2018/06/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にミリーディアさんが現れました。
■ミリーディア > 此処は王城内に在る庭園。
普段は研究施設に居座り続けている少女の姿が其処に在った。
少女以外の姿は見られない。
少し開けた場所、其処に展開された魔法陣の上に佇んでいた。
目を閉じ何かを語り掛けている。
其の言葉を何らかの手段で聞けたとして、理解出来たとして、其の言葉自体を理解出来るとは限らない。
何故ならば、其れは人間の言葉では無いのだから。
其れが終われば少女は閉じていた目を開き、深い溜息を吐いた。
「面倒な争いの介入をするつもりはないのだが…
儂の騎士団の連中処か、聖霊達をも怒らせるとはな」
先日の件で大人しくしていた懐刀が活動の兆しを見せた。
そして、自然を汚す毒物の使用で一部の精霊達も騒ぎ出した。
まだ何か隠しているだろう連中。
其の内容次第では自分の手に因る排除も已む無しだろうか。
積み重なり始める面倒事に少女はもう一度溜息を吐く。
ご案内:「王都マグメール 王城」にヴェルムさんが現れました。
■ヴェルム > 本当に何の気なしにだった。
上層部への報告を終え、拠点へと戻り新たな攻撃の準備を行うつもりだったが、ふともう少し王城内を見て回りたくなり、件の書類を懐に仕舞い込み、いざ城内散歩へ。
それで訪れたのがこの庭園…王城内に執務室を、というより居場所を持たない兵士が行きつく先といえば、こういった庭園とか中庭とか、あるいは訓練場といったところか。
「…ミリーディア?珍しいねこんなとこで」
庭園の中にある開けた場所に佇む彼女。
ここに到着するまで魔力の流れを感じていたので誰かしらがいるかとは思っていたが、それが彼女だったとは。
何をしていたのだろう…そう考えはするが、魔法関係の研究をしている彼女が魔法を使っていても別段不思議には思っていない。
彼女の言葉も、少々離れていたため聞こえはしなかったし、ちょうど彼女の背後から声をかけたため、その表情をも見る事はなかったか。
■ミリーディア > 「寧ろ、儂からすれば王城に場を持たない君が此処に来る方が珍しいと思うのだが…如何だろうか?
確かに珍しいが、気が向けば散歩に来ているよ、此処にはね」
感じる魔力の波動に依って、彼が此処に向かっているのは分かっていた。
だから背を向け乍でも、そう声を掛ける事が出来たのだ。
振り返ってみれば目に映るのは予想通りの人物だった。
■ヴェルム > 「あはは、確かにごもっともだ。
まぁ、いつもの呼び出しだよ。あれこれと雑用を押し付けられてね」
伝令を使えばいいだけの話ではあるが、十三師団は他愛のない事案で度々王城へ呼び出しを受けたりすることはままあったため、そう不思議には受け取られはしないだろう。
もちろん、今回に限ってはそれ自体嘘なのだが。
さきほど受けた命令は機密扱いなので、当然彼女に本当のことを語るはずもなく。
ただ、彼女は語らずとも理解していたりするのかもしれないが。
「そうだったか、それは失礼したね。
研究所に篭りきりだと勝手に思ってたよ。
そうそう、魔導機械の調子も良いよ」
そういうイメージを勝手に抱いていたんだなと反省しつつ、彼女に歩み寄っていく。
以前メンテナンスをしてもらった魔導機械はあれから不具合などなく、快調そのもの…というより快調すぎるくらいな気がしているが。
■ミリーディア > 「そうか、君も相変わらず大変な事だな、面倒事ばかりで」
其の言葉だけであれば、彼の言葉に其の侭返した風に聞こえるだろう。
師団の扱いに関して、実際に良い話は聞いていない。
尤も別の含みも在る訳だが、其れに彼が気付くか如何かだ。
「いや、間違ってはいないさ。
儂は常にあの部屋に居る、日中は、ではあるが。
忙しい研究員以外は帰らせている夜は別なのだよ、予定が立っていない時以外はね。
そうか、限界に近い活動をさせれば許容範囲の上昇を見込めるとも考えていたが…間違ってはいなかったみたいだ」
忙しい者達は夜通しで活動している為、どちらにしても扉の管理は必要無い。
自分が居るのは研究施設内部への入り口の管理の為だ、其れが不要であればこうして自由にも出来る。
只、言葉の通りに夜に行う予定も在る、其の時は別なのだ。
其の内容は伝える必要も無いだろう。
メンテナンスとは云うも、実際には其れらしき事はしていない。
あの時に行ったのは魔導機械の解析と、少し細工を施した程度なのだから。
