2018/04/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城外庭」にカサンドラさんが現れました。
■カサンドラ >
「ふわ… …ぁむ」
王城の外壁…から少し離れた外庭
一人の少女が欠伸を噛み殺すようにして半眼を擦っていた
「街の警邏が終わったと思えば今度はお城の外壁の守り…。
いえね、これも立派な騎士のお仕事なのでしょうけども……」
退屈である
そうそうとしてお城に危機など訪れるわけもないのだ
緊張感もついつい切れてしまうと言うもの…
「…とと、いけませんわ。こんなところ誰かに見られるわけには」
ふぅ、と自分自身を落ち着けて背筋を伸ばす
一応、真面目は真面目なのだった
■カサンドラ >
「(もっとこう…前線でバチバチやりたいのですけど)」
噂に聞くタナール砦であるとか、魔物との戦いであるとか
騎士として勲功を立てるにはやはり戦場に出なければならない
…もちろんこうやって城を警護し、怪しい者を捉えたりすれば手柄となるのだろうが
そういう、何かが起こることを期待する待ちの姿勢が少女はそもそも嫌いであった
「そう思ってこの師団を選んだのですけれど、時期がよくありませんでしたわね…」
はふ、と溜息をつく
交代まであとどれくらいの時間だろうか
この位置からでは時計台も見えない
交代の兵士が来るまでこの場を離れるわけにはいかないのだが…退屈が過ぎる
ご案内:「王都マグメール 王城外庭」にフォーコさんが現れました。
■カサンドラ >
せめて王城の中庭なら、王族や貴族などが訪れるかもしれない
そうなれば媚びを売っておく大チャンスだ
自身の野心の為に必要なものが王城の中にはいくらも転がっている
「(それに比べて此方は、閑散としたものですわ)」
怪しいものがいないか視線を巡らせて警戒していても、野良犬すら現れない
しかしいずれ城内にも入れる身分の騎士となって、チャンスを掴むためにも今の仕事に手抜きはしない
■フォーコ > 「成程、もっと分かりやすい手柄を稼げる仕事がしたいと。」
彼女の後ろから声をかけた。
褐色の肌に長い耳、誰が見てもダークエルフと気が付くだろう。
そして、着ている服から互いに城内の騎士同士であることは明白で。
「大将首あたりを取りたいのか? それとも、奪われた砦の奪還か?
どちらをご希望でも私なら簡単に用意出来るぞ。」
ここに来る途中、長い耳が彼女の独り言を捕えていた。
若い子特有の向きだしの野心。
管理する側としては時として使いにくいこともあるが、私のおせっかいに火が点いた。
彼女が望むのなら共に危地に向かうのも悪くない。
さて、彼女はどう返すだろうか。
■カサンドラ >
「ひえっ?!」
突然の後ろからの声
一瞬素っ頓狂な声をあげてしまったものの、
即座に腰元の長剣を抜き放ち、マントを翻し背後に向け構、え……
───見覚えがあった
当然、上を目指す少女のことである
王国軍の上の人間の顔や情報は全て騎士になる前から予習済み
勿論、彼女のことだって
「ふぉ、フォーコ第五師団長!?ど、どうして此処に…」
そこまで言いかけて、ハッとする
「王国軍第七師団所属、カサンドラ=アルマ=ドラッヒェバルトと申します。
此の度はお目にかかれ光栄の至り……え?」
慌てて名乗り騎士の礼をする最中、耳に届いた言葉に首を傾げてしまう
間違いでなければ、こう…色々と美味しい提案をされた気がする
「ええと…聞き間違えでなければ、大将首ですとか…砦の、奪還…?
その、どちらも新兵には身に余る任務かと存じ上げますが」
冷静を取り繕う
自分は騎士になったばかりの新米である
こうやって声をかけてもらえただけでも非常に光栄なこと…
その上に活躍の機会までも用意してもらえるというのは、あまりにも美味しい話ではあったが──
■フォーコ > 咄嗟に長剣を抜く決断力。
素っ頓狂な声とは裏腹に確かな実力が伺える。
どうやら相手が私の事をよく知っているようだ。
学習能力も高いようだ。
「なに、多少仕事があってな。
お疲れ様だな。」
私は彼女の表情の変化を楽しそうに眺めていた。
ひょっとしたら、にやついていたかもしれない。
「君がカサンドラ君か。 最近の若い子の間でも飛びぬけてイキが良いと聴いているよ。
ああ、私相手では堅苦しい言葉は不要だ。
なにせ無学のダークエルフだからね。」
最近入った騎士の中でも相当目立ったことして有名であった。
無論、良い意味でも悪い意味でも。
「君はそういうのを欲しがっているんだろう?
