2018/07/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にイヴリールさんが現れました。
イヴリール >  
「──少し夜風に当たってきますね」

ネグリジェ姿の上に外出用の外套を羽織り、ドアを開けて夜の王城の回廊へと踏み出す
…最近は衛兵さんも、このことを侍女達に黙っていてくれているらしく
夜は彼女達もいない、少しだけ自由な時間となっていた──

外廊下から吹き込む夜風の涼しさが心地よい──

ご案内:「王都マグメール 王城2」にシドさんが現れました。
シド > 今日も今日とて眠らぬ舞踏会は草木が眠る刻となりても終わることはない。
楽しげな舞曲が響き渡る広間から後にし、酒精とストレスで重たくなったかぶりを振りながら閑散とした廊下を歩んでいく。

「諸侯たちとの付き合いも楽じゃない……今少し要領の良さを身につけたいものだ。」

火照る体を夜風で冷やさんとヒール響かせ歩み行く。
脚下に置いていた葡萄色の眸は前方の気配を察して僅かに持ち上げた。

「ごきげんよう。どこぞの姫君とお見受けしますが、このような時間帯に如何なされました?」

腕を折り曲げ銀髪が流れ崩れるにも構わず深々と頭を下げていく。

イヴリール >  
静かな夜半、階下から聞こえてくる舞曲は貴族達の舞踏会だろうか
ああいう場所にはまったく縁がない。賑やかで、楽しい場所なのかもしれないけれど

「……あ」

丁寧な物腰で声をかけてくる、男性
身なりを見るに、王城に出入りすぐ帰属の一人だろうか…

「ええと…少し、寝付けなくて夜風に当たりに……」

シド > 貴族となれば王からの呼び出しに応じて王宮に入れる。
ただその呼び出しが贅を貪る夜会でこの時間まで行われていたが故にここにいただけのこと。

「なるほど。寝苦しい夜が続きますからね。
 ……同じく私も夜風にあたりに来ました。
 お隣失礼しますよ。」

慇懃丁重に取り繕っても歩みに恐れはない。堂々と隣に長駆を並べて欄干にと腕を預ける。
前傾姿勢に外を望みながらも、風で銀髪がそよぐ度に、横目で眺める葡萄色が相手に向けられている。

「やぁ、この暑さでは夜風といえどあまり涼めないものです。
 ……申し遅れました。私はシドと申します。貴殿はどこの姫君でしょうか?」

礼はせずに問いかけるは先程の問答にその性質が攻撃的でないと悟った為。

イヴリール >  
「どうぞ。…今宵も、舞踏会が開かれているようですね」

隣に立つシドと名乗る…恐らくは貴族の男性
きっと夜会に出席しにお城に訪れているのだろうと、そう声をかけながら

「私は…イヴリール、と申します」

…なんとなく、貴族相手に王家の名を言うのは気が引けてしまう
公の場に出ることがほとんどないため、"こんな王女がいたとは知らなかった"と驚かれるのは少しだけ辛いのだ

少しだけ憂いを帯びた表情で、夜風にその長い髪を撫でられ揺らす

シド > 姫君はどの国か、恩や媚を売る価値があるかの尋ね。
だが返答がないことに葡萄色の眸から装う笑みが消えて。

「……国の名前を出さない、か。
 たとえどんな小国であろうと、そのトップが国に誇りを持たねば民は報われないというのに。」

一瞬、身分差も忘れて独り言を毒吐いてしまう。
聞こえているか聞こえないか、どちらにせよ吐いた後には、と微かに眸を瞠って失言を噛みしめるのだが。
ただ――… なにを思うか憂いを帯びる横顔に対しては何かをせねばと睫毛伏して思惑めぐらし。

「お元気がないようですね。子守唄にはなりませんが暑さを忘れる曲を捧げましょう。」

懐から取り出した銀の横笛を咥えて瞑目する。
曲の意匠はない。世間で名のしれぬ曲でもない。自分の故郷で根付いた土着の曲。
秋の色づいた葉に躍動を教えるように、涼やかな音が広がっていく。

イヴリール >  
夜会の音が僅かに届いているとはいえ、静かな夜のこと
隣で漏らされた言葉は、その耳へと入る

ちくん、と胸が痛んだ

けれど、自分は王女であると名乗るには烏滸がましい不義の子
カルネテルの名と、飾りの王位継承権を持たされているだけの、疎まれた存在
己の価値を見出だせなければそこには掲げる誇りもなく───