彼の口振りから、其の細工は成功したのだと云えようか。
■ヴェルム > 「ああ…まぁ大変だよ。
でも、やることがあるのはいいね」
たぶんだけれど、彼女はよく理解しているのかもしれない。
上層部の思惑とか、我々がやったこととかを。
そんな大事なことを口にできないことが実に馬鹿馬鹿しいが、それが組織というものか。
もっとも、暇して腐るよりはよっぽどいいと自嘲気味に笑うその口ぶりから、彼女の言いたいことはわかっているらしい。
それが本心かどうかは、実のところよくわからないが。
「あー、なるほどなるほど…。
じゃあ今日も?……と、野暮な質問だったかな」
日中はイメージどおりな活動をしているらしいが、夜はまた別とのこと。
彼女の夜の活動というのを、ほんわかと包んだ言い方で聞いたようなことがあったようななかったような。
だがメンテナンスの際にあったことを考えれば、すごく納得したように頷いてみせた。
「…え?細工してたの?あんな目の前で?」
青天の霹靂、寝耳に水、目をぱちくりさせて彼女の語った言葉を噛み砕き、頭の中で復唱していく。
いつの間に、というかそんなことを…やたらと目を泳がせて落ち着こうとするヴェルムの反応は、彼女の期待通りか。
んんっと咳払いしてなんとか気持ちを落ち着ける、別に爆弾を仕掛けられたわけではないので大丈夫、なはずだ。
それにその細工がどちらに転ぶかまでは、彼女にもわからないだろう。
■ミリーディア > 「そう、人間は何もしなくなったら終わりだ。
其れの良し悪しは別としてね」
王城内の関係者は全て理解している。
思考理念は兎も角として、ある程度の性格や行動は。
だからなのだろう、例の件の立案者も予想は立っている。
確信は、今活動している騎士団の一人が至らせてくれるだろう。
尤も、だからと云って其の時点では如何する訳でも無いが。
「此処に居る時点で答えは不要だろうね」
勿論想像通りだ、夜の活動に対しても。
だから、其の件については其れ以上伝える事も無かった。
「軽くね、後は君自身にさせたアレだ」
細工はした、だが其れだけでは足りない。
其の足りない部分は彼なら理解出来ているだろう。
あの時の事は、只悪戯にしていただけではなかったのだ。
■ヴェルム > 「そう言ってもらえると少しは楽になるね」
彼女は理解している、だからこそ都合がいいのかもしれない。
軍人として命令に忠実に従わなければならない、という解釈をしてくれると。
だが、その良し悪しを決めるのは誰だ?
そんな思いがふと過ぎり、笑って誤魔化した。
「い、言いたいことはわかるんだけど、もうちょっと詳しく聞きたいね」
魔導機械の細工だけではないらしい。
なんとなく何をしたか理解できるものの、なんかそういうの遠まわしな言い方されるとちょっと不安になるもので。
より詳しく聞きたいついでに、やられっぱなしというのも釈然としないので、何かやり返してみたい。
■ミリーディア > 「只、此れだけは理解しておいた方が良いかもしれないか…
生在る者は当然として、自然にも意思は在るのだと。
自然は世界を形作る存在、世界其の物だ。
其れの怒りに触れる事があれば…人間は如何為ってしまうのだろうね?
尤も、受ける怒りは其れだけに留まらないだろう」
如何に行動するのかは自由だ。
立場は理解している、だが、結局は結論を下すのは自分自身。
だから先に待ち受けるべき事象の一つを伝えておいた。
「そうか、詳しく聞きたいのか…其れなら…」
彼の考える事は難しくはない。
其れだけでは無いのだろうが、然し、為らば応えてやるべきだろう。
少女は悪戯っぽい笑みを浮かべれば、其の後の言葉を望む通りに事細かく説明し出すだろう。
其れこそ、意識が薄れていて確りと覚えてないであろう部分迄もだ。
もし彼が制止の言葉を堪らず出せば、止めてやるつもりではあるが。
■ヴェルム > 「それは、精霊ってやつかな…実際に目にしたことはないけど。
そういう存在がある、ってのはわかるよ。
…もしそうなったなら…それこそ人は滅んだ方がいいんだろうね。
もしくは人が世界を滅ぼすのが先か」
一応魔法にも精通している身、ましてはここ最近はすこぶる調子が良い。特に魔力に関しては。
なので物や動植物に宿る意思という概念にも理解を示すことができる。
もしそういった意思が人を見限れば、あっという間に人は滅び去るのだろう。
だがもし人が過ぎた力を持つならば、それを御してしまったなら、その均衡は逆転してしまう。
