2018/09/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にイヴリールさんが現れました。
イヴリール >  
「……ん…」

──ふと、夜に目が覚める
最近こんなことが増えた気がする…どうにも寝付けなかったり、夜中に目が冴えてしまったり…
少しだけ、色々な経験をしたことも関係しているのかな──
そんなことを考えてベッドから起き上がり、細かい刺繍の施されたうすい外套をその身へと羽織る

そっと物音を立てずにドアを開けて、部屋の外へ出る

ドアの向こう側で立哨をしていた兵士が一礼、寝付けないのですかと気にしてくれた

「ごめんなさい、少しだけお城の中を歩いてきます。すぐに戻りますから…」

そう告げてこちらもご苦労さまですと小さく頭をさげて、夜の回廊へと足を踏み出す

イヴリール >  
昼間は王国貴族や王都の人間、商人さん達や謁見に訪れる冒険者…
そんな人達が大勢訪れるホールもこの時間は僅かな、王城の兵士が見回っているのみ

「静か……」

物音も、最低限しか聞こえてこない
窓から差し込む月の光が明るく、薄暗いということもない
なんだかそんな夜の王城の光景は少しだけ綺麗だなと思えてしまう

やがてテラスに出れば、涼しい夜の風が髪を揺らす
心地良さを感じて、ここでしばらくのんびりしようとテラスの手摺りに寄りかかり、一息をついた

ご案内:「王都マグメール 王城2」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 最近の国内の問題は申告で、見回る兵士の数も少ない。
そのため、客分たる自分の手も借りたいといったところらしく、城内の見回りに参加することになった。
退屈な仕事だが、夜間任務ということで自分には都合がいい。
都合がいいが……やはり退屈なものは退屈。

「くぁ……ぁぁ…」

静かなホールには自分の足音とあくびしか聞こえない。
いかな魔導機兵といえ、こんなところまで…いや、騒ぎに乗じてということもあるだろうが…。
なんにしたって、必要な仕事であることは変わりないか。
などと思いつつウロウロしていれば、涼やかな風に吹かれる影を見る。

「だれだ?」

正直、城内で暮らす人間の顔というのは殆ど覚えていない。
そのため、少し警戒を持って声を掛ける。王族の人間だとしたら無礼極まりないだろうが。

イヴリール >  
「きゃあっ!?」

突然かけられた声に驚いた少女は振り向き様尻もちをついてしまった
……どう考えても驚きすぎではあるが、それだけ臆病であるということかもしれない

「えっ、あっ…あ、あの、わた、私…ええとっ…」

見下される形になっているであろう、
その声の主を見上げながら自分が誰かを説明しようとしているのだろうが、
しどろもどろで全く言葉になっていなかった

少年の装いは城内でいつも見かける兵士と違っていて、それが余計に拍車をかけていた

「あっ、怪しいものではないですっ」

ようやく絞り出した言葉はそんなものだった

ブレイド > 「は?」

頼りない悲鳴と共に尻餅をつく人影。
歩み寄ってみれば金髪の少女。
寝間着に外套姿からして、おそらく王族…姫様というやつだろう。
兵士に話しかけられてこんなしどろもどろになる賊なんて自分は知らない。

「あー、えっと…そう、みてぇだな。わりぃ
むしろオレも怪しいもんじゃねーっつーか…見回り、なんだけど」

バツが悪そうに頬をかきつつも、槍を肩に立てかけ少女に手を差し伸べる。

「むしろ、知らなかったオレがわりーっつーか」

怒鳴られて追い出されても仕方ないとは思うが、とりあえずは座り込ませたままというわけにも行くまい。

イヴリール >  
「あ…兵士の方、でしたか…す、すいません、驚いたりなんかして…」

手を差し伸べられれば、それにも一々びくぅっと一瞬驚いたように見えた

「だ、だいじょうぶです…
 あの、私のことなんて、知らない人のほうが多いので…ごめんなさい」

もたもたとしつつも立ち上がり、胸元に手をあててふぅーっと大きく深呼吸
自分を落ち着けようとしていたり、なんだか謝ってばかりだったり…
見た目以外は何一つ王族っぽさのない少女であった

ブレイド > 「兵士っても、正式な兵士じゃねーけどな。
師団の客分ってやつだ。最近なんかすげー騒ぎだろ?
そんでオレに見回りのお鉢が回ってきたってだけで、見慣れてねーやつに脅かされりゃそうもなるって」

臆病なのか警戒しているのか、とりあえず手は引いて
怯えさせないように一定以上の距離は置いておく。
できれば槍も手放したほうがいいだろうか?