それも出来れば今すぐに。
君が望むのならそれに相応しい場所を御膳立しようではないか。
いつまでもこんな下らない見回りなどしたくない。
顔にそう書いてあったぞ。」
私は喉を鳴らして笑っていた。
取り繕ってはいるが、ぎらついた野心が露骨に顔を出している。
他の騎士や貴族はどう思うか知らないが、私は非常に面白いと思った。
その為なら多少下駄をはかせるのも悪くないだろう。
■カサンドラ >
「いえ、フォーコ師団長こそお疲れ様でございますわ」
堅苦しい言葉が不要、と言われればふんわりと笑みを浮かべてそう言葉を返す
無論、その笑顔の裏でも超高速で利己的かつ野心的な計算が行われていた
「(フォーコ・アッサルト…王国軍第五師団長。
マグメールでの有数の部門の家柄、名門中の名門の出…エリートですわね。
話に聞く上では殿方も顔負けの豪胆さに、細かいことを気にしない性格…。
そういうところは第七師団の将軍とも似ているかもしれませんわね)」
信頼に足る人物であるということ
そして身分よりも実力を買ってくれる相手であるということ
身を預ける条件の2つは満たしている
「わたくしのこと、お耳に入れてくださり光栄ですわ。
フォーコ様の仰る通り、わたくしは勲功による出世を望んでおります」
胸元に手をあて、静やかに言葉を続けてゆく
「ですがわたくしの目指すところはその先…騎士としての勲功は足がかり。
故に一足飛びというわけには参りません。それを許せば貴族の方々や、王族の方々にとっての棘にもなりましょう」
出る杭は打たれるのがこの国である
特に、女の身とあってはそれで済まない例だって、きっと存在する
「それに、下らないなんてことはありませんわ。少々退屈なのは、間違いないですけれど」
これも立派な仕事、と肯定した上で、にっこりと笑みを返した
■フォーコ > 「私は元気だぞ。 それしか取り柄がないからな。」
花のような雰囲気を漂わせる彼女。
貴族や騎士と言うのは彼女のような者を言うのだろう。
そして、花の裏にある棘もまた貴族のそれだ。
「そうだろうな。 カサンドラの顔からそれは物凄く出ているからな。」
私は彼女の素直な言葉を楽しそうに聴いていた。
だが、彼女が求める物は更にその先の様であった。
「なるほど、カサンドラはゆくゆくは王族にでも入るつもりかな?
それならば無理に功績を立てる必要はないか。
ここで初心な王族でも捕まえればいいのだからな。
…ただ、最近は王族と言えど簡単に貶められる可能性があることを伝えておこう。」
人が聴けば問題発言になりうるが、事実である。
それ故、王族でもない私は武力を求めているのだが。
「なら、少し剣の練習でもしていくか?
私も何もしてやらずに帰ったとあっては申し訳ないからな。」
模範的な回答を示す彼女。 若いのに相当優秀だ。
■カサンドラ >
「御冗談を、フォーコ様の勇猛は聞き及んでおりますわ」
くすりと小さく笑みを零す
元気以外の取り柄だってどれもこれも一級品である
「女の身で簡単にゆくとは思っておりませんけれど、飼い犬として王族になるつもりもございませんわ。
ですから、のし上がるならば立場は対等、勲功も必要なものは順序立てをして…ということで一つ。
一段とばしで階段を駆け上がっては、踏み外した時に怪我ではすみませんでしょう?この国は」
笑顔から向けられる言葉は嘘偽りない本音
「(どうせ、この手のタイプには下手に嘘をついても通じませんものね)」
信頼から、というよりは結局打算的なものから出ている言葉ではあったが
「……よろしいのですか?光栄でございますわ」
警備の任こそあるものの、この場で剣を研鑽する騎士が二人いれば此処から侵入しようとする脳足りんは流石にいないだろうと納得するのだった
「では、ぜひ」
すらりと長剣を抜き放つ
■フォーコ > 「勇猛? 蛮勇の間違いだ。
君は真似しない様にな。」
彼女なら戦でも上手く立ち回るのだろうかと想像を巡らせる。
実際、戦術などもよく学んでいそうだ。
「いいや? 踏み外せば正規の手順を踏もうが踏むまいが
食い物にされる、が正解だと思うぞ。
特に君のような綺麗な女性は食い散らかしたいと思っている連中が幾らでもいるだろうな。」
彼女の口から聞こえるのは恐らく本心。
ただし、私が遠回しに言っても通じない相手だと思っていそうだ。