それもまた一つの未来…無論そのどちらも彼の望むものではない。
今のところはだが。
「…これは、なかなか…も、もういいよ…」
正直あの夜のことは記憶が曖昧というかうろ覚えと言うか。
はっきり憶えている部分とそうでもないところがある。
彼女からそういうところまでキッチリ事細かに説明され始めれば、みるみる顔が赤くなって頭を抱えるようになっていった。
待て待て、こんな羞恥プレイは楽しくないぞっ。
聞いていてたまらなくなったのか、ストップ、ギブアップ。
他に人がいなくてよかった。
「おっと、そろそろ拠点に戻らなきゃ…準備があってね。
話し相手してくれてありがと、今度はまた遊ぼうか」
ふと庭園に生える月明かりを見上げれば、いい時間になったのだと。
いい加減拠点に戻らなければ、また明日から忙しくなる。
彼女に軽い礼を述べれば、また今度楽しい遊びでもしようかなんて誘ってみたりして。
返事を聞いてからかその場を後にしたのだった。
■ミリーディア > 彼の言葉を聞き、少女は目を閉じる。
「そう、精霊、解っている様だね。
君が感じる多くは下位精霊と呼ばれるものだ。
因みにな、例の森を守るのは下位精霊の一角。
下位が在るのだから、勿論、上位精霊も存在する。
世界…本当に滅ぼせると思うかね?」
本当に出来たの為らば、大したものだろう。
数々の上位精霊を打ち倒し、結果、自らの世界を滅ぼすのだ。
正に自らの首を絞めるとは此の事か。
そう考えると可笑しく思えるもので、少女は小さく笑った。
「残念、終わり迄確りと教えてやるつもりだったのに」
彼とは逆に少女は平然としたものだ。
寧ろ、彼の反応を最後迄見られず残念そうな表情さえ浮かべる。
此の手の耐性の差は歴然としたものだと理解出来ただろう。
「儂もそろそろ戻るとするか…此方こそな、良い暇潰しだ。
其方の件も構わん、依り楽しい時間を過ごせる事を期待しよう」
世の流れが如何動くのか、少女が忙しく為るのは其れ次第。
出来ればそう在って欲しくは無いのだが…
彼へと言葉を返せば、少女も又研究施設へと戻るのであった。
ご案内:「王都マグメール 王城」からヴェルムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/回廊」にフェイレンさんが現れました。
■フェイレン > 主人を狙う刺客が現れたのはこれで何度目だったろう。
いくらか刃を交えた後に捕縛すると、他の侍衛たちが主の言いつけに従い、地下の仕置き部屋へと引きずって行った。
後で主人自ら罰を与える気らしい。
半分追い出される形で主人の部屋を出る。その足は自室へ向かうことはなかった。
自分の役目は既に終わっていたが、命のやり取りをした後だからだろう。
沸騰した血が治まらず、身体の至る所が燃えるように熱い。到底眠りにつけそうになかった。
あてもなく進む廊下の先、外気で体を鎮めようと窓辺へ寄る。
■フェイレン > 主は宮中伯として揺るぎない権威を持っているが、その分、敵の存在も多かった。
商人や詩人、踊り子、侍女等――。
誰一人成功はしていないが、凶手は多様に形を変えて送り込まれるため、
主人が自身の配下を見る目もまた、同様に厳しいものとなる。
それは子飼いの青年も例外ではない。
疑心に満ちたあの鋭い目を向けられると、自分の根幹が揺らぐようで恐ろしかった。
窓辺に佇み冷えた夜気に触れる。左頬が火傷のしたように熱い。
指先で触れればぬめった感触が伝う。横に一筋刀傷を受けていたらしい。
人に見られると厄介だ。青年は手の甲でそれを拭った。
■フェイレン > もしもこの先、主を失うようなことになったらなら。
いつかこの城を出るようなことがあったなら――。
以前は考えもしなかった道筋に、何故か惹かれることがある。
足場を失った自分はどこへ向かうだろう。市井に身を隠して生きるのだろうか。
王都では自分を知る者に見つかるかもしれない。ダイラスへ行って船にでも乗ろうか。
いっそシェンヤンに行くのもいいかもしれない。
望みは薄いが、母方の親族というものがあるかもしれない。
有りもしない可能性に輪郭のぼやけた想いを馳せていると、
見上げる夜空に一筋、流星がたおやかな軌跡を描いて落ちていった。
漆黒の闇の中、静かに自分の真名を呼ばれた気がしてやけに印象深く胸に残る。
■フェイレン > ――答えは出ている。
胸の内で短く言い切り、まぶたを閉じて思いを断ち切った。
寄辺を失った足が彷徨う。
ご案内:「王都マグメール 王城/回廊」からフェイレンさんが去りました。