2018/11/25 のログ
ディール > 腐敗役人一人の財力ではなく、複数の役人に貴族。更に王族が企画したらしき宴。
招待状は秘密裏に届けられ、この広間――というにはやや小規模。
50人程度が集うと幾分熱気が篭るような室内には、種々の食事やアルコール。或いはノンアルコールといった飲み物が並ぶ。

テーブルの周囲には給仕も並び立ち、料理の鮮度や熱が下がれば即座に新しき料理が純白の。或いは黄金の。
はたまた宝石が埋め込まれた品はないが高級な器に盛られだされてくる。

もっとも、男性の数は少数である。――貴族に貸しや王族にも縁のある人間への謝意を示す意味の宴。
供物のように捧げられている参加者の女性は――弱味を握られているか。
或いはこの違法な現場を押さえる為に潜入した存在の女性だろう。

「―――金はあるところにはある物だ。」

素直に評する。酒と言っても上等な、市場に出る事が少ないアルコール。
芳醇な果実の香りを殺さず、アルコールの舌に刺さる刺激を包み込んだ果実酒。
1樽で家が一つ建つ程度の酒がゴロゴロと並んでいた。
グラスを傾けながら――少数の男性が参加している女性に手を伸ばす様。

或いは組み敷く様を観ながら壁の華ならぬ、壁の彫像を決め込んでいる。
自分の役割のひとつは、警護でもあるからだ。

ディール > 自分の呑んでいる果実酒にも、当然薬物は仕込まれている。
もっとも男に注ぐ酒や男の手にする食事には男にとっての強精剤。或いは視覚、聴覚の感度を増すモノ。
もっと言えば魔力其の物を練りこみ、直接口に含むことで有る程度、自分の体の能力を高める事や――望めば一時的に指が触手になる。
或いは男性器の一時的な拡張等もかなうだろう。

「北の帝国でも儲ける事が出来る役人は強いな。
 大方捕まえられたのは――スケープゴートが大半だろうが」

ちらり、と大理石の壁の周囲に視線を走らせると、己と同じなのだろう。
護衛としての任務やこの宴を無駄にさせないための警備役。つまるところ腐敗している、此方側の人種が複数居た。
入り口だけが侵入路ではない。誰もが地下や天井と言った箇所にも警戒を払っている。

室内に立ち込める香は甘い果実を熟させ、更にそれを煮詰めた様な香。
事前に抗薬物を摂取しなければ思考能力の低下を引き起こす、結界代わりの代物になっていた。

「知った顔も無し、騎士団の動きも無し。清流派も其処まで余力はないか。」

ディール > 定期的に錫杖で床を打つ。音の反響と魔力の反響によるレーダー観測の様な物だ。
音自体に魔力を帯びさせ、生命を有した存在に触れると異音をけたたましく鳴らす。

とある魔族の能力を吸い上げた際に、魔力の応用術を学んだ。
医療行為にも使えるが、音や風に魔力を直接含ませるやり方は便利ではある。
――観れば向こうには皇位継承権が低い身分の若妻。或いは娘が、本来立場が逆の筈の貴族に良い様に扱われている。
香を吸い込み、媚薬や種々の薬物で骨抜きにされている以上危険は無いだろうが、これも仕事。

杖を持ち上げ、もう一度床を軽く打った。
彼女達が危険物――例えば刃物等がないか――位の検査はしておくべきだろう。
音の波長が僅かに黄色に染まり、床に敷かれた真紅の絨毯を伝い――足から全身を駆け巡り、その結果を持ち帰ってくる。
音の振動が全身を駆け巡る以上、媚薬に浸された彼女達には若干の愛撫のような刺激を与えたかもしれないが。

「危険は無し――後で薬物でも分けてもらおうか。解毒薬は造っておくに越した事もない」

この宴で薬物中毒や、香の結果後遺症を残させるわけにも行かない
そういう理由で自分も呼ばれたのかと思ったが、ほぼ解毒薬等は完備されていた。
自分に要求されたのは――医者としてではなく、腐った宴の片棒を担ぎ、裏切る事をしないという踏み絵の様な物。

ディール > 錫杖については古木を削り出した土台に、魔力で鋳金した石突と先端にとある人物に『産ませた』魔力卵を精製して作り上げた宝玉が埋め込まれている。
使い切ってしまえば砕け散るが、使い切らない内は卵という擬似とは言え生命体手前の本能で周囲の魔力を吸い上げ、所有者である己を保護する微弱な結界を張る。

自分の魔力がなくなればこの宝玉から魔力を吸い上げ、大魔法――まではまだ己は使えないが。
固定魔法による足止めや煙幕等を精製して参加者を逃がす算段は付いている。

「とはいえ、乱入者も不審者も無し。――俺の楽しみも無さそうだが。」

一応だが、女性客に手出しをしても良いとは言われているが――如何せん食指の伸びる相手が居ない。
或いは目ぼしい相手が居ても、先に他の貴族、役人に奪われている。
肩を竦めて定期的に杖の石突で床を打つ単純作業を繰り返していた。

ディール > 夜は更け行く。日の光ばかりとは限らないのは王城の中だけではない。
混迷を極める国の行く末も、自分にとっては良き手慰み。
王族、貴族の力関係が崩れ行く光景等を目に酒を楽しむ時間が続いていった

ご案内:「王都マグメール 小規模パーティールーム」からディールさんが去りました。