2018/05/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 秘密の小部屋」にマリアージュさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城 秘密の小部屋」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 彼女とは何度か会っているがその内情までは知らず。
ただ、状況が許せば家名の最高に協力する位はしよう。
今は彼女が落ち着いた様子を見せたことに安堵する。
もうしばらく触れていようか。

「…この話は私も詳しくは知らんのだが、我が家でも極力
関わらない様にと言われてきた内容でな。
とはいえ、ここまできてそれも難しいのだが。」

この球体がこれほどまでに弱弱しくなる原因となった出来事があった時、
我がアッサルト家は中立を表明していたようだ。
つまり、関わらないと言う選択。

今も厳重に秘されているこの部屋のことを迂闊に口に出せばどんな災厄が生じるか
想像もつかず。

私は頭の中でぐるぐる回る考えに翻弄されつつ、彼女が球体に近づくところをただ見つめていた。

マリアージュ >  
隠されていた上に、分厚い濃い結界で万人が入るのを拒んでいた小部屋。
10mの立方体の部屋は、薄暗く輝く青い文字が壁も、床も、天井にも綴られ。
そして中央に浮かぶのは、今にも消えそうな青い輝きの球。

球体に触れるように言われましたら。
ちょっと不安そうに、何度も振り替えながらとてとてと近づきます。
近づけば、すっと、後ろから前にと軽い風が吹いたような感覚。
近づくと、仄かで消えそうな青い光が少しだけ力を取り戻すのです。
片手を軽く握って胸の前に、もう片手を浮かぶ急にそろりと球体に触れますと。

「・・・お身体が冷えてますの?」

と首を傾げさせるのです。

「フォーコ様のお友達・・・ではありませんの?」

と首を後ろに向けながら球体を軽く優しく撫でていますと。
球体は嬉しそうに青い光をふるわせているのです。

フォーコ > 「私の友達ではないが、冷えているのなら温めてやろうか。」

気付けば私の身体は勝手に動いていた。
マリアージュもそうだが、このか細い球体をこのままにしておくのも忍びない。

私は両手に回復用の白い炎を宿し、球体へと触れることに。
触れた感触はなんとも形容しがたい不思議な感覚。

さて、この球体に少しでも活力を与えてやれるだろうか。
マリアージュほど魔力の才能に富んだわけでもないのだが。

「どうだ、効果はありそうか?」

私はマリアージュと目の前の球体に視線を巡らす。

マリアージュ >  
少し抵抗がありますが、球体が魔力を吸いとっていく感覚。
する、するするっと触れた両手から無理矢理に魔力を引きずり出そうという感覚です。

「わぁ・・・フォーコ様の魔法。綺麗ですわね・・・!」

白い炎が出ている様子に、目を丸くしますと。
尊敬の眼差しをしましてから、ゆらゆらと揺れる白い炎の様子に笑顔を向けるのです。
マリアージュは、白い手袋をした華奢な両手を球体に当てながら、
「えいっ、えいっ」と小さな気合の声。
同じように魔法が使えないかと頑張ってみるのですけれど。
魔法になる様子はまるでなく。
魔力がもし見れる人が居れば、大量な白い純粋な魔力がすうっと球体に吸われている様子が見えるかもしれません。

弱弱しいですが少し蒼い輝きを取り戻し、脈動するように光る球。

「あっ・・・少し明るくなりましたわ・・・。
 フォーコ様の魔法で元気になられたのかしら・・・。
 ――どうやりましたら、魔力を注ぐことができますの?」

魔力を吸われていると自覚がまるでないまま、
眉をよせましてフォーコ様に質問をするのでした。

フォーコ > 「綺麗か。 喜んで貰えて良かった。」

白い炎は放つ端から吸い取られていく。
まるで竜が炎を飲み込む様に。

ただ、この球体は害のない魔力なら何でもいいのだろう。
事実、隣の少女からは魔力そのものを分けてもらっている。
無尽蔵の魔力の持ち主はそんなことには気付いていないようだが。

「君も魔力を注げているさ。
君の場合、触れるだけで大丈夫なようだな。
さあ、これでだいぶ安定するだろう。
こうなったからには私も定期的に注ぎに来てやるとしよう。
さて、この球体には他に仲間は居るのか?
それと、こいつはそもそも何者だ?
聴けるなら聴いてみてくれないか。」

恐らく、私が聴くよりはこの部屋の出入りを認められている彼女に任せた方が良いだろう。
私は彼女の頭に手を載せ、この大任をお願いすることにした。

マリアージュ >  
目を瞑りまして「うにゃー、みゃあー」と、白い炎を出すつもりの声。
目を開けまして、フォーコ様の手元と自分の手を見比べましてから。
また、頑張ってみるのです。

「・・・でも、綺麗なのが出てきませんわ?」

巨大な空間にコップで水を入れているような感じ。
それでも、ちゃぷっと、魔力が少しは入ってたまるようで。
またしばらく保つことが出来そうです。

「・・・えと・・・1つの王、3つの妃。
 5つの司祭に、7つの・・・騎士?
 あ、この子、司祭様みたいですわ・・・?」

きょろ、きょろと。
片手の人差し指を唇に当てまして。
小部屋の壁や天井の文字をゆっくりと読みまして。
そして球体を撫でながら、にっこりとフォーコ様に伝えますと。
青い球体も軽く光を変えて返事をするような反応をみせるのでした。

フォーコ > …猫か。
呪文のつもりかは知らないが、魔の抜けた声を出す姿に肩の力が抜ける。

「綺麗なのが出なくてもとりあえずの役に立ったからお互い良しとしよう。」

まあ、暇が出来たら当分はここへ通ってやるか。
私は光り輝く球体を摩ってみせた。

「…で、こいつらは何をしているんだ?
いつからここにあるか、他の連中の居場所は聴けないか。」

仲間が予想外に多かった。
他の連中も恐らく魔力が欠如しているだろう。
回って補充してやらねば。

私は笑顔を浮かべる少女と青い球体に問いかけた。
しかし、マリアージュは予想通りこの球体と会話が出来るようだ。
私ではそもそも入れなかっただろうし、当然ではあるが。

マリアージュ >  
頭に載せられた手に、ぐりぐり。
あいも変わらず、頭を撫でられるのが好きなのです。
さらりと滑るような細やかな銀絹の髪。

「わたくしも、綺麗なのをぽわーってやってみたいですの」

桜色の小さな唇が少しだけ尖るのですが。
すぐに戻ります。

「――王様とお妃さまを守っておられるそうですけれど。
 もう、長く見つからないって・・・。
 ずっと、一人でしたの?」

優しく球体を撫でまして、輝きを帰るだけの浮かぶ球体に
首を小さく傾げさせて尋ねるのです。

「――中におられる方にも逢えなくて。
 外の騎士様ともお話がずっとできてませんの・・・?
 司祭様たちは・・・?」

眉を下げ少し悲しそうにしながら、フォーコ様と球体を順番に見るのです。

フォーコ > マリアージュの髪は触れているととても気持ちが良い。
髪にも魔力が宿っているのだろうか?

「まあ、もう少し色んな魔術を調べるといい。
そのうち合ったタイプが見つかるだろう。」

私は彼女を慰めるようにぎゅっと抱きしめてから両手を離した。

「他のメンバーは既に居ないのか。
最悪、この球体のみの可能性もあり得るか。

マリアージュ、ならこれを聴いてもらえるか。
彼はこの城を守っている立場なのかと。」

出てくる情報は断片的だが、どうも明るい話は出て着そうになかった。
まあ、こうなることはある程度予想がついていたが。

私は悲しげな顔を浮かべるマリアージュの肩に手を載せ、もう一つだけ聴いてもらうことに。

マリアージュ >  
頭を撫でられていますと、くすっとくすぐったそうに小さく笑みか浮かびます。

「――お歌のなら、少しだけ知っておりますけれど・・・。
 綺麗な魔法も使ってみたいですわ」

意識して使えるものより、自意識なく使っている魔法の力の方がよっぽど多く。
髪1房でも、いい触媒になってしまいます。

「――誰とも、突然、お話が出来なくなったそうですの・・・。
 だから、もう居ないのか、まだ居るのか。判らないって・・・。
 ・・・お城をまもっられておりますの?」

ガラス細工のように華奢な指先で、球体の表面をくすぐるようになでます。
そして、軽く目を閉じますと。
ふっと小さく息を漏らしまして。

「――国を作り導くは王の務め。
 ――城を守る王を支えるは妃の役目。
 ――司祭は民と王を繋ぐが橋に。
 ――騎士は地と民を王と共に守る。
 されど、されど、失われし絆、失われし璽。
 見えず、聞こえず、伝えられず。
 あぁ、探したまえ、守り給え。そのココロを・・・」

小さく、マリアージュとしては低い声で小さく紡ぐのです。

フォーコ > 「綺麗な魔法か…。
見た目的に面白い魔法なら簡単に出せるがな。」

髪に触れた手を離し、手のひらを広げる。
小さな炎を宿してはそれを自由に象る。
今は馬上の騎士の姿を作り出していた。

「まだ居る可能性があるのなら探しに回るべきか。
そうなるとまた君の助けを借りることになるな。」

どこも恐らく通常は入れない領域であろう。
今後の事を考えていると、突然低い声が。

「やはり以前までこの国を率いていた者達のようだな。
私で良ければ探索に協力してやろう。
だが、ヒントも何もなければ探しようがないぞ。
それにこの部屋も含めて常人は立ち入れないからな。」

マリアージュ >  
「わぁっ!。わぁっ!。
 騎士様ですわ!。すごいですの・・・!」

フォーコ様の魔法に、背伸びをして顔を近付けるのです。
そして暫し目を取られてしまうのです。

「他にも腹ペコさんが居られますの・・・?
 何をお手伝いしましたらよろしいですのかしら??」

ただ、お城の秘密の場所を探検しようとしただけなのです。
――何か、惹かれたものがあったのかもしれませんけれど。
ですので、何をすればいいのかよく判っておらず。
首を傾げさせてしまうのですが。

「――白き褥は赤き血に穢され路は閉ざされ。
 王の四柱は、黒き六柱に封じられし。
 王よ、妃よ、今はいずこ。
 騎士よ、剣をもて、槍をもて、瞳を開き。
 真実を開き給え――」

低めの声でそう伝え、小部屋の中に声の余韻を響かせ。
青い文字を脈動させて、消えていきますと。

――ふと、マリアージュは目を開けまして。
きょとんとした表情。
きょろきょろっとしましてから、フォーコ様を見上げるのでした。

フォーコ > 「この程度なら初歩の魔術書を読めば恐らく出来るだろう。
学院の図書館でも置いてあるはずだ。」

手の上の騎士は暫くの間、掌で駆け回り、剣を振り回す。
やがて揺らめいては消えてしまった。

「魔力を注いでやるべきだろうな。
彼らはこの都を守護しているのだろう。」

しかし、まさかこんなことになろうとは。
私は続きに耳を傾ける。

「真実と言ってもな…。
今はその真実をこの部屋以外で叫んだところでとんでもないことになるだけだ。
狂人扱いを受けるか反逆の罪で処罰されるだろう。」

部屋中に響き渡る声にぼやいていると、次第に声は消える。

私はこちらを見上げる瞳を見つめて。

「とにかく、今後は彼の仲間を探すとしよう。
私も怪しい所を見つけた時は君に声をかけるし、必要なことがあれば読んでくれ。
出来る限り手伝うからな。 ただ、さっきも言った通りこの件はあまり話さないようにな。」

マリアージュ >  
はわーっと、頬を少し桜色にしまして。
動き回る小さな炎の騎士様に目が釘付けです。
消えてしまうときには、小さく手を合わせまして拍手なのです。

「!。はいっ!。
 次までに、炎の騎士様を作れる練習をしておきますわ!」

ぐっと軽く握りました両手が胸の前。
なんとも頼りない気合のいれ方なのです。

巫女のお告げのような僅かな時間のトランス状態。
何が自分の口から紡がれたのか、それを覚えておらず。
目をぱちくりとさせまして、首を軽く傾げさせましてから。
探そう、という言葉に、こくこくっと頷きます。

「お友達を探しましたら宜しいのですわね!。
 わたくし、またお城を探検しますわっ!
 ――フォーコ様とだけの、秘密ですの?」

判る内容に頷いて頑張ります、というのですけれど。
と、唇の前に両手の人差し指を重ねてバッテン、とする仕草を見せるのです。

フォーコ > 「こればかりは練習してもらうしかないからな。
時間さえかければ出来ると思うので頑張ってくれ。」

私よりも魔力に満ち満ちている彼女ならコツさえつかめばすぐに習得できそうな気がする。
やる気に満ちた彼女に微笑んでみせた。

「そうだ。 彼みたいな球体を探せばいい。
あと、見つけた時は魔力を注いでやってくれ。
暫くは私と二人だけの秘密だが、信用できそうな相手を見つけた時は話しても構わんぞ。
どのみち、君が居なければこの部屋には入れないだろうからな。」

それゆえ、この城の中でも未だ生き残れたのだろう。
私と彼女は思いがけない所で秘密を共有することになった。
しかし、これでこの城が多少なりとも正常化できるのなら素晴らしい事だ。

とにかく、今日はよく働いた彼女の労を労おう。

「ここでの用時は済んだことだし、そろそろ廊下に戻らないか?
おいしいものでも食べようではないか。」

マリアージュ >  
「――!。練習は一杯しますわっ。
 師団長さんに剣も褒められましたですし!」

えっへん、と少し自慢げなのです。
毎日、ちょっとだけ棒を”飛ばしていた”成果なのです。

「騎士様と司祭様とお妃様と王様を見つけましたら宜しいのですわね・・・。
 皆様、この司祭様みたいに真ん丸なのかしら・・・?
 ――はいっ、お話しましてもよろしいのですわね。。。」

ほわっ、ほわっ、と青く揺らめくように光る球体を、
こくこくっと頷きながら撫でるのです。
でも、なんで入れませんの?と、首を小さく傾げさせるばかりです。

「あ、はい・・・また来ますわね?
 ――美味しいパイかしら?それともミルフィーユ?
 ガレットも好きですわ?」

小さく球体に手を振りますと。
フォーコ様の手とつなごうとするのでした。

フォーコ > 「立派な魔法剣士になれるな。
まあ、今時はそれが主流になりつつあるか。」

胸を張るマリアージュに拍手を送る。
地道に鍛錬に励むところは素晴らしい。

「まあ、そういうことだな。
そして皆に魔力を分けてやることだ。
理屈は知らんが、防犯のためだな。
マリアージュも部屋に誰でも入ってくると困るだろう。」

首を傾げる彼女に冗談を交えて説明してみる。
どういう魔法が施されているかは専門でもない私には分からない。

「いっそのこと、皆頼んではどうだ?
私も聞いているだけで腹が減ってきたな。」

彼女の小さな手を繋ぎ、我々は元来た道へ。
途中腰が痛くなりそうな天井の低い道を通り、外へと戻って行った。

マリアージュ >  
「もうっ、違いますわ。
 わたくし、立派なオトナのオトコノコの騎士になりますのっ」

ぷくっと、頬を小さく膨らませまして。
フォーコ様に抗議するように、ぺしぺし華奢な手でたたくのです。

「――??
 入れませんでしたら、困りませんかしらかしら?」

入り口に鍵を掛ける・・・というのをしない、森の奥育ち。
人の悪意よりも善意を信じてしまうのです。
首を傾げさせてしまうのです。

「・・・うにゃ、にゃ・・・。
 ――フォーコ様もご一緒に食べて頂けますのでしたら・・・」

色々食べたいですけれど、小食なのです。
手を引かれながら、マリアージュだとちょっとかがむだけで通れる小さな入口。
黒い面の入り口から出ますと、ふぎゃ、と。
お鼻を軽く押さえます。

「――あれ?。少し、臭くありませんかしら・・・?」

少し困惑するようにきょろきょろっとします。
ゆっくりとならされる穢れた匂い。
神性の清浄な場所から出ると、その違いが臭く感じたのでした。

フォーコ > 「騎士であっても別に魔法と剣が使えても問題ないのだぞ。
私がそうであるのだから。」

叩いてくる手は痛くはないが、一応両手でガードしておいた。

「う~~~~~む。 君はそういう性質なのか。
なら今度私も部屋に行ってやろう。
その時は歓迎してくれるかな?」

別の師団にいる彼女だが、どうやら鍵をかけないタイプらしい。
不用心な気もするが、それならば私も気軽に邪魔出来ると言う物。
久しぶりに彼女で楽しむのも良いだろう。

「それは勿論。 何なら君と分け合っても構わないぞ。
…おい、大丈夫か?」

来るとき同様鼻を打っている彼女を覗き込む。
今度は鼻なのでまだ痛みもましであろう。

「…そうだな。 さっきいた部屋が本来のこの城の姿で、
今の城は汚れているとも言えるな。
私が誰に対しても言ってはいけないと言った意味が分かったかな?」

やはり空気がまるで違う。
敏感なマリアージュはそれをしっかりと感じ取ったようだ。
鈍感な私でも違いが分かる程に穢れた気が漂っている。
もっとも、私はこの空気も嫌いではないのだが。

マリアージュ >  
ガードをされてしまいますと、手だけでぺしぺし、普通の婦女子令嬢よりも力が弱いのですけれど。
自分の手が痛くなり、手のひらをもう片手で押さえてしまうのです。

「あ、遊びに来てくださいますの?
 お菓子とお茶を準備しておきますわ♪」

きゃぁ、と嬉しそうな表情を見せるのです。
お客様をもてなせると喜んでしまうのです。

「――お掃除きちんと出来ておられるように見えますけれど。
 大きいですものね・・・見えない場所がお掃除できてないのですかしら。
 今度、お掃除道具も持ってきましたほうがよろしいですかしら・・・?」

と、汚れて臭いのだと思いきょろきょろっとするのですけれど。
見えていない所が汚れているなんて、人に言ったらいけませんものね。
と、こくんこくん、と鼻を手で覆いながら頷くのです。

「おやつにしましょう・・・」

と手を引いてはそこを離れようと歩き出しますが。
一瞬歩き出したのは、お城の奥の方。
でも、そちらの方が臭い感じがしまして。
慌てて逆方向、城を出る方向へとフォーコ様の手を引くのでした。

フォーコ > 「別にお茶とお菓子がなくても構わないぞ。
マリアージュさえ元気に居てくれればそれだけで十分だ。」

私の方は以前のやりとりを思い出していたが、
彼女が純粋に私を持て成すつもりのようだ。
まあ、どちらに転んでも楽しい時間を過ごせそうではある。

「これを掃除するには色々と準備が必要になるぞ。
まずはさっきの球体の仲間全てに魔力を注いでやらねばな。
掃除道具よりもああいう部屋が他にないか探す方が先決だ。」

実際の所、私は日付が分かるころにはまたこの臭いになれてしまうだろう。
そして数日も立てば違和感すら感じなくなる。
それほどにこの城内に漂う魔力は皆に馴染んでいるはずで。

「そうだな、出来るだけ綺麗な場所を探して食べるとしようか。」

城から離れる方が臭いが薄くなっていく。
奇妙な出来事に首を傾げるが私は手を引かれるままに着いていく。
しかし、教会も恐らく駄目であろう。
一体どこにいけばこの臭いは薄まるのであろうか。

マリアージュ >  
「まあっ!?。
 わたくし、お菓子もお茶も美味しくできますわよ?」

お茶もお菓子も無いなんて信じられませんわ、と。
目を丸くしてしまい、マリアージュと呼ばれていることに気付いていないのです。

「司祭様たち、お掃除もされますのね・・・」

そう言いながら、小さな歩幅でフォーコ様の手を引くのですが。
廊下を歩いていても、時折端に寄ったり、真ん中を歩いたり。
横にある扉から離れるようにと。
意識してではないですが、不思議な歩き方をするマリアージュ。

お城を出ますと、ぷはぁ、と。
ちょっと深呼吸。
城の中に比べますと、外は随分薄まっているのです。

「綺麗な場所、ですの・・・?
 こっち・・・?」

勘の導くままに歩きますと、富裕地区よりも貧民地区に近い平民地区の方へと
ふらふら、ふらふらと。
迷子になりそうな足取りで、甘味屋さんにと足を運びます。

フォーコ > 「別に出来ないと言っているわけではなくてな。
いきなり来たら用意していない時もあるだろう。」

目を丸くする彼女に苦笑を浮かべる。
どうも彼女には振り回されてしまっている。

「そういうことだ。 これは皆にとってもありがたいことだぞ。」

魔族にとってはそうでもないであろうがと内心付け加える。

彼女は真っ直ぐ歩くことが苦手なのかふらりふらりと位置を変える。
まるで海流に流されているような気分を味わいつつ、後ろを付いていった。

城の外、それも平民地区に行くほど空気が少し正常に近づいたようで。
浄化することはそう簡単ではないなと思わずため息が零れる。

店に辿り着くと、早速窓際の席を確保する。

「何がいいんだ? 何でも奢ってやるぞ。」

メニューを広げ、彼女の前に差し出した。
落ち着いた雰囲気の店であり、落ち着いて食事が出来そうである。

マリアージュ >  
「そんなことありませんわ?。
 お菓子は毎日作ってますもの」

当然、とばかりに言うのですけれど。
少し遠回りににお城を出るのです。
まるで、何か特別な罠や人を避けるかのように、なのです。

辿り着いたお店。
窓際の椅子で、スカートを抑え膝を揃え。
浅く、姿勢よく座ります姿。
メニューをみせられますと、お菓子の場所をガン見なのです。
唇に人差し指を当てまして。
これも美味しそうですわ、あ、こっちも。
これ、新作かしら・・・。
目移り、目移り。
真剣に悩みましてから、これ・・・、と指先で示しますのは。
幾種ものフルーツのコンポートで飾られましたタルト。
あまり大きくないものですけれど、その1つに決めたのでした。
そして、お飲み物はミルクティーなのです。
 

フォーコ > 「ではそのうち邪魔するから盛大にもてなしておくれ。」

一見、ただあてもなくうろついているように見えたのだが、実はそうでもなく。
恐らく本能的に何かを避けているようだ。
それが何かは私には分からないが。
城の中はまだまだ私の知らないことがあるらしい。

私は彼女が決めるまでの間、外の様子を眺めていた。
魔族とでも遭遇しない限りは平穏な暮らしであるがそれもああ言った縁の下の力持ちが
居たからなのであろう。

やがて彼女がメニューを見終えた所で私は店員を呼ぶ。
私の方はいつも頼むアップルパイにローズヒップだ。

「私のパイも少し食べてみるか?」

料理が運ばれるまでの間、彼女に尋ねてみた。

マリアージュ >  
「もちろんですわ?
 美味しいって、そう感動させてみせますわ」

自信満々。
運動神経はまるでないのですけれど、お料理の腕は母親譲り。
自信があるのです。

フォーコ様がお外を眺めているのにも気づかず。
真剣な様子でメニュー。
隅から隅まで、しっかりと見て選ぶのです。

「えと・・・あの、でしたら、このタルトと交換ですわ?」

すっと、カトラリーを手にしまして。
手慣れた仕草で品よく自身のタルトを半分切り分けますと、
フォーコ様のお皿の上にと移動させます。
ミルクたっぷり、砂糖たっぷりの紅茶。
パイを少しいただけますと、お皿の上にきちんと並べまして。
満面の笑み。
胸の前で両手を組み、古い、古い様式の神様への感謝のお祈り。
アイオーンへ感謝を古語で述べますと、小さく口に含み。
頬に手を当て、本当に美味しそうにお菓子を頂くのでした。

フォーコ > 「そんなにか。
それは楽しみだな。」

彼女は基本的にいつも自信満々な気がするが、これに関してはとくにその様子。
どれほどの物が出てくるのだろうかと期待が膨らむ。

「分かった。 それはいい考えだな。」

私もパイを半分に切っては彼女の皿へと移す。

私がパイにナイフを着き差している間、彼女は古語で祈りの言葉を口にする。
その言葉は私の耳にだけ届く程度の声量であったが、アイオーンと言う単語が含まれていた。

やれやれ、彼女は元よりそちら側についていたのか。

私は彼女の祈りには何も言及せず、食事を続ける。
そして、食事が終われば彼女を城へと送り届けたことであろう。。

マリアージュ >  
背も低く、華奢で、運動神経も壊滅的。
体力も力もないのに。
諦めずにまっすぐに頑張る。
ですので、いつかできる、と自信満々なのです。
でも、家事やお料理は母親から教えられて一緒にやってきたので、
それは『家庭の誇り』になっているのです。

パイを半分もいただけますと、びっくり。
食べきれますかしら、と。ちょっと心配になってしまいますけれど。

「ありがとうございますの・・・!」

と、嬉しそうな声でお礼を言います。
母親から教わった父親、その両親から教えられた感謝のお祈り。
それが、既に廃れた風習であるとも知らず。

ゆっくりと食べますと、パイが頂いた1/3ほど余ってしまい。
それをハンカチで包んでお持ち帰りさせていただくのです。
お残しはもったいないので、今日の夕食のデザートにするのです。

「フォーコ様、ありがとうございますわ」

と、送られたのは第13師団のほうでしょうか。
その敷地の番犬で、以前は精強な猟犬であった彼ら。
すっかり毛並みが良くなり、表情も丸くなったわんこたちがで尻尾を振って出迎えてくるのでした。

ご案内:「王都マグメール 王城 秘密の小部屋」からフォーコさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 秘密の小部屋」からマリアージュさんが去りました。