでしょうけれど。
私にとってはそうは思えなくて。
……ご迷惑おかけします。
やはり、そうなのですね。
昨日は、家にいてもらって、出来るだけ人の姿で、居てほしいと、近くにいて欲しいと願いました。
家には、たくさん竜のメイドや家令もいますから、それとともに、話をしてみることにします。」
彼女の提案。
自分の娘ではない、真祖吸血鬼に出会うという提案。
恐怖に、身を震わせる。
そして、下を向いて。
「……ミリーディア様のお知り合いで、太鼓判を押している方であれば。」
息を大きく吐き出して覚悟を決めることにした。
彼女の提案は、自分の事を思ってのことだとわかるから。
怖い、怖いで足踏みしていては仕方がない。
これでも、昔はともかく、今は竜なのだ。
泣いてしまいそうだけれど、頑張るべきところだ、と自分に言い聞かせた。