「……?」

涼やかな、笛の音
聞き覚えのないメロディ、なのにどこか落ち着くような……
その蒼玉のような瞳を向けて、その演奏が終わるまで、聞き入ってしまう

「──素敵な、音色でした」

そして、慎ましやかな感想を送る

シド > もはや少女の素性に邪推も土足で踏み入るつもりもない。
王族も貴族もない。
一人の男として憂いを帯びた女性に何も出来ないのは矜持が揺らがされるのだ。
瞼を閉ざして演奏に専念する。
遠く響く楽団が奏でるに比べれば幾分か寂しい音。
されど高い音が透徹に響いて夜気に冷涼を齎すように願い――

「……ありがとうございます。
 これは独り言ですが……
 どんな想いがあるにせよ女性は常に笑うべきだと思うな。
 笑みこそが女性の武器なのだから。」

演奏が終わった後に賛辞の言葉は嬉しく。もう少し余興を見せたいと思う。
用を終えた銀笛は仕舞われることなく、まるでバトンのように回していく。
高速に弧を描くそれは、ぴたり、と止まると共に一輪の百合の花にすり替わり。

「どうぞ。先程の失言のお詫びだ。」

ゆっくりと胸許に差し向けた。

イヴリール >  
「笑う……そう、ですね……」

笑い方は、どうだっただろうか
友人ができた、あの時は…笑えた気がする
でもいざ笑ってみようと思うと、思いの外難しくて

「……?」

くるくると弧を描く銀笛に目を奪われる───と

「わっ…すごい、魔法…ですか?」

容易く驚く少女は差し向けられた百合の花を両手で受け取る
…誰かから花を贈られることなんて、いつぶりだろうか

「…ありがとうございます」

少しだけ、頬が緩む

シド > 「笑い方もしらない……か。」

日々の食事さえありつけなかた庶民から成り上がった身には
約束された安定の地位でのらりくらりと生きていける王族は羨望でしかなかった。
だが、眼前の少女は確かに幸福からかけ離れている姿に微かな憐憫が胸に浮かぶ。

「魔法、ふは。そうかもな。私は色々とできるぞ。
 例えば……。」

差し向けた百合は造花。その花弁に指を差し向ければ中から国旗が結われた糸が出てくる。
次々に出てくるそれは更に頬を緩ませるか。こちらも頬は緩んでいる。

「えい。」

わざとらしい掛け声と共に最後の旗を取り出す。途端に百合花はこちらに引っ張られて
……花を手に持った儘ならば青年の胸元に身を預ける形になるだろう。

イヴリール >  
「色々…?」

魔法使いなのだろうか、と小さく首を傾げる
両手で受け取ったその花の花弁に、男性の指が差し向けられる
なんだろう…?と思っていると──

「えっ…わぁっ…」

するすると出てくる国旗に慌て、驚くような表情を見せる
まるで純粋な子供のような…そして

「きゃ…っ」

可愛らしい小さな声を発しながら、引っ張られ、男性──シドの胸元へと飛び込んでしまう

シド > 「そう色々と。
 笑うことも知らない君にいろんな感情を与えたくなった。」

叶って手繰り寄せた肢体に腕を回して支える。
ほんの少し笑顔を取り戻した百合の花は二人の体の狭間に。
身長差故に真上より眺め下ろす形で細い顎を人差し指で仰がせる。

「君が良ければね。イブリール。
 色々と、教えてあげるよ。」

背筋に回した腕はさほど力が入れずに解くことも叶うだろう。
ただ微笑みに劣情宿した眼差しはじっと少女の蒼眸を覗き込み。
銀髪揺らしながら小首を傾げて返答待つ。

イヴリール >  
「え、あ、あの…っ?」

身体が密着すると、その顔に困惑の表情を浮かべる
腕を回されしまえば、華奢すぎるようにも見えるその細腰は逃げることすら頼りない

「(ど、どうしよう──どうすれば……?)」

助けを求める…? 何も怖いことはされていないのに?
いや、それよりも…何か騒ぎになったら、夜に部屋を抜け出したことがバレてしまう
そうしたら、自分を見逃した衛兵さん達も咎められることになって……

「──………」

葛藤と困惑の中で、小さく頷きを返すのだった

ご案内:「王都マグメール 王城2」からイヴリールさんが去りました。
シド > 頷くのを確認してからその背筋に腕を回して向かう。
月明り照り返す廊下から暗い廊下の奥へと。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からシドさんが去りました。