2018/09/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 図書室。」にティリアさんが現れました。
■ティリア > (室内一角。書架の前にて頁を捲る。
分厚いその本に記されているのは、此処数日間で急激に問題として浮上し始めた、魔導機械に関する概論。
――此迄は、便利な道具としての認識しか持たず。その恩恵を受けるだけだった。
敵性存在として相対する事など、想像した事も無かった。
無論、いざ対面する時が来たのなら。如何なる対処法が有るのかも知らぬ侭。
何に付けても己は勉強不足だ。
実際に遺跡や荒野に赴く、御使いと呼ばれる機械仕掛け達と対峙する、そんな機会は万に一つも無さそうだが。
逆を言えば、万に一つ以下であれ、零ではないという事だ。
知るべき事、覚えるべき事、それは多ければ多い程良い。)
………………………
(図書室という空間に相応しい静謐に守られ乍ら。
己も、その静けさを殺す事なく押し黙り。瞳と指先が文章ばかりを追い掛ける。
…読み込んで。覚え込んで。そして記憶と同時に――記録する。
根を詰めた読書には、少々頼りない薄暗さの中。ぼんやりと片目が光る。
一見で覚えきるのが難しい、図面や図解、それを映像として。瞳が映し録っていた。)
■ティリア > (やがて。手にしていたその一冊を閉じた。
本当ならば最初から最後迄、余す所なく読み込みたいが。
それをしているとキリがない。今は必要な領分だけを取り急いで、が最優先。
…これには、魔導機械の概論が、基礎的な物の構造が記されていた。今現在、王国内にて活用されるレベルの物が。
それが終われば次は、兵器としての魔導機械を記す物。
使い方、使われ方。一般的に知られる対処法、此迄に行われてきた撃退法等。
――…が。)
……、っ。流石に――目に、来るね。
(長い長い一冊に、例え必要分だけとはいえ、夕食後延々目を徹していたのだ。
まして、文字通り目に焼き付けられた映像は、その侭頭の中にも転写され。
強制的な刷り込みめいた記憶量は、目に――というより、脳細胞に。負担を強いる。
斜めの掌が、右目と額の双方を包み込み。熱っぽさを自覚して。
苦笑気味に唇を吊り上げた侭、ふらりと背後の書架に預ける背中。)
■ティリア > (だが、止めはしない。くらつく頭を振り、再び前側の書架へ。
出来る事。やるべき事。どちらともしれないが――何でも良い、何かをしていたい。
止まる事も振り返る事も出来ないのなら…怖いなら。
前に突き進むしか無いではないか。)
そぅさ、そうとも。…余計な事なんて、もう――
(思い出したくない。須く上書きしてやりたい。
その為なら、脳髄への記憶野への負担、万々歳だ。
二冊目を書架から引っ張り出したなら。机へ運ぶ手間すら惜しんで直ぐにその場で。
頁を開く。今度は兵器としてのそれ等に関してだから、一頁目から丹念に文字を追う。
…書庫が無人となるのは、未だ当分先の事。夜が明けるその間際迄、魔具の燐光が灯され続けていた。)
ご案内:「王都マグメール 王城 図書室。」からティリアさんが去りました。