2018/09/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にティリアさんが現れました。
ティリア > ――――っく。 ぁ は……

(広間から辞し、廊下に出た所で。堪らず大きな溜息を吐く。
例え同じ貴族であれ、格上も格上の存在にお目通りを願うのは…まして、その相手に然るべき力が有るのなら。
緊張するのは仕方がない事だろう。
その上相手は、近頃増えた悪辣な貴族ではない。
家柄に見合うだけの格式を有し、権力に見合うだけの責務を果たしている…そういった希有な人物だった。

謁見の目的は先日、とある貴族宅にて行った捜査の報告。
己の伝えたソレが、一つ、家を潰す事になるかもしれない。
対象の自業自得とはいえ、結果影響を受ける者達の数を考えれば。
決して、心象の良くない任務であり、結果だった。
その上報告に向かう途上、王城ではどうしてもすれ違わざるを得ない、幾人かの貴族から。
露骨な、裏切り者を見る視線が突き立てられていた。

仕事を終えた後になって。その痛みが、実感となり襲い掛かってくる。
ずるずると、その侭廊下の片隅で蹲るようにして。)

…気疲れ?こういうの、って。本当、嫌になる――――

(是を是とせぬ、何奴も此奴も。…そんな輩に個人的な怨みをぶつけている、己自身も。)

ティリア > (裏切り者、か。なる程、そう見られても…決して不思議ではない。
貴族。そう呼ばれる存在を。一括りとして考えるならば。

だが、それ以前の問題だ。
先に裏切ったのは、己を糾弾しているような、悪辣な輩ではないか。
位階や階級、それで区別する前に。人としての是と非とで、大別して然るべきではなかろうか。

同じ貴族だから肯定するとは言わない。かといって、貴族階級が須く悪だとも言うまい。
同族の癖にと避難してくる貴族も。貴族出というだけで毛嫌いしてくる軍人も。
己からすれば、他者を否定するばかりの同類だ。
…結果、組織や派閥、階級や集団という存在に、迎合出来ず。
辛うじて心を赦せると。そう感じるのは、個人レベルの関わりばかり。)

…良いさ。別に良いよ…それで。結局――

(結局、娘自身が。それでも構わないと、半分諦観。
こんな所で座り込んでいると、それだけで奇異の目を向けてくる者も居るが。
…大丈夫だ。少し休んだら、立ち上がれる。未だ、折れずに居られる…筈だ。)

ご案内:「王都マグメール 王城2」にニアさんが現れました。
ニア > 王城の大広間にて行われていた夜会
たくさんの食事や酒、そして踊り
それらを楽しむ貴族たちに紛れ、派手な装飾で飾られた仮面を被り
シルク素材で作られたパーティードレスに身を包む盗賊は情報収集に明け暮れていた。

無暗やたらと侵入し、城の警戒を強めるよりは賢い手段ではあるが
仮面のせいで先程から訝し気な視線を集めていた。

一通りの情報を得た彼女は、誰にも怪しまれることなく大広間を抜け出す。
そのまま廊下を渡って城から出るつもりだったのだが
そこで唯一の人間の協力者であるティリアを見つけた。

「……何してるの?大丈夫?」

仮面の盗賊は普段の口調で廊下に座り込む少女に声を掛けた。

ティリア > ………?

(その声音に聞き覚えが有った。
つい最近聴き知ったばかりの。だが、早々忘れられる筈もない遭遇だった。
ゆるりと顔を上げてみた…ものの。視界に飛び込んできたのは、紅い紅い仮面に覆われた貌。
それでは、相手が何者なのか。確信を持て、というのは難しかったのだが。)

…大丈夫。仕事疲れみたいな…もの、だよ。

(それでも。ある程度己の記憶と直感を信じた。
序でに、顔以外のパーツも、記憶と合致したと言ったなら。果たして彼女にはどう思われるやら…
タンクトップとパーティードレスの差異こそあれ。どちらも、肢体の稜線を窺わせてくれる代物だったから。
念を入れ。後者については押し黙り、そして相手の名を口にする事もしなかった。
人の行き交う広間前。何処の誰に聞かれるともしれないのだ…彼女の。
れっきとした指名手配犯である、その人物の名を。

だから、今この場で。返す言葉は最低限。ひらりと、片手を振ってみせ乍ら。)

