2018/10/10 のログ
ジュスタン > 「す、すまない。」

どこを見たものかと定まらない視線を咎められると額に指を当て瞳を閉じ、慌てた口調で謝る。

「その、あまり助成と接する機会が無かったものでな。
 こういう時は一体どうするのが正解なのだろうか。」

幼い頃から剣一筋だった騎士は慣れない女性との会話にどう距離感を保てばいいか分からず瞳を閉じたまま一歩下がる。

「ん、とりあえず邸宅まで送ろう。
 この時間、女性一人では危ない。
 ロンディニア卿には言付けておこう。」

とりあえずは時間も遅い。
これ以上女性との交流経験のなさから来るボロを出すまいと話題を変え、エスコートすべく自然と左手を差し出す。

アシュリー > 「…………ええと、どこを見てもらったらよいのでしょう?」

こちらも男性経験皆無なもので、いざどこを見てよいのかと聞かれれば回答に困る。
お互いに異性経験に乏しい同士、相手との距離感を掴みかねているのがふと面白くて、くすっと笑って

「す、すみません。つい……
 えっ、いえその、そこまでエンフィールド卿にご迷惑をおかけするわけには……」

散々迷惑を掛けた後で、その上家まで送ってもらうとなると申し訳無さが先に立つ。
こう見えても騎士ですのよ、と言い訳をしようと腰の剣に手をやろうとして、入城の時に預けたことを思い出す。
しかし伸ばしてしまった手は時既に遅く、虚しく空を切って、またも顔が真っ赤になった。

ジュスタン > どこか抜けている少女の仕草に思わず笑みが零れる。

「ん、失礼。
 ご息女を一人で帰したとあっては私がロンディニア卿に叱られる。
 私を助けると思ってエスコートさせてくれ、お嬢様。」

少女の前へと片膝突いて跪き、芝居がかった所作で左手を差し出す。

アシュリー > 「そ、そこまで仰られるのでしたら……よろしくお願いいたしますわ」

幼い頃憧れたおとぎ話の騎士のように、美しい所作で手を差し出すエンフィールド卿にまたも頬を染め
どこかうっとりと、その手を取る。

「で、でも仮に父が叱るならば、勝手に一人で出歩いたわたくしの方ですからご安心なさいませ!」

この令嬢、箱入りのくせに叱られ慣れている。

ジュスタン > 「ありがとう、アシュリー嬢。」

少女が手を取れば微笑み浮かべ立ち上がり、手を添えたままテラスから廊下、そして、夜間用の裏口へとエスコートしていく。

「まあ、確かに貴女は少し叱られたほうがいいな。」

そんな軽口を叩きながら責任を持って満天の星が降る夜道を二人連れ添って歩いていくのだった。

アシュリー > 「ええっ、エンフィールド卿まで……いえ、己の不用意さは日々痛感するばかりですけれど……」

もごもごと言い訳をしながら、優しい騎士様に手を引かれて城を後にする。
夜道で見上げた星空は、城のテラスで見るよりずっと広くて、屋敷の窓から見るよりずっと煌めいていた。
ちらりと空を滑っていく流れ星に、またこの方と今度はお父様に怒られる心配のないところで
お会いできる縁があればいいな、と願いながら歩いていく。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からジュスタンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からアシュリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」にティリアさんが現れました。
ティリア > ――――…………っ…。

(とある一室から出た、直後に。
力が抜け、深い深い溜息を吐いた。顰めた表情は、簡単には戻す事が出来なさそうだ。

――専ら各所の査察に赴かされているような。或いは、使いっ走りを任されているような。
現状の立ち位置自体は、王都以外へも赴く口実が出来る為、好都合ではあるが。
それ以上の…あくまでも個人的な、心情的な、如何ともし難い理由でだが。
一時で良い、王都の外に出たかった。
いっそ戦場でも良い。死地でも構わない。そう願い出てみたものの――
アマレンシスという家が保持していた魔具と、その利便性を知る上役は。
休暇願と大差のない要望など、案の定、認めてはくれなかった。
…断られて。罅の務めに戻れと言われて。彼の者の前を辞したのが、今。)

…解ってるけど。そりゃぁ――解っている、けれど。

(我等は。貴族は、軍人は。国に仕え民に尽くす存在だ。
その事は重々承知している、己自身、破るつもりは毛頭ない。
――だが、この躰では、と。臍の辺りに掌を押し当て。また吐息。)

ティリア > (やがて、顔を上げた。
受理されない文句を言っていても仕方が無い。
出来ない事、やり辛い事は増えたが。それはそれとして、出来る事をする…それ自体は変わらない。
否、変えるまい――出来る事を、出来るだけ。その意思は。

ぱんっと掌で頬を張って首を振り。
気を抜くと目元に滲む熱っぽさを追い払う。
……三度目の呼吸は。溜息ではない、肺と頭の中身を入れ替える深呼吸だった。)

特にこれ、何とかしないとな、ぁ――――

(いつ何時、如何なる形で昂ぶるか。蕩けるか。溺れるか。
それの不確定且つ不定期な躰では。諸々、支障があるというものだ。
やらねばならない事、その中で、優先事項だけは決まっている。
只、それに。周囲の協力は得られないだろうというだけだ。

自分で、どうにか。それだけ定めれば再び歩み出した。
この場を後に…というだけではない。停滞から、一歩。その為に。)

ご案内:「王都マグメール 王城2」からティリアさんが去りました。