2018/09/10 のログ
ブレイド > 「ハハッ、そりゃ良かった。
イヴリールには友達とか恋人とか…
こうやって話せるやつ、他にいねーのか?」

肩の力を抜いて話すことが今までできなかったというのならば
それはとてもつらいだろうと思う。
14歳という年頃という点も踏まえて。
自信のなさも、周囲に抑圧されてのことなのかもしれない。

「凄いっていうか…まぁ、そうでもねーよ。
必要にかられてるだけだ。オレだってその必要がねーならこんなことしねーしさ。
環境も違うもんだ。イヴリールにできることがオレにできるとは限らねー」

イヴリール >  
「……いない、かもしれません。
 こうやってお部屋の外に出る勇気をくれた人や、
 それから出会った人達はいますが……」

自分を姫として扱ってくれる人も、そうでない人も
でもそれが友達であるとか、恋人であるだとか…
そういうことは考えたことがなかった

「必要……」

必要なこと、そう…自分には必要にかられて何かをしなければならないということはなかった
せいぜい、周りの言うことに従って、たまに公務で外に出された時に言われた通りに振る舞うだけ…

「それでも、凄いと思います…」

イヴリールというただの少女にできることは、本当に何もないのだと自覚しているのだから

夜の回廊の先、魔力のランプに照らされた一角に華美な装飾の施されたドアが見える
ドアの前には見張りであろう兵士が二人、立哨を続けている

人目で王族か王国貴族の住まう部屋だとわかるそれが見えてくれば、僅かにその歩幅を狭める

ブレイド > 「そっか。じゃ、この散歩でちったぁ肩の力が抜けてりゃいいんだがな。
イヴリールの歳で肩こりなんて洒落になんねーだろ?
ま、なんかあったら第五師団で呼んでくれりゃ、話し相手に位にはなるさ」

友人的な存在はいないらしい。
姫の友人としては自分はあまりにもふさわしくはないだろう。
男で、粗野で、下賤で、ミレーだ。
だが、この王族らしくない少女の肩の力を抜くことくらいはできるかもしれない。

「そっか?日銭稼いでるだけだけどな…
冒険者なんだからできりゃもっとでかいことを……
っと、オレ、本業は冒険者なんだよ」

などと話している間に、雰囲気が変わる。
見張りもついているしおそらくは王族の寝所が近いのだろう。
だが、歩みが遅くなったような…

「んー…部屋、思ったよりちかかったな。
どうだ?良ければもうちょっと散歩しようぜ?」

少女に向かって手を伸ばしてみる。

イヴリール >  
「そ、そんな仕様で騎士さまを呼びつけるなんて、で、できません…」

慌てたような表情を見せる
気軽にそういうことができない、どうにも考えすぎてしまう性格らしかった

「冒険者…そうだったのですね。
 いえ…少しで戻る、と言って出てきたので…今日は、ここまでで…
 ありがとうございました」

少女もこの時間を惜しみ、それで歩みが鈍ったのだろう
しかしそれ以上に、自分の影響で誰かに心配させることを恐れたように見えた

「呼びつける…なんて偉そうなことはできませんが、
 また会えたらもっとお話しましょう。
 冒険のお話だったりとか…外の世界の話を、色々聞いてみたいです…」

ブレイド > 「騎士じゃねーよ。冒険者だ」

本業はそっちと言うだけあって
騎士としての自覚などまるでないし、経歴もそもそも伴っていない。

「そりゃ残念だ。アンタほどじゃねーけど、王城ってのは肩がこるからよ。
ちょうどいい息抜きっつーか…まぁ、気楽さだったんだけどな。
礼はオレが言いたいくらいだ」

兵士の前まで行ってしまえば怪しまれそうだ。
少し手前で別れたほうがいいだろう。

「おう、またな。今日はありがとよ」

退屈な警備の仕事に戻るのは気が重いが
楽しい時間を過ごせたことに礼を述べて。

イヴリール >  
「本当にありがとうございました」

ぺこりと頭を下げる
姫ともあろうものが…と見る人が見れば言うのだろうが
少女の性格を考えれば自然がすぎるほどの動作だった

「はい…また」

別れの言葉には今日で一番の笑顔を添えて
くるりと踵を返せば、部屋の前の兵士と二言三言、言葉を交わして、
もう一度視線をそちらに向けると、小さく微笑みドアの向こうへと消えていくのだった

ご案内:「王都マグメール 王城2」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からイヴリールさんが去りました。