ニア > 「…仕事ってのはあのお気楽な貴族共の相手か何か?
……相変わらず大変ね」

久し振りの対面ではあるが、どうやらこの姿でも
ティリアは自分に気づくことができたらしい。
もしこれで気づかれなかったら面倒くさいことにはなってたかもしれないが…

ティリアと視線を合わせるようにしゃがみ込み、
周りからの視線も気にせず肩を貸した。
顔色を見るからに、相当疲労が溜まっているのだろう。
こんなところで座り込んでいたら余計に体に悪い。

彼女はティリアを連れ、以前二人が出会った休憩室へと足を踏み入れた。
念のため内側からカギをかけ、ティリアをベッドに寝かせる。
ベッドサイドに置かれたライトに明かりを灯し、顔を覆っていた仮面を取っ払った。

「…ふぅ、こういうのは窮屈だ。
やっぱりマフラーの方が楽ね」

フフッと微笑みながらベッドに腰を掛ける。

ティリア > 相手? …あぁまぁ、そうだね――相手取って、向こうを張って。
叩き潰して、やった。

(口端を歪めるようにして、笑ってみせる。
…彼女の前では。すこしだけで良いから、強がりたい。
実際の大変さと煩雑さは。正直、あまりにも面白くない話である上に。
多分、彼女が聞けば。ますます貴族嫌い、人嫌いを悪化させてしまいかねない…詰まる所。
そんな、人の愚かしさと浅ましさを。欲に餓え集る醜さを。
たっぷりと見せ付けられた訳で。

それを思い出さざるを得ない分、どうあっても好転しそうにない顔色は。
彼女から見ても明らかだった、という事か。
殆ど有無を言わさぬという有様で、躰を支えられ、その場から連れられて。
…但し、今回は拐かしとは呼べぬ物。
前回と同じ部屋が空いていたのは、何の思し召しなのやら。)

っ―― …っはぁ。本当に、ね…息が詰まる。
…いや、こんな時は…息、出来てるのかなって。正直不安になる……かも。

(横たえられた褥の上。だらしなく両脚を投げ出した侭。
彼女が仮面を放っぽり出すのと同様に。此方も襟元を緩め、タイを解いてその辺にうっちゃった。
普通なら、決して人様には見せられない格好だが。
彼女は、特別。或いは別枠。貴族らしからぬ、軍人らしからぬ、何れにも文句は言わないだろうから。)

ニア > 「…息ができてなかったら人間は死ぬんだから、ティリアは生きてるんだよ。きっとね」

別に深い意味はないが、こんな自分の前で無防備な姿を晒す少女に笑みを向け返す。
少女の強がりも見抜いてはいたが、特に掘り返すこともせず、
そのままティリアに寄り添うように、彼女も寝転んだ。

「…余興のつもりで踊っていたら汗を掻いてしまったわ。
シャワーも浴びたいし、私の部屋に来ない?
…無理強いはしないけど」

強がりな少女に対し、こちらも強がりな態度を取ってしまった気がする。
本当は一人であの家に帰るのが寂しいだけだ。
それを素直に伝えられないのがニアの弱点だったりもするが…
もし、ティリアが承諾してくれるなら
いつかの夜のように、彼女を抱きかかえて王都の空を駆けることになるだろう。
ただ、あの日と違うのは、ティリアを縄で縛っていないことだろう───

ティリア > …生き乍ら死んでいる、っていうのも。人間には往々にして在るんだよ。
取り敢えず、今は。…本当に、生き返った気分。

(隣に、寄り添い寝転ぶ他人の温もりが在る。
…それが、恐怖や不安を煽らないのは。どれ程ぶりの事だろう。
気兼ねも遠慮も必要無い、飾る必要の無い対人関係に。…生き返った心持ち、という言葉は。
決して大袈裟な物ではないつもり。)

…っ…ぁは。また、連れ去られちゃうか――でも、そうだね。
やっと、仕事終わったんだ。ちょっとでも落ち着きたい。
君の部屋ってなかなか良い所だったし…

(攫われる云々は、勿論冗談…そう、冗談も言えるのだ。彼女となら。
改めて、そんな気安さに心の底で感謝しつつ。
今度は己からも身を預け。再び城から姿を消す事になる。
勿論、今回は事件扱いされる事は無いのだが…当人にとっては。どんな事態が待ち受ける事か。)

ご案内:「王都マグメール 王城2」からニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からティリアさんが去りました。