「折角だ。 何か一つでも君にとって得る物のある時間にしようと思ってな。」
私は鯉口に手を宛て、黒い刀身を抜く。
「いくぞ。」
私は中段の構えを取ると、一足先に駆け抜け、彼女の胴めがけて突きを繰り出す。
勿論、当たる寸前で止めるつもりではあるが。
■カサンドラ >
「勇猛と蛮勇を隔てるものは結果のみ。
フォーコ様が勝利の先に在る限りはそれは勇猛と呼ばれるのです。
結果を剣によって導くという様はぜひ真似させて頂きたいところですけれど」
先に繋がるのならそれも良い
無論、それだけでは戦場の英雄で終わってしまう故、少女の道にとってはやはり足がかりなのだったが
「ええ、その為にも隙を見せないようにしませんとね」
隙を晒してはいけない、それは戦場に限らないということ
内心、この国で女が成り上がるのは本当に大変なのだと実感する
「ふふ、そのためには毒の一つでももっておくべきですわね」
花が食い荒らされるというなら毒のある花になればいい
フォーコの語る現実の一つ一つはとてもためになる
なにせ名門の出とはいえ、剣で以て立場を成り立たせる現実の姿の一つだ
………
そうこうしているうちに、はじまった
筋骨逞しいといった印象の彼女、その剣の走りといえば…
「(──っ、鋭い)」
しかし剣先に粗ぐわぬその浅い踏み込みが、その突きが寸止めするつもりであることを教える
「ふっ」
唇を窄め小さく息を吐き、その身体を真横へ跳ねさせる
後ろへ退かなかったのは加減を感じたため、横へ飛んだのは相手の踏み込みが浅い、つまりすぐに体勢を立て直せると踏んだ為、
故に素早く、抜き胴のようにフォーコの胴体めがけ水平に剣を薙ぎ払う
■フォーコ > 「その通りかもしれんな。
後は君に助言できるならやはり金を得ることだな。
収入源さえあれば金の力で相手をひっくり返らせることが出来る。
金と力の二つが必要だと私は思う。」
戦働きすら足掛かりと考えている彼女の為に私なりの経験を告げる。
これ位は聡明な彼女なら既に気付いているだろうが。
「隙か…。 私は隙だらけだがどうにかなっているぞ。
その代わり、触れれば噛みつく狂犬と思われてしまっているがな。」
意識して振る舞ったつもりはないが、結果としてその評判が私に手出しする
者を作らない。
「そうだな。 君は今でもかなり毒気を漂わせているがな。」
私は刀を突きながらも、終始笑顔であった。
久方ぶりに楽しい相手と剣を交える。
下手な敵将と当たるよりも面白い。
…早いな。
私は内心そう呟いた。
こちらの動きが当てる気がないことを即座に読めたようだ。
しかし、彼女が私がいわば反則級の武器を使っていることまでは流石に知らなかったようだ。
この刀は音を立てず、おまけに実際よりも軽いため普通の剣では想像の出来ない動きが出来、
おまけに相手の攻撃を受け止めるだけの強度はあったのだ。
ガリガリガリ…。
互いの刀身が鎬を削る。
私は今、彼女が貫銅をめがけて薙いだ刃に己の黒い刃を絡ませる。
そのまま巻き上げの動きで彼女の剣を弾こうとする。
■カサンドラ >
金と力、実にわかりやすい
今この国が動いているのはその2つの要素でのみといっても良い気がする
ならばその2つを手中に収めねば、この国で真に成り上がることは難しいのだろう
「そんなに毒を匂わせていましたかしら」
最初の打ち合い、まだ言葉を交わす余裕がある
そして───
「(す、隙だらけ…? どこがっ)」
刃渡りから想定し得る立て直しの速度を遥かに凌駕する速度で、
自身の剣は彼女の黒い刀身に押し止められていた
理屈に合わない、元来細やかな計算をしながら戦うタイプである少女カサンドラは頭の中をぐるぐると必至に回転させていた
ふと、圧し合っていた剣にかかる力のベクトルが変わる
相手の、フォーコの狙ったことはすぐに理解できた
巻き上げられようとする剣を離さぬよう、そして置いていかれぬように自らも跳ぶ
着地、と同時に姿勢制御、少女の技量は実に高く、誰かが見ていたならば互角に打ち合えるのではと錯覚させるに十分なものだった
───が、すぐに均衡はやぶれる
「ぜぇ…、はぁ…──っ」
幾度かの打ち合い、圧し合いを経るうちに少女の息はすっかりあがってしまっていた
「──あ…」
剣を握る力も弱まり、容易く剣は巻き上げられてその手を離れる
「……ま、参りました、わ……」
剣が地面に突き刺さるのと、少女が片膝をつき崩れるのはほぼ同時であった