「アンタに限らず、王族の連中の顔なんて知らねーよ…っとっと
いや、えーと、なんだぁ…その、オレは下賤の出だからやんごとなき方々の顔も知らねーんだ。
許してくれよ」

王族らしくはないが、着ている服は上等だし、長い金髪もよく手入れされてさらさら。
そして、この場で無防備に風にあたっていたのだ。
間違いなく王族だろう。むしろこちらが頭を下げたほうが穏便に済む。

イヴリール >  
「ごめんなさい…いつもの見回りの兵士さんと格好が違っていたので…」

ふぅ…とようやく落ち着いたのか、胸元から手を降ろして、自分に声をかけてきた少年へと向き直る

「そうみたいですね。
 このお城の中で私にそうやって話す人、いませんもの。
 申し遅れてしまいましたが、イヴリール・フォン・カルネテルと申します」

小さいけれどはっきりとした声でそう名乗り、ドレスの裾をつまみ上げての一礼を送った

ブレイド > 「あー、第五師団の鎧って威圧的だもんな…しかたねーよ」

何度も謝られると少しばかり居心地が悪いが
落ち着くのを待つことにする。
流石に放って歩き去るというのも気分が良くない。

「っと…えー、っと……王族…だもんな?
もっと丁寧な言葉で話さねーといけないか。
わり、いや、申し訳ありませんでした。えーと、オレ…自分はブレイド・エッジであります…?」

名乗る少女に、姿勢を正して名乗り返すも、ぎこちないどころではない。

イヴリール >  
「…ふふ、そのままで構いませんよ。
 今は、そういうことを気にするお付きの者もいませんから…」

もしも状況が違っていたら、少年は不敬であるなどの理由であまり良くないことになっていたかもしれない
少年が今後も城内で活動する機会があるのなら、今は兎も角として、知っておいてもらったほうが良かった

「ブレイド…勇ましい名前ですね。
 えっと…私のことなら大丈夫、ですよ。
 寝付けなくて、少し夜風に当たろうと城内を散歩していただけですから。
 もう少し涼んだら、お部屋に戻ろうと思います」

──少年の言うように、王都周辺で大きな騒ぎが起こっているらしい
外で何があったのかまでは知らないけれど、それで城内の警備が僅かに緩んでいるのは間違いない
少年が自分を心配しすぎないよう、そう付け加えて言葉を返すのだった

ブレイド > 「そっか、すまねー。
まぁ、今は…だよな。アンタが話のわかる姫さんでよかったぜ。
気をつけるよ。そういう口うるさそうなのは、見りゃ何となくわかるし」

ほっと胸をなでおろし、砕けた口調に戻る。戻ると言っても、それほど隠しきれてはいなかったが
大丈夫という少女の言葉…まぁ、城内だ。
それこそ危険なことはないとは思うが。

「勇ましいか。なんか名前でそんな事言われたのは初めてだな。
んー、大丈夫なのはいいけど、見回りってのも退屈なもんでさ。
それに、姫さんの護衛ってなら見回りより大事な仕事だろ?
オレもしばらくご一緒していいか?
ああ、邪魔だってなら見回りに戻るけどさ」

城内であるために心配ということはあまりないし、彼女を疑っているわけでもない。
だが、一人うろうろと城内をうろつくよりは、寝付けぬ姫の身を守るのが大事だろう。
などという方便を語り笑ってみせた。

イヴリール >  
「邪魔だなんて…お仕事を増やしてしまうようで申し訳ないのですが…
 では、ブレイドさんが宜しければお部屋に帰るまでの護衛、お願いしてもよろしいですか?」

あまり遅くなっても心配される
少年が声をかけてきたのは、ちょうど良かったのかもしれない

「歩きがてら、お話しましょう」

僅かに笑みを浮かべて、小さな歩幅でテラスから回廊へと、歩みはじめた

ブレイド > 「いいっていいって、どうせなんもねーさ。
退屈してたからちょうどいいっての。
…っと、えーと…それにしたってアレだ、その格好だとよくねーな」

許可を得ることができれば
歩む少女の横に付き追従するように歩きだす。
だが、少女の格好に気づけば少し目のやり場に困る。
外套で隠しているとは言え、ゆるい寝間着というものは少し慣れない。

かと言って自分のマントまで羽織らせてしまったら動きづらそうだ。

「ん、っとそうだな。イヴリールは姫さんなんだよな?」

直接そう聞いたわけではないがメイドや使用人とは違う気配を感じる。

イヴリール >  
「え…あ、すいません…外套で隠せば平気かと思って…」

言われて気まずかったのか、少し深めに外套を羽織りなおして
元々それほど主張するほどの体型ではないものの……少しはマシになったかもしれない

「ええと…はい、一応、そうらしいです…」

こくん、と素直に頷いてみせる
どこかその言葉は自信が感じられないものだったが

ブレイド > 「むしろオレのほうが謝るとこだろ…。
すけべーな視線送っちまってよ。それに会ったのだって偶然だしな」

気にするなと、ひらひら手を振って。
体型にこだわらないのだが、この状況ではよろしくないか。
むしろ不安がらせてしまいそうだ。

「そっか、まー綺麗だしそういう感じには見えるけど…
姫さんにしてはよく謝るなぁ。もうちょっと堂々としてりゃいいのに」

少女の気質だろうか。それはわからないが…。

イヴリール >  
「い、いえ……年頃の殿方なら自然なことだと、えっと、思いますので…」

本当はよくは知らないが、本などで得た僅かな知識からそう言葉を選んで見る

「うっ…」

堂々としてればよいのに、と言われると何やら少女の胸を突いたのか、くちどもってしまう

「ご、ごめんなさい…私、最近までほとんどお部屋の外に出たことがなくて、
 あまり一人で姫として振る舞ったことがないといいますか…」

歩みを進めながら僅かに視線を落として言葉を綴る

ブレイド > 「まー、そうかも知れねーけど、姫さんに対してってなさすがにな。
下手なことして怖がられたくもねぇ。さっきみたいにな」

手を差し伸べたときの反応からして、自然とはいっているものの慣れてはいないのだろう。
男というものに。事実はどうだか知らないが、少なくともそうみえる。
王族らしくない…行ってしまえば普通の少女のような振る舞いをする彼女を無駄に怯えさせたくはない。
のだが…

「あー…いや、いいって。むしろ、ソッチのほうが話しやすいって。
姫らしくされてもこまるっつーか、姫としてふるまわれたら、牢獄送りになりそうだ」

なんか、痛いところをついてしまったらしい。

イヴリール >  
「あ、あれは少し驚いただけです…。
 ほら、ブレイドさんが何者かもわからなかったのですから…」

わたわたと誤解であることを説明する様子が余計に王族らしさを損ねてゆく

「…気を、使ってくれてますよね…?
 いいんです、私、姫らしくないことはちゃんと自覚していますから…」

気にしないでください、と小さく微笑んで見せる

ブレイド > 「オレも考えなしだったってわかってるよ。
しらねー男に手を握られちゃ、どうされるかわかったもんでもねーしな。
それに、こんなカッコだ」

どこの兵士かもわからない人間だ。
なにされるかもわからない状況であれば正しい判断だ。
少し慌てながらも話すさまは、備えた美しさとは違いなんとなく相応の少女らしさを感じて
思わず頬が緩んでしまう。

「それもあるけど事実でもあるさ。
えーとなんつーか…姫様っつーかお嬢様って感じはするし、いいともうぜ?」

姫らしくはないが、気安く話せるという点ではむしろありがたい。
微笑むイヴリールには笑顔をかえして。

イヴリール >  
「…そ、そうですか…?」

認められるというか、褒められるというか、
笑顔を向けられて少々恥ずかしそうに頬を染めて視線を外す

──夜の回廊を歩く、騎士と姫
もう少し少女に俗な知識があればそれに何かしら感じるものがあったのかもしれないが

「そういえば、ブレイドさんは私とそんなにお年は変わりませんよね…?
 私は今年14になったばかりですが…」

そんな年齢でしっかり危険な仕事をしているのは素直に凄いなあと思う

ブレイド > 「そーだよ。ガチガチの姫様だったら
こんなふうには話せねーだろ?…いや、姫様らしいほうがいいってなら嬉しくねーかもしれねぇけど…
ふわっとしててなんか優しげな感じするしな」

かしこまらずに喋れるのは自分としてはとてもありがたい。
恥ずかしそうにする少女の様子から、そう悪い印象は持っていなさそうだ。
少しばかり安心した。
姫と騎士という立場ではあるが、お互いにその自覚が薄いというのもあるか。

「ん?オレは15…そろそろ16になるかな?ちょっと年上だな。
ま、気にしなくていいぜ?歳なんざ」

少女の感心を知ってか知らずか笑ってひらひらと手を振り。

イヴリール >  
「…そうかもしれませんね。
 いえ、そう言われるのは、きっと嬉しいことなのだと思います。
 私も、なんだかブレイドさんとは肩の力を抜いて話せますから…」

これが自然体…ということなのかもしれない
自分が価値や、自分が何者である、ということに拘らず話すことができる…
そういう相手はきっと、とても珍しくって

「ふふ、少しだけお兄さんですね。
 凄いなぁ…立派に日銭を稼いで、一人前に生きているのですものね…。
 私なんか、一人では何も出来ないのに……」