2018/05/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にマリアージュさんが現れました。
マリアージュ >  
今日は、公爵家のお仕事、と言われまして。
王城の奥へと足を運んだ帰り。
最近は時々、お仕事が時々あるのです。

行った先は、見上げるほど高い、高いドーム状の天井。
その中心を囲む様に、四方に建つ古式だけれど白く輝く柱。
そして、比較的新しい様式の黒い柱が、その4柱を囲む様に6柱建つ場。
一枚岩にしか見えない床には溝を掘られており。
来たときには赤く、何か生臭いものが流れて床に紋様を描くその場。
そこで、1時間ほど歌を唄うお勤めです。

――手練れの魔術師が10人、20人、それとももっと大勢でしょうか。
儀式の末に魔力を搾り取られ、生死を彷徨うほどの魔力。
それを唄うだけで奉納しながら、『これでよろしいのですの?』と
きょとんとした顔で首を傾げさせまして。
いつも通りにほんわかした、春の花畑の雰囲気。
なんら負担を感じていない様子を見せた後に、一本道を帰るのです。
その先には、その回廊に入ることを許されない、道案内の侍従と蚊が居るはずなのですけれど。

――ちょっと探検してもいいですかしら?

きょろ、きょろっと。
手順通りに進まなければ、物理的や魔術的な罠がわんさかとあるそこを。
のんきにそこを歩いていましたけれど。
ちょっと思いついたのです。

てけてけ。
壁に無造作に近づきましたら、
壁をぺたぺたとその細い手で触ってみるのでした。

マリアージュ >  
――探検クラブの一員、違いました、冒険者ギルドで冒険者と認められ。
そして先日は、13師団の団長さんにも騎士らしいと褒められたのです。
王城はいつも廊下とかが移動しますけれど(迷子になっているだけです)
秘密の通路とかもあると聞いたのです。
それを探してみましょうと、思いつきまして。
思いついた場所を触ってみます。
そんな簡単に見つかるわけない・・・はずなのですけれど。
マリアージュは、自分のお臍の前ぐらいに、少しへこみがあるのに気付きました。

大人だと気づかないような位置にあるそれ。
おそるおそると華奢な手を伸ばしますと、何か握れるところがその奥にあるのでした。

マリアージュ >  
本来なら、『何本目と何本目の柱の間、腰の下あたりに・・・』などと
言い伝えられているかもしれないそれを。
ふとおもって立ち止まり、背が低いせいで気づいたその隠れた取って。
ちょっと引っ張ってみると、魔法的な何かがあるのか、
魔力をすっと吸い取り、手ごたえもなくちょっと引けました。

胸をどきどきとさせながら、両手でその取っ手を掴みますと。

「――えいっ!」

ちょっと弾んでいる楽しそうな掛け声で、その取っ手を引きます。
すると、壁の一部がゆっくりと薄くなっていき。
大人だと入るのが苦労しそうな、1m20cmほどの高さと、40cmほどの幅の、
黒い空間を見せる穴が壁に開くのです。

恐る恐ると、その黒い穴に伸ばす手。
指先が少し入りますと、黒く光るさざ波を黒い表面に広げながら指が抵抗なく入ります。
ある血筋と、それに引かれた者にしか入れない『穴』。
マリアージュの古い血筋はそれに含まれていたのです。

ご案内:「王都マグメール 王城2」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 儀式で歌を捧げる物が一人、途中から姿を消したらしい。
近くで別の仕事をしていた私の元へも捜索の依頼がやってきた。

衛兵にでも…と言いたい所だが、どうもあまり外部の者には関わってもらいたくない様子。
私は多少の面倒くささを感じたが、義理もあったので捜索に加わることに。

30分は歩き回っただろうか?
普段は人の通ることがあまりない区画で目当ての後姿を見つける。

その者は壁の中にある穴に手を入れようとしていた。

あれについてはそういうものがあることしか、私も聞かされていない。

「おいおい、どこのだれか知らんが勝手にそこらじゅうの物を触ってはいかんぞ。」

私は暗がりで顔の隠れている相手の肩を掴もうとする。

マリアージュ >  
見つけてしまった秘密の入り口です。
どきどきしまして、指先を入れた手を引っ込めまして。
それを抱えるようにもう片手をかぶせまして、胸に押し付けます。
きょろ、きょろ、と動くたびにふわりと揺れる銀色の髪。
汚れの無い白い、学院の騎士生徒の服装。
こくり、と小さく唾を飲み込ませまして。
もう一度、と、手を入れてみましょうと手を伸ばしますと・・・。

「――きゃ、きゃあっ!?」

小鳥の悲鳴のような声でびっくりした声を出してしまい。
伸ばした手を慌ててひっこめまして、胸に抱え込みますけれど。
華奢な、薄く細い肩を掴まれまして、驚きすぎて腰が抜けそうになってしまいます。

フォーコ > 「おっと、大丈夫か。」

その場に座り込みそうになっていたので両の手を腰に回して抱き寄せる。
騎士クラスの服、嗅いだことのある匂い、それにこの声は…。

「君はケインではないか。
今日歌を歌っていたのは君か。
こんな所で何をしているんだ?」

彼が触れようとしていた先に眼を向ける。
穴の中には何らかの装置があるようだ。
あれが隠し扉をあける鍵だっとして、開けた所で大抵碌でもない光景しか広がっていない気がするが…。

マリアージュ >  
倒れそうになりますと。
ふわり、と支えられまして。
フォーコ様の胸の中に、なのです。

「・・・あっ!
 フォーコ様!。
 あ、はい。お家の御勤めだそうですの・・・」

恐る恐る、と。
顔をあげて叱られている子犬のような雰囲気で、
上目遣いに目の前の方を見上げましたら。
知っている方でしたので、顔をあげまっすぐに、天真爛漫な
邪気のない澄んだ菫の瞳を嬉しそうに見せるのです。

「えと、あのねですの。
 ほら、わたくし、秘密の入り口を見つけましたの!」

えっへん、と少し自慢な雰囲気を見せまして。
はにかみながら、指先を隠されていて開いた入り口に向けるのです。

フォーコ > 「そうか、それは偉いな。
ケインの魔力なら皆喜んだであろうな。」

儀式の詳細は知らないが、彼が呼ばれる程のことだ。
余程大事なものなのだろう。
そして、結果も恐らく順調な筈。

眩しい輝きを見せる瞳に、私は毒気が抜けてしまい気付けば子供でもあやす様に
頭を撫でていた。

「ふむ…。
せっかくだし、押してみるか?」

本来はこのまま拘束してでも連れて帰ることが役割なのだが。
自信満々に見せびらかす彼を前に止める気も失せてしまう。

この際だ。 どうなるか見てみよう。

マリアージュ >  
魔力、と言われまして。
ぱちくり、と瞬きをしましてから。
小さく首を傾げさせまして。
そして「あっ!」と小さな声。

「ちょっと胸の下あたりがくすぐったいのですかしら?」

大量の魔力を吸われてるはずなのに、ほとんどそれを感じてなくて。
あれが魔力なのね、と判ったような判ってないような。
そんな感じなのです。

頭を撫でられますと、尻尾がぶんぶん振られているのが幻視できそうな。
嬉しそうな笑顔。
くすぐったい気持ちになるのです。

「あ、はい。
 これ、ほら、お水みたいな感じなのですわ。
 あ、でも冷たくもなにもありませんの」

と、艶の無い黒のような入り口に、手を伸ばして指をつぷっと入れますと。
垂直の黒面に、黒く輝くさざ波が広がります。
凄い発見でしょう?
と、褒められるのを待つ従順なわんこのような、嬉しそうな笑顔なのです。
フォーコ様も、マリアージュに触れていれば抵抗ひとつなく指や手が入るでしょうが。
触れてなければ、呪怨の声なき声と共に、絶対的な拒絶で触れる事も許さないような
黒い壁となっているかもしれません。

フォーコ > 「ケインは魔力の量が凄まじいからな。
私ならとっくに気を失っているかもしれん。」

やはり魔力を捧げる儀式だったようだ。
彼は膨大な魔力を持っているのでくすぐったい程度の違和感で済んだようだ。
おまけに私に言われて漸く気が付いた位。

嬉しそうな表情の彼の頭を摩り続ける。
銀色の髪が相変わらず滑らかだ。

「君が触れたならそうなるのか。
恐らく私ならば噛みつかれるのではないか?
何にしろ凄い発見だな。
他に何が出来るかもう少し触れてみてくれ。」

彼でなければ、つまるところ私が触れたならば結果は違うだろう。
彼はこの不思議な装置に受け入れられたようだ。
私は先ほどよりも強い彼の頭を摩りつつ、更に調べてもらうことにする。

せっかくだ。 もう少し色々調べてみよう。
好奇心旺盛な彼もそれを望んでいるようだし。

マリアージュ >  
「――!
 そうなのですの?
 わたくし、立派な騎士様になるぐらい魔力ってありますの?」

褒められまして。わぁ、っと胸の前で両手を合わせまして。
にっこりとするのです。
頭を撫でられますと、少しくすぐったくて気持ちいいので。
ちょっと目を細めてしまうのですけれど。

「黒いお水なのかしら?
 はいっ!」

言われまして、両手を伸ばしまして。
ぱしゃぱしゃとガラス細工の様な華奢な両手を黒い面に入れまして。
縦1m20cm横40cmほどのそれを楽しそうに波立たせるのです。
水しぶきはたたず、手を抜きますと濡れてもいないのです。

「不思議ですわね・・・そうですわ、これ、不思議水って名付けていいですかしら?」

見つけたのはわたくしですから、名前をつけてもいいですわよね?
と振り返り無邪気にフォーコ様に言いまして。
次は、肘のあたりまで片腕を入れてみたりするのです。

フォーコ > 「あるのではないか?
あとは、下の者達を動かす術を学ぶ位だな。
騎士は従者が居るものだからな。」

彼はとても上機嫌。
そんな彼からは子供らしい仕草と少女特有の色香が合わさっている。
私はおもわず顎を撫でまわしてしまう。

「よく分からんな。
何のためにこんなものが置いてあるのか。」

水のカーテンといった具合だろうか。
触れると波打つが、濡れることは無く。
幻の様にも見えるが何が目的なのか。

「ああ、いいのではないか?
水かどうかも私にはよくわからんが。」

話している間にも彼はどんどん大胆となっていく。
肘まで不思議水の中に突っ込んでいる。

私はどうなるのだろうかと首を傾げて眺めていた。

マリアージュ >  
ふんふん、と真面目に。
立派な騎士様になる方法に頷くのです。

「わたくし、にゃんこさんもわんこさんもお願いできますわ?
 ――ごろごろ?」

動物にお願いしてお手伝いしてもらっているのを言いながら。
顎をなでられますと、くすくす、と楽しそうに笑顔を小さく笑い声をあげるのです。

「秘密の通路のためなのではありませんの?
 ほら、わたくし、ゼロ様という方から、
 お城の中にたくさんあるって聞きましたわ?」

と、軽く首を傾げさせまして。
どんどん大胆になりまして、肩まで黒い中に入れまして。
それから引き抜くのですけれど。
それ以上入るのは(息を止めて水に入ることがまだできませんので)
少し不安になりまして、フォーコ様に振り向きまして。
そして視線を下に、フォーコ様の手を見るのです。
そして、フォーコ様の顔をもう一度見上げましてから。、
その片手を握ろうとするのでした。

フォーコ > 「犬と猫か。 出来ればそれに人間も加えた方が良いな。
おお、可愛いことをするな。」

以前あった時は言うことを聴く様な動物を見かけなかった。
暫く会わないうちに成長しているのだろうと微笑ましくなる。

小さい可愛らしい声があがると、私はふふっと鼻を鳴らしていた。

「恐らくそうであろうな。
進んだ先に何があるのか恐ろしくなってくるが。」

どうやら彼も不安になってきたよう。
私を見上げてくる。
私は彼の手を強く掴み、もう片方の手で彼を抱きしめた。

「何が出てきても私が守ってあげよう。
だから安心すると良い。」

私は彼の耳元で囁くと、彼の腕の先を見つめていた。

果たして、どうなることやら。

マリアージュ >  
「人・・・人にお願いもたくさんしますわ?」

ごろごろ。にゃんこの気分でほんわかとなりながら答えます。
にゃんこの手になってしまいます。

「お城をよくご存じの方とご一緒してましたら。
 探検してもいいって行っておりましたわ!。
 ・・・知らない廊下とか、どこに行きますのか。
 どきどきとしまうものね・・・」

怖い、というのに。うんうんと頷くのです。

片手を掴まれまして、ほっとしましてから。
はにかむ笑顔をあげようとしましたら。
抱きしめられまして。耳元で囁かれますと。
耳がくすぐったくて、ちょっと背中がぞくっとしまして
「・・・んっ・・」と小さく喉がなります。

「はいっ、ありがとうございますの・・・」

とお礼を言いましてから、深呼吸。息を止めまして。
目を瞑りまして。
身体に力が入りながら顔をいれようとしますと。
――こつんっ!
身長より低い入口の上に頭を当てまして。

「~~~~っ!」

空いた片手で頭を抑えながら、
しゃがみかけてしまいます。
肩や顔は黒い面の中に入ってますので、フォーコ様から見えなくなってますけど。

フォーコ > 「それなら、時期に騎士になれるかもな。
ところで、騎士になって何かしたいことはあるのか?」

別になくても構わないのだが、なんとなしに尋ねていた。
私は彼の丸めた手を掴んでは艶やかな肌を触っていた。

「その者は君がここまで入れると知ったうえで言ったのだろうか。
まあ、私も未知の領域には興味があるがな。」

どきどきのレベルを通り越、多少の危機感もあったが。
気持ちのよい笑顔を見せつつも、私の息に反応しているようだ。
甘い声が聞こえた。
その声は私の中で火を灯すに十分であった。
今度は息ではなく、舌で耳に触れることに。

「大丈夫か?」

どうやら入れる部分は相当低いようだ。
ケインの背丈でもそのまま入ろうとすると頭を打つ高さの様で。
派手な音を立てて痛がる彼女の頭に私も手を翳した。
白い炎で彼女を癒す。 少しでも早く痛みが引くといいのだが。

「そうとう低い場所のようだ。
屈まないと入れそうにないぞ。」

マリアージュ >  
時期になれる、と言われまして。
花が咲きそうなほど嬉しそうな雰囲気をみせるのですけれど。
続く質問に、きょとん、となりまして。
そして小さく首を傾げさせるのです。

「――だって、お兄様みたいな騎士様になりまして。
 悪い方を叱りまして、
 お父様やお母様を・・・?」

少し混乱する心。
なって、何をしようとしていたのか。
なんであの優しい森の庵から出てきたのか、繋がっていかないのです。

フォーコ様に人差し指を立てて。それを軽く横に振りまして。
そして自慢げな表情を見せるのです。

「わたくし、探検、ではなくて。
 冒険者にきちんと入りましたから、探検してもよろしいのですの。
 だから、きっと見つけるって判っておりましたわ!」

相手はまったくそう思わずに言ったことでしょう。
耳をちょっと舐められまして。
またぞくぞくっとしまして、背を僅かにそらしてしまい。
細い腰を僅かに動かし身じろぎしてしまいます。

頭を打ってしまい。

「・・・ひゃい・・・」

軽い音で大した打撲でもないのですが。
涙目になりながら、どう?、と髪をあげて打って少し赤くなってます。
そこを白い炎に癒される・・・と。
その魔力が吸い取っていくような感覚。
そして、思う以上に早く赤味が消えていき、元の白い肌の額をみせるのです。

「わ、判っておりますわ。
 ――あ、お顔が入っても、溺れたりしませんでしたの」

そう言い、次は息も止めずに顔を近付け、ゆっくりと中に入っていきます。
黒い壁に突然生えたような形、そして少し進めば。
腰まで黒い中に入っていこうとします。

「――まっくら・・・あっ、何か薄暗い部屋がございますわ」

そんな感想を、後ろのフォーコ様に伝えるのでした。

フォーコ > 「…なにか訳があるのか?
私で良ければ協力するぞ。」

今はケインの振りをしているはずが、どうも整理がつかない様子。
私は彼のことについて詳しいことは知らないが、気になる様子ではある。

「なるほど、冒険者になったのか。
しかしな、冒険者になったからと言って許可なくどこでも冒険していいのだろうか。」

暫く会わない間に本当に色々やっていたようだ。
まさか冒険者になっていたとは。

しかし、快楽に弱いのは相変わらずの様子。
これ以上弄ると探検どころでは済まなくなりそうなので、今はこの位にしよう。

「赤くなっているが…いま消えたな。
早く治ってくれてよかった。
痛みも治まったか?」

白い額を摩ってから、私は安堵の表情を見せる。
私の魔力もそうだが、彼女自身の再生能力によるところもあってかあっと言う間に張れが消えていた。

「やはり水ではないわけだ。
…どれ、私も後に続くとしよう。
本当に低いな。」

彼女と同行でないと恐らく追い出されそうなので、私は彼女の手を掴んだまましゃがんだ。
脚と腰が痛みそうな程に小さくなって彼女のすぐ後を進む。

「もう少し入れるか? 
私も見てみたい。」

部屋には何があるのだろうか。
私は声が弾んでいた。

マリアージュ >  
「――?訳?
 ・・・わたくし、何かしないといけませんことがあったはずですの。
 あっ、でもお兄様ならご存じですわ。なんでもご存知ですもの。
 ・・・お父様とお母様、いつになったら帰ってこられますのかしら・・・」

首を傾げさえながら、少し苦しそうな表情。
そして、顔を下げ、フォーコ様とつないだ手を見まして。
それから顔をあげて、フォーコ様の顔を見るのです。

「――わたくし、なんでここにおりますの?」

と、少し苦し気な声で尋ねてしまいます。

冒険者のことは朗らかな表情に。
物知り顔で、指をふりながら説明をするのです。

「冒険者になりますのは大変ですの。
 ――沈黙の儀式を通りぬけないといけませんのよ?」

と、そんなことはない冒険者ギルドの登録方法を離します。
行って、名簿に名前を書くだけです。

「あっ、はい。こっちですの・・・・」

とフォーコ様の手を引きながらゆっくりと進みます。
黒い壁は、濃密な魔力が圧縮されたような結界で、少しの抵抗感で通り抜けられるかと思います。
30cmほどの黒い世界を抜けますと、
高さ10mほどで同じく10m四方の四角い部屋。
壁だけでなく、床にも天井にも、古代の文字が刻まれ。
それを保護するような透明な壁が覆っております。
壁が弱弱しく、青白く光っておりまして。
その真ん中に、今にも消えそうな様に青く揺らめきながら光る
1mほどの球状のものが浮いているのです。

「――庵と同じ感じ・・・」

と、フォーコ様の手を掴んだまま。小さく呟きます。

フォーコ > 「よく分からんが、色々思い出せたようだな。
どこかに向かう必要があるのなら私も付き合うぞ。」

どうやら欠落していた記憶を取り戻したようだが、まだまだ抜けもある様子。
彼女のご両親は不在なのか。
この様子だと、いずれどこかに探索に向かう必要がありそうだ。

「それはこれから調べればいいのではないか?
王都の中なら色んな情報もあるだろう。」

苦痛の混じった声。
普段の明るい彼女が見せない表情。

「…そんな儀式あったのか?
私はギルド所属になったことがないからまるでわからないが。」

得意げな顔で説明されると、それだけで説得力を感じる。
真偽を知るすべのない私はそんなものなのかと頷いていた。

「ここか。 思ったより広い部屋だな。」

彼女のアシストのおかげで私一人なら絶対に入れないであろう部屋へとたどり着いた。

あの狭い空間を抜けた先とは思えない程に広大な部屋。
部屋に刻まれた見慣れない文字は我が家の古文書を思わせる。

「…大丈夫か、マリアージュ。」

私は彼女の手を強く掴んでいた。
どうやら彼女にとって因縁のある場所の様だ。

マリアージュ >  
「――騎士に、コンラートの騎士になりませんと。
 そうしないと、だめ、と思いますの・・・」

自信がなさそうな声を出して、ちょっとずつ俯いてしまうのです。
そして、こくり、と頷くのですけれど。
どこか元気がないのです。

部屋の中をゆっくりと見回してみます。
薄暗い中、青く光る文字も少し薄汚れていまして。
ですが、部屋全体は神性を感じる清らかな雰囲気が薄くではありますが満たしています。

「――あ、はい。大丈夫ですわ」

どこか透き通るような表情で部屋を見回し。
そして文字の列を目で追って、声に出さずに読んでいるように
桜色の小さな唇が動いておりましたが。
声を掛けられて手を強く握られますと。
はっとした表情をしまして、そしてはにかむ笑顔でフォーコ様を見るのです。
 
「ここは・・・アイオーンの神様を取り巻くための場所、みたいですわ。
 でも・・・何か、押さえつけられ、苦しんで、弱られているような感じがしますの・・・」

もう一度見回しましてから、浮かぶ球体に目を向けるのです。