■フォーコ > 彼女の場合、若さと可愛らしさもある。
立ち振る舞い次第では男心を擽ることも容易いだろう。
魔族の中ではそれを得意とする者もいるし、それの餌食にされている王国の者も少なくはない。
「私が可愛い物に反応してしまったからかもしれないが。」
彼女の言葉には否定することは無く。
やはり私が刀を振る速度を咄嗟に計算に入れていたのだろう。
なんとも頭の切れる相手だ。
しかし、これは竜に作ってもらった特注品。
彼女のデータにはまだない品だ。
このまま私の刀が彼女の剣を弾き飛ばすかと思われたが、すぐに距離を開けられる。
戦力差の修正も早いようだ。
実際、同じ武器で戦えばどうなっていただろうか。
彼女の身体では長剣は持つだけで負担になるだろう。
短時間でこれだけ振り回せば体力もなくなっていく。
やがて、彼女が膝を着く。
私は口角を伸ばしてから静かに鞘に納める。
「君が負けた原因は武器の性能差だ。
同じ武器を使えばどうなったかはわからなかったな。」
私は彼女の元に近寄ると、右手を差し出す。
表には出していないが、心の中では両手で万歳をしている程に喜んでいた。
■カサンドラ >
「いえ…流石、お見事としか言いようがありませんわ…」
フォーコの差し出された右手をとって、立ち上がる
そして恭しく腰を折って一礼をしてみせた
「大変勉強になりましたわ…。
相手の得物を、見た目だけで判断して良いわけではありませんわね…」
もっとも、全力で息があがっている自分と呼吸すら乱れていないフォーコ
「(体の良いリップサービス…例え同じ性能の武器を振ったとしても勝てる気がしませんわよ……今は)」
あくまでも今は、と自分に言い聞かせ、向き直る
「第五師団の長たる名に恥じぬ力を見せていただいたこと、光栄に思いますわ」
次はもう少し善戦できる
まずは体力づくりだろうか、などと内心考えつつそう言葉を返した
■フォーコ > 「そんなに褒めるな。
今日は互いに相手の事が分かっていなかったからな。」
丁寧な礼をしてくる彼女に私は笑みを返す。
「こういう反則めいた武器があることを知ってもらおうと思ってな。
君が所属している師団もそういった特殊能力の持ち主だらけだろう?
普通の剣を出すだけなら私でも出来るしな。
魔族を相手にするなら君もそういった武器か能力を見つけるべきだ。」
ここまで言えば、次に会った日にでもそういった能力などを身に着けて居そうではある。
先行きが楽しみだ。
「何、次は君が勝つだろう。
私は訓練所での勝率は物凄く低いからな。」
今日は相手の知らないカードを切ったことで勝てたが、同じ手はもう通じない。
もっとも、彼女が私より強くなるのならそれはそれで歓迎しよう。
■カサンドラ >
「まだまだ未熟故、経験を積ませていただきますわ」
先達からのありがたい言葉が骨身に染みる
まだ騎士になったばかりで魔族との戦いは未経験だ
言われてみれば魔族との戦いに人との戦いを想定していては意味がない
「(…次の休暇はダンジョンに潜ることに決めましたわ)」
野心に燃える少女カサンドラ
本日は先輩軍人の強さを思い知り学習する
「それはわかりませんわね。
でも、今日よりは善戦できなければ、わたくしの野望から遠のいてしまいますので」
ふぅ、とようやく呼吸を落ち着いて再びにっこりと笑う
「次の機会がありましたらまたお手合わせ、お願いいたしますわ、フォーコ様」
■フォーコ > 未熟と言う彼女に対し、私は笑って頷くのみであった。
確かに彼女は若くて青い。
それが私からすれば輝いて見える程であったが、口に出せば年寄り臭くなってしまう。
彼女の瞳が静かに燃えていた。
さて、私を乗り越える日はいつになるのだろうか。
「そうだな。 早く私を踏み越えてくれ。」
彼女がこの野心燃えるまま栄達できることを祈ろう。
「では、またな。 団長にもよろしく伝えてくれ。」
今度は私から恭しく礼をしてから去っていく。
ご案内:「王都マグメール 王城外庭」からフォーコさんが去りました。
■カサンドラ >
その背を見送り、緊張を解く
「踏み越えて……」
彼女の言った言葉を反芻するように呟く
「えぇ、勿論。
ちゃんとわたくしの足がかりにさせていただきますわ」
くすりと小さく笑う様子はどこか小悪魔じみていた
ご案内:「王都マグメール 王城外庭」からカサンドラさんが